姉妹坂 vol.136 「珍しく…静かだなって…思って…。」
「いやはやびっくり。」
通路側左側の席で可羊子。
窓側の席でレミ、
「うんうん。まさか…。」
ふたり一緒に、
「ねぇ~~。」
「私だって、びっくりしたもんよ~~。」
通路側右側の後方の席で史江。
紗枝、その史江の後ろの席で、
「田所先生…運転手とは…。」
最後列の真ん中で憲央、
「大型バスの免許、持ってんだな~~。さすが、剣道部顧問。」
「いや、それ、関係ないでしょ、憲~~。かかかか。」
史江。
「…って言うか…、どしたの…???彩萌…???さっきから…ずっと…黙ってるけど…。体の調子…???」
そんな史江の声に、数秒…。
「へっ…???何か…???史…???」
「えっ…???あっ…。いや…、珍しく…静かだなって…思って…。はははは。」
その瞬間、いきなり史江の右肘を突っついて、
「…な、な~に言ってんのよ。かかかか。…んな訳…ないじゃ~ん。」
彩萌。
その声に、いきなり身体を左に寄らせる史江、
「お、お、お~~。」
頭の中で、
「…どうした…こいつ…???」
そんな彩萌のすぐ後ろで黙ったままで車窓から外の景色を眺めている茉優。
そんな茉優を見て紗枝、頭の中で、
「ふふ…。頑張れ、頑張れ。今回のチャンス、逃すなよ~~。」
「それにしても、ありがとうございます。」
最前列の席で栞奈。斜め前の要次に。
「校長先生に言われて、びっくりしました。バスの免許、持ってるんですね~~、田所先生。」
その声に要次、
「はははは。恐れ入ります。ついで…と言っては何ですが…。大型の免許の殆ど、持ってます。」
「凄い。じゃあ、ブルとか、ショベルなんかも…???」
栞奈の隣で甫。
「えぇ…。重機も、オペレーター、昔は…やってました。…履歴書に、しっかりと書いてありますから。」
「それでか~~。」
隣の栞奈を見てふたりで納得。
「それにしても羨ましいですね~。」
要次。
「秩父で合宿なんて~~。」
「ありがとうございます。父の知り合いが秩父で民宿やっていて…。合宿したいんだけど…って言ったら、大歓迎で。逆にいらっしゃいって…。」
甫、
「へぇ~~。」
「とにかく、今回は、お二人様、よろしくお願いします。」
栞奈は元より、甫の場合は初めての担任と言う事もあり、
経験を積む上でもという事で西園寺から同行する事を求められたのである。
そして数時間後。
「着いた~~。」
憲央。
「うん。来たぜ~~。」
信一。
「静かだ~~。」
彩萌。
史江、
「うんうん。」
「長蔵山荘…。何とも趣のある門構えですね~。じゃ、行きますか。」
要次。
甫、
「はい。」
「なんだか…歴史…感じるな~。」
信一。
「はぁ~~???あんたがそれ…言う…。くくくく。」
史江。
栞奈、
「東京の泉川学院高校の竹脇で~す。」
その声に、
「おぅ、いらっしゃい。待ってたよ。暫くだね~。栞奈ちゃん。」