姉妹坂 vol.132 「友達から聞いた通りです~~。」茉優。
「ごゆっくりとどうぞ~~。しっかりと、サービスしちゃうからね~~。」
ふたりの学生に葵沙。
紗枝と茉優、
「ありがとうございま~す。」
「友達から聞いた通りです~~。」
茉優。
そんな声に葵沙、
「へっ…???」
「憲央君のおかあさん、凄い可愛い人だって。」
「へっ…???」
目をキョトンとさせて、
「あっ。かっかか。」
そして右手を前に、
「いやだ。かっかかか。」
笑いながら。
「お上手。くく。」
茉優、満面の笑顔で。
「それに、おとうさん。凄い、かっこいい。お髭。」
厨房からバンダナを頭にふたりの学生を見ている正憲、
「えぇ~~。嬉しい事…言ってくれるね~~。」
葵沙、
「だめだめ。褒め過ぎると図に乗っちゃうから。くくく。」
「それにしても嬉しいね~~。前も憲央と同じクラスの子、来たときあったけど…。君たちも…。…なんだか…高校生に見えないよね~。…なんだか…大人っぽいような…。」
「パ~パ~~。失礼よ~~。」
「あ~~い。」
そして、
「ゆっくり、してってね~~。」
笑いながら。そして厨房に振り返る正憲。
「ありがとうございま~~す。」
またまた満面の笑顔で茉優。
「ふふ。」
そしてメニューを見ながら、
「わはっ。美味しそう~~。ねね、食べよ、食べよ、紗枝。」
そんな茉優を見ながら紗枝、
「しっかし…。良くもまぁ…。」
にっこりと。
茉優、
「…ん…???」
「いつになったら、告るのやら…???」
「へっ…???」
「ば~~か。何年、友達やってるって、思ってんのよ。私が知らないとでも…思ってんの~~???」
その声に茉優、
「えっ…???あ…。いや…。」
「早くしないと…、取られるよ~~。誰かさんに…。」
「紗枝…。」
「バレバレじゃん。憲のおかあさんとおとうさんに、あんな笑顔で…。」
「紗枝…。」
「憲…、好きなんでしょ。」
その紗枝の声にいきなり顔を赤らめる茉優。
小さな声で、
「…うん。」
「チャンスなら、幾らでもあるでしょ。来週には、部活も…、合宿、入るんだから~~。」
「…う…、うん。」
「ま~~ったく~~。いきなり、ここに来ようって、電話で言ってたから、あれ…???…って思ったけど…。」
「……。」
「はっきりと、告っちゃいなさい。そうでないと…、いつまでも、パラレルのまんまだよ~~。今の内…、かも…、知れない。」
「今の…内…???」
メニューを食べている紗枝の顔を見て茉優。
「ふん。今の内…。」
そしてメニューも食べ終わった後に葵沙、
「はい。サービス。ふふん。」
「わっ。デザート~~。」
茉優。
葵紗、
「うん。召し上がれ~~。」
紗枝、
「ありがとうございます。」
茉優、
「いただきま~~す。」
葵沙、
「うん。」
店の玄関のドアが開いて正憲、
「いらっしゃいませ~~。」