姉妹坂 vol.131 「なっつやっすみ~~。ほっほぅ~~。」
「い~~え~~い、なっつやっすみ~~。ほっほぅ~~。」
部屋の窓を開けて、
「天気、良し。うん。」
園加。
「これを…。…っと~~。ひっくり返して…。ヨッ。」
台所で、フライパンを左手で愛寿美。
「ふんふん。オッケー。何々、やれば出来るじゃん。」
姉の愛美。
「んじゃ、お願い、私、お味噌汁、作るから。」
遅めの朝食、ブランチである。
「あ~~コロン、待って。」
公園を愛犬と散歩中の佐智子。
「なんで、朝から庭に水撒かなきゃなんないのよ。」
耳にはイヤホン、お気に入りの音楽を聴きながら。
Tシャツに短パン姿の鈴鹿。ホースを持ちながら。
縁側に座って弓香、両手を思いっ切り上に挙げて、
「あ~~~。気持ち良い天気~~。ふぅ~~。」
「おぅ、おぅ、弓香~~。夏休みか~~。」
祖父の蓮二。
「ひとつ、どうだぃ。」
そう言って将棋盤を持って縁側に、
「どっこいしょ。」
「へっ…???いやいやいやいや。」
懸命に右手を振る弓香。
「おじいちゃん、私…将棋…出来ないって…。」
いきなり立ち上がり、
「おかあさ~ん。」
誰もいない道場。空手着の彩萌。髪を後ろで絞って。
正座から立ち上がり、
「す~~っ。はっ。はっ。ふん。はっ。」
そして、今度は振り返り、
「はっ。」
入口に、
「あっ。」
「かあさんから、道場だって聞いてね。」
父親の小塚工。
「夏休みか。」
「うん。」
「インターハイ。だったよな。来月。」
「うん。」
「どんな感じだ…???」
「準備は…してる。」
「そか。」
腕組みをしながら工。
「この前、友達が大勢、押し掛けたとか…。」
体を動かしながらも彩萌、
「あっ。」
「かあさんから…聞いたよ。」
「…おとうさん…。」
「かかかか。おまえの事だ。しっかりと…、応援…してあげなさい。私もかあさんも、協力は惜しまない。」
彩萌、そんな父親に、にっこりと。
「うん。ありがと。」
工、
「一本、行くか。」
ほんのりと汗を掻きながら彩萌、
「はい。お願いします。」
史江、クラスの友達との買い物の途中、ふらりと寄ったカフェ。
何事もなく友達と会話していたのだが…。
何やら、次から次へと客が入ってくる。数分後には全ての席が埋まって…。
しかも…、聞こえてくる会話が…。
ストローで飲み物を飲みながら目をあちらこちらと…。
そんな史江の目の前でクラスの友達も…、
「史……。」
史江、
「…な…、なんで…???…まさか…、平日のこの時間…。この人たち…。学生…???」
友達、
「…ヤバイよ。」
「…だめだこりゃ。カップルばっかじゃ~~ん。うそでしょ。」
そして、こちらは…。
「う~~っわ、美味しそう~~。」
紗枝と茉優。
「いつも、憲央がお世話になってま~す。」
にっこりと葵沙、ふたりの学生のテーブルに注文されたメニューを並べて。