姉妹坂 vol.102 「な~に精魂使い果たした顔、してんだか~~。」
「な~に精魂使い果たした顔、してんだか~~。サッチン!!!」
そんな鈴鹿の声。
「かかかか。」
その鈴鹿の声に後ろを振り向く可羊子、
「お~~い。寝るの、まだ早いぞ~~。」
椅子にダラリと背中を付けて天井を向いて目を閉じる佐智子。
「なんでふたりとも…、そんな余裕ある訳~~。」
目を閉じながらの佐智子。
そんな佐智子を見て鈴鹿、可羊子、
「くくくく。」
鈴鹿、
「その顔だと、カヨッチ…???…結構…出来た方…???」
可羊子、
「…???…ふん…???」
真一文字の口に、目をパチクリ。
「あ~~。その顔~~。」
元の体勢に戻り可羊子に指差しての佐智子。
「いやいやいやいや。…そんな訳じゃ…ないけど…。まぁ~。なんとか…。やり…とげた…かな…。」
「矢島…。いい…かな…。」
航。
「あっ。」
可羊子。
鈴鹿、佐智子、
「来た。」
レミ、
「海野…君。」
航、
「これ…。」
一枚のメモを可羊子に。
「ライズの…練習日…なんだ。」
そして、
「都合の良い日、教えてくれたら、メンバーにも連絡するけど…。…可南子…さんに…。お願い…、出来るかな。」
航から受け取った一枚のメモを見ながら可羊子。
佐智子に鈴鹿、そしてレミも、そのメモを覗くように…。
「あっ。それと…。…まぁ…。迷惑かも知れないけど…、俺の…電話番号と…、ラインのID…。書いといたから、もし何か…。…その…、都合悪い時…なんか、あったら…。」
可羊子、小さな声で…、
「海野君の……。電話…番…。」
「もし、迷惑なら、消しちまっても…。」
そんな航に、
「ううん…。このまま、そっくりお姉ぇに渡すよ。…正直言って、お姉ぇも、返事、待ってたみたいだから…。」
そんな可羊子の声に航、
「えっ…???」
黙って可羊子と航を交互に見つめる佐智子、鈴鹿にレミ。
「あぁ見えてお姉ぇ…。中途半端、嫌いな性格だから…。自分で、やるって決めたら、やっちゃう方だから。」
そんな可羊子の声に、
「へぇ~~。そうなんだ~~。」
鈴鹿。
佐智子、
「意外~~。」
「そんな風に…。見えないけど…。カヨッチのお姉さん…。」
敦司、
「何話してんだよ。航…???」
そんな敦司を見ながら女子。けれども全く敦司を無視したように…。
「でも…。あれだけのピアノ演奏出来るんだもん。さすがに、中途半端にはなんないよね~~。」
佐智子、敦司を見ながら…。
「うん。それは言えてる。」
鈴鹿。こちらも敦司を見ながら…。
敦司、何故かしら照れながら、自分の顔を指差して…、ニッコリと…。
「…っていうか…。普通…、あれだけ高校生で、出来る人って、探すのが大変。」
今度はレミ。腕組みしながら。同じように敦司を見ながら。
あまり女子の話しは頭に入っているかは微妙な…。
その割に自分の頭を搔きながら、頻りに照れる敦司。