姉妹坂 vol.123 何かしら、覚悟を決めたような面持ちで…。
左近、そんな可南子と、学生たちを見て、
「…ん…???…どうしたの…???」
航も、
「……。」
左近、
「航…???」
その瞬間、可南子、
「はい。」
何かしら、覚悟を決めたような面持ちで…。
左近に、
「お願いします。ありがとうございます。」
お辞儀をして…。
そして航の顔を見て、ニッコリと。
「うん。」
航、
「せ・ん・ぱい…。」
彩萌、憲央、
「可南子…。」
可羊子、
「お姉ぇ…。」
左近、信一にカードを渡して、
「ありがとう。」
マンションを出て歩きながら憲央、
「しっかし、ビックリしたよな~~。いきなり…。」
何故か、そこで言葉が詰まる。
「な~~にが、ビックリしたよな~~。だよ~~。ず~~っと鼻の下、伸ばしていたくせに~~。」
そう言いながら、憲央のお尻をバッグで叩き付けて彩萌の左腕に、
自分の右腕を絡める史江。
憲央、
「あたっ。」
「ぷっ。くくくく…。」
可笑しがる佐智子、鈴鹿、レミ。
思わず、
「せんぱ~~い。かかかか。」
笑う可羊子。
「でも…。あの人、凄いわ。あの…声…。」
茉優の隣りで歩きながら紗枝。
「IT企業…勤務かぁ~~。羨ましい~~。憧れの職種だよね~~。私には…、まず、無理だわ。着いていけない…。」
遠くを見るような目から、いきなり地面を見つめるように…、茉優。
「…って…、何で、ひとりで黄昏れて、自己憐憫…なっちゃうかな~~。この子は~~。」
思わず変顔の紗枝。
「かかかか。茉優、おっかしい~~。」
弓香。
「…けど…。」
可羊子と一緒に歩いている可南子を見て…。
「可南子…。」
「うん。」
そんな弓香の傍で史江に左腕を占領されての彩萌、
「可南子…。おとうさん、おかあさん…。」
その彩萌の声に可南子、
「うん。」
可羊子、
「お姉ぇ…。」
マンションから出てきて以来、口を開いていない可南子。
真っ直ぐと前を見つめて。
憲央、
「可南子…。」
そして、いきなり信一の両肩をバーンと両手で叩いて。
信一、
「痛~~って!!!」
「大丈夫だ、可南子。」
大きな声で憲央。
可南子、後ろを振り向いて、
「へっ…???」
可羊子も、振り向いて、
「へっ…???定岡先輩…???」
可南子、
「憲央君…???」
史江、
「ん~~???」
にっこりと…。
「もし、おとうさんと、おかあさんに、反対されても、俺たちからも、お願いしてみるから。なっ、彩萌、史。」
そして園加と愛寿美を見て。
「弓香、摩耶。菜穂子。」
そして、それぞれが、
「うん。だね。」
「なんてったって、かっけ~よ、あのバンド。もしかしたら…。プロになるんじゃね。なぁ~~。」
信一。
「ビデオ、見せて、納得してもらお。」
「あはっ。松森先輩。」
可羊子。
「おほっ。や~るね~。信一~~。グ~~ッ。」
親指を縦に、史江。