姉妹坂 vol.146 「姉貴に惚れたみたい。」
風鈴がチリリリ~ンと。
「ん~~、気持ち良い風~~。東京じゃ…、こうはいかないよね~~。さすが、民宿。良い環境だ~~。」
テーブルの上に両肘。両手の指を組んでその上に顎を乗せて、
唇を尖らせて座椅子の史江を見る紗枝。
「な~に、そんなマジな顔してるかな~~史~~。」
史江、
「へっ…???はっ…???いやいやいやいや。何でも…。うん。」
「真面目にお付き合い、させて戴いております~~。」
にっこりと…。
「ふ~~ん。そっか。」
こちらも唇を尖らせて史江。
「な~によ~。…あっ。もしかして…、史~~。あんた…。くく。」
そして籐椅子から離れて、腰を下げながら両手指をガクガクと。
「こ~~ら~~。白状しなさ~い。」
「ぎゃ~~。やめて、やめて。かかかか。」
「カヨッチ、さっきから何見てんの…???」
レミ。
「ん~~~。ふん。大学生の弓道の動画。この人、すっごい、かっこいい~~。」
可羊子。
その時、
「あれ…???これって…。確か…。ねね、可羊子~~。これって、可羊子のお姉さん…じゃない…???」
自分のスマホを可羊子に、
「ほらほら。」
可羊子と同じ1年の今谷果子。
「今聴いてる曲終わったら、動画…出てきた。」
可羊子、
「へっ…???うそうそ。」
そして、その動画を見た瞬間、レミ、
「わっ。この前の…。」
可羊子、
「う~~っそ。マジで…。」
果子、
「凄い、凄い、海野君も…。」
「どれどれ。」
同じ部屋の1年の女子がその動画に注目する。
そして、
「か~~っこいい~~。」
可羊子、レミ、
「…い…、いつの間に…。」
そしてすぐに頭に浮かんだ顔が…、ふたり…、
「あ~~~。」
そして夕食。
「な~んか…凄いよね~~。家じゃ食べないような料理ばっかり。キャハ~~。」
料理を食べながら史江。
「うんうん。うめぇや…これ~~。」
憲央。
「な~に言ってる~~。憲なんて、しょっちゅう、オーガニックな料理、作ってもらってるんじゃ…。」
彩萌。
「ば~か。そりゃ、店の話しだろ。家じゃ、そんなんじゃねぇよ。」
その憲央の話しを聞いて隣の信一。何かしら顔がふわ~~ん。
「何て顔してんのよ~信一~~。」
紗枝。
そんな信一を見て憲央、
「ぷっ。」
「どしたの、憲…???」
史江。
「信一な…。この前、俺ん家に来て勉強してたら姉貴が来たんだ。なんでか知らないけど、姉貴に惚れたみたい。」
その瞬間、その席の数人、
「え゛―――――――――っ!!!」
「ば、ばかやろう、憲…。」
いきなり女子から思いっ切り、吹き出される信一。
「ぷっ。」
「くっ。」
「かかかかか。」
「くっくくくくく。」
「かわいそう~~。」
最後に史江。
憲央、
「なぁ~~。だから…言ったろう~~。」
「う…、うるせいやぃ。…ったく~~。」
そしてまた信一の頭の中に甦る、あの瞬間。
憲央、
「駄目だね、こりゃ。」