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第弐拾話 「暗黒四天王」

この物語はフィクションです。

実在の人物・団体・事件とは一切関係ありません。

剣を含めた数人の戦士は隊長室に集まり、未来隊長の前に立っていた。

牙禅とブラックは治療の為、この場にはいなかった。

牙禅は波動で治した為に命には至らないが、深刻な程に疲弊していたので休む必要があった。

回復薬を使うにしても切断されたなどの負傷は治せなかった。

ブラックに関しては牙禅と比べて軽傷だが、先の光によって悪魔の力が弱まり、微かに衰弱していた。

アクアは死んでしまい、グリンはベルデゾロを壊されたので改めて策を練る為に現在進行形で自室にいる。

未来「出来るだけ集まったね、ありがとう」

今、未来隊長の前に並んでいるのは剣、メビウス、ライト、レオ、フレアの五人であった。

剣「何があったんですか?」

当然、剣は訊ねた。

「直ちに」という言葉を使ったという事は余程の事態或いは何か大きな出来事を未来隊長が察知したのだと剣含めた戦士全員は解釈していた。

未来「単刀直入に言おう。暗黒世界の居場所を特定した」

剣の問いに答えると、未来隊長はホログラムで生成したモニターを空中に展開し、五人にその映像を見せた。

そこには地図が記されており、剣達がいる創造世界を中心に、そこから離れたところに赤い印が光っていた。

剣達が向かうだろう印を拡大していくと、黒い闇に覆われた球体が自転をしていた。

未来「恐らくヤツらはそこにいる。今動けれる五人にはそこに向かって欲しい」

真剣な眼差しを向けながら未来隊長は剣達に指示を下した。

メビウス「つまり、王を取るって事?」

未来「そういう事だね」

メビウスの解釈に正解と教えると未来隊長は横に右手を翳す。

そこから青い亀裂が割れ、ワームホールのようなものが顕となった。

ライト「えっ!?」

レオ「どーなってんだ!?」

あまりの衝撃に皆は愕然としたり唖然したりする。

未来「暗黒世界に通ずる穴を開いた、そこに入れば辿り着くよ」

それとは対称的に未来隊長は当たり前と言わんばかりに平然としていた。

メビウス「お、おい?未来隊長、アンタ本当に何者さ?」

唖然した様子で、不信感と疑念を抱きながらメビウスは未来隊長に訊ねた。

未来「僕はこの組織の隊長、今はそれ以外の事は語れないね」

だが、返ってきたのはその言葉であった。

抑揚も感情の起伏も無い様子で淡々と口にした。

「だったら!無理にでも吐かせてやろうじゃねぇか!」

その時、何処からか大声が流れ、それが隊長室に鳴り響く。

レオ「その声!ガザール!!」

聞き覚えがあったレオは険しい顔を浮かべながら叫んだ。

ルナの世界を滅ぼした事に加担していた事、自身の仲間をゴミのように扱った事が許せず、両手の拳を握り締めた。

次の瞬間、この場にいる戦士を逃がさないと扉の前にガザールが姿を現した。

その隣にはシャドーもおり、瞼は閉じていた。

ガザール「おうよ!覚えててくれてあんがとうな!赤獅子!」

笑みを浮かべながらガザールはこれからレオと戦える事に心が躍っていた。

シャドー「本当に五月蝿いヤツだ、この戦い馬鹿が」

それとは対称的にシャドーはガザールの大声に不愉快な様子を見せていた。

未来「来たみたいだね、暗黒四天王の内、三人が」

臆する事なく未来隊長は見据えていて、五人の戦士はガザールとシャドーに対して構えていた。

コピー「うん♪来たよー♪」

未来隊長の発言通り、彼の横にはコピーがおり、光の刃を未来隊長に向けていた。

メビウス「誰?こいつら、ガザールはわかったけど」

メビウスの両手足が青く発光し、そこからオーラが炎の如く燃え盛る。

シャドー「俺はシャドー、暗黒四天王が一人」

開いた紫の瞳がメビウスとライトを捉える。

目に宿る敵意を二人は感じ取り、彼に対する警戒心を高めた。

その中でライトは光の直剣を生成し、それを構えた。

コピー「僕はー!」

フレア「んで、あの隊長の隣にいんのがコピーって野郎で兄貴を殺めたヤツだ!」

続けてコピーが名乗ろうとしたが、静かに怒るフレアに遮られた。

コピー「ちょっとー!せっかく名乗りたかったのにー!」

頬を膨らませながら機嫌を悪くした。

フレア「うっせぇ!兄貴の仇だ!覚悟しろ!!」

それが気に入らなかったフレアはより苛立ちながら身体から熱と水を発現させた。

コピー「へぇー?良いんだ?もし攻撃するなら隊長さんの命は無いよ?」

だが、コピーは余裕を持ったまま未来隊長に光の刃を傷付けない距離ながらも、より近付けた。

言葉通り、未来隊長を人質にとっていた。

剣「隊長…!」

五人は死なせたくないと恐れ、悔しいながらも動く事も攻撃する事も出来ずにいた。

シャドー「彼奴、小癪な事をするようになったな」

ガザール「んな事しなくても別に良いけどなァ…どうせなら闘いてぇし」

コピーの様子にシャドーは成長したと感心していて、満更でもなかった。

だが、一方でガザールは戦えないので退屈にしていた。

未来「ねぇ、コピーだっけ?。君は僕の事をどう思ってる?」

突然、未来隊長の口が開くとコピーにそう訊ねた。

この場にいる全員が困惑した様子で目を見開いた。

コピー「ん?んー…隊長でただ椅子に居座る人?」

その問いを聞いたコピーは唸るように考えた後、完全な独断と偏見でそう答えた。

未来「そうかい」

直後、コピーの武装する片腕を青い何かが切断した。

コピー「え?」

瞬きする間もなく、落ちていく片腕を前にコピーは呆然としていた。

未来「だとしたら、随分となめられたもんだね」

氷の如く冷たく、鋭い光を放つ目をしていた。

ガザール「ほぅ!成程な!」

剣「それは…!」

その場にいた未来隊長を除く全員が突然と起こった目の前の出来事に驚愕した。

未来隊長の手には全体的に青い片刃剣が握り締められていた。

コピー「これは衝撃だね…!」

コピーは切断された箇所を抑えながら未来隊長から距離を取る。

未来「この場にいる戦士全員に告ぐ!ゲートの中に入り、暗黒の破壊者を討て!」

その隙に未来隊長は声を張り上げながら剣達に指示した。

「了解!」

それを耳にした五人の戦士はすぐさま、ゲートの中へと入ろうと走り出した。

シャドー「させるものか…!」

ガザール「おーおー!こいつはァ面白くなりそうだ!」

やらせはしないとシャドーが太刀を引き抜き、ガザールは両手足に獄炎を纏いて襲いかかる。

それに気付いたレオとライトが阻止する為に踵を返して、足を止めた。

ライトは光の直剣でシャドーの太刀を抑え、鍔迫り合いの形に入る。

一方でレオは燃え盛る炎を両手足に纏うと、ガザールと手四つの体制に入った。

レオ「俺達がぜってぇ止める!」

ライト「お願いします!先に行ってください!」

レオがガザールを睨み、ライトは剣達に顔を向けながらそう促した。

剣「了解した!」

メビウス「無事でいてくれよ!」

三人は先に進んだ。

すると、フレアは足を止めてコピーの方へと身体を向ける。

メビウス「ん?フレア?」

疑問に思ったメビウスはフレアの方へと顔を向ける。

フレア「悪ぃ、敵討ちがしたいんだ」

フレアの意志を、今すべき事を剣とメビウスに伝えた。

メビウス「おいおい、この状況で…」

剣「わかった。生きて帰ってこい」

止めようとするメビウスだが、剣はそれを肯定し、約束を告げた。

フレア「安心しな、はなから死ぬ気なんてねぇよ!」

当然と言わんばかりにフレアは剣との約束を誓った。

メビウス「…わかったよ!今度アイスでも奢ってやるよ!」

少し考えたが、メビウスもフレアの意志を尊重して再び歩を進めた。

コピー「やっぱ殺る気みたいだね、僕に対して…」

面倒くさそうな様子でコピーは切断された腕をくっつけて再生した。

フレア「当たり前だろ!兄貴殺されて平然としてる能天気なヤツが何処にいるってんだ!」

すぐにフレアもコピーに突っ込んでいき、高熱を帯びた拳を構えた。

そうして剣とメビウスはゲートの中に入って、姿を消した。その直後、ゲートも消えた。

未来「ここでやられるのも野暮だからね…!」

緊迫とした表情で未来隊長は机にあった円柱状の装置を起動させた。

すると、その場にいた未来隊長以外の人達は全員何処かへと消えていった。

未来「僕も行くよ…!」

レオとライト、フレアの三人の無事を祈りながらも未来隊長も姿を消して、隊長室には誰もいなくなった。


レオとガザールは無人の闘技場にいた。

そこは古びた石のようなもので創られており、観客席のような段差に大きくて広い壁と天井に覆われていた。

ガザール「あぁん?なんだァ?ここは」

困惑した様子で辺りを見渡すガザール。

レオ「俺もよくわかんねぇけど、ここなら被害が出なさそうだ!」

それはレオも同じであり、何故自分達がこの空間にいるのか、ここが何処なのかがわからなかった。

だが、なんとか今の状況を無理矢理にでも飲み込んだレオは両手足に炎を纏うと、ガザールに対して再度、戦闘態勢に入った。

その言葉を耳にしたガザールは目の色を変え、口角が上がった。

ガザール「あぁ、そうだな…そうだよなァ!!」

獄炎が全身を纏いながら高揚した笑みを浮かべた。


一方でシャドーとライトは長い橋の上にいた。

そこもレオとガザールと同様に人気がなく、ただし橋の下で川が静かに流れていた。その周りには街が向かい合うようにしてそびえ立っていた。

シャドー「なんと奇怪な…幻術か?いや或いは……」

ライト「いきなり過ぎてよくわかりませんけど、貴方をここで倒します!」

不可思議な事に興味深く思いながら周囲に目を遣るシャドー。

そんな彼を他所にライトは切り替えて、光の直剣を構えた。

ライトの意志を目の当たりにしたシャドーは身体を向けた。

シャドー「…良かろう、貴様を斬り刻んだ上でトドメを刺してくれよう」

冷たい目でライトを見て、静かに太刀を構えた。


そして、フレアとコピーは校内の教室にいた。

机と椅子は綺麗に並べられ、その前には教卓と黒板があると大体の人が想像する内装であった。

フレア「んだ?ここは…」

コピーを睨みながら戦闘態勢に入るも、この状況について少し畏怖しつつ困惑した。

コピー「あ、あぁ…」

まるで何かに怯えていると言わんばかりに震える声が聞こえた。

それがコピーのものだとわかり、フレアが彼を見ると、戦慄と絶望が入り交じった表情を浮かべていた。

コピー「ふざけるな…!ふざけるなふざけるなふざけるな!」

何かしらのトラウマが掘り起こされたのか、錯乱した様子で装置のある右手を振るうと、赤紫色の光刃が展開された。

コピー「どういう嫌がらせだ?ふざけてるの!?僕が何をしたって言うんだ!!」

今まで何処か余裕のあり、残虐性を兼ね備えた無邪気な雰囲気から一変し、世の中全てに激昂し、冷静さを欠いていた。

フレア「なんだ?どういう事だ?」

コピーの様子を目の当たりにしたフレアは違和感を覚え、身構えつつ、困惑していた。

未来「ここはかつて君達が生きていた場所、前世を映した空間だ」

すると、未来隊長が淡々と説明を述べながらフレアの隣に現れた。

両手に持つ青い太刀と青い拳銃が光を発し、この空間を微かに照らしていた。

フレア「隊長!?」

突然の事に驚くフレア。信じてはいるものの、今では疑念のような警戒心を抱いていた。

コピー「お、お前…何者なんだ…!」

正気を取り戻していく中でコピーは未来隊長を睨みながら訊いた。

未来「僕は未来(ミライ) (アラタ)、正義組織クロノス社の隊長…これ以上は言わないよ」

直後、未来隊長が引き金を引いた。

銃身はコピーに向けられており、火花と共に弾丸が放たれた。

コピー「あぁ、そうかよ!!」

装置を前に翳すと、砲口から放たれた光が広がるように展開して盾を形成する。

未来隊長が撃った青い弾丸は全て、赤紫色に光る盾に当たって消える。

コピー「嫌だなぁ…!嫌な事するんだなぁ!正義組織の長も!!」

喚き散らすようにコピーは激昂する。

右手にある装置の銃口を地面に付けた。

そのまま赤紫色の光を放つと地面から現れ、数多のプレイヤーを生成した。

コピー「皆!こいつら殺していいよ!容赦なく残酷に!徹底的にね!」

コピーの指示により全プレイヤーは構えながらフレアと未来隊長に近付いて行く。

フレア「隊長?責任とってくれよ?」

未来隊長「そのつもりだよ。生きていたらだけど…いや、訂正!大舟に乗ったつもりでいて良いよ!」

冗談交じりに返すフレアと彼に鼓舞させる未来隊長もすかさず戦闘態勢に入った。


その頃、レオとガザールはぶつかり合っていた。

拳による打突や蹴りを繰り出すが、ぶつかり合って互いに打ち消し合っているので無傷のままであった。

ガザール「前より腕を上げたかァ?赤獅子ィッ!」

レオ「うるせぇ!俺はレオだ!!」

声を張り上げながら互いの拳がぶつかり合うと、火花を散らしながら衝撃波を起こした。

それにより闘技場に亀裂が生じるとすぐに崩壊した。

だが、崩壊に抗おうと周囲にある青いホログラムが再構築した。

闘技場だったものが幾つものの建物に囲まれたスクランブル交差点へと変わった。

ガザール「本当にどういう仕組みかは知らねぇが、んな些細な事はどーでもいいなァ!」

だが、ガザールは気にせずそのままレオの腕を掴むと、背負い投げをした。

レオ「ごはっ!」

レオが地面に叩きつけられた。とてつもない痛みが背中に迸る。

直後、続くようにガザールの拳が容赦無く振り下ろされる。

レオ「うおおっ!」

そのままレオは横に転がるようにして回避した。

拳は地面を叩きつける度に小さなクレーターを作り出していた。

ある程度の距離を取ると、流れるように体勢を立て直し、ガザールの方へと顔を向けた。

ガザール「俺は今、お前と闘いてぇッ!もっとやり合おうぜ!!赤獅子ィッ!」

そう声を張り上げると、大地を力強く蹴り上げ、レオの方へと急接近する。

全身に獄炎を纏ったその姿は正に火球そのものであった。

レオ「うおお!獅子炎(シシエン) 日輪(カリン)!」

特攻に対抗しようとレオも炎を身に纏い、そのままガザールに向かって突っ走った。

そうして二つの炎はぶつかり合う。結果、レオは吹き飛ばされた。

ガザール「お前の力はそんなもんか!さっさとあれ見せろよ!覚醒ってやつを!!」

後ろに向かって飛んでいくレオを追うようにガザールが姿を現す。

レオ「ぐっ!」

そのままレオはガラス張りの建物に背中を打ち付けられる。

ガザール「王の(キングオブ)鉄槌(アイアンスマッシュ)!」

直後にガザールの拳が鳩尾に撃ち込まれた。

それはあまりにも容赦無く、鉄のような衝撃と威力であった。

レオ「がぁっ!」

見事に入ったレオは気を失いそうになる。

レオ「くっ…こんなところで、負けてたまるかァァァ!!」

だが、すぐに醒めたレオの意志に呼応し、激しく燃え盛る炎が身を焼き尽くした。

ガザール「おぉ!こいつだ!俺はこいつを求めていた!!」

瞬時に離れるとガザールはレオを見て、待ちわびたと言わんばかりに気分が高揚した。

その瞳には炎が獅子を模して、鎧の如く身に纏ったレオが映っていた。

ガザール「待ってたぜ、赤獅子!おっぱじめようぜ!正々堂々な闘いってヤツを!!」

拳をもう片方の掌に打ち付けて、楽しそうな笑みを浮かべる。

レオ「生憎、それ以外のやり方なんざ、俺は知らねぇ!」

そのままガザールに突っ込んでいき、間合いに入ると炎を帯びた拳を突き出した。

ガザール「おぉっ!なんつー威力だよ!」

重く熱い一撃を胸部で受けたものの、効いた様子も苦痛で顔が歪む事も無かった。

だが、微かに足が後ろへとズレており、地は削れていた。

レオ「強弾打!」

このまま押していくと決めたレオは炎を纏った二つの拳を何発もガザールの胴体に撃ち込む。

すると、ガザールは撃ち込まれる度に後ろに退いていく。

ガザール「良いなぁ!これなら全力でやっても良さそうだ!!」

そう確信したガザールにトドメの一撃と言わんばかりに燃える拳を心臓に目掛けて撃ち込まれた。

あまりの威力によりかなりの距離で勢いよく吹き飛ばされるも、空中で前転して足を地面に突き刺すようにしてそれを止めた。

レオ「やっぱ、お前強いな…」

いつもと違う鋭い目を向けながらレオは炎纏う拳を構えた。

ガザール「そりゃあどうもな、だからよ…」

その言葉に感謝すると、ガザールは羽織っていた緑のロングコートを脱ぎ捨てた。

地面についた直後、空間を振動させる程の重い音が鳴り響いた。

レオ「あれ重りなのかよ!?」

想像もつかない異様な出来事を目の当たりにしたレオは目を見開くように愕然とし、戦慄した。

ガザール「全力でやらせてもらうぜ…!」

上下黒い服だけの服装でガザールは突如として叫び出した。

それに共鳴するように獄炎が身を焦がす。

獄炎は一つの大きな炎として燃え盛り、その中でガザールは片手を顔の前にまで持ってくる。

それを勢いよく薙ぎ払うと、獄炎が消えた。

レオ「なんだよそれ、さっきと全然違ぇ…!」

炎から姿を現したガザールを目にしたレオは強がるようにして堪えながらも慄いた。

そこには反転した瞳を持ったガザールがいた。

白は黒へと、瞳は紅いままであった。

ガザール「皇帝の(エンペラー)獄炎(フレイム)…さぁ、続きをやろうぜ!」

その見姿の名を口にすると、身体から獄炎を発現させた。

ガザールの圧倒的な力や闘気を前にしたレオは警戒するようにして戦闘態勢に再び入った。


その頃、ライトはシャドーから繰り出される攻撃を避けていた。

影あるところに黒い刃が生え、襲いかかるところをライトは走ったり飛んだりしていた。

シャドー「あの青獣族の生き残りに、随分と扱かれてきたみたいだな。貴様を見縊っていた!」

シャドーはライトに対して只者では無いと考えを改めていた。

その隙にライトが間合いに入ると、光の直剣を振るった。

だが、シャドーは太刀でその刃を受け止めた。

ライト「そうですか…!」

ライトは緊迫した様子でシャドーに対して警戒心を高める。

それでも諦めずに何度も光の直剣を振るい続けるが、全てシャドーに止められてしまう。

シャドー「だが、やはり弱いな!」

そう嘲笑うと、シャドーは腹部に目掛けてライトに蹴りを入れた。

ライト「ぐっ…!」

鳩尾に入ったままライトは吹き飛ぶが、何とか体勢を立て直した。

シャドー「影画 突牙(トツガ)!」

次の刹那、シャドーは距離を詰めようと牙突を繰り出す。

微かに焦るライトは瞬時に直剣から拳銃へと変形させ、光弾を発した。

シャドー「シャァッ!!」

迫り来る光弾を視認すると、シャドーは突き進んでいた身体を止めて、それらを断ち斬った。

ライト「そこっ!」

隙をついてライトはまたシャドーの懐に入り、光の直剣を振り上げた。

光り輝く刃は骨をも断ち、太刀を握りしめていたシャドーの腕は空高く飛んだ。

シャドー「ほぅ…!」

瞬時にシャドーは後退して、ライトから距離を取る。

一息つくと、ライトから切断された腕へと視線を変える。

シャドー「なんとも天晴れなヤツだ!俺の腕を斬り落とすなど貴様が初めてだ!…その分腹立たしいがな」

先程まで歯を見せるような笑みで賞賛していたが、急変して睨むように静かな怒りが溜まっていた。

あまりの異様さ、その怒りを感じ取ったライトは警戒し、光の直剣を斜に構える。

そんな彼を他所にシャドーの斬り落とされた片腕が影の中へと沈む。

シャドー「私は人も知らず、世にも知られずに生まれ育てられた。そして、残忍の影となりて敵を殺し続けた」

突如として淡々と語り始めた。それは自身の過去だとライトは読んだ。

そう語る中でシャドーの足元の影から切断された腕が現れると、それを屈んで手にした。

シャドー「最早、この闇を払う事は出来ない…」

心ここに在らず、しかし何処か悔いが残るような声色で諦めたと口にする。

そのままくっつけて元通りに治ると、一秒もせずに全身が真っ黒に染まる。

シャドー「ならば、影として生きて、殺戮の限りを尽くしてからこの身を朽ちてしまおう」

黒くなっていく他に二本の角が生えて、目が充血するようにして赤くなっていく。

シャドー「影鬼と、なりて…」

影鬼という名を冠する姿となったシャドーは切先をライトに向けた。

それを前にライトは戦慄し、緊迫した表情を浮かべた。

シャドーは静かに居合いの構えに入った。

シャドー「影斬り…!」

瞬時に抜刀した次の刹那、ライトの胴体に切り傷が刻まれた。

ライト「くっ…!」(いつの間に!?)

突然の出来事にライトは愕然とし、苦痛で顔が歪む。

幸い、傷は浅く済んでいた。そこから微かに血飛沫が舞う。

シャドー「…影突き」

間髪を入れず、シャドーは足元の影に片刃を突き刺した。

ライト「もしかして…!」

えも言えぬ嫌な感覚を捉えたライトが高く跳ぶ。

次の瞬間、ライトの影から串刺しにしようと黒い剣先が生えてきた。

後数秒遅れていたら死んでいた。それ程までに刀身は長く、ライトとは目と鼻の先であった。

ライト「危なかった…!」

瞬時にライトは直剣から拳銃へと変形させ、シャドーに向けて連射した。

ライト(恐らく今のシャドーは影鬼になる前よりも強くなっていると思う。何より先程よりも殺気が濃く感じる…!)

降下していく中でライトはシャドーの現状を推察し、生えてきた黒い剣先を避けた。

シャドーは光弾を見るやいなや、影に溶け込んで消えた。

シャドー「所詮は光、影を生み出す事しか出来ない」

その中でライトに向けて嘲笑うように、しかし淡々と吐き捨てた。

ライトは無事に着地すると、拳銃を構えながら辺りを見渡す。

ライト「一体何処から…!」

静寂が広がる中、緊迫した様子で底の知れない恐怖に襲われる。

次の瞬間、ライトの背後からシャドーが姿を現した。

ライト「そこか!」

すぐに気が付いたライトは急いで後退しながら光弾を連射する。

目にも止まらぬ速さで刃が振るわれるが、空を切った。

迫り来る光弾の雨をシャドーは少ない動作で避けた。

シャドー「影掴み」

全て躱すと、太刀を持たない別の片手を握り締めた。

すると、ライトの身体が突如として止まった。

まるで金縛りにあったようにして

ライト「これって…!?」

急いで解こうと藻掻くが、身体どころか指一本すら動かせなかった。

シャドー「私は暗黒四天王 シャドー、持つ力は影…そして、司る闇は卑劣」

淡々と説明を述べながらシャドーはライトに歩み寄る。

間合いに入ると、立ち尽くす脚に向けて刃を突き刺した。

ライト「ぐっ…!」

そこから血が流れ、苦痛で顔が歪む。

シャドー「この恨みはらさでおくべきか…!」

太刀を引き抜き、再度太刀を突きつけた。


場面は変わり、未来隊長はコピーが生み出した全てのプレイヤーを一人で相手取っていた。

ハイエロファント「天罰…!」

上半身しかない巨人 ハイエロファントが杖を振り下ろした。

瞬時に未来隊長は走り出し、ハイエロファントの隣に姿を現した。

未来「これあげるよ!」

直後、青いロケットランチャーをハイエロファントの側頭部に目掛けて、撃ち込んだ。

直撃した事により爆発すると、ハイエロファントは煙を吐きながら倒れていった。

そんな未来隊長に巨大な車輪が走りながら襲いかかる。

WOF(ホイールオブフォーチュン)「グルグルグルルルル!!!」

人語を解せない寄生を発する鋼鉄の車輪 WOFが未来隊長に突っ込んでくる。

それを未来隊長は大地を軽く蹴り上げ、体を反るようにしてWOFを跳び越えた。

未来隊長「如何にも猪突猛進タイプだね」

WOFについてそう推察しながら着地すると、片手から現れた青い鎖を投げるようにしてWOFへと伸ばすと、巻き付くようにして捕らえた。

WOF「グルグルゥ!?」

突然の事に驚くも、臆せずに再び未来隊長の方へと突っ込んでくる。

デス「神もどきよ!その命、刈り取ってくれるわァ!!」

その真反対側にはデスを含めた大勢のプレイヤーが迫り来る。

未来隊長「丁度いいところに来たね!そのままで居てくれよ!」

予測通りで嬉しそうな笑みで未来隊長が軽く横に跳ぶと、WOFは通り過ぎていった。

WOF「グルグル!」

デス「マズイ!止まれ!貴様らァァ!!」

味方を殺してしまうと危険信号が迸ったWOFは急停止し、大勢のプレイヤーも死を想起して恐怖故に足を止めた。

未来隊長「ナイス判断!」

そんな彼らを他所に未来隊長は手に巻き締められた鎖を握りしめながら勢いよく引っ張る。

WOF「グル!?」

WOFは鎖に引っ張られ、後ろへと吹っ飛ぶと未来隊長の周りを公転するようにして振り回された。

マジシャン「マズイ…!」

WOFに巻き込まれると判断した赤いローブに身を包んだ人 マジシャンは浮遊して離れた。

デス「貴様!卑怯だ…」

そう苦言を呈している怪物 先端が鎌である六つの腕が特徴のデスが振り回されるWOFに直撃し、跡形もなく吹き飛ばされる。

その他のプレイヤーも振り回されるWOFにより吹き飛ばされ、粉々となる。

マジシャン「なんと面倒な…」

その様子をマジシャンは見下ろしていた。

スター「ならどうする?まさか、退くかい?」

マジシャンの隣に全身が白く光る人型の存在がおり、煽るような笑いで訊ねた。

マジシャン「そんな訳が無いだろう!」

強がるように否定すると、マジシャンは未来隊長に翳した双方の掌から炎を発現させた。

スター、ムーン、サンの三体も構え、各々エネルギーを溜めていく。

未来「忘れてなかったけど、せっかくだからこれ、あげるよ!」

ある程度WOFで周囲のプレイヤーを葬った後、未来隊長は上空にいる四人へと目を遣る。

次の刹那、振り回しながらWOFをマジシャン達に向けてぶん投げた。

マジシャン「何…!?」

飛んで来るWOFにマジシャンは避けられず、そのまま吹き飛ばされた。

サン「マジシャン!」

ムーン「怯むでない!さもなくば…!」

呆気にとられたサンに対してムーンが注意した次の刹那、未来隊長は二人に近付いた。

彼の存在にサンとムーンが愕然とする。

未来隊長「殺されるから、でしょ…!」

瞬時に未来隊長は両手に纏った青いガントレットを突き出し、圧倒的な一撃を撃ち込んだ。

二つの拳を見事にもらったサンとムーンは言葉も発せないまま消滅した。

スター「マズイじゃん!?」

瞬時にそう判断したスターは超高速で未来隊長から逃れようと遠ざかった。

未来「逃がす訳ないでしょ」

淡々とした発言の直後、未来隊長はスターに向けて掌を翳し、その指を曲げた。

すると、スターが金縛りにあったようにして動きが止まった。

スター「う、動かない!?どうなってんの!?何、その力…!?」

突然の事に驚くスターに青い太刀を構えた未来隊長が迫る。

未来「ハァァァッ!」

スターは懐に入られた未来隊長に光帯びた青い刃に一刀両断された。

断末魔を上げる間も無く、スターは光が砕けたかのようにして消滅した。

未来「一通り、倒したのは、良いけど……」

未来隊長は肩で息をしながら呼吸を整えると横へと顔を向けた。

そこには赤紫色のホログラムで形成された巨大な球が浮遊しており、そこからプレイヤーが造られていた。

未来「…あそこから増援が来る以上、終わらなさそうだね」

そう考え、誰を潰せば良いのかという結論を導き出した。

すると、未来隊長は手を横にかざして、太刀は旋回させた。それは長くなるように形を変え、して槍となった。

未来「ならば、速攻で!」

そして、手にしたそれを勢いよく槍投げた。

槍は球状のホログラム ワールドを突き刺そうと加速し、光にも等しい程になる。

それを察知したワールドは瞬時にプレイヤーを生成し始めた。

それは人より大きな身体を持った機械人形 ジャッチメントであった。

ジャッチメントは迫り来る槍を視認し、手に持っていた金槌でそれを振り払った。

結果的に槍は砕けて、そのまま消滅していった。

未来「まぁ、そう簡単にはいかないよね…」

だが、未来隊長は諦めてはいないし、その事も読んでいた。

片手に青い太刀を、もう片方に青い拳銃を生成させて、それらを構えた。

気が付くと、未来隊長の周りを数体のプレイヤーが囲んでいた。

無機質なはずなのに、虚ろな目が敵意を含んで、睨んでいるようにも見えた。

未来隊長「その気ならその気でいいよ…全部、完遂(クリア)するから!」


同時刻、フレアも複数のプレイヤーを叩きのめしていた。

フレア「随分と多いな!こいつら!」

圧倒的な数の量にフレアは苦戦を強いられ、歯を食いしばっていた。

この状況を切り抜けようと高熱を帯びた徒手空拳と身体に出る水を刃や弾丸などに形を変えて、尽く殲滅していく。

コピー「死ねぇぇぇッ!フレア!!」

そこに怒りで豹変したコピーが接近し、赤紫色の光刃を突き出した。

だが、フレアは瞬時に見切り、いとも容易く避けながらコピーに水の刃を振るった。

だが、コピーは後ろに跳んで、装置の砲口から赤紫色の光弾を連射した。

同時進行で一人のプレイヤーがフレアに襲いかかる。

フレア「悪ぃな!」

閃いたフレアはプレイヤーの攻撃を避けた直後、頭を鷲掴む。

赤紫色の光弾はプレイヤーの背中に直撃し、瞬時に消滅した。

コピー「へぇー!卑怯な手を使うんだねぇー…!お前!!」

コピーはフレアの行動を見て、嘲笑った。

だが、まだ怒りは宿っており、声のトーンが高くなっていた。

フレア「人の事言えねぇだろ、こんな大勢で…何がテメェをそうさせた?!」

コピーの発言に呆れた後、怒鳴るような声で訊ねた。

コピー「何が言いたい?!!」

フレア「ここに来てから、テメェはおかしいんだよ!憎悪と憤怒に塗れて!その二つが渦巻きやがってさ!」

コピー「そりゃあ…そうだろうが!!」

コピーの発言にフレアは静かに驚いた。

コピー「遊びやごっこと称して!僕に暴力を振るい!散々、悪口を言われて僕を否定して!お兄ちゃんの模倣者として言われまくった…!誰も助けず!寄り添おうともしてくれなかった!!」

コピーは片手で頭を抑えながら、過去の事を大声で吐露した。

コピー「僕は、耐えきれずに…」

そして何かを言いかけた瞬間、力が抜けたようにして両腕がぶら下がった。

フレア「…おい?どうした?」

異様な雰囲気を感じ取りながらフレアは眉を顰め、首を傾げた。

すると、コピーから憎悪や嫌悪のような黒い炎が発現し、その身が燃え盛る。

コピー「僕は…此処全てを……」

面を上げて、フレアを捉えた。

コピーの目が赤黒い光を発した直後、充血したみたいに赤く染まる。

コピー「全テ…!」

次の刹那、コピーの身体から黒い触手が壊すようにして突き破ってきた。

コピー「めちゃクチャに…スル…!!」

触手は自身に抱きつくようにして巻き付くと、コピーの肉体を形成して新しい姿へと変貌を遂げた。

それは真っ黒な毛並みに赤い目を持った巨大なネズミであった。

天へと向けられた背中にはスイレンが生え、その周りには幾つもののクロユリが囲っていた。

フレア「復讐を抱いた呪い、か…憎悪そのものかよ」

化け物となったコピーを目の当たりに、フレアは身構えた。

コピー「壊れろ…!!」

怒気と憎悪を織り交ぜた声でそう言った次の瞬間、コピーの口が大きく開き、赤紫色の瘴気を帯びた衝撃波を飛ばした。

フレア「いきなりかよ…!」

当たってはいけないと察知したフレアは瞬時にその攻撃を避けた。

その中でコピーはクロユリから血管に似たチューブのような触手が現れると、フレアに向かって伸び始めた。

フレア「お前、触ったらアウトそうだな!」

すると、フレアは迷いなく一直線に走り出した。

その中でフレアは両腕から水の刃を創り出し、触手を尽く切り裂いた。

触手の切断面から赤紫色の液体が血飛沫の如く舞う。

それらが地面に着くと、焼けたような音を立てながら溶けていった。

フレア「ビンゴだな!」

どうやら予感は当たっており、溶解液か高熱を帯びた液体だと認識した。

すかさずフレアは両手を前に突き出すと、その掌から熱湯を光線の如く放った。

コピー「それがどうしたァッ!!」

その直後、スイレンから赤紫色の光弾が現れ、半球状のバリアへと変形した。

熱湯はコピーの正面に張られたバリアにより防がれてしまった。

フレア「んだよ、それ!」

卑怯だと思い、顔を顰めながら文句を言った。

そんなフレアに触手が襲いかかり、彼のの両手足を巻き付くと、引っ張って拘束した。

間髪入れずに触れた箇所から肌が赤紫色へと侵食する。

フレア「ぐっ、あぁ…!」

その原因は触手に含まれるコピーの毒であり、瞬時に理解すると同時に苦痛で顔が歪んだ。

コピー「死ね!死んでしまえ!!僕を拒む者!僕を傷付ける者!僕を苦しみ、死に追いやった者の全て、この世からいなくなれ!!!」

コピーはフレアに憎悪の目を向ける。

それは今まで自分をいじめて来た者に対してであり、フレアにとって無関係なものであった。

フレア「マズイな、これ…!」

この状況をフレアは危機と捉えていた。

もしこのままだと、毒に犯されて死ぬ恐れがあるからだ。

コピー「危険と焦るか!恐れるか!僕をいじめたヤツらもそんな感じだったのを思い出すね!!実に楽しかったよ!!清々しかったねぇぇぇ!!」

スイレンと開いた口から瘴気が放たれ、フレアの身体を蝕んでいく。


その頃、未来隊長は大勢のプレイヤーを前に荒い呼吸を整えていた。

その手には青い太刀と青い拳銃が握りしめられていて、切先と銃口を向けるようにして構えていた。

未来「ホント、終わりがないんじゃないかってくらいに多いね…いくら僕でも疲れるよ?」

苦笑いを浮かべて冗談交じりに本当の事を言いながら周囲にいるプレイヤーの配置を確認し、把握した。

未来(相手は段々強くなっていく上に、増えていく一方…そんな状況を打開するには……)

思考を張り巡らせながら拳銃を典型的な爆弾へと変形させた。

未来「出来るだけ手を尽くすとしよう!」

そうして青い爆弾を上空に投げた後、太刀も投げた。

切先が球体に突き刺さった次の瞬間、爆発が起こった。

青い塊は粉々と砕け散り、周囲に拡散されたそれは電子の雨として降り注いだ。

その場にいた全員が電子の雨に当たり、体内へと入っていくようにして溶けた。

直後、プレイヤーの一人が恐れた様子で震えた声で叫んだ。

「な、なんだァァ!?」

「嫌だ!消えたくない!!」

周囲にいたプレイヤー達の身体が消滅していく。

ジャッチメントも鋼鉄の身体を見て、その事に気付くも既に手遅れであった。

ワールド「理解、不能…未知なる、エネルギーにより、消滅…機能も、全て、停…止……」

ワールドも自身を形成するホログラムにグリッチとノイズが走りながら畳むようにして消滅した。

未来「浄化の雨…つまりは、ワクチンって言ったところかな」

そう言うと未来隊長はフレアとコピーの方へと目を遣る。

電子の雨は二人のところにも降っていた。

未来「手助けしようと思ったけど、この状況なら大丈夫そうだね」

そうは言いながらも未来隊長は青いスナイパーライフルを生成し、静かにコピーに狙いを定めた。


コピー「なんだ?アイツ、なんかしたのか?」

突然の異変に気付いたコピーは上空へと目を遣る。

そこには雨のように降りしきる青い粒子…未来隊長の仕業だと推察した。

マズいと思いながらスイレンから光弾を放って傘のようにバリアを展開する。

しかし、光弾はグリッチを発した直後、割れた。

フレア「成程な!」(ありがとうな隊長!こいつは助かる!)

この粒子についてすぐに悟ったフレアは力ずくで触手を引き離すと、再度全身から高熱を発した。

身体を蝕んでいた瘴気が未来隊長が放った電子の雨と高熱により消えていき、元通りになっていく。

フレア「コピー!テメェは周りに迫害され、虐げられてきたっつてたよな?」

フレアは怒り混じりの真剣な表情を浮かべながら、それをコピーに向けた。

コピー「そうだねぇ!だったら何さ?お前も僕を否定しようっての?」

その眼差しが嫌悪と憤怒満ちたものとなり、フレアを睨む。

フレア「違ぇよ…俺様自身の事じゃねぇけど、嫌な事、沢山言われまくった」

だが、フレアの口から出た言葉は共感に似たものであった。そして、続けて話した。

フレア「こっちの事なんざ、なんも知らねぇで…何様だって程に偉そうにどうこうと嘲笑ってきやがった。すんげぇ腹立ったし?情けねぇなと哀れんだ…目先の情報を鵜呑みにして、踊らされた挙句でそうなったってのを後で知った。意味わかんねぇし、苛立ったよ…こんなヤツらがいるんだって…」

両方の拳を握りしめた。

阿呆だと思うヤツらに対する怒りと恨みがフレアの心の中で渦巻いていた。

コピー「そうなんだ…ならさ♪」

それを聞いたコピーは元の姿…人のものへと変わった。

コピー「組織なんか捨ててさ、僕達と手を組んで世界を破壊しに…」

フレアを仲間に引き入れようと手を差し伸べた。

フレア「それでもよ!俺様を戦士として導き、正してくれたのは未来隊長とアルドラス教官、そして兄貴達だったんだ」

続けて出たその言葉に、コピーは目を見開きながらその手を下ろした。

フレア「下手すりゃ犯罪に手を染めて、危険因子と判断されかれねぇ俺様を皆は助けてくれた!俺様をここまで導いてくれた!」

クソみたいな理不尽から救い出してくれた者達が脳裏によぎり、感謝と彼らの思いを胸に抱く。

そうしてフレアの両腕から水の刃が現れた。

フレア「だから、俺様は戦う!皆の恩を返す為に!そして、テメェを助ける為にな!」

そして、背を低くして戦闘態勢に入った。

コピー「助けるだと?この僕を?無理に決まってんだろ!!」

フレアの言葉を一蹴すると、再び異形の怪物へと化けた。

クロユリから再度触手を伸ばして、毒で侵して殺そうとする。

フレア「勝手に諦めてんじゃねぇよ!」

瞬時に見切ったフレアは水の刃で触手を切り裂きながらコピーに突っ込んだ。

コピー「んじゃあさ!今になって過去の事がやり直せれると思うの!?それに特攻なんて頭悪いのかな!?」

フレアの言動を嘲笑うコピーが口を開けると、瘴気を帯びた衝撃波を放った。

電子の雨により瘴気は消えるが、衝撃波は変わらず襲いかかる。

それを受けたフレアは後ろへと吹き飛んだ。

フレア「そいつはどうかな!」

だが、予期していたかのように焦る様子は無かった。

そのまま両手を前に突き出すと、水の刃を飛ばした。

一直線に宙を翔る刃はクロユリを貫き、切断した。

クロユリは地に落ち、塵となって消滅した。

それにより触手は使え物にならなくなった。

コピー「考えたな、お前!!」

憤慨するコピーは瘴気を全身に纏い、突進してきた。

フレア「うおおおおおお!!!」

身に纏う高熱を更に上げて、その状態でフレアもコピーに接近した。

互いに衝突した事で衝撃音が空間に鳴り響いた。

尋常ではない強風が周囲に吹き荒れ、未来隊長は両腕を顔の前に、飛ばされないように踏ん張った。

未来「フレア…!」

強風は収まり未来隊長は再度フレア達の方へと目を遣る。

そこには能力を解いたフレアと元に戻ったコピーが互いに背を向けていた。

次の瞬間、コピーの顔に亀裂が現れ、朽ちていく身体から黒い塵が浮上する。

コピー「消えるか…結局、殺しちゃったね」

顔を横にし、フレアを見ながら哀れに残念そうに言った。

フレア「そうだな…テメェも大勢の人を殺したし、兄貴も奪った……」

両手をポケットに突っ込み、そのまま俯いた。

フレア「けどよ、もし来世ってのがあるんならさ…良い人生、歩んでけよ」

申し訳なさそうな顔でそう伝えた。

確かにコピーのやった事は許されない。大勢の人殺した者達の中にはアクアもいた。

しかし、フレアはそれさえも許した。コピーと自身が何処か似ていると思えたからだ。

コピー「そう…他人任せなんだね」

馬鹿じゃないかと呆れた様子で電子で構成された空を見上げた。

コピー「けど、ありがとう…」

だが、何処か満更でもないような微笑みを浮かべた。

そのままコピーは消滅し、空へと還っていった。


場面は変わり、電車の中。

そこにはシャドーが佇んでおり、手にする刃の切先を地に向けていた。

彼の前には息を切らしながらうつ伏せとなって地に伏せるライトおり、赤く染み込んでいた衣服は切り裂かれていて、幾つものの切り傷が刻まれていた。

シャドー「貴様を痛めつける事に夢中になっていた間にこの空間内が変わっていたとはな…」

そんなライトから離れ、歩き回りながら辺りを見渡す。

この異様とも言える摩訶不思議な現象にシャドーは思考を張り巡らせていた。

シャドー「ただ場面が変わっている…という訳では無いか」

何かを察したシャドーは何も無いところに太刀を突き刺した。すると、そこから青い亀裂が現れた。

シャドー「あの隊長とやらが仕掛けた幻術…絡繰があるのは確かだ、恐らく現実空間から隔離させる為の罠なのだろう。そして、あの戦士を瀕死にまで追いやったが故に変わったとするなら…」

シャドーは薙ぎ払うように太刀を振るうと、亀裂は広がり次元の穴が顕となる。

それを見つけるやいなやシャドーは鼻で笑う。

シャドー「当たりか…予想通りが過ぎてつまらんな。しかし、こいつは面白い」

満更でもない様子でシャドーは微笑んでいた。

シャドーの考えはこの空間を脱するには戦士…つまりはどちらかが死ななければならないというシステムとなっている。シャドー側の者が勝てば勝つほどに空間は現代に近付くようにして変化していく。

すると、ライトの手が動いた。

ライト「させ、ません…!」

その言葉にシャドーは振り向いた。

瞳には傷だらけの体を無理に起き上がらせるライトがいた。

シャドー「なんだ?かなりの深手を負っているのにも関わらず、まだ立ち向かう気か?」

諦めの悪さに呆れ、面倒くさく思いながらライトに近付く。

そして、抵抗する者の眼差しを向け、眉を顰めたその顔を覗いた。

シャドー「まぁ、良い…」

鼻で笑うシャドーはライトの首に刀身を向けた。

シャドー「最後に言い残す事はあるか?墓に刻んでやるぞ?」

シャドーは下卑た笑みを浮かべた。

それはまさに外道に堕ちた鬼そのものであった。

ライト「…やはり、そうですよね……」

すると、ライトは確信に満ちた微笑みを浮かべた。

シャドー「何がだ?何が可笑しい?」

訳がわからず、シャドーは首を傾げる。

ライト「全部、期待通りです…!」

指パッチンをした次の瞬間、閃光が周囲を照らした。

シャドー「くっ!こいつは…!」

あまりの眩しさに両目を瞑り、片腕で遮った。

突如として起こったそれにシャドーは怯んだ。

ライト「貴方は影を使う。貴方は先程、光は影を生み出す事しか出来ないと言っていた…」

その隙にライトは回復薬を飲み、再度生成した光の直剣を強く握りしめた。

ライト「影は物や人が光を遮って作られるのなら、四方八方に照らすまでです!」

完全回復したライトはそのままシャドーに向かって突っ走る。

シャドー「目眩しとは…流石だァッ!」

下卑た笑みを浮かべながらシャドーは後ろに跳んだ。

次の瞬間、光の直剣は空を切った。

ライト「…ですよね。けど!」

だが、それでもとライトはシャドーに迫り、光の刃を振るい続けた。

ライト「まだ諦めません!!」

徐々に光に慣れていったシャドーは襲いかかる光の刃を躱したり、太刀で防いだ。

シャドー(こやつは頭が良い。講じた策で厄介な影の能力を封じ、真剣勝負に持ち込む…それに小僧の場合は武器を変形する事が可能。これを流石と言わずなんというのだ)

何度も迫り来る斬撃を弾き返しながらシャドーはライトが持つ強さ、その成長ぶりに感心していた。

そうして二つの刃はぶつかり合い、鍔迫り合いへと発展した。

シャドー「小僧、貴様は何の為に戦う?」

シャドーは淡々とライトに問いかけた。

ライト「何の為…誰も傷付けない為です…!」

突然の事に驚くが、そう答えるとライトはシャドーを押し返した。

シャドー「随分と甘ったれたものだな、何故それを掲げる?」

後ろに下がると、太刀を構えながら、続けて訊ねた。

ライト「あの時から決めたんです。友達をいじめで失ってから…」

その問いにライトの表情が少し暗くなり、そのまま俯く。

ライト「恨んでいるです、いじめっ子達の事は…けど、それよりも一緒にいたのに何も出来なかった自分が一番許せなかった」

続けて言うと、ライトの目には決意が宿り、面を上げてシャドーを真っ直ぐ見つめる。

ライト「だから、僕は牙禅さんの元で修行させてもらい、ロイドさんにも出会い、自分自身を変えていくんです!これ以上、誰も傷つかない為にも…!」

声を張り上げながらその切先をシャドーに向けた。

ライト「貴方をここで倒します!」

光の直剣を構えながらそう宣言した。

シャドー「成程、面白い。ならば、その思いを果たせぬよう斬り殺してくれよう!」

下卑た笑みでシャドーはその言葉とは裏腹にライトに答えようと居合の構えに入る。

ライト「いきます…!」

それに応じるようにライトも下段脇構えの体勢に入り、光の直剣を強く握った。

シャドー「御影(ミカゲ)…!」

全身から黒い瘴気が放たれ、突っ走る。

ライト「ハァッ!!」

すかさずライトもシャドーに急接近する。

シャドー「刃牙(ジンガ)!!」

ライト「星剣閃(サーベルフラッシュ)!」

そうして間合いに入ると、双方の刃は振るわれた。

結果としてシャドーの太刀が弾き飛ばされ、宙に舞う。

再びライトが直剣を振り下ろした事により、シャドーの胴体は深く斬り裂かれた。

シャドー「ライトォォォ…!」

致命傷を負ったシャドーは消滅し、黒い塵が空へと還っていった。


その頃、レオとガザールはスクランブル交差点内にある建物の間を通り抜けるように飛行しながら殴る蹴るなどの攻撃を交えていた。

レオ「ガザールゥゥゥ!!!」

ガザール「赤獅子ィィィ!!!」

レオは怒鳴る様な表情で、対してガザールは楽しそうに笑みを浮かべながら、互いに叫んでいた。

そして、双方の拳がぶつかり合う。

衝撃音が鳴り響き、周囲には熱風が吹き荒れる。

火花とは思えない程の大きな炎が弾け飛び、全ての建物が燃え盛る。

レオ「ぐっ…!」

突き出した腕の骨に亀裂が走り、レオの顔が苦痛に歪む。

ガザール「おいおい、まだやれるだろ!なァ?!」

黒い瞳が紅蓮色に光ると、レオの全身が獄炎に焼き尽くされる。

レオ「うおおおおおおおおおお!!!」

だが、レオは雄叫びを上げながら獄炎から抜け出して、そのまま拳を突き出す。

ガザールはそれを片手で受け止め、蹴りで薙ぎ払う。

レオ「ぐあっ!」

鋼鉄のような踵がレオの脇腹に直撃し、吹き飛んでしまう。

だが、突如としてレオの動きが止まる。

ガザール「あ?」

目の前の出来事に訝しむガザールだが、下へと目を遣った瞬間に理解した。

ガザールの片脚には炎の渦があり、線のようなものの向こう側にはレオがいた。

渦の正体は覚醒した炎により現れた炎の尾であり、巻き付くようにして捕らえていたのだ。

レオ「まだ、まだ!諦めねぇよ!!」

歯を見せるような笑みでレオは身体を旋回させながら尾を引っ張る。

ガザール「その通りだなァッ!!」

ガザールは落下するような勢いで引っ張られると、そのまま吹き飛ばされた。

ビルの壁に叩きつけられるガザールだが、何ともなかったようにして身体を起こした。

そんな彼の前にレオが瞬時に現れた。

レオ「獅子炎撃(シシエンゲキ)!」

膨大な炎が右の拳に渦巻き、勢いよくガザールを殴る。

ガザール「良いなァッ!赤獅子ィッ!!」

それを顔面に受けても尚、ガザールはくたばらなかった。

すると、獄炎で燃え盛る拳をレオの顔面に打ち込んできた。

レオ「ぐっ!」

攻撃を受けた直後、ガザールに顔面を掴まれる。

ガザール「行こーぜェェェ!!」

そしてそのまま降りるように引き摺っていき、地面に叩きつけようとする。

壁を形成していたコンクリートが削られ、その破片が顔に当たる。

レオ「このまま、死ねるかァァ!!」

だが、レオは顔面を鷲掴む腕を両手で捕えると、動きを止めた。

そして勢いよく振り回して、ガザールを投げ飛ばす。

地面に叩きつけられ、弾みながら転がるもなんとか体勢を立て直した。

レオ「決着をつけよーぜ、ガザール」

降りてくるレオは無事着地し、燃え盛る拳を構える。

彼を纏う獅子を姿を模した炎はまだ燃え続けていた。

ガザール「面白ぇ!なら、ここからは互いに本気出していこーぜ!!赤獅子!!」

楽しそうに笑いながらしゃがんでいた身体を起き上がらせると、レオの言葉にガザールも応じて、戦闘態勢に入った。

レオは全身を纏う炎の熱を上げていくように溜めていく。

対してガザールは片手を掲げながら太陽と錯覚する火の玉を生成した。

レオ「獅突炎上(シトツエンジョウ)!」

ガザール「皇帝(エンペラー)()太陽(サン)!」

互いの炎が最大にまで達し、限界を超えていく。

レオ「はああああああああああ!!!」

先にレオが大地を蹴り上げ、ガザールに急接近する。

ガザール「オラァァァァァァァァ!!」

対抗するようにして、ガザールは掲げる手を振り下ろしながら火の玉を放つ。

だが、レオは臆する事無くして突き進む。

それは見事に直撃し、尋常ではない程の爆発が起こる。

全体的に爆発が広がる光景を前にガザールは片手に獄炎を纏う。

レオ「うおおおおおおおおおおおお!!」

次の刹那、爆炎の中からレオが姿を現す。

ガザールはこれを予期していた。レオが死ぬ訳が無いという事を、この程度で死ぬ者では無いという事を

ガザール「はああああああああああ!!」

そのまま炎を纏った拳を突き出していく。

ガザールも獄炎に包まれた拳を振るった。

結果、拳は互いの顔面に直撃し、クロスカウンターのような形になった。

静寂となった空間に燃え盛る炎が弾けるような音が鳴る。

ガザール「こりゃあ、楽しませてもらったぜェ…赤、獅子…」

満足したと言わんばかりの笑みを浮かべる。

すると、身体から黒い塵を出しながらガザールは後退る。

レオは拳を下ろしたままガザールを見つめる。

ガザール「悔いの無い、真っ向…勝負だっ…た………」

最後まで笑顔でいたガザールの肉体は崩壊し、黒い塵が空へと還っていった。

レオは浮上する黒い塵を見届けながら口を開いた。

レオ「俺も、悪くなかったぞ…」

そうして、スクランブル交差点だった空間は崩壊を始め、元の場所へと戻っていった。


隊長室にはレオとライト、フレア、そして未来隊長がいた。

未来「みんな、ご苦労さま」

未来隊長は微笑みながら三人の戦士を称えた。

その心は誰一人失う事が無かった安堵に満ちていた。

レオ「おうよ!」

満面な笑みでガッツポーズを取る。

ライト「かねり強かったですけど、なんとか」

ライトは疲れた様子であったものの、口角が上がっていた。

フレア「つか、んな事よりさっさと助けに…」

フレアが早く剣達のところへと行こうと提案しようと言葉にしたその時だった。

未来「まずい!」

何かを予感した未来隊長は近くにいた三人を青い糸で捕縛し、窓ガラスを割って隊長室改め本拠地であるクロノス社から抜け出した。

レオ「うおっ!?なんだよ!?」

突然の行動に驚くレオだが、本拠地の方へと目を遣った事で瞬時に理解し、唖然とした。

ライト「嘘、ですよね?」

フレア「マジ、かよ…」

二人もその事に気付き、戦慄する。

未来「まさか、この為に三人を送り込んでいたとはね…!」

未来隊長は他の皆を救えなかった事を悔いながら歯を食いしばった。

なんとクロノス社は暗黒の霧に包まれてしまっていたのだ。

レオ「グリン!!」

ライト「牙禅さん!」

フレア「クソッ…!何しようってんだ!暗黒世界(アイツら)は!」

クロノス社にいた人達を救えなかった無力さに悔いる。

しかし、四人は何も出来ずただ黙って見る事しか出来なかった。

次回 第弐拾壱話 「目醒める龍神の光」

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