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姉妹坂  作者: THMISmama
146/159

姉妹坂 vol.146 「姉貴に惚れたみたい。」

風鈴がチリリリ~ンと。


「ん~~、気持ち良い風~~。東京じゃ…、こうはいかないよね~~。さすが、民宿。良い環境だ~~。」

テーブルの上に両肘。両手の指を組んでその上に顎を乗せて、

唇を尖らせて座椅子の史江を見る紗枝。

「な~に、そんなマジな顔してるかな~~史~~。」


史江、

「へっ…???はっ…???いやいやいやいや。何でも…。うん。」


「真面目にお付き合い、させて戴いております~~。」

にっこりと…。


「ふ~~ん。そっか。」

こちらも唇を尖らせて史江。


「な~によ~。…あっ。もしかして…、史~~。あんた…。くく。」

そして籐椅子から離れて、腰を下げながら両手指をガクガクと。

「こ~~ら~~。白状しなさ~い。」


「ぎゃ~~。やめて、やめて。かかかか。」





「カヨッチ、さっきから何見てんの…???」

レミ。


「ん~~~。ふん。大学生の弓道の動画。この人、すっごい、かっこいい~~。」

可羊子。


その時、

「あれ…???これって…。確か…。ねね、可羊子~~。これって、可羊子のお姉さん…じゃない…???」

自分のスマホを可羊子に、

「ほらほら。」

可羊子と同じ1年の今谷果子(いまたにかこ)

「今聴いてる曲終わったら、動画…出てきた。」


可羊子、

「へっ…???うそうそ。」


そして、その動画を見た瞬間、レミ、

「わっ。この前の…。」


可羊子、

「う~~っそ。マジで…。」


果子、

「凄い、凄い、海野君も…。」


「どれどれ。」

同じ部屋の1年の女子がその動画に注目する。


そして、

「か~~っこいい~~。」


可羊子、レミ、

「…い…、いつの間に…。」

そしてすぐに頭に浮かんだ顔が…、ふたり…、

「あ~~~。」




そして夕食。



「な~んか…凄いよね~~。家じゃ食べないような料理ばっかり。キャハ~~。」

料理を食べながら史江。


「うんうん。うめぇや…これ~~。」

憲央。


「な~に言ってる~~。憲なんて、しょっちゅう、オーガニックな料理、作ってもらってるんじゃ…。」

彩萌。


「ば~か。そりゃ、店の話しだろ。家じゃ、そんなんじゃねぇよ。」


その憲央の話しを聞いて隣の信一。何かしら顔がふわ~~ん。


「何て顔してんのよ~信一~~。」

紗枝。


そんな信一を見て憲央、

「ぷっ。」


「どしたの、憲…???」

史江。


「信一な…。この前、俺ん家に来て勉強してたら姉貴が来たんだ。なんでか知らないけど、姉貴に惚れたみたい。」


その瞬間、その席の数人、

「え゛―――――――――っ!!!」


「ば、ばかやろう、憲…。」


いきなり女子から思いっ切り、吹き出される信一。


「ぷっ。」

「くっ。」

「かかかかか。」

「くっくくくくく。」


「かわいそう~~。」

最後に史江。


憲央、

「なぁ~~。だから…言ったろう~~。」


「う…、うるせいやぃ。…ったく~~。」

そしてまた信一の頭の中に甦る、あの瞬間。


憲央、

「駄目だね、こりゃ。」






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