姉妹坂 vol.014 どんだけの飛距離出すんだよ。
地面に止まっているボールを見ながら可南子、可羊子、
「あのボール…。」
そしてそのボールの向こうを…。
その途端、また可南子、可羊子、
「え゛――――――――――っ!!!あんなとこからっ!!!」
そして、そのボールを追いかけてきた…ような…男子、
「…ったく、どんだけの飛距離出すんだよ。かかかか。相変わらずやってくれるよ、航のヤツ。このグラウンドじゃ…、狭いよな~~。」
ぶつぶつと言いながら地面からボールを拾い、
「へぇ~~。えぃえぃ。」
ボールをグラブに。そして何気に前を見ると。
ネットの向こうに、女子生徒がふたり。
「あ…れ…???」
自分たちを見ている…ような男子に、可南子、可羊子、お互いに顔を見交わし、
何故かその男子に挨拶をして、ゆっくりと立ち去る。
そんな女子ふたりを見ながら、
「なんだあれ…???」
そして、
「うちの学校の…生徒…???……と、言っても…、うちに…、いたか…???あの顔…。」
首を傾げながらも数秒。
目をキョロキョロさせて、そして初めて、
「あ~~。あ~~。いたいた~~。完~~璧に忘れてた。俺のクラスの転校生じゃん。そうだ、そうだ。かかか。全く分かんなかった。」
遠くから声、
「お~い。倉元~~。」
その声に、
「あっ、すいませ~~ん。」
「な~にやってんだ、あいつ。」
ベンチで走ってくる男子を見ながら野球部員。
歩きながら可羊子、
「何々今のあれ…。凄い飛距離。」
可南子、
「ねぇ~~。びっくり。高校生で、ボール打って、飛ばせるんだね~~。もしかして…、100メートル…超えてるんじゃ…。」
「うんうん。…誰だろ、あんなボール打てる男子って…???」
歩きながらもう一度グラウンドの方に顔を向ける可羊子。
「確か、何だかぶつぶつと、やってくれる…、わたるのやつ…って…。聞こえたけど…。」
空を見ながら、さっきの男子が言っていた言葉を思い出して可南子。
「ええええ。わたるって…、もしかして…、私のクラスの…。海野航。高校1年。野球部、4番。ピッチャー。」
そしていきなり可羊子、
「ひぇぇぇぇぇぇぇぇぇ~。すんごい。」
「いやいやいやいや。…でも、分かんないよ。もしかしたら、私の聞き間違いって事もあるから…。」
「いや。それはないな。お姉ぇ、かなり記憶良いから。」
「な~に言ってるかな~~。」
そう言いながら今度は可南子もグラウンドの方を…。
「カキーン。」
可南子、
「あっ。」
そして、
「ははは。今度はセンターフライか…。ふふ。あれなら誰でも取れるか。うん。」
振り返りながら、
「さっ。帰ろ、帰ろ。」
「…で、お姉ぇ。部活…どうすんの~~???」
そんな可羊子に、
「ふ~~ん。はて…???」




