姉妹坂 vol.124 「恋…多し、高校生。私ゃ好きだよ。」
可南子、可羊子、玄関に入って、
「ただいま~~。」
そして台所に。
「ふん、おかえり~。」
台所のテーブルで留美子とお茶を飲んでいる可燐。
「友達と一緒だったんでしょ。」
可南子、可羊子、
「うん。」
留美子、
「お姉ぇも、カヨも…、友達、いっぱい出来たみたいだね~~。」
同じようにお茶を飲みながら…。
可南子、可羊子、
「へっ…???」
目をパチクリさせて…。
可羊子、
「留美子おばちゃん。なんで…???」
可南子と顔を見合わせながら…。
「かかか。駅前でママ友と一緒に見たんだよ。声、掛けたかったけど、あんなに大勢いたんじゃ、声…掛けづらくってね~~。」
可羊子、
「あ~~、は~~。ははは。確かに…。」
「そんなにいっぱい…???留美ちゃん…???」
可憐。
「ふん。ざっと見ても、10人以上は…、いたんじゃ。」
可燐、
「え゛~~~!!!そんなに…???」
「ふふん。…くく。もしかして…、お姉ぇも、カヨも…。なんだか…好きな人、出来たりして…。くくくく。」
にたりと留美子。
「男子もいたようだけど…。」
その声に可南子、可羊子、
「えっ!!!」
そんなふたりを真一文字の口に顔を傾げながらの可燐。
可南子、可羊子、思わず両手を前に、
「いやいやいやいやいやいや。」
留美子、
「かかかかか。冗談だよ。」
「あんたたち~~。」
可燐。
「まっ。でも…。いいじゃないのぉ~。好きな男子のひとりくらい。…でも、友達の中には、もう…好きな彼氏や彼女、いるって人、いるでしょ~。」
そんな留美子の声に、一瞬、目をパチクリと、キョロキョロとさせながらのふたり。
可憐、
「へっ…???いるの…???」
留美子、
「かかかか。図星だこりゃ。」
可南子、
「おばちゃん。もぅ~~。」
「ん~~~。かかかか。…でも、この際、言っとくけど、私はお姉ぇとカヨの、味方だからね。いっぱい。恋、しちゃいな。恋…多し、高校生。私ゃ好きだよ。」
「ちょっと、ちょっと、留美ちゃ~ん。」
留美子の前に手を差し出して可憐。
「幾ら、姉貴と龍さん、反対しても、私ゃ、あんたたちふたりの味方。頑張りな。」
「…ったく~~。」
唇を絞らせて可憐。
「…とは言え、名門校出の留美ちゃん…、私も…、逆らえないけど…。」
いつからか、可憐の事を、「ねえさん」と。
そして今では、「姉貴」と言ってくれる留美子に、嬉しくもあり、微笑みながら。
そんな留美子の顔を見て可南子と可羊子、
「へへ…ふふ…。うん。ありがと。」
「ところで、あんなに大勢で…、どこ行ってたの…???」
その留美子の声に、可南子と可羊子、いきなり目をパチクリと…。
可羊子、頭の中で、
「…うわっ。どストライクできた~~。」
可南子、いきなり口をすぼめて…。
可憐、
「…ん…???どしたの…???」