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クロノワールド -再創-(Re:Creation)  作者: ゼロザム=ルーゴ
第壱章 戦士ノ活動録篇
7/23

第漆話 「爆撃を斬り裂く刃」

この物語はフィクションです。

実在の人物・団体・事件とは一切関係ありません。

各地で煙が上がり、人々の悲鳴とガラスが割れる音、建物が崩壊する音などが木霊する街中を邪光 剣は走っていた。

先程、街中で暴れ、破壊活動を行っている人物がいると緊急事態として未来隊長から報告が来た。

それを承った剣は急いでその場へと駆けつけていた。

「誰か!助けてくれー!」

「誰かお願いします!お母さんを!!」

「助けて!!」

負傷者や死者、それを見て悲しむ者達がいる。それ故か、助けを求める声が聞こえてきた。

剣「くっ…!」

本来なら助けたいと思う剣だが、一刻も早くその元凶を倒さねばこの事態は終わらないと考えていた。

迷いのせいか剣は足を止め、その場で立ち尽くしていた。

(どうすれば…)

剣は辺りを見渡し、どうするか考えていた。

そんな時だった。

ガロン「大丈夫ですか!?」

剣以外の戦士が現れ、各々分かれ、救助にあたった。

瓦礫に押し潰され、身動きが取れなくなった負傷者にガロンはカオスの手でその瓦礫を退け、その人を引っ張り出した。

「ありがとうございます…!」

一般市民の人はガロンに担ぎ込まれながら、彼に感謝を伝えた。


「助けてください!お母さんが!」

重傷の母親を助けて欲しいと泣きながらグリンに申したその子供。

グリン「大丈夫、レオ!この人を医療室に!」

グリンは母親に回復薬を飲ませると、レオを呼びかけた。

レオ「わかった!しっかりしろよ!子供を独りにさせんじゃねぇぞ!」

それに応じたレオは母親を背負い込むと、すぐさま走り出した。


剣「みんな…!」

剣は他の戦士が駆けつけてくれた事に驚いていた。

牙禅「一般市民についてはこちらに任せろ」

牙禅は剣にそう声をかけた。

剣「了解、心より感謝する。」

剣は自分の仲間に感謝を伝えると、止めていたその足を再度動かし、目的地へと走り出した。


そうして剣は破壊活動を行っている人物 ラグナのもとへと辿り着き、そして足を止めた。

剣「そこまでだ!」

剣は鞘に納めている太刀に手をかけ、ラグナにそう声を呼びかけた。

ラグナ「そういってたら来たか!」

赤いエネルギー弾を周囲にばら撒くように放っていたラグナは剣の制止の声を聞くと、そのまま剣の方へと身体を向けた。

ラグナ「って、んだよ。戦士 No,1にして焔の剣士の邪光 剣だけかよ」

ラグナは辺りを見渡すが、その場に駆けつけたのが剣だけであるとわかると、つまらなさそうで残念そうな態度をとった。

剣「どういう事だ?」

剣はそのまま疑問に思い、その事をラグナに訊いた。

ラグナ「ま!いいーや。どっちみち、テメェはこのまま無力に思い、現実を知って絶望したまま死ぬからよォ!」

剣の問いに対して、ラグナはそう返した。

剣「何が目的かは知らないが…」

剣は鞘に納めていた太刀を引き抜く。

剣「お前を斬る!」

そして、剣はその太刀をラグナに向けて構え、そう言い放った。

ラグナ「やってみろよ!焔の剣士ィ!」

ラグナは両手を広げ、その掌を真横に向ける。

すると、そこから赤いエネルギー弾が放たれる。

拡散した赤いエネルギー弾は全方向に配置され、ラグナ自身を護るかのように配置された。

剣(あの球、当たらない方が良さそうだ)

剣は赤いエネルギー弾が危険なものであると瞬時に察知する。

ラグナ「蹴散らせ!」

ラグナの掛け声と共に、赤いエネルギー弾は自我を持ったかのように剣に向かって急接近、襲いかかる。

剣はそれらを瞬時に回避する。

赤いエネルギー弾は地面などに直撃すると、爆発した。

剣(何処かにぶつかれば、爆ぜるのか…読みが当たった)

剣は赤いエネルギー弾を回避しつつ、ラグナに接近する。

拡散して残った赤いエネルギー弾は諦めずにしつこく剣に付き纏い、追っかけてくる。

剣「焔技 守!」

それを剣は焔の能力でその空間に渦巻きながら円を形成、盾として多くの赤いエネルギー弾を防いだ。

剣はそのままラグナの元へ接近し、距離を詰めた。

そしてそのまま太刀を振るい、ラグナを断ち斬ろうとしたその時だった。

ラグナ「おっといいのか?」

ラグナは掌に赤いエネルギー弾を生成し、それを剣に向けてかざした。

剣(さっきのエネルギー弾!)

剣は脳に危険信号が発せられ、後ろに退いた。

剣(いや、待て…)

剣の脳裏にふと過ぎる。

爆破するエネルギー弾をあんな至近距離で放つのかと

剣「まさか!」

そして、すぐさまそれが罠である事、ただの脅しである事を理解した。

ラグナ「遅せぇよ!」

ラグナは掌に浮遊する赤いエネルギー弾を剣に向けて放った。

だが、エネルギー弾は剣に直撃するのでは無く、顔の近くで止まった。

マズいと思った剣はすぐさま退こうとした。

だが、時すでに遅し、そのエネルギー弾は爆破した。

剣はその影響で顔は少し焼け焦げ、後ろに吹き飛んだ。

だが、それでも剣はなんとか着地し、体勢を立て直した。

膝をついた状態で剣は太刀を構えた。

ラグナ「なんだぁ?組織のNo,1で焔の剣士、戦士の中でもかなりの強者かと思ったけど、全然大したことねぇなァ?」

ラグナは屍の上から剣を嘲るように見下ろし、そう言葉を吐き捨てた。

剣「何が言いたい?」

剣はどういう事かと疑問に思い、その言葉について訊いた。

ラグナ「戦士とて、お前とて所詮は人間だ!何も出来ねぇんだよ!」

ラグナは片方の掌を剣に向けると、赤いエネルギー弾を連続で放った。

剣は太刀で赤いエネルギー弾を斬り払う。

赤いエネルギー弾は二つに分断し、地面に落ちていく。

ラグナ「爆ぜろ!」

ラグナは赤いエネルギー弾を放った手を握り潰すように閉ざした。

すると、先程斬られ、地面に置かれた赤いエネルギー弾が強い光を放った。

剣(既にそれは読んでいる)

だが、剣はそれを瞬時に冷静に対応した。

なんと剣はラグナに向かって一直線、そのまま勢いよく突っ走った。

ラグナ「このまま来んのかよ!」

ラグナは両手首を合わせ、その掌から赤いエネルギー弾を生成、それは徐々に大きくなっていった。

ラグナ「オラァ!吹き飛べ!」

巨大な赤いエネルギー弾は放たれ、剣に襲いかかる。

剣はそれを飛んで回避、見事に赤いエネルギー弾を飛び越えた。

ラグナ「なっ!?運動神経バケモンかよ!?」

ラグナは剣の異常なまでの身体能力に、その運動神経に驚愕した。

そして、剣の太刀はラグナに向けて振るわれた。

だが、ラグナはなんとか致命傷は避けようと後退した。

結果、ラグナを一撃で仕留める事は出来なかった。

しかし、それは無意味では無く、ラグナが装着していた仮面は真っ二つに割れ、地面に落下した。

ラグナ「ミスっちまったな、まぁいいや。バレたところでどうにかなるもんじゃねぇしな」

そして、ラグナの素顔が明らかとなった。

仮面の向こう側にあったのは少し長めの黒髪に赤と黒のオッドアイの凶悪な顔であった。

剣「それがお前の素顔か」

当然な事に、その顔を剣は視認していた。

ラグナ「やっぱ、強ぇなァ…流石はNo.1の戦士、あの邪光 斬希(ジャコウ ザンキ)の倅だ」

ラグナは嘲笑うかのような笑みで剣の父親の名を口にした。

剣「随分と俺…いや、俺達戦士の事に詳しいな、何者だ?」

剣はラグナにそう問いかけた。

ラグナ「そういや、名乗って無かったなァ」

ラグナはその事を今になって思い出した。

ラグナ「俺はラグナ・エレスト!ヘルズゲージを爆破した主犯だ!」

そして、ラグナは剣に自身の名と共にヘルズゲージを襲撃した事も明かした。

剣「あの件はお前が元凶だったのか。何故、そんな事をした?」

剣は続けてそれを訊いた。

ラグナ「んな事までは言わねぇよ!なら訊くけどよォ!なんでテメェらは戦士なんかやってんだァ?」

ラグナはその問いに答えないと拒否すると、逆に剣に対してそう訊いた。

剣「…俺は、大切な者全てを護る為にだ。」

剣は真剣に答える。

ラグナ「成程なァ、それがお前の使命か!ならよォ!」

ラグナが剣の答えを聞くと、下卑た笑みを浮かべながら赤いエネルギー弾を全身から放ち、周囲に拡散した。

ラグナ「そんなもの!俺の特異能力(トクイノウリョク)爆撃弾(ブラストバレット)で潰してやるよォ!!」

ラグナは拡散した赤いエネルギー弾 爆撃弾を剣に向けて放った。

能力には三つの種類が存在する。

レオの炎やアクアの水のように単体の要素しか兼ね備えていないものを能力(ノウリョク)

剣の焔といった能力に+α(プラスアルファ)されたものが特殊能力(トクシュノウリョク)

そして、ラグナの爆撃弾のように複数の能力の要素を兼ね備えたものが特異能力(トクイノウリョク)である。

そして、ラグナの特異能力 爆撃弾は爆破系で自由自在に操作可能。直撃させるか或いは己の意志で爆破を起こす事、また制限はあれど、それの威力や規模なども調整が可能。

剣「焔技…」

剣は爆撃弾が迫り来る事を認知すると、太刀に焔を纏わせた。

剣は刃を後ろに向けて構えた。

剣「火斬翔(カザンショウ)!!」

そして、その太刀を勢いよく振るった。

焔を纏った刃が空間に斬撃を描き、それは一直線に飛行する。

焔の斬撃が多数の爆撃弾を切断し、爆撃弾は爆発する。

そんな焔の斬撃は消える事も止まる事も無く、そのままラグナに接近していった。

ラグナ「当たるかよォ!」

ラグナは高く跳んで、それを回避した。

そのままラグナは剣の背後に回る。

剣はすかさず太刀を後ろに回し、ラグナの首に向けて振るった。

ラグナも片手にある爆撃弾を剣の腹部に向けた。

ラグナ「俺もテメェもやべぇよなァ?」

剣「そうだな」

ラグナのその言葉に剣はそう返すと、躊躇も無く振るった。

だが、それよりも早くラグナは爆撃弾を剣の腹に目掛けて撃った。

それにより剣は吹き飛び、その場で倒れ込んだ。

ラグナ「邪光 剣ィ!大人しく諦めろよ!所詮、お前も人間!完璧なんかじゃねぇんだよ!」

ラグナは剣に対してそう吐き捨てた。

だが、その言葉を否定するかのように、その事実を否定するかのように剣は立ち上がろうとする。

ラグナ「んだよ、諦め悪ぃなァ」

ラグナは面倒くさそうな様子でいた。

剣「生憎、諦めが悪くてな…」

剣はラグナにそう言いながら、その重い身体を起き上がらせた。

剣「確かに人は決して完璧なんかじゃない。だが、それでも…」

剣はふらつきながらも片手に持つ太刀をラグナに向けた。

剣「だからこそ俺は闘う、護る為にだ。それが親父との約束だ。」

剣はラグナに対してそう言った。

かつて剣の父親 斬希はラグナとは別の仮面の男によって殺された。

幼き剣を護る為に

剣は斬希の名を何回か呼びかけ、涙を流していた。

そんな時、瀕死の斬希は剣に対してこう伝えた。

斬希「剣、この世界を…護るべきものを護れ、救うべきものを救え。俺からの最後の頼みだ…」

そうして斬希は幼い剣の手を取りながら息を引き取った。

それ以降、邪光 剣は己を磨き、鍛え、日々精進し、強くなっていった。

斬希との約束の為、戦士としての使命として、受け継がれた意志として、剣は護る為に闘ってきた。

ラグナ「へぇー、あの斬希とかァ…」

ラグナは剣が戦士として闘う理由、そしてその意志を感じ取り、理解した。

そんな時だった。

「お母ちゃーん!何処にいるのー?」

幼い声が聞こえた。

ふと剣がその声の方へと顔を向けた。

そこにいたのはなんと少女であり、泣きながら母親を呼んでいた。

剣(逃げ遅れたのか!)

剣はなんとかその少女を助けに行こうとした。

ラグナはそれを見るやいなや、何かを思いつき、下衆な笑みを浮かべた。

ラグナ「なァ?邪光 剣」

ラグナは急に剣に声をかけた。

それに対して剣は彼に目を遣った。

ラグナ「あの少女、あんな所にいるよなァ?お母さん見つかんなくて可哀想だよなァ?邪魔だよなァ?」

ラグナは少女の方へと顔を向けたまま淡々と話していた。

どういう事かと思っていたが、すぐにラグナの目論見がなんなのかを剣は理解した。

それは常軌を逸する程、最悪なものであった。

ラグナは剣の方へと顔を向けた。

ラグナ「お前のお父さんとの約束、護り切れるかなァ?」

そう言うとラグナは少女がいる方へと掌を向け、そこから爆撃弾を生成。

剣「させるか!」

剣は刃に焔を纏い、ラグナに向けて斬撃を放った。

ラグナは斬撃による攻撃を受けるよりも前に爆撃弾を撃ち、その斬撃を飛んで回避した。

爆撃弾は少女に当たる事無く、上昇した。

そして、少女の近くにある建物に直撃し、激しい爆発が起こる。

少女「あぁ…!お母ちゃん…!!」

少女はその事に怯え、驚き、その場でしゃがんでしまう。

爆発の影響で瓦礫が生じ、少女の頭上から降り落ちてくる。

剣「逃げろ!!!」

剣は少女にそう伝え、全力で走り出し、助けに行こうとした。

しかし、そんな剣に爆撃弾が囲うように現れた。

ラグナ「させねぇよ!!!」

そう言うと、ラグナは爆撃弾を操作し、剣に向けて一斉に仕掛けた。

一瞬にして爆撃弾は剣に直撃し、激しい爆破が起こった。

それらは剣に大きな重傷を負わせ、そのまま地に伏せるように倒れてしまった。

それを知った上でラグナは剣の背中を踏み付けた。

剣「ぐっ!!」

苦痛な表情を浮かべる剣。

そうして、目の前にいる蹲るように泣いている少女に瓦礫が落下し、そのまま押し潰されてしまった。

その光景を剣はしっかりと目にし、絶望の表情を浮かべた。

剣「あ、あぁ…そんな…!」

おのれの無力さを恨んだ。何も出来なかった自分を悔いた。

そして、目の前で起こった現実に絶望した。

ラグナ「これが現実だ!」

ラグナは嘲笑いながら剣を蹴る。

剣はそのまま飛ばされる。

ラグナ「それが人間だ!」

ラグナは倒れる剣を再度踏みつけた。

ラグナ「邪光 剣ィ!お前は目の前にいた少女も!テメェの父親との約束さえも何もかも護れないんだよ!」

高笑いするラグナはその言葉を剣に吐き捨てた。

剣「くっ…クソッ……!!」

心も身体も傷付いた剣はラグナの蹴りに反抗せず、そのままであった。何もする事が出来なかった。

それを他所にラグナは高笑いをしていた。

「何が護れないって?」

その時、一人の声が街中に響いた。

それを聞いたラグナは辺りを見渡した。だが、姿は見当たらない。

それに対して、剣は表を上げた。

そして、剣はあるものを目にし、事実に気付いた。

剣「…メビウス……」

剣の目に映ったのは戦士として共に闘う親友の姿であった。

そのメビウスの腕には瓦礫で押し潰されたはずの少女が抱えられていた。

メビウス「大丈夫?」

そうしてメビウスは少女を下ろした。

そう、メビウスは少女が瓦礫に押し潰される直前、超高速でその子を抱え、助け出したのだ。

メビウス「早く逃げて、お母さんは無事だよ」

メビウスは膝を着くように少女と対等な目線でそう声をかけた。

少女「うん!お兄ちゃん、ありがとう!」

安心した少女はそのまま去っていった。

ラグナ「テメェ!何してやが…」

ラグナはメビウスに対して指を向けながら文句を言いかけたその時だった。

メビウスは一瞬にしてラグナの懐に接近し、後ろに引くように拳を構えていた。

メビウス「うるせぇよ、アンタが何してんだ」

メビウスは瞬時にラグナのみぞおち目掛けて拳を振るった。

ラグナは衝撃を受け、その場に蹲った。

それを終えるとメビウスは剣に接近した。

メビウス「大丈夫?剣」

そして、剣の安否を確認した。

剣「メビウス…すまない」

剣はメビウスに対してそう言葉をかけた。

メビウスに助けられた事、情けないところを見せた事。

それらについて剣はメビウスに対して申し訳なく思っていた。

メビウス「なんで謝るんだよ」

剣「そして、ありがとう」

メビウスが思った事を言うと、剣は続けてそう言葉をかけた。

それを聞いたメビウスは静かになった後、すぐに微笑んだ。

メビウス「気にすんな、俺達は仲間だし、俺はアンタの親友だ。助け合っていこーぜ」

メビウスは剣に笑みを見せた。

すると、メビウスの腕時計から着信音が鳴り響いた。

応答したメビウスはそれを顔付近に移動させた。

『メビウス…』

そこからブラックの声が聞こえた。


市街地区にて、剣とメビウス以外の戦士達は一般市民の避難を行っていた。

ブラック「こちらブラック…一般市民の避難を完了させた」

その中でブラックは全員を救出し、無事に避難させた事について、腕時計で剣に伝えていた。

ガロン「だからさ!さっさとその黒幕を倒しちゃってね!」

その中でガロンが割り込むように入り、ブラックに伝えた。


剣「…ありがとう、了解した。」

剣は心から思った事をブラック達に伝えた。

それを見て、メビウスは微笑みを浮かべていた。

ラグナ「テメェらァッ!!」

そんなやり取りをラグナの言葉が遮り、それに反応するかのように剣とメビウスは構えた。

ラグナ「もう決めた!殺すッ!完膚なきまでに叩きのめして殺してやる!覚悟しろよ!このクソガキどもが!」

ラグナは完全に頭にきていた。

メビウス「んで、剣。まだやれそう?」

メビウスは剣に再度、確認しながら青い両手足を構え、戦闘態勢に入った。

剣「あぁ、問題無い」

剣はラグナに太刀を向けるように構えた。

メビウス「ラグナ・エレスト!ここでアンタをぶちのめす!」

剣「お前の野望!ここで断ち斬る!」

二人はラグナにそう言い放った。

ラグナ「上等だァ!死ねェッ!!」

ラグナは爆撃弾を撃った。

剣とメビウスは二手に分かれて移動し、それを回避した。

ラグナは両手で爆撃弾を撃ち続けた。

剣もメビウスも走り出したままそれらを回避した。

メビウス「オラァッ!」

先に仕掛けたのはメビウスであり、ラグナに急接近し、拳を振るった。

ラグナ「遅せぇよ!」

ラグナは片手でそれを防いだ。

メビウス「甘いよ!」

ラグナ「ぐッ…!」

メビウスはそのまま蹴りを入れた。

ラグナはそれを受けるも、何とか耐えた。

そのままメビウスは化身のソニック・スターを発現させ、腕でラグナの首を絞めた。

ラグナ「離しやがれ!!」

ラグナ空いた片手でメビウスに向けて爆撃弾を撃とうとした。

それを見越したメビウスは超高速で姿を消した。

ラグナ「なんだと!?」

その事に驚愕するラグナに剣が接近し、爆撃弾を撃とうとしていたその腕を太刀で斬った。

ラグナ「ぐああああっ!クソッ!!」

切断されたその腕を抑えながら苦痛な声をあげた。

ラグナ「おのれェ!テメェらも人間だろ!?なんでこんなに!」

ラグナは剣とメビウスの連携に戦士としての、人間としての強さに驚き、それらが理解する事が出来なかった。

メビウス「独りじゃないからだ!助け合って強くなる。それが人間だ!」

それに対してメビウスはそう返した。

ラグナ「ふざけるなよ…!」

ラグナは爆撃弾を辺りに拡散させた。

剣はそれらを後ろに退きながら回避した。

ラグナ「お前らも俺様を否定するのか!!人間なんざ弱ぇんだよ!!」

拡散する爆撃弾は止まなかった。

その中を掻い潜り、駆け抜けた剣はラグナに接近していった。

剣「焔技 怨!」

そう唱えると同時、全身から現れた焔を身に纏い太刀をも巻き込んだ。

全方向に放っていた爆撃弾が突如として止んだ。

ラグナ「弱ぇから人に当たるし!平然と傷付けるし!怒るし!すぐに泣く!」

ラグナは片手で今までよりも、人よりも大きな爆撃弾を生成していた。

ラグナ「だから!大人しく!無様に!死ねよ!!」

ラグナは巨大な爆撃弾を剣に向けて放った。

剣「ッ…!!」

爆撃弾は剣に直撃、巨大な爆発が起こった。

それは辺りにあったガラス板が割れて粉々に散り、周囲を吹き飛ばす程の威力であった。

ラグナ「死んだか!焔の剣士ィ!!」

冷や汗をかきながら笑みを浮かべたラグナが目の前で起こった爆発とその炎でそう判断していた。

だが、その炎を突き破るように剣が現れた。

ラグナ「なっ!?」

予想外の出来事に驚愕するラグナ。

剣「はあああああああぁぁぁぁぁぁぁっっっ!!!」

剣は雄叫びを上げながら、その太刀をラグナの心臓に突き刺した。

そしてそのまま太刀を振るい、ラグナの胸部を斬り裂いた。

ラグナ「ゴフッ…!!」

血飛沫が舞いながらラグナはそのまま後ろへと倒れていった。

ラグナ「この俺様が…やられたのか…」

薄れゆく意識の中、ラグナは自分が敗北したと理解し、死ぬと悟っていた。

それを他所に剣は焔を解き、太刀を払い、静かに鞘の中へと納めた。

そのまま剣は腕時計で未来隊長にこの事を伝えようとした。

ラグナ「だが、これで…終わると思うなよ?」

しかし、それを遮るかのようにラグナは話し始めた。

それが気になった剣はラグナの方へと目を遣った。

ラグナ「今よりやべぇのが来るぜ…本当に…恐ろしい事が…よ………」

そのままラグナは息を引き取った。

剣「…どういう事だ?」

当然、疑問に思う剣。

その事を訊くも、亡骸からの返事は無かった。

メビウス「おーい、剣ー!」

しかし、そんな疑問を払拭するかのようにメビウスの声が聞こえた。

剣「あぁ、わかっている」

剣は考えを後にし、今は本部に戻る事にした。

しかし、これはまだ厄災の前兆に過ぎなかった。

そして、これから起こる大きな出来事について、剣を含めた戦士達はまだ何も知らない。

戦士ノ活動録篇 完


ヘリアデス篇、開始。

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