姉妹坂 vol.130 「あんたの…説得力に…感謝する。」
既に彩萌、園加、愛寿美、史江、芽久、
弓香、摩耶、菜穂子からのLINEには、しっかりと…、
「バンド加入、おかあさん作戦成功のフレーズ。」
それぞれが、
「やった~~。」
「OK」
「やったね、矢島~。」
「可南子、ばんざ~い。」
等など、いろいろと…。
そして、履歴をポン。
数回のコールで相手。
「もしもし…、矢島…先輩…???」
「うん。可南子です。海野…くん…???」
「あ…。はい…。」
「両親に、バンド加入の許可、もらいました。」
隣のベッドで可羊子、
「ふふ。」
その声を聞いた途端に航、
「やった――――――っ!!!」
いきなりスマホを持ちながら万歳。
可南子、可羊子を見て、口パクで、
「やった~~」
そんな可南子を見てニッコリの可羊子。
そしてまたスマホを左耳に、航。
「ありがとうございます。先輩。」
「うん。…これから…、よろしく、お願い。」
「はい。こちらこそ、よろしくお願いします。」
「じゃ…、おやすみ。」
「はい。おやすみなさい。…わざわざ。ありがとうございました。」
電話を切って可南子、
「ふぅ。うん。」
可羊子の顔を見て可南子、
「…ん…???」
可羊子、
「ふふ~~ん。」
と、にっこり。
「な~んだか…、彼氏に電話…している…みた、わ~~~やめて。」
思いっ切り枕を投げようとする可南子。ベッドから飛び降りる可羊子に、
「イ――――――ッ。」
そして、すぐに枕を抱えながら、
「でも…カヨ…。」
可羊子、
「…ん…???」
「ありがとね。」
「ふん…???」
ベッドにドンとうつ伏せ状態に飛び込んで…可羊子。
「あんたの…説得力に…感謝する。」
そう言いながら、可羊子に敬礼をして。
「ふん。どんなもんじゃい。」
「これで…、カヨに、借りが出来たね~~。かかかか。」
「は~~あ~~???」
「ふ~~ん。これが…、ライズ…。」
夫婦の寝室でパソコンの画面を見ながら龍平。
「ん~~。どれどれ、私にも…。」
パジャマに着替えながらの可憐。
「ふん。ほら。」
龍平の隣に腰掛けるように可憐、
「男性…3人。へぇ~~。…多分、このギターの子が…、1年の…。」
「うん。…ん…???はっ…???」
「へっ…???…お姉ぇ。」
丁度、左近が可南子をキーボードに誘っている場面。
龍平、
「うそだろ…???」
「わっ。わわわわわ。」
口に手を当てて可憐。
「かかかかか。はっははははは。可南子、弾いちゃってるよ。…いやいやいや。曲、知ってんのかい…???」
「うそでしょ。あの子ったら。」
「いやいやいや。参ったね~~。」
唇に指を。目はまっすぐ画面に。下唇に人差し指を。そしてグイッと下に引っ張り、
「なんと、なんと。や~るもんだね~~。」
「ふん。我が娘ながら、天晴れ。」
龍平の右肩に両手を掛けて、にっこりと、
「ふん。」
龍平、口を尖らせて、今度は真一文字にして、
「そのようで…。」