姉妹坂 vol.175 「昨日の…定期演奏会、行ってた…らしいんだ。」
左近、そんな後ろの航に振り返って、顔をクィッと。
航、頭をポリポリと掻きながら…。
和樹、
「わったるっくん~~。」
またタムをタタン。
航、
「実は…さ…。」
紗枝…、
「ふん…???…ほぃ、わ~くん。」
左近、和樹、
「わ~くん…。わお。」
「左近さんも…、和樹さんも…、昨日の…定期演奏会、行ってた…らしいんだ。」
その航の声に、一同、
「え―――――――――っ!!!」
可南子、思わず口を両手で塞いで。
可羊子、
「マジで…。」
史江、
「こりゃ、こりゃ。」
彩萌、
「わおわおわおわおわお。」
園加、
「びっくりだわ、こりゃ。」
左近、
「…と、言う訳で、俺と和樹、しっかりと、昨夜の定期演奏会、聴かせて戴きました~~。当然、全て、ビデオにも…収めさせて…戴きました。…とは言え、無断で転載、転売、その他…、許可ない行為は…致しません。」
その左近の話しにいきなり彩萌、憲央、
「ぷっ。」
「かかか…。無断で転載、転売って…。」
史江、
「かっかかか。おっかしい~~。」
手を叩いて。
「しっかし。凄かったよ。久し振りに高校の定期演奏会って観て来たけど。まさか…、あんなに出来るんだね~~。」
ドラムから離れずに和樹。
左近、可南子たちに向かって、
「天晴れ。うん。」
拍手。
「矢島…さん。君…。凄いよ。…しかも…、あの…途中のピアノのソロ…。お見事。うん。」
可南子に拍手を…。
彩萌、
「うんうん。あの…リストね~~。もぅ~完璧だった。」
そんな左近からの絶賛の声に可南子、思いっ切り顔を赤くして、
「あり…がとう…。ございます。」
「左近。いいんじゃねえ。そろそろ…。」
スティックを叩いて和樹。
「おっ。そうだな…。じゃ、リラックスしながら、聴いてくれるかな…、ライズの生演奏。」
ベースを抱えながら左近のその声に、それぞれ、
「はい。ありがとうございます。」
「おっと。俺は…ビデオっと…。」
信一。
彩萌、史江、
「ふふ。頼んだよ。信一。」
そしていきなりベースからリズム良く、そしてドラムが軽快に、
そしてそれにエレキギターが加わる。
彩萌、史江、
「わぁ~~~。」
弓香、摩耶、菜穂子、
「凄~~い。」
可南子、
「……。」
園加、
「これ…でも…、プロじゃ…、ないんだ~~。」
愛寿美、
「うんうん。凄い、カッコいい~~。」
3分ほどの楽曲で、ボーカルのない、所謂インストゥメンタル。
演奏終了後にいきなり拍手。
憲央、
「凄い。」
史江、
「かっこいい~~。」
左近、にっこりして。
今度はいきなりドラムのソロ。そして航のギターが入る。しっとりとした楽曲。
そしていよいよ、左近のボーカルが入る。
弓香、
「いや~~。歌…上手~~。」
拍手しながら。
そして左近が弓香にウィンク。
可羊子、
「これ…全部…オリジナル…か…。」
可南子、
「うん。」