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クロノワールド -再創-(Re:Creation)  作者: ゼロザム=ルーゴ
第壱章 戦士ノ活動録篇
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第漆話 「爆撃を斬り裂く刃」

この物語はフィクションです。

実在の人物・団体・事件とは一切関係ありません。

打ち倒した天闇笠を乗せた護送車がラグナによって爆破された。危機的状況に陥っていたアクアとフレアの前に剣が駆けつけた。

現在、緊迫した空気が張り詰めていた。

ラグナ「まさか、焔の剣士様が来るとはな!No,1のよォ!」

だが、三人とは対照的に嬉しそうにしており、剣を歓迎していた。

剣「お前の野望もここまでだ、ラグナ・エレスト」

手にする太刀を構えたまま静かに冷たく告げた。赤い瞳はラグナを睨みつけていた。

ラグナ「野望…?」

剣の言葉に反応し、おかしいと言わんばかりに嘲笑う。

剣「何がおかしい?」

不快感を抱きつつもなんとか抑え、詳しく訊ねる。

ラグナ「いやぁ?」

お手上げと言わんばかりに肩を竦めながら不敵に笑う。一息ついてすぐに落ち着かせると、嗤う理由を語り出した。

ラグナ「…なーんで誰も彼も意志持ってると思ってんだろうな?」

両手を真横に伸ばし、エネルギー弾がビルに向けて放たれた。

直撃したそれは爆ぜ、ガラスが割れる音ともに建物全体が崩落し始めた。突然の事態に周囲に人々の悲鳴が木霊する。

剣「なっ…!?」

突然の凶行に目を見開く。アクアとフレアも例外ではなかった。すぐさま二人はこの場から離れ、ラグナも後ろに跳んだ。だが、剣だけはラグナとの距離を詰めようと追いかけた。

ラグナ「社会なんざ『ちっぽけな価値観で歯車やら傀儡として使い尽くす』ところだ!お前も組織に仕える犬だろ?!」

敢えて誘導していた。その目論見が思い通りになった事に口角が吊り上がる、仮面で見えないはしないが

瞬時にエネルギー弾を数発、剣に向けて放った。

剣「何を!!」

赤く光る玉を視認し、難無く躱しながら間合いを詰めた。

ラグナ「さっすがだな!けどよ!俺の能力 爆撃弾(ブラストバレット)で蹴散らしてやるよ!!」

先程よりも更に増して、赤いエネルギー弾 爆撃弾を拡散させる。無差別に当たるそれは周囲の建物に当たり、住民にも被害を齎していた。

剣「なっ…!!」

ラグナの目論見を読んでか駆けていた足を止める。

直後、爆発が発生。轟音と閃光が空間を支配していた。

「うわあああああ!!」

「ぎゃああああ!!!」

「いやあああああ!!」

周囲に鳴り響く断末魔が嫌でも剣の耳に入ってくる。

ラグナ「おい?どーしたよ?なんとかしてみろよ!焔の剣士ィ!!」

戸惑う剣を見て嘲笑いながらこの場から離れようと走り出す。

「誰か!助けてくれー!」

「誰かお願いします!お母さんを!!」

「助けて!!」

崩落した瓦礫と燃え盛る炎の中、負傷者や死者、それを見て悲しむ者達が助けを求めていた。

剣「くっ…!」(どうすれば…!)

すぐにでも助けてやりたいが、ラグナを追いかけなければと迷い、焦燥感が迫る。手にする太刀を強く握り締めた…その時だった。

ガロン「お待たせ!!」

ガロンが駆け付けてきた。

剣「ガロン!!?」

彼の存在に気が付き、我に返る。

すぐさまカオスで瓦礫を退かし、下敷きとなっている人を助け出す。

「あ、ありがとうございます…!!」

感謝を告げる市民をガロンは担ぎ、安全な場所へと避難させた。

レオ「おーい!大丈夫かー!?」

彼だけでは無かった。アクアやフレアも含めて全ての戦士が周囲にいる人々の救出に現れたのだ。

アクア「いけるか?フレア」

フレア「問題ねぇよ、これしきのこと!」

アクアが発現した水を自在に操り、周囲の炎をかき消した。隙をついてフレアとレオも瓦礫を退かす。

剣「みんな…!」

ライト「行ってください!」

全員が来てくれるとは思わず突っ立っていた剣にライトが催促した。

牙禅「一般市民の救助は任せろ、剣はヤツを追え」

それは他の戦士も同じであった。

迷いは晴れ、再度決意した。

剣「了解した…!」

仲間である戦士を信じ、この場を託した。

太刀を手にしたまま再び駆け出し、ラグナを追いかけた。


ラグナ「さーて!好きに暴れてやんよ!!」

先程から少し離れた市街地区内で両手足を広げて爆撃弾を拡散させ、周囲に爆発を起こす。

建物の瓦礫が崩れ落ち、人々の命が奪われていく。

剣「そこまでだ!!」

声を張り上げてラグナに呼びかける。当の本人が振り返ると、剣が接近してきたのを目にした。

剣「ハァッ!」

瞬時に太刀を振り下ろすが、ラグナは容易く躱した。

ラグナ「当たるかよ!!」

掌に爆撃弾を出し、剣に突き出して放つ。

剣「焔技…!!」

首を傾けて躱し、太刀を握り締める。刀身に焔が纏う。

剣「緋焔(ヒエン)!!」

瞬時に振り上げた。燃え盛る白刃は仮面を両断した。

ラグナ「あっぶねぇなぁ…!!」

顔に傷はつかなかった。二つに分かれた仮面が顔から崩れ落ちていく中、爆撃弾を連射しまくる。

すかさず剣は距離を取り、躱すと斬るを繰り返す。

これ以上は流石にマズイと思ってかラグナは後ろへと下がり、アスファルトの上へと綺麗に着地した。

尚、それは剣も同じであり、刃を正面に向ける。

ラグナ「良い空気だ…」

顔に当てていた手を離し、素顔が顕になる。

黒の長髪と赤と黒のオッドアイを兼ね備えていた。

ラグナ「清々しい気分だ」

凶悪な笑みを浮かべていた。正に邪悪…

剣「ラグナ・エレスト、何故ヘルズケージを襲った?」

赤い瞳を見据えながら問いかける。既にラグナの存在について知っていた。ベルズケージを爆破させ、脱獄を仕組んでいた事も

ラグナ「…お前、犯罪者(アイツら)の気持ちって考えた事あるか?」

風で黒の長髪とロングジャケットの丈が靡く。赤と黒の目は細めて、剣を見ていた。

剣「何?」

逆に訊かれた。その内容に脳が困惑する。

ラグナ「ヤツらは自ら望んでやってねぇ、環境や周囲の大人が捻じ曲げちまったんだ」

高らかに、淡々と続きを述べていく。

ラグナ「身勝手に作り上げたもんを社会は無責任に放ったらかして、害が及べば無理にでも黙らせてきやがる…」

その声は徐々に苛立ちが増していき、力強く拳を握り締めた。浮かべる笑みとは対照的であり、目にしていた剣は不気味に思えた。

ラグナ「俺はァ!そんな否定してきた社会をやり返し!滅茶苦茶にしてやるんだよ!!」

荒らげる声を張り上げ、睨む瞳が赤く光る。そこに映るは剣、クロノスの街を護る者に対して問いかけてもいた。

剣「…そんな事はさせない」

太刀を握り締め、真っ直ぐ突き出す。

剣「戦士として、俺の意志として、お前を斬る!」

刃を後ろに引いて、静かに力強く構えた。赤い瞳と切先ははラグナを捉えていた。

ラグナ「なら、死ねよォ!!!」

全方位に爆撃弾を拡散させ、瞬時に剣に向けて放つ。

剣「焔技!!」

全身と刀身から焔が燃え盛る。

剣「灰燼紅蓮(カイジングレン)!」

手にする太刀を一文字に振るい、焔が障壁として燃え盛る。全ての爆撃弾が焔に衝突し、爆発を起こす。

止むとすぐさまそこから抜け出し、ラグナに向かって突っ走る。

ラグナ「蹴散らせ!!」

掛け声と共に残っていた爆撃弾が軌道を変えて、剣に向かって急接近する。だが、剣は迷い無く躱していく。

爆撃弾は地面に当たると同時に爆発を起こした。追撃として爆撃弾が正面からも迫ってくる。

剣「焔技 閃華繚乱!」

脇構えに入り、目にも止まらぬ速さで駆け抜けた。軌道には焔の斬撃が幾つも現れていた。

一気にラグナとの距離を詰めた。

剣「ハァッ!!」

燃え盛る刃を振り下ろそうとした時、ラグナは至近距離で爆撃弾をぶつけようとした。

剣 (なっ…!?)

それに気付いてか刃を止め、後退しようとするが、間に合わず赤い炎が爆ぜた。

爆発の中から剣が黒煙と共に飛び出て、地面に転がる。瞬時に体勢を立て直し、太刀を構えた。

ラグナ「斬希の倅…とはいえ、大したもんじゃねぇな」

膝を着く剣を見下ろしながらそう吐き捨てた。

剣「なんだと?」

どういう意味かと言葉についてラグナに訊いた。

ラグナ「所詮お前も人間なんだよ!どんなに強くても!強くなっても!弱さは変わらねぇ!」

嘲笑いながら剣の意志を否定する。

また生成した複数の爆撃弾を剣に向けて放った。

剣「ハァァァッ!」

燃え盛る刃を幾度となく振るい、斬り払う。爆撃弾は二つに分断され、剣の横を通り過ぎて地面に落ちていく。

ラグナ「爆ぜろ!!」

剣に手をかざし、力を込めて握り締めた。すると、斬られた爆撃弾が強い光を発した。このまま爆発して仕留めるつもりだった。

だが、剣は既に読んでおり、ラグナに接近してこの場から離れた。

ラグナ「まだ足掻くかよ!!」

両手首を合わせ、掌から爆撃弾を生成して徐々に大きくなっていく。

ラグナ「さっさと吹き飛びな!!」

人より大きなそれを突っ走る剣に向けて放った。

剣「斬破!!」

見切ってか燃え盛る刃を振り下ろした。一刀両断された爆撃弾は分離してまた剣の横を通り過ぎて、大爆発を起こした。

剣「焔技 火斬翔!!」

爆風に吹き飛ばされないよう踏ん張り、燕返しを繰り出すようにして焔の斬撃を飛ばした。

すかさずラグナは躱すが、頬を掠めた。そこから僅かに血が流れる。

ラグナ「…悪りぃ、前言撤回するわ。お前を早く殺んねぇとな」

今まで浮かべていたニヤケ面は一気に消え、冷徹なものとなっていた。あの一撃でラグナを本気にさせてしまった。

剣「そうか」

元より本気だったのか脅しの言葉に恐れる事は無かった。

ラグナ「気に入らねぇな!テメェの態度全部!!」

地面を勢いよく踏みつけると、今までの比ではない程の爆撃弾が周囲に現れた。そして、素早い動きで空間を駆け抜け、剣に襲いかかる。

剣「っ…!火閃(カセン)!!」

両脚に焔が纏われ、超加速で駆け回って避け続ける。だが、いくら逃げても爆撃弾は止まず、反撃の隙すら与えてくれなかった。

ラグナ「ちょこまかと逃げてんなぁ!!」

片手を天に突き上げ、爆撃弾を生み出す。段々と大きくなっていく。

剣「マズイな…!」

当然ながら視認しており、すぐにでも阻止しなければならないと焦る。だが、今こうして走って避ける事で手一杯であった。

ラグナ「燃えカスになりな!!」

勢いよく振り下ろすと、巨大な爆撃弾が降下し始めた。迫るそれはやがて爆破を起こし、市街地区一帯を包んだ。


辺りは焼け野原となり、瓦礫などが地面に転がっていた。そこで剣は倒れており、太刀は地面に突き刺さっていた。焼けた肉体に炭が付着していたが、まだ呼吸はあった。

ラグナ「まーだ生きあるとは大したもんだなァ」

対してラグナは一切爆破の影響を受けていなかった。死にかけそうな剣を賞賛する。普通なら死んでいるはずだから

剣から返ってくるのは呼吸する音だけであった。声すら出せなかった。

ラグナ「やっぱ人間、完璧なんかなれやしねぇんだよ」

諦めを促そうと一蹴する。どうせここで立ち上がったところでどうにもならないと思っていたからだ。

だが、剣は立ち上がった。

苦痛が全身に襲いかかるが、それでもと堪えていた。

ラグナの思惑に反して、絶望に抗おうと…

ラグナ「まーだ立つのかよ、諦め悪いなァ」

剣に嫌気がさし、悪態をついていた。はっきり言って面倒であった。

剣「当たり前だ…」

地面に突き刺さった太刀を手に取り、力を込めて引き抜く。

剣「例え完璧じゃなくても…だからこそ、俺は戦う。護る為に」

意志を宿した赤い瞳がラグナを見つめる。

立っているのが精一杯の身体が手にする太刀を静かに構えた。

ラグナ「くだらねぇな…」

剣の意志を感じ取ってか、嫌悪感を抱きながら冷たく吐き捨てた。

その時だった。

「お母ちゃーん…何処にいるの?」

幼い声が聞こえた。何処か寂しそうに、辛そうに

剣が振り向き、ラグナが目を遣る。そこにいたのは少女であり、泣いていた。

剣 (逃げ遅れたのか!!)

すぐさま助けに行こうとする。だが、激痛が走ってかその場で倒れ込んでしまった。

それを見てラグナは何かを思いつき、下衆な笑みを浮かべた。

ラグナ「なァ?邪光 剣…」

剣を呼ぶ。声からして明らかに嫌な予感がしていた。すぐに目を遣り、内心警戒していた。

ラグナ「お前の意志、いつまで保てるかなァ?」

少女に手をかざすと、掌から爆撃弾を生成した。

予感…それは剣の目の前で少女を殺す事であった。

剣「させるか…!ぐっ…!!」

急がなければと必死に動こうとするが、身体が言う事を聞かなかった。苦痛で顔が歪む。

次の瞬間、爆撃弾が放たれた。あまりの速さで翔ける赤い閃光が少女に接近する。

剣「やめろっ…!!」

手を伸ばすが、届かない。立ち上がろうにも足に力が入らない。戦士の使命が、自分自身の意志が焦燥感に駆られる。

そんな剣の背中にラグナが腰掛けた事で再び激痛が走った。

ラグナ「よーく見てな!」

下衆な笑みを浮かべる。これから起こる事を嬉々として見届けていたのだ。

爆撃弾が少女の間合いに入った直後、爆発が起こった。その光景を目の当たりにした剣の表情が絶望に染まる。

剣「なっ…!あ、あぁ…!!」

己の無力さを恨み、悔いる。拳を握り締めようにも力が入らなかった。

そんな剣をラグナが高笑いを上げた。

ラグナ「あーはははははっ!!見たか!これが現実だ!」

嘲笑いながら剣を蹴り飛ばす。

ラグナ「それが人間だ!」

転がる剣に近付き、勢いよく踏みつけた。

剣「ぐっ…!!」

痛みか護れなかった事に悔いてか、いずれにせよ歯を食いしばる。

ラグナ「邪光 剣ィ!お前は目の前にいた少女さえも護れない!これが社会なんだよォォッ!!」

容赦なく剣に吐き捨てる。彼の意志を否定し、嘲る。

今の自分では何も言えなかった剣は俯き、挫けそうになった。自身に対するやるせなさに不甲斐なさ…絶望と自責の念が身にのしかかり、心に突き刺さる。

高笑いを上げるラグナ、このままトドメを刺してやろうとした…その時だった。

「何が護れないって?」

破壊された市街地区内に声が響いた。それを耳にしたラグナは目を見開きながら辺りを見渡す。だが、見当たらなかった。

剣も同じであり、面を上げた。赤い瞳が捉えた事で事実に気付いた。

剣「…メビウス……!!」

そこには親友の姿があり、腕には死んだと思っていた先程の少女が抱えられていた。

少女「お兄、ちゃん…?」

瞬間的だったのだろう、状況を理解するのに遅れていた。少女の声にメビウスは反応し、微笑みを見せた。

メビウス「大丈夫、お母さんは無事だから早く逃げて」

少女を下ろして、優しい声で安心させながら避難を促した。

少女「…うん!ありがとう!お兄ちゃん!」

真偽がわからないものの、メビウスを信じてこの場から去った。

ラグナ「テメェ!何しやがった!?」

突然現れたメビウスに戸惑いながらも指をさして問いかけた。少女が無事だった事が信じれなかったのだ。

メビウス「何って…当たるより先に助けただけだよ」

足元にあった小石を拾い上げ、ラグナに向けて豪速球で投擲した。あまりの速さに視認できなかったが、身を守る為に生み出した爆撃弾で防いだ。

直撃した事で爆発を起こし、周囲の視界を塞いだ。

ラグナ「クッソ…!」(何かで身代わりにしたのかよ!)

小石は粉々になったので何かはわからないが、仕掛けは理解した。

次の瞬間、メビウスはラグナの懐におり、拳を後ろに引いていた。

メビウス「消えろ……!!」

鳩尾に目掛けて青い拳を突き出す。あまりの衝撃にラグナは鳩が豆鉄砲を食らったような顔をし、容赦なく吹き飛ばされた。

メビウス「剣…」

腕時計から回復薬を取り出し、剣の全身にかけた後に飲ませた。すると、負っていた傷は瞬時に治っていった。

止まっていた呼吸が動き出し、必死に酸素を取り戻す。

剣「…すまない」

落ち着いた後、メビウスに言葉をかけた。助けてくれた事、情けないところを見せた事に申し訳なく思っていた。

メビウス「気にすんなよ、アンタは…」

よく頑張ったと声をかけるつもりだった。だが、剣が言葉を紡いだ。

剣「そして、ありがとう…」

穏やかな笑みを浮かべていた。地に転がっていた太刀をすかさず掴んだ。

それを見て、感謝の言葉を聞いてかメビウスも微笑んだ。

メビウス「…おうよ!」

すかさず手を差し伸べる。剣はそれを掴み、立ち上がる。

すると、二人の腕時計から着信音が鳴り響いた。躊躇わず応答する。

『剣、メビウス…』

そこからブラックの声が聞こえた。落ち着いた声色であった。


別の市街地区、二人を除いた戦士はラグナが荒らした市街地区の地下に避難していた一般市民を別の市街地区への誘導を行っていた。

ブラック「こちらブラック…一般市民の避難を完了させた」

現在行っていた任務を無事完了させたとの趣旨を報告したのだ。


剣「了解した」

心からの感謝をブラック含めた戦士に告げた。元よりメビウスは知っていたので、上手くいった事に心から安堵し、誇らしく思っていた。

ラグナ「テメェらァッ!!」

そんな空気を切り裂こうと言葉が遮ってきた。倒れていた身体を起き上がらせ、憤怒の目を剣とメビウスに向けていた。

二人はラグナに気付き、切り替えた。隣に並んだまま再び戦闘態勢に入った。

ラグナ「決めた!殺す!すぐに殺してやるッ!!全部否定して絶望に叩きつけた上で殺してやるッ!!!」

完全に頭に来ていた。荒れ狂う猛獣のように地団駄を踏み、叫んでいた。

メビウス「…だってさ、剣?まだやれそう?」

剣に訊ねる。両手足は鎧の如くソニック・スターと同化して纏い、拳を握り締めていた。

剣「あぁ、問題無い!」

握り締める太刀、それが持つ刃をラグナに向ける。

剣「ラグナ・エレスト!お前の憎悪、ここで断ち斬る!!」

メビウス「俺もアンタをぶちのめさせてもらうよ!」

確固たる意志で二人はラグナを見据えたまま宣告した。

ラグナ「上等だ!!死ねェッ!!!」

全方位に爆撃弾を張り巡らせ、剣とメビウスに向けて放ち始めた。

すかさず二人は一斉に前進し、迫り来る爆撃弾を躱していった。追撃として両手で爆撃弾を撃ち続ける。だが、万全な二人はそれすらも回避したのだ。

高速で駆け抜けるメビウスが先にラグナの間合いに入った。

メビウス「オラァッ!!」

目にも止まらぬ速さで握り締める拳を突き出す。

ラグナ「遅せぇよ!!」

片手で瞬時に受け止める。

だが、すかさず脇腹に蹴りが入ってしまった。

ラグナ「ぐっ…!!」

苦痛で顔が歪んだ。だが、何とか堪える。

メビウス「こっちのセリフだ!」

ラグナの背後にソニック・スターを顕現させ、両腕を使って首を絞めた。

ラグナ「離しやがれ!!」

空いた片手でメビウスに爆撃弾を撃とうと狙いを定める。既に見越してかメビウスは音速で姿を消した。ソニック・スターも同様に消えていた。

ラグナ「なっ…!?」

あまりの速さに目を見開く。今度は剣が間合いに入り、その手を斬り落とした。

絞められていた苦しみから解放された一瞬の隙を狙ったのだ。

ラグナ「ぐあああああっ!クソッ!!痛ェェッ!!」

叫び声を上げながら血飛沫が舞う断面図を必死に抑える。

ラグナ「やりやがったなァァ!!人間がよォォォ!!社会なんざ何やっても無駄なのに!!!」

剣とメビウスの連携に戦士と人間の強さに驚き、自分の価値観とは違い過ぎるがあまり理解出来なかった。

そんなラグナの前に剣が立ち塞がる。

剣「無駄では無い!!」

言い返せなかった事を今度は堂々と声を張り上げた。続けて剣の隣に並んで立つメビウスが口を開いた。

メビウス「例え独りが無理でも!互いに助け合って強くなる!それが人間だ!!」

彼も声を出してラグナの問いに答えた。

ラグナ「ふざけるなよ…!!お前も俺様を否定すんのか!!人間なんざ弱ぇのによォ!!!」

剣とメビウスに手をかざし、爆撃弾を撃つ。だが、二人は瞬時に後退して回避した。

距離を取ったと認識したラグナは続けて爆撃弾を撃ち続ける。

剣が駆け抜け、再びラグナに接近する。

剣「焔技 怨!」

唱えると同時、全身から焔が発現した。同時に太刀にも纏われた。

ラグナ「ぐっ…!!」

撃ち続けていたが、斬られた手に激痛が走る。それにより爆撃弾が止まってしまった。

ラグナ「理不尽には抗えず!弱ぇヤツは隅っこへと追いやられる!!」

だが、やらなければ命は無いと思ってか堪えて片手だけで爆撃弾を、それも大きなものを創り出した。

ラグナ「だから!!大人しく死ね!!無様に死ねよ!!焔の剣士ィ!!!」

その手を剣に突き出す。瞬く間もなく剣に直撃して大爆発が起こった。周囲の瓦礫は吹き飛び、周囲が爆炎で包まれていた。

激情に飲まれ暴走していたラグナが肩で息をする。正面を見据えながら剣は死んだと判断していた。あれだけの爆発で生きている訳が無いからだ

だが、爆炎を突き破って剣が現れた。

ラグナ「なっ!?」

まさかの事態に驚き、最悪な想像が現実となった事に絶望としていた。

剣「はあああああああぁぁぁぁぁぁぁっっっ!!!」

雄叫びを上げながら刃をラグナの心臓に突き刺した。

剣「焔技!!灯火ノ太刀!!!」

声を張り上げ、燃え盛る刃を振り上げた。

ラグナ「ゴフッ…!!」

斬り裂かれた胸部から血飛沫と火花が舞う。そのまま後ろへと倒れていった。

ラグナの爆撃弾が消滅した、戦闘が終わったと剣とメビウスの能力も解除した。

ラグナ「やられたのか…この、俺様が……」

薄れゆく意識の中、自身が敗北した事を理解し、死を悟った。力が入らない身体が冷たくなっていくのを感じた。

そんなラグナを見届けながら剣は一振した太刀を静かに鞘に納めた。このまま腕時計を使って未来隊長に報告しようと下ろしていた腕を上げた。

ラグナ「…これで、終わると思うなよ…?」

動きを遮ろうと口を開いた。

剣「何?」

メビウス「どういう事?」

ラグナの言葉に疑問を抱く。気になってか訊ねる。

ラグナ「今、より…やべぇのが来るぜぇ……本当に、恐ろしい…事が…よ…………」

負け惜しみにしては違うと二人の直感が働く。だが、いくら考えても理解出来なかった。

そのままラグナの瞼は深く閉じ、息を引き取った。

同時に冷たい風が吹き、二人の肌に当たる。

剣「…メビウス」

メビウス「間違いないだろうね、きっと…」

口を開く。伝える前にメビウスも同じだと答える。

二人は空を見上げた。雲行きが怪しい空を…

剣「…まだ、何か起きそうだな」

予感がする。この空はまるで二人の気持ちを表しているようだった。

一先ず考えを後にし、本部に戻る事にした。

しかし、これはまだ厄災の前兆に過ぎなかった。

そして、これから起こる大きな出来事について、剣達戦士は…まだ、何も知らない。

戦士ノ活動録篇 完


ヘリアデス篇、開始。

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