姉妹坂 vol.120 「全然…、あなたには…及ばない。」
「出来ちゃった…婚…だって…。」
いきなり後ろから和樹。
可羊子、佐智子、レミ、
「わっ。」
「…と、言う訳で、筧さん。ライズのメインボーカルとして、参加してくれることになりました~~。」
左近。
「…でも…、でも…、富田さん…。私…。」
可南子、何かしら、申し訳なさそうに…。
そこに美和。
「んんん。矢島…さん…。筧美和と申します。残念ながら、私…、中学の頃からキーボード…やってるけど…。全然…、あなたには…及ばない。」
その話を聞いて可南子、
「へっ…???」
「私…、あんな風には…ピアノ…弾けないもの…。」
可南子、
「へっ…???あんな…風に…って…???」
「リスト…。あれには…脱帽…。ふふ。」
「え…???えぇぇぇぇぇ…。」
目をパチクリさせながら…。
彩萌、憲央も…、
「へっ…???」
その他の面々も…頭を傾げて…。
「昨日…定期演奏会…、聴かせて戴きました。」
その瞬間、航、
「わお!!!」
弓香、そして摩耶、菜穂子、
「わ~~お。」
「…って、事は…、ここにいる…。全員…、昨日…、同じ場所に…、いた…???」
史江。
「凄っ。」
美和、にっこりと…。
「それに…、今まで、高校生の定期演奏会って、全く興味なかった…。」
そこまで言って、思わず舌をチロリと、
「あは…。ごめんなさい。」
そして、
「…だから…、矢島さんの事、璃子さんから聞いて、学校も、学校の部活も、教えてもらって…。昨日、定期演奏会があるから、覗いてみたらって、言われて…。」
可南子、そんな風に話す美和の顔を見ながら、少し微笑んで…。
「どんな人なんだろって…。気持ち的には…ある意味、高を括っていたんだけど…。」
史江、何かしら得意気な顔して…。
「ふん。」
「最初っから、感動しまくり。…凄い。…って…。」
弓香、摩耶、菜穂子、
「わっ。」
にっこりと。
「私たちのユニットって…。高校の時からなんだけど…。コピーから始まって、そこからオリジナルなの…。だから…。矢島さんみたいな…、本格的な演奏…。羨ましい。」
左近、
「まさか…、昨日…、ホールに来てたとは…。知らなかった。一応…、璃子から、筧さんの写真は…、預かって…いるんだけど…。」
「左近さん。」
いきなり航。
左近、
「ん…???」
「お願い…あるんだけど…。」
「おぅ。」
可南子、
「海野…君…。」
航、美和の顔に向いて、
「ライズの歌…。何か…知っているのって…???」
そんな航の声に一同、美和に注目。
美和、左近を見て、そして和樹を見て、航の顔を見て。
最初は厳しい顔…。けれどもすぐに笑顔で…。
「ライズの歌…。…全部…、知ってるよ。」