タスク4「追放されてから新たな目標」
第4話
前回、クロエが解雇されてから
私、クビになりました~~!!
え?どうしてそんなに嬉しそうって?
だって、もう朝の4時に起きなくていい!
あの激務から解放されたのだから!
ベンチで二度寝をする。
冬だからか、少し寒い。マフラーに顔を埋める。
少しの間だけ…。
うへ…うへへへへ。
「バウバウ!」
「こら!ワーちゃん、吼えないの!」
散歩中の犬に吼えられるクロエだった。
王城にて
「お父様!!!どういうことですか!?説明してください!!」
国王、フィリップ・アデル・ジウスドラに直接訪問した人物がいた。
「お、アリシアちゃん!クッキー要る?」
アリシアはクッキーを受け取らなかった。
「クロエの事です。私の側付きが変わっていたのです!これはどういう事ですか!?」
ぷんぷんとアリシアは怒っている。
「はぁ~怒ったアリシアちゃんもかわいいね。」
国王はデレデレである。
「ふざけないでください!お父様!これは一体どういう事なんですか!」
国王は仕方なさそうに口を開く。
「はぁ、マイクから報告があったんだ。クロエはサボっていたのだと。でも、それは有り得ないと知っていた。だから、しばらく、監視をさせた。マイクに対して放置していた事が分かった。本来なら、命令違反だ。でも、マイクの性格も知ってるし、あのクロエ君なら、何とかできると思ったのだがね。国外追放ではない。王城追放だけだ。」
アリシアはほっとする。
もしかしたら、クロエはもう国外追放されているかもしれないと思ったから。
「放置だなんて!あれはマイク兄様が…。その話はもう良いです。しかし…それはいくら何でもひどいです。私の側付きが変わっていたのは…。一言だけでも…別れを言って欲しかったのに…。」
「そ…それは~~…。急いで出たのかもしれないね!」
フィリップの手紙には、即刻出ていくようにと追記してあったため、
クロエはそれに従っただけだ。
つまり、アリシアに一言もなかったのは、クロエの責任ではなく、
国王が急かしたからである。
アリシアは国王をじっと目を細めて見つめる。
「お父様…。」
パチクリと瞬きをし、目を逸らす国王。
「…もう良いです。お父様なんて嫌いです。いいえ…大っ嫌いです!」
「えぇぇぇ!?そんな!反抗期来ちゃった?成長を感じる…あ、アリシアちゃん!」
アリシアの成長を感じると共に、思った以上にショックを受けている王がそこに居た。
クロエ…どこに行ったのですか…
私を置いていくなんて…
ずっとそばに居てくれるって言ったのに…
アリシアは半泣きになりながらぷんぷんと怒っていた。
一方その頃のクロエはと言うと
「もう一声…!お願いします。あ、なんなら、このジャムも買うので!もう少しだけ安くしていただけませんか…!」
飲食店にて、値切りを行っている最中であった。
「うーん、そうだなぁ…ジャム合わせて銅貨7枚だ。それが限界だよ。どうする?」
本音を言えば、もう少し値切りたかったが、致し方ない。
「…買いました!ありがとうございます!」
「まいどあり~まったく。」
朝の7時頃
公園でパンを両手で持ちかじる。
細長くて、少しだけ硬めのパン。
同時に、ポタージュも買っておいた。
「ふふ…ふふふ…このパンは硬めだけど、ポタージュと一緒に食べると…」
冬の寒空の下、温かいポタージュにパンを一部浸す。
そしてそのままひとかじり。
「んん~~~~。おいしい…。」
これなら二本買っておけば良かったかもとクロエは思う。
朝ごはんを食べながら公園を見つめる。
ふむ…。朝は、走っている兵士が多い。
訓練お疲れ様だ、とクロエは思う。
「ごちそうさまでした。」
クロエは食べた後の紙などを丁寧に畳む。
この後、どうしよう。
クビになったのは別に良いんだけど、冒険者に戻ろうか。
しかし、目標が無いと、やる気が出ない。
マフラーに顔を埋め目を閉じる。
クロエはお腹いっぱいになり少しだけ眠ってしまう。
夢を見た。
クロエといくつかのメンバーが一緒にダンジョンの中で
扉を開く。
すると、扉の先は、満天の星空が広がっており、
その先は別世界なのだと理解した。
その瞬間、クロエは夢を見ている事に気が付き、
以前見たパフェの夢の光景も異世界なのだと理解した。
そしてクロエは夢から目覚める。
「…。」
扉の先は異世界…。異世界には、アレがあった…。
夢で見た…あのスイーツが。
「よし!決めた!私は、『アルティメット・デラックスドリーム・ふわふわパフェ』をいつか絶対に食べる!異世界転移を絶対にしてみせる!」
クロエの目に再び闘志が宿った。
フィリップ・アデル・ジウスドラ
ジウスドラの国王であり、アリシアの父。
親バカですが、クロエの事をちゃんと認めていました。
アリシア、感情豊かでとても良い子ですね。
クロエの目標が決まりました。
第4話、読んでいただきありがとうございます。