クラウディアの迷いとセレナの助言
セヴェリヌスは先日あった教会での議論を経て、教会の雰囲気が錬金術について、より好意的になったと判断し、レオナルドを呼び戻すチャンスだと考えました。彼はクラウディアに会い、先日教会であった講義の議事録をクラウディアに渡し、それをレオナルドに送ることを頼むとともに、レオナルドと国外の何処かで会えないものだろうかと相談を持ちかけます。クラウディアは、もしレオナルドが今の生活に満足しているなら干渉すべきではないかも知れないと迷います。
その晩、クラウディアはセレナ・ルナリアを訪ねました。彼女はプラハ郊外の小さな家に住み、占星術師として知られる賢明な女性です。静かな夜空の下、クラウディアはセレナの家の扉を叩きました。
セレナの家にて
セレナは温かくクラウディアを迎え入れ、銀の細工が施されたティーポットからハーブティーを注ぎました。月光が静かに部屋を照らし、机の上には星図が広げられています。
「あなたが訪ねてくるのは珍しいことね、クラウディア。どうしたの?」セレナが優しく尋ねました。
クラウディアは深い溜息をつき、セヴェリヌスの提案と、自分の迷いについて打ち明けました。「レオナルドを呼び戻すことが、彼にとって本当に良いことなのかどうか分からないのです。薬草園で彼は新しい道を見つけたと思っています。それを壊すことになったら…」
セレナはしばらく考え込んだ後、星図を指差しました。「星々は、今こそ動き出すべきだと言っています。クラウディア、あなたは迷っていますが、心の奥底では答えを知っているのでしょう?」
クラウディアは困惑した表情で答えます。「どういうことでしょう?」
セレナは微笑みながら言いました。「レオナルドは、薬草園で平穏を得たけれど、その心にはまだ未練があるはずです。彼が教会と再び向き合う機会を与えるのは、あなたの役目です。善は急げ、クラウディア。機会が永遠に続くとは限らないわ。」
クラウディアの決意
クラウディアはセレナの言葉を反芻しました。「善は急げ」という言葉が彼女の胸に響きます。レオナルドにチャンスを与え、彼自身が選べるようにするのは、彼女にできる最善のことかもしれないと感じました。
「分かりました。レオナルドに手紙を書きます。そしてセヴェリヌスとともに彼の元へ向かう計画を立てます」とクラウディアは静かに答えました。
セレナは満足そうに頷きました。「彼がどの道を選ぶにせよ、それを決める自由を与えることは大切です。あなたの思いは、きっと彼を支えるでしょう。」
その晩、クラウディアは自宅に戻ると、すぐにレオナルドに宛てた手紙を書き始めました。手紙には、彼の新しい生活への敬意とともに、セヴェリヌスが彼と話したいという願いが書かれていました。そしてその提案に彼がどう感じるかを問うていました。
クラウディアは封を閉じ、星空を見上げました。セレナの言葉が彼女の心を支え、迷いに満ちた夜に希望の光を灯していたのです。




