姉妹坂 vol.127 可羊子、「うん。先生も…反対。」可憐、「ほら、みなさい。」
「昨日の定期演奏会で見たでしょ、サックス、ソロやってた人。」
可羊子。
「うんうん。凄かったね~~。」
留美子。
「あの人、完全音感の持ち主。その他にも、凄い音楽才能ある子たちばっかり。今の器楽部。」
可憐、そんな可羊子の話しを聞きながら、
「……。」
「それに、あの…バイオリンを弾いてた人。」
「彼女も凄かったよね~~。拍手、凄かったじゃん。」
また留美子。
「けど、一番お姉ぇの才能、見抜いた人が…。」
唇を尖らせながらすぼめるように可憐。
その隣で可羊子の話しを真剣に聞いている可織、
「何の話し…???」
「かあさん…お茶…???…ん…???」
台所に燐太郎、
「な…なに…???どした…???」
「音楽の先生。多分、お姉ぇに、メチャ惚れ。」
途端に留美子、
「わお。かかか。」
可憐、今度は両手を顔に…。
「メチャ惚れ…だと…思う。…だって、先生もこの事、知ってるもん。」
留美子、可憐、
「え゛――――――――ッ!!!!」
可憐、
「だったら…、尚更、反対。こんな時期に。」
可羊子、
「うん。先生も…反対。」
可憐、
「ほら、みなさい。」
にっこりと。
「でも…。その先生。教育者としては、断固反対。おかあさんやおとうさんの事、考えて見なさいって。」
可憐、
「当然です!!!」
留美子、
「……。」
「でもね…。その音楽の先生…。こう言ってるの。教育者として、生徒を導くのが仕事。…でも、個人的には、お姉ぇを、断然、応援するって…。」
その話に、可憐、
「!!!!」
留美子、
「キャッハハハハハハ。」
両手を叩きながら。
「こんな…才能…、勿体ないって。」
燐太郎、
「ん~~。」
腕を組みながら。
そして自分でお茶茶碗をキャビネットから出して、急須にお湯を入れて…。
「あっ、ごめんなさい、おじいちゃん。」
可憐。
「んやんや。」
左手を振って。
「クラスの男子から初めて、そんな話聞かされて…、私もびっくりした。お姉ぇも当然。でも、周りがお姉ぇのピアノ、聴きたがって…。クラスのその男子も、とにかく聴きたいってなって…。」
留美子、
「うんうん。」
「先生も同席して、お姉ぇのピアノ演奏、音楽室で…。もう…みんな、感動しまくり。」
可憐、
「……。」
「そのみんな…と言うのが、今日のみんな。」
「駅でカヨたちと一緒だった…と言う。」
留美子。
「うん。…その前に、お姉ぇのピアノの腕前みんなが分かっても、お姉ぇと私、ライズって、全く知らなかったから…。」
その時留美子、いきなり両手をパン。
燐太郎、
「ぶっ。」
可憐、
「きったなぁ。…って、びっくり。」
可織、目をパチクリ。
「思い出した。」
大声で留美子。
「ライズ、うんうんうん。あの子だ、あの子だ。…確か…。横内~~ん~~。」