ルフスの論文を読むレオナルド
1677年、春とはいえ冬の雪がまだ残るクラクフの早朝、レオナルドはいつものように下宿先の狭い書斎で薬草学の書物を広げていました。外から馬の蹄が石畳を叩く音が響き、彼の小窓の外で止まりました。数分後、宿の主人が郵便物を手に部屋を訪れます。
「アウリウス様、プラハからの郵便です。」
「プラハから?」レオナルドは眉をひそめつつも、包みを受け取ると、厚みのあるその封筒をじっと見つめました。
封を切ると、クラウディアの手紙とともに分厚い論文が現れました。羊皮紙に整然と記された文字が目を引きます。レオナルドは机の椅子に座り直し、まず手紙を読み始めました。
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「親愛なるレオナルドへ、
こちらプラハでは、相変わらずの寒さですが、薬草園の植物たちは力強く育っています。あなたの健康と新たな生活が順調であることを祈っています。今回同封したのは、セヴェリヌス・フィデリス様から預かったルフスの元素説に関する論文です。きっと興味を持っていただけると思います。」
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手紙を読み終えると、レオナルドはすぐに論文を手に取り、1ページ目から目を通し始めました。項目ごとに整理された内容と、元素の一覧表が彼の興味を引きました。
「硫黄、水銀、金、鉄……16種類も?」彼は眉をひそめ、ページを繰る手が止まりました。「これは少々やりすぎではないのか。8種類くらいに絞ればまだ分かるが、こんなに多くて、しかも今後数が増えるかもしれないだと?」
そうつぶやくと、彼は論文をさらに読み進めます。記述された実験結果や理論展開を目で追いながら、次第に表情が変わっていきました。驚き、納得し、そして最後には感嘆のため息を漏らしました。
「美しさはないが……辻褄はすべて合っている。これを考えついたやつは、実験と理論の両方に精通した相当な才人だ。」
彼は小さく笑みを浮かべ、論文を閉じました。そして窓の外を見つめながらぽつりとつぶやきました。
「ルフスに会って話がしたい。彼がこれをどう構築したのか、直接聞きたいものだ……だが、追放された身ではどうにもならないな。」
感情を抑え、彼は論文を机にそっと置きました。そしてクラウディアへの感謝の気持ちを思いながら、自分ができるのはこの知識を自分の中に吸収し、新たな道を切り開くことだと心を新たにしました。




