姉妹坂 vol.144 「憲じゃないよ、彩萌が好きなの…。」
「うんうん。いつもの定岡先輩と彩萌さん見ていると、史先輩の言っている事、分かる。」
可羊子。
「でっしょう~~。彩萌、完璧に憲央、手玉に取ってるから…。」
史江。
そんな史江の声に可羊子、
「かかかか。そうそう。あのふたり見てると…おもしろ~い。」
「でしょ、でしょ。」
と、笑いながら史江。途端に、
「…じゃなくって~~。カヨッチ…、あんた…、乗せ過ぎ。」
可羊子、
「あ~~い。」
「憲じゃないよ、彩萌が好きなの…。」
きっぱりと紗枝。
その途端、一同、
「えっ!!!」
「だって、憲が好きなら、そもそも、今までだって…、一緒にいてて、あんな感じ、有り得ない。」
紗枝。
「んじゃ…、松森…せ…。」
その瞬間紗枝の右拳がレミの頭をコツン。
「それこそ…有り得ない。」
「…てか…、今頃、クシャミしてるぞ、信一~~。かかかか。」
史江。
「…と、いう事は…。」
可羊子。
史江と顔を見合わせて、ふたり一緒に、両手をパン。
「わっ!!!!」
一瞬の沈黙。
史江、
「いやいやいや…。」
右手を振って。
可羊子も、
「ないないないない。」
右手を振って。
レミ、
「誰、誰、誰々…???」
泉季も美那子も、
「うんうんうん。」
「もし…か…したら…。」
少し、険しい顔をして…紗枝。
廊下を歩きながらの彩萌と茉優、そして憲央。
「絶対に内緒よ、茉優。」
彩萌、茉優に釘をさすように。
「うん…。でも…、彩萌…。」
「分かってる。分かってるよ、そんな事。絶対に有り得ないし、許される事じゃないって…。でも…好きだもん。誰が何て言ったって…。」
彩萌。
「それにしても憲も…1年の時から知ってたなんて…。びっくり。」
茉優。
「…ん…。まぁ…。な…。はははは。」
「でもさ…、どうして…、茉優。さっき…、居間に…???」
彩萌のその声に茉優、
「えっ…???」
いきなりドキンとして、
「あ…。あ…。いや…。あははははは。」
「ヨシ。風呂入ろっ。んじゃな。」
憲央。
別の部屋からは女子部員の笑い声が聞こえる。
部屋の戸を開けて、
「あっ。栞奈先生…。ひとり…???」
彩萌。
「あぁ、おかえり。みんな…お風呂。彩萌、大丈夫…???先生たち、心配してる。」
彩萌、
「え…。えぇ…。はい。」
「何か…心配事…あるんなら、折角の合宿だもん。先生に…相談して。」
窓際で学校の仕事をしながら…。
「こうみても、一華先生を見習うつもりでも…あるんだから…。」
その声に茉優、
「くっ。」
彩萌、
「はい。」
「こら、茉優、何が可笑しいの…???」
にっこりと栞奈。
「いえいえ…。はい。…でも…。栞奈先生…。」
「…ん…???」
彩萌、
「あっ。そうだ~。栞奈先生…。」
「はっ…???」
茉優、
「うひひひひひ。」
「な~~に。気持ち悪い~~。」
彩萌、
「関先生…。」
その瞬間、栞奈、
「えっ…。」
「先生の…いい人…だったり…。」
にったりと彩萌。
茉優もにったりと、
「…ん…???」
その途端、栞奈、両肩を落として、
「やれやれ…。」