姉妹坂 vol.133 亜葵蘭、「くく。かっわいい~~。」
「はい、どうぞ~~。」
テーブルの上にジュースの入ったグラスとクッキーの入ったカゴを置きながら亜葵蘭。
「おっと、サンキュ~~。」
座っている椅子から振り返って憲央。
「ふん。友達と一緒に勉強する…な~んて聞けば、ねぇ~~。」
胡坐を掻いてテーブルの上で参考書を見ながら信一。いきなり正座をして。
傍で座っている亜葵蘭を見て、いきなり真赤になって、
「す…、すみません。ありが…とうございます。」
思わず口の中のものをゴクリと。
亜葵蘭、
「くく。かっわいい~~。」
「姉貴~~。」
困ったように憲央。
「…って、言うか…今日…仕事…。会社…???」
「ばかね~~。日曜日勤務が当たり前…。平日に休んで何が悪い。」
トロ~ンとしたような面持ちの信一。
憲央、
「あ…。そっか…。俺たち、夏休みだもんな。」
「…で~~。ふ~~ん。今って、どんなの…勉強…???…どれどれ…。」
ゆっくりと信一の参考書の方に。
何故か鼓動が高鳴る信一。今まで若い女性が自分の傍にいる事のない。
しかも、必然的に香る女性の匂いに、
「えっ…。あっ…。」
目のやり場に困る信一。目をキョロキョロと…。
亜葵蘭、
「ん~~???」
その時、いきなり信一の目に飛び込んで来た、
亜葵蘭の襟元の奥にチラリと見える白いブラ。
そして亜葵蘭、
「ヨシ。」
テーブルに両手を着き、ふわりと揺れたブラウス。
立ち上がり様に襟元からしっかりと見えるふたつの丸みを包んでいるブラジャーに、
思わず目を閉じる信一。
亜葵蘭、立ち上がり、両脇に両手を。
「頑張れ、頑張れ。」
白いレギンスパンツの亜葵蘭。
その姿を見た瞬間に信一、ますます赤く。
「憲~~、お昼どうすんの~~???」
ドアに体を向けて、顔だけ憲央に。
憲央、
「あっ…。」
ちょっと考えて、
「適当に…。」
信一を見ながら…。
「作ったげようか。」
亜葵蘭。
「えっ、良いの…???…いや…。だって、姉貴…。デートは…???」
憲央。
「な~~にマセタ事、言ってるかな~~。私は休みでも、彼は今、勤務中~~。社会人に、夏休みなんてあるわけないの~~。……少年…、何食べたい……???」
信一を見ながら亜葵蘭。
信一、
「あっ…。えっ…???」
憲央を見て…。
「あのぉ…。」
憲央、
「姉貴に任せるよ。ありがと。」
「そっ。んじゃ~~。…任せな。」
そしてドアを開けて廊下に出て、ドアを閉める瞬間、
「少年。君も彼女いるの…???」
その憲央の姉の言葉に、いきなり目を見開き右手を思い切り左右に振る信一、
「いやいやいやいや。全然。とんでもない。」
そんな少年の仕草に亜葵蘭、
「ふ~~ん。弟は、彼女さん、出来たみたいだから、君も頑張んな。」
その声にいきなり憲央、
「姉貴!!!」
「かっかかか。」
そんな笑いをしながらドアを閉める亜葵蘭。