表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
17/23

第拾陸話 「電光の狙撃手と影侍」

この物語はフィクションです。

実在の人物・団体・事件とは一切関係ありません。

真夜中の墓場にて一人の男が目の前にある墓に対して花束を供えていた。

水色の眼に青髪の冷たい容姿の男 オプティックの顔は暗く、辛そうな表情を浮かべていた。

オプティック「ラミア…」

墓に刻まれていた妹の名を口にしながら涙を流した。

シャドー「妹を蘇らせたいか?」

突然、シャドーの声が聞こえたのでオプティックは驚きながら振り返った。

シャドー「誰にも救われず、不幸のどん底に叩き落とされた妹を生き返らせたいか?」

そこにはシャドーがおり、下卑た笑みを浮かべながら再度訊いた。

オプティック「お前は、誰だ…?」

何処の馬の骨ともわからない人間がその出来事を知っている事にオプティックは疑問に思いながらも不愉快に思っていた。

一瞬、その事件について知って駆けつけた野次馬かと思ったが、それにしては雰囲気といい様子が違う。

シャドー「申し遅れた。俺はシャドー、暗黒四天王の一人」

シャドーは自身の素性について名乗った。

オプティック「馬鹿馬鹿しい」

先程からあからさまにふざけていると思ったオプティックは呆れながらすぐにその場を去ろうとした。

シャドー「フン、逃がすものか」

そう言いながら片手で印を結んだ次の瞬間、オプティックの動きが止まった。

オプティック「な、なんだ!?」

当然、非現実的な事にオプティックは驚いた。

シャドー「ふざけているなどと思うが、俺は本気だ」

すると、シャドーは暗黒玉を持つもう片方の手を掲げた。

暗黒玉から黒い霧が溢れ出て、触手のように伸びる。

霧はラミアの墓を掘り上げ、その亡骸を捕らえた。

オプティック「おい!やめろ!」

シャドー「蘇らせると言っているだろ」

声を荒らげるオプティックとは対称的にシャドーは落ち着いていた。

亡骸が闇に包まれ、肉体を形成する。

オプティック「ふざけるな!何を言って…!」

振り返りながらシャドーを睨むオプティックだが、闇の中にあるものを目にした瞬間、抗議していた言葉が途切れた。

そうして闇が晴れるとそこには人の姿をした女性がいた。

赤い瞳の眼に桃色のツインテールが特徴の明るい容姿に白のシャツと黒のズボンの上に赤のロングコートを羽織っているといった服装をしていた。

オプティック「ラミア?…ラミア!」

一瞬疑うが、紛うことなき、それはラミアであった。

それはオプティックが誰よりも一番に理解していた。

ラミア「そうだよ!おにーちゃん!」

明るく振る舞うラミア。

それを聞いてより確信したオプティックは涙を流しながらラミアに抱きついた。

オプティック「本当だ!本当にラミアだ!」

オプティックは泣きながらラミアの復活を喜んだ。

ラミア「ちょ、ちょっとおにーちゃん…苦しい……」

苦しい様子でラミアが掌でオプティックの身体を叩きながら訴えた。

オプティック「あ、あぁ…悪かった」

それに気付いたオプティックは謝りながらラミアから離れた。

ラミアの顔を見たオプティックは微笑みながら彼女の髪を撫でた。

シャドー「どうだ?これで信じて貰えたか?」

シャドーは二人の中に割って入り、話を進めようとした。

オプティック「あぁ、突然だし、色々と有り得なくて、まだ受け入れにくいが、ありがとう」

オプティックはシャドーに頭を下げた。

ラミア「アタシも蘇らせてくれてありがとー!」

ラミアも頭を下げた。

シャドー「問題無い。さて、二人はこの世が憎いか?」

雰囲気が変わり、冷たく低い声でシャドーは二人に問いかける。

ラミア「うん、憎い」

オプティック「…あぁ、俺もだ」

それを聞いて驚くオプティックだが、ラミアの意見を聞いて、それに賛同した。

すぐに答えた事におかしいと思っていたが、その反面ラミアを、オプティック自身を見捨てたこの世を恨んでいるのは事実であった。

シャドー「ならば、私と協力しろ」

そう言うとシャドーはオプティックに闇を纏わせた。

すぐに闇が晴れると、服装が大きく変わっていた。

青のラインが入った黒の仮面を装着し、青のシャツと黒ズボンの上に青がかった黒ジャケットを羽織っていた。また両手には黒の手袋を付け、両足には黒の靴を履いていた。

シャドー「宜しく頼むぞ。ラミア、オプティック」

シャドーの言葉に二人は跪いた。

先程までの仲良い兄妹とは別に様子が変わってしまっていた。


その頃、ブラックと牙禅、そしてライトは突如として現れた青い亀裂から姿を現した。

牙禅「着いたみたいだな」

ライト「そう、みたいですね…」

辿り着いた三人は辺りを見渡していた。

そこはネオンといった電気を使う装飾が付けられた都市であり、浮遊する乗り物や空中に映し出されたホログラムで構築された映像などがある。

正しくテクノロジーや文明が発展した未来都市であった。

ライト「ここが…別世界!」

ライトは初めての光景を目の前に純粋無垢な子供のように目を輝かせていた。

ブラック「凄い国だな…」

逆にブラックは落ち着いてはいるものの、少し困惑していた。

ブラック「兎にも角にも欠片を回収しなければな」

ライト「そうですね、牙禅さんも…」

そう言いながら牙禅の方へと振り向くと、知らない光景に呆然とする彼の姿があった。

ライト「が、牙禅さん?」

牙禅「なんなんだ、あの飛ぶ何かは…」

ライトが牙禅の顔の前で手を振るも、反応せずに得体の知れないモノに対して衝撃を受けていた。

ブラック「おい、この中で誰よりも驚いているぞ…」

同情はしつつ呆れていたブラックは牙禅の肩に手を置いた。

牙禅「…みっともないところを見せたな」

我に返った牙禅は恥ずかしさのあまり赤面になりながら咳払いをした。

ライト「あはは…こればかりは仕方がないですよ」

牙禅の意外な一面を見て、ライトは笑いながら牙禅を庇った。

ブラック「俺もまだ慣れていないしな…」

そう言うとブラックは単独で動いて何処かへと消えた。

ライト「ブラックさん…」

そんなブラックを見て、ライトは心配した。

牙禅「やはり心配か」

ライトに近付く牙禅。

ライト「はい、ガロンさんが亡くなってからブラックさんが無理しているみたいに思えて…」

内に秘めた不安を牙禅に打ち明けた。

ライト「僕だってこの状況に慣れてないですし、僕に限らずみんなもそうだと思っています。だけど…」

俯くライトに牙禅は彼の頭に手を置いた。

それに気付いたライトは牙禅の方へと顔を向けた。

牙禅「気持ちはわかるが、考え過ぎだと思うぞ」

牙禅はライトの隣を通り過ぎ、ライトは彼を追うように身体を向けた。

牙禅「俺もまだ慣れていない。だが、それはそれでこれはこれだ」

牙禅もライトの方へと振り向く。

牙禅「俺達の任務は侵略者である暗黒世界の怪物を倒し、欠片を回収する事だ。行くぞ」

ライト「…!はい!」

その言葉で決意を抱いたライトは牙禅と共に行動し、激龍の欠片を探索し始めた。


その為に二人は長い間、街中を歩いていた。

ライト「なかなか無いですね」

ライトは辺りを見渡しながら欠片を探していた。

牙禅「心眼でも駄目そうだ。だが、思い当たる節はある」

すると、牙禅は足を止めた。

ライト「節?」

ライトは振り返りながらその事について詳しく訊ねる。

牙禅「先程、剣があのゴブリンを倒した後、欠片が現れた。つまり、欠片はあの怪物の中にあるという事だ」

ライト「怪物を倒せば欠片が手に入る…でも、なんか変じゃありません?」

ライトの言葉に牙禅は反応する。

牙禅「やはり、ライトも思っていたか」

ライト「欠片は暗黒世界を倒せる最強の力なのに怪物の中にあった。けど、害は無い。水の中に火があるとか地球の重力に沿って落ちるはずの林檎が浮上するみたいに矛盾してるんですよ」

ライトは自論を述べた。

牙禅「そうだな。どういう絡繰か、何の理由があってかはわからないが、念の為警戒した方が良さそうだな」

それを聞いて牙禅は同意し、そう注意した。

ライト「…」

しかし、ライトは疑問に思っていた。

仮に激龍の欠片と暗黒の怪物が何かしらの要因、法則、理由があったとて頼まれた未来にどんな思惑があるのかを

ライト「そう、ですね」

疑心暗鬼ながらも無理矢理納得させようとしたその時だった。

「ちょっといいか?」

突如、目の前にいる人が牙禅とライトに声をかけられ、瞬時に二人は目を遣った。

そこには黒髪に蛇の如く鋭い黄色い眼の男前な容姿に黄色のラインが入った黒のロングコートを羽織り、黄色い稲妻が牙のような軌道を描いた黒のマフラーと黄色のラインが入った黒のバンダナが特徴の男とその仲間らしき人達がいた。

「こちらAA(ダブルエー)のリーダー ガルナ・カイルだ」

バンダナとマフラー、黄色い蛇目が特徴の男 ガルナは自身と率いている仲間達について名乗った。

牙禅「何の用だ?こちらは探し物をしている」

当然、知らない人物達に警戒する牙禅は両手に波動を纏わせた。

ガルナ「まぁまぁ、待ちな。こちらに敵意はねぇ、本人確認の為に身分証明書を見せてくれねぇか?」

二人に頼み事をするガルナ。

牙禅「そんな事をしている暇など…」

ライト「わかりました」

拒否しようとする牙禅を抑え、ライトは了承し、懐にあった電子手帳をガルナ達に見せた。

牙禅「大丈夫なのか?」

ライト「大丈夫です、この人達は悪い人じゃないと思います」

それを受け取るガルナを他所に牙禅はライトに訊ねるが、ライトはそう断言した。

ガルナ「ライト・イートルね、そこの獣耳青バンダナも見せてくれ」

ライトについて大まかに理解したガルナは牙禅に対して催促した。

牙禅は警戒しつつも、ガルナに電子手帳を渡した。

ガルナ「感謝するぜ」

ライトの手帳を返し、手にした牙禅の手帳に目を通す。

ガルナ「雷牙 牙禅、よしありがとう」

そうして目を通し終えたガルナは牙禅の手帳も当の本人に返した。

ガルナ「お前らで間違いないようだな」

すると、ガルナは歯を見せるような笑みで、二人を見るようにして答えた。

牙禅「どういう事だ?」

ガルナの言葉を聞いた牙禅は理解できなかった。

ガルナ「皆まで言うな、先客が教えてくれたからよ」

そう言うと、ガルナの背後から大きな体格の人物が姿を現した。

ライト「貴方は!」

牙禅「そういう事か、納得した」

二人はその人物 雷郷 雄助を見て驚愕した。

雷郷「そうだ!超正義執行人(スーパーヒーロー)の私が来た!」

雷郷は黒髪に黄色眼の容姿に黄色のラインが入ったロングコートのような黒装束を身に纏っていた。

ガルナ「この面白ぇヒーローさんから事情は聞いた、是非協力しよう」

ガルナはライトに握手を求めた。

ライト「感謝します」

ライトは頭を下げた後、ガルナと握手した。

ガルナ「しっかし、あのヒーロー随分と面白ぇタイプだな!ああいうの好きだぜ」

ガルナはニヤニヤしながらライトに耳打ちをした。

ライト「あ、ははは」

それを聞いたライトは苦笑いを浮かべた。


場面は変わり、薄暗い一室にて。

「こいつは悪だ、許しちゃいけないなぁ」

パソコンモニターの光に照らされた男がキーボードを打った後、エンターキーを押した。

「のうのうと生きやがって…制裁だぁっ…!」

送られた文章は有名人に対する誹謗中傷であった。

『人様に迷惑かけやがって!お前みたいなクソ野郎は被害者である女達に金払ってとっとと死ね!』

その内容はあまりにも不適切であり、暴言は勿論、それ以前にこれは信憑性の無い情報を知った上で行ったものであった。

そんな誹謗中傷に物申すコメントが付けられた。

「なっ!何が『根も葉も無い事を言うな』だぁ!?正義ヅラしやがって!」

激昂する男を他所に次々とコメントが付いてくる。

『あれマスゴミが話題作るためにやったやつだろ?そんなの信じるなんて哀れとしか言いようがない』

『こいつ他の人にも誹謗中傷してたよ。人様に迷惑かけてんのお前じゃん、ブーメラン乙』

『通報しておきました』

「こ、こいつらァ…!」

男はそれら全部に目を通していく中、怒りが蓄積されていく。それはあまりにも沸点が低かった。

数秒も経たずに限界を迎えた男は勢いよく机を叩いた。

「ふざけるな!なんでこんな悪人を庇う!何処も!どいつも!世の中が腐っている!僕は正しい!僕が全てなんだ!」

声を荒らげる男。

シャドー「許せないか」

そんな彼の背後にシャドーが現れた。

「だ、誰だお前は!」

当然、見知らぬシャドーに男は驚きながら慌てふためいた。

シャドー「この腐敗した世の中を正したいか?」

シャドーは片手に持つ暗黒玉を掲げた。

そこから黒い霧が溢れると、霧は男の穴という穴から入っていき、全身を包んだ。

「な、なんだよこれ!」

困惑する男だが、突如として苦しみだし、その場で蹲った。

シャドーは画面へと目を遣る。

『こういうのには関わらないのが1番』

シャドー「成程な、さて…」

何かを理解したシャドーは起き上がる男の方へと視線を戻す。

男は鋭い爪と赤い目を持った黒い身体にフード付きのマントと仮面を身に付けた姿へと変わっていた。

その怪物 グールは猫背の体勢でモニターと向き合った。


ライトと牙禅は雷郷とガルナ率いるAAと共に激龍の欠片を探そうと街の中を回っていた。

AAのメンバーは街中にあるホログラムで構築された数枚のパネルを跳び越えたり、一枚のパネルを使って飛行したりしていた。

ライト「あれ、凄いですね…」

雷郷「あれはリネットと呼ばれるモノらしい」

その光景を見て驚くライトに雷郷が答えた。

ライト「リネット?」

ガルナ「現実世界に干渉したインターネットといった方がわかりやすいな。ああいう風にホログラムでなんでも出来るってヤツだ」

リネットについてガルナが説明した。

牙禅「流石だな、此処の技術者は」

ガルナ「まぁな、だが進化する反面、問題が起こった」

関心する牙禅にガルナは意味を含んだ事を言った。

牙禅「問題?」

ガルナ「サイバー犯罪も現実に影響を受けるって事だ。誹謗中傷やコンピューターウイルス、AIの悪用などな」

眉を顰める牙禅にガルナが例をあげて説明をした。

ガルナ「まぁ、こればっかりは仕方が無い。人間って何処までも愚かだからな」

不甲斐なく思うガルナに牙禅はこう述べた。

牙禅「…本当にそうなのか?」

ガルナ「何?」

疑問に思うガルナ。

当然、それはライトも雷郷も思っていた。

だが、牙禅は話を続けた。

牙禅「確かに人は完璧にこなせる程に聖人では無い。だが、何度も同じ過ちを繰り返す程の愚者でも無い。やり直す事だってできる。だからこそ…」

ガルナ「それが素晴らしいってか?面白ぇ考えだな」

牙禅「…だからこそ、人は正せる。過ちもこの先の未来も」

そう言うと牙禅はガルナ達よりも先に進んだ。

ガルナ「愚かだからか…」

感心した様子のガルナ。同じ気持ちのライトは微笑んでいた。

その時だった、空は黒い闇に覆われていた。

牙禅「む、空が…ヤツらが来たみたいだ」

ガルナ「成程な、怪物共のお出ましって訳か!」

次の瞬間、ガルナのところからアラートが鳴り響いた。

ガルナ「なした?!」

耳にあるインカムに手を当てる。

「リーダー!各エリアで原因不明の死体を発見!」

仲間の一人がこのような事を言ってきた。

ガルナ「了解!すぐ向かう!」

だが、瞬時に理解したガルナは返答した直後、インカムから手を離した。

ガルナ「すまねぇ!俺以外のメンバーは各エリアにある死体を迅速に回収!俺と他所から来たヤツらは引き続いて…」

ライト「僕達も行きます!」

ガルナが全員に指示しようとしたが、ライトがそれを遮った。

ガルナ「はぁ!?欠片集めんだろ!?んな事してる暇が…」

当然、ライトの発言に異議を唱えるガルナ。

ライト「もしかしたらその欠片を持ってるかもしれないんです。その事件に関与しているヤツらが」

しかし、ライトが理由を話すとガルナは少し考えた。

ガルナ「わかった。だが、気を付けろよ!お前らがいた世界とはちょっと違ぇと思うからな!」

ライト「了解です!」

牙禅「把握した!」

そうして全員、各地に散らばっていった。


その頃、ブラックは街中を歩いていた。

ネオンやホログラムの光が建物や道路を照らし、人々が行き交い、賑わっていた。

ブラック「………」

その中でブラックは静かに欠片を探そうと周囲に目を遣っていた。

「お前が戦士か」

すると、後ろから声をかけられた。

ブラックは振り返り、声の主を睨みつけた。

ブラック「…誰だ?」

目先にはオプティックとラミアがいた。

ラミア「アタシがラミアでお兄ちゃんはオプティック!そして!」

袖の中から棒状の物を取り出し、展開されていく。

ラミア「アンタは殺されるんだよ!」

それはハンマーとなり、ブラックに振るわんと迫って来た。

ブラック(速い!)

瞬時に後退した。

ラミアのハンマーは空を切り、地面に叩きつけられると地面が割れ、大きなクレーターを創り出した。

ブラック(あれに当たったらひとたまりも無いな…!)

戦慄するブラックに青く光る四芒星の形をした刃が飛行して、接近する。

すぐさまブラックは二つの太刀で弾き返した。

ラミアの奥に目を遣るとオプティックがおり、彼の周りに先程の光の刃が幾つもあり、公転していた。

ブラック(遠距離か…しかし、あれは一体……)

ラミア「よそ見してて良いのかなー!」

オプティックの能力について思考するブラックを他所に懐に入ったラミアがハンマーを振り上げた。

ブラックは二つの太刀で防ごうとするも、平に打ち付けられる。

ブラック「ぐっ…!」

遠くへと吹き飛ばされるブラックは地面に打ち付けられ、そのまま倒れる。

ラミア「やったー!お兄ちゃん!アタシやったよ!」

ラミアはオプティックに満面な笑みとピースサインを向けた。

オプティックは何気無い様子で見つめる。

ブラック「………」

ふらつきながらもブラックはラミアの方へと睨みながら立ち上がると、二つの太刀の頭同士を連結させ、弓を生成する。

ラミア「ん?あれー?まだ死んでないの?」

彼に気が付いたラミアは不思議そうに首を傾げる。

折れた腕や肋などが復元し、外に出た血も体内に戻る等、ブラックの身体はみるみるうちに再生していった。

オプティック「確か、ヤツは悪魔を宿しているんだったな」

ラミア「だからああいうのができるの?チート過ぎー」

冷静な態度を崩さない様子で思い出したオプティックとその事に気付き、文句を言うラミア。

ブラック「そう…!」

生み出した赤い矢を弦に番え、ソニックブームを発しながらそれは放たれた。

その時、オプティックの目が青く光る。

オプティック「そうか」

すると、ラミアの前に現れ、瞬時に光の刃を展開させる。

刃は大きく広がり、バリアのように張り巡らされた。

一方、一つだった赤い矢は複数に分離し、ラミア達に襲いかかる。

しかし、バリアにより赤い矢はラミア達には届かず、代わりにバリアが硝子のように砕けた。

次の瞬間、なんとブラックは接近し、オプティックの懐にいた。

ブラック「油断したな…」

弓を解き、元の二つの太刀を両手に握り締めていた。

ブラック「ハァッ!」

そうして振り上げられた一つの太刀がオプティックの胴体を斬り裂いた。

オプティック「ぐっ…!」

血飛沫の代わりに闇の霧を吹き出しながら苦痛な表情を浮かべるオプティックは後ろによろめく。

ラミア「アンタッ!よくもお兄ちゃんをォッ!!」

激昂したラミアはハンマーを両手に握り締め、ブラックに接近する。

ブラックは二つの太刀を合体させ、両手剣へと形を成した。

振り下ろされるハンマーだが、両手剣でそれを往なす。

そのままブラックは流れるように旋回し、ラミアの顔面に蹴りを入れた。

ラミア「あぁっ!」

揺らめくラミア。その隙を逃さず、ブラックは攻撃を続けた。

すぐに太刀を分離させ、その一つをラミアに向けて振るう。

オプティック「ラミアァァァッ!」

光の刃がブラックに襲いかかる。

ブラック「ぐっ…!」

それに気付いたブラックは太刀の軌道を変更し、光の刃を弾いた。

その時、ブラックが足を捕らえた何かに引っ張られた。

ブラック「なんだ…!?」

下へと目を遣ると、そこには大きな蛇の尾があり、巻かれていた。

そのままブラックは遠くへと投げ飛ばされ、建物の壁に打ち付けられた。

ラミア「見てよ!お兄ちゃん!凄い!こんな事も出来ちゃったよ!」

ラミアはオプティックに尻尾を見せ、誇張するように振った。

オプティック「!?…凄いな、ラミアは」

オプティックは知らなかったのでそれに驚きはするも、ラミアの事を褒めた。

ブラック(なんだ?あの尻尾、元から暗黒世界のヤツらだとは本能的に理解はしていたが、姿を変えれるのか?)

膝をつきながら考察するブラックは二つの太刀を連結させ、弓を創り出した。

ラミア「さーて、さっさと殺っちゃおうか!」

そう言うと、ラミアから黒い闇が放たれ、全身を包んだ。

その時、ブラック達の戦場に誰かが現れた。

ラミア「ん?何さ」

気付いたラミアは放つ闇を解き、そちらに顔を向ける。

そこには上裸のグールがいた。

その身体は黒く、赤い眼が彼らを睨んでいた。

しかもグールは一体だけでは無く、二体、三体と大勢いた。

オプティック「誰だ、こいつらは」

ラミア「あー、アタシ達の仲間みたいね」

身構えるオプティックだが、察知したラミアが笑うように伝えた。

ブラック(参ったな、多すぎる…)

不利だと思いながらもブラックは生成した赤い矢を番えるようにして構えた。

グール達がラミア達に近付き、ラミアは声に出して笑ったその時、彼女の首を噛み始めた。

ラミア「ぐぅっ!?な、何すんのさ!」

痛みのあまり苦痛で顔を歪めたラミアは尾でグールを捕らえ、遠くへと投げ飛ばした。

だが、数体のグールがラミアに寄って来るようにして襲いかかる。

ラミア「な、なんなのさ…!」

オプティック「貴様ら!ラミアに手を出すな!」

ラミアはグール共を追い払おうとハンマーを振るい、激昂したオプティックは光の刃でグールを斬り裂いた。

ブラック「なんだ…?」

突然の仲間割れに驚くブラック。

グールA「不公平…だよなァ…?」

グールB「悪に裁きを…」

グールC「殺…す……」

数体のグールからそんな言葉を零した。

ラミア「アンタら、いい加減にしろよ!」

すると、再度ラミアから闇が放たれ、身に包まれた。

黒い巨体に鋭く赤い眼、蛇のような下半身と鋭い爪が特徴の容姿へと変化した。

グールA「文句言うなよォ…!」

数体のグールがラミアに飛びかかってくる。

ラミア「シャァァァァァッ!!」

そんなグールの軍勢をラミアは鋭い爪で斬り裂いた。

グールB「いでぇ…」

グールC「ログアウトォ…」

グールは肉片に、それも粉々となって消えていった。

グールD「傷付けるの良くねぇなァ…」

グールE「てか、こいつキモイ」

別方向からその他のグールが現れ、ラミアに迫る。

ラミア「ギャアアアアアア!!!」

そいつらも巨大な尻尾で薙ぎ払い、鋭い爪で尽く斬り裂いた。

ブラック「…仲間割れか?だが、何故?」

幾つかの疑問が過ぎるも、一旦この場から離れようとした。

だが、一部のグールがブラックに近付いてきた。

グールF「それ、銃刀法じゃね?捕まるじゃん」

グールG「はいOUTなんで死、あるのみ…」

ブラック(なんだ?さっきから人に対して言っている…)

二つの太刀を分離させ、それらを構える。

グールG「死ねぇッ!!」

二体のグールが襲いかかるが、ブラックは二つの太刀で命脈を断ち斬った。

ブラック「本当になんなんだ、こいつら…」

ブラックはグールの言動、その思考に対して理解が出来なかった。


時は少し遡り、ガルナは現場に駆け付けていた。

そこは人のいないマンションの一室であるが、電気は付けっぱのままだった。

ガルナ「あんま良い気がしねぇな…」

その中でガルナは嫌な予感がし、警戒しながら電源の付いたパソコンに歩み寄った。

ガルナ「動画でも観てたみたいだな、しかも配信者の…」

画像を目にしたガルナはそう呟いた。

モニターには動画配信サービスのサイトが開かれており、コメント一覧に表示されていた。

動画の内容は配信者のゲーム実況であったが、映像が動いていなかった。まして言えば配信者の声すら聞こえなかった。

多くのコメントの中に誹謗中傷に該当するコメントが一つあった。

ガルナ「やっぱ、こういうの消えねぇよな…」

そう言いながら、空きっぱなしの窓へと目を遣る。

そんなガルナの背後にグールが現れ、襲わんとするばかりの体勢でいた。

だが次の刹那、グールの脳天を弾丸が貫いた。

その直後、銃声が遅れて鳴り響いた。

ガルナ「いんのは知ってんだよ、ボケ」

ガルナは振り返りながらハンドガンを向けていた。

その銃口から煙が放たれ、彼が撃ったのだとひと目でわかる。

グールの遺体が消える中、ガルナは窓に近付き、そこから外を見渡して状況を確認する。

そこにはグールの群れがおり、こちらを見上げていた。

ガルナ「暗黒世界(余所者)が…余計な事すんじゃねぇよ」

そう言いながらガルナはホログラムで形成されたパネルを操作し、そこからスナイパーライフルが現れた。

スコープを覗きながら照準を合わせた。

ガルナ「AAリーダー!ガルナ・カイル!怪人の大群を狙い撃つ!」

そう言うとガルナは引き金を引いた。

銃口からは光線が放たれ、グールの群れの一部を消し去った。

残りのグールが迫る中、ガルナは続けて引き金を引き、何十体のグールを射殺した。

一直線に走る光線は稲妻の如く宙を翔け、灰色の肉体を貫くようにして消滅させていた。

ガルナ(こんだけの数がいるって事は親がいるな)

ガルナは撃つのを止め、スナイパーライフルを収納した。

ガルナ「ならよ!」

それと交代するように二つのマシンガンライフルを両手に持った直後、窓から身を投げて高く跳んだ。

宙を舞うガルナを目で追うグールに対してガルナは銃口を向け、連射した。

実弾の雨が落雷の如く降り、グールの身体を貫いた。

足場となるスペースが現れると、ガルナは両足にホログラムを纏わせながら無事に着地する。

続くように瞬時にガルナは自身を回転しながら連射し、グールを撃ち抜いた。

弾丸は一発も外す事無くして、その場にいたグールは全滅した。

二つのマシンガンライフルがホログラムに包まれて消えるように収納された。

ガルナ「その親を探さねぇとな!」

ガルナはホログラムで造られたパネルに乗り、上昇して飛行した。


そうして現在、各地でグールが暴れている中でその他AAのメンバーも討滅していた。

AAメンバーA「くたばれ!怪物がァ!」

小太りの大男 カイハチがミニガンでグールとダークアイを蹴散らす。

カイハチ「くっそ!多過ぎんだよ!」

弾が切れた事により、旋回していた砲身が止まり、蒸気を発していた。

その瞬間を逃さず、グールとダークアイは襲いかかるが、別のAAメンバーにより斬り裂かれ、無意味に終わった。

AAメンバーB「仕方無いね、さっきガルナから誹謗中傷を見た人間が襲われ、入れ替わるようにグールが現れるって通信が来ましたもん」

それは暗い顔で痩せ細った男 サゴによるものであった。その手には鍔の無い太刀が握りしめられていた。

グールH「なんで俺達を殺すんだよ、やるなら…もっといるだろうが!!」

一体のグールが襲いかかるが、瞬時に片手に持った振動剣で断ち斬った。

サゴ「知らないよ、そんなの」

雷郷「我らは貴様らに害を及ぼす存在を討滅するだけだ!」

二人はグールにそう返した。


一方で牙禅とライトは建物を飛び移るように移動していた。

牙禅「被害が増していく一方だな」

ライト「そうですね、早く止めないと…」

この現状について危機感を持っている二人。

ガルナ「おい!テメェら!」

そんな二人にパネルに乗って飛行するガルナが現れた。

ライト「ガルナさん!」

ガルナ「恐らく親がいる!んで、コメントの発信源を逆探知して居場所がわかった!」

ガルナはライト達にそう伝えると端末を見せるようにして位置情報を教えた。

牙禅「相変わらず、凄いものだな」

平静を装いながらもその内心では驚いており、感銘を受けていた。

ライト「助かります!すぐにでも…」

言いかけたその時、何かの気配を察知した牙禅はすぐさまライトを引き寄せた。

ライトと牙禅の足元にある影から突き上げようと黒い剣先が現れた。

次の瞬間、牙禅達はその場から姿を消し、少し離れたところへと移った。

ライト「牙禅さん!一体何が!?」

牙禅「気を付けろ!恐らく今までのヤツらとは違う!」

突然の事に驚くライトとは対称的に牙禅は気配について警戒していた。

ガルナ「おい!大丈夫か!」

牙禅「来るな!」

近付こうとするガルナに牙禅は大声で制止した。

「流石は戦士、いや青獣族の生き残りか…」

すると、三人に誰かが近付いた。

牙禅「…貴様、何奴だ?」

その人物 シャドーを睨みながら波動で生成した槍を構えた。

ライトは光の直剣を生成し、ガルナもスナイパーライフルを召喚させ、共に構えた。

シャドー「私は暗黒四天王が一人、シャドーだ」

下卑た笑みを浮かべながら自身について名乗った。

牙禅「暗黒四天王だと?」

ガルナ「なーに?その厨二病センス。なんか一昔前の俺に刺さりそうなんだけど」

その言葉について二人は触れた。

シャドー「暗黒四天王、我ら暗黒世界に君臨する幹部とでも言えば良かろう。名の通り強者だ」

かなり自信があると言わんばかりにシャドーは抜刀した片刃剣を手にし、それを牙禅達に向けた。

牙禅「ライトとガルナはグールを止めに行け、俺はこいつを倒す」

そんなシャドーを前に牙禅は身構えながら二人に頼んだ。

ライト「…わかりました」

心配に思うライトだが、牙禅を信じる事にした。

ライト「お願いします!ガルナさん!」

ライトはガルナに向かって走り、手を差し伸べる。

すぐさまガルナはその手を掴んだ。

シャドー「影画(カゲエ)…」

シャドーは片刃剣を引くと、足元にある影から黒い大蛇が現れた。

大蛇は刃に取り憑き、その形を変えた。

シャドー「蛇突(ジャトツ)!」

片刃剣を突き出すと、刀身は伸びて、ライトに襲いかかる。

だが、牙禅はそれを波動の槍で弾いた。

牙禅「させんぞ!」

シャドー「ほぅ、こいつは面白い!」

敵意のある冷たい表情を向ける牙禅に対し、シャドーは相変わらず下卑た笑みを浮かべていた。

シャドー「影画 鋏蟹(ハサミガニ)!」

引いた刃を振るうと、蛇から蟹の鉗へと形を変えた。

直後、シャドーは牙禅に急接近する。

シャドー「貴様を斬り刻んでやろう!」

鉗の刃を突き出し、波動の槍を捕らえた。

牙禅「影の能力か、だがそれでは最早なんでもありだな!」

足に波動を纏わせ、シャドーの脇腹に蹴りを入れた。

それを受けたシャドーは後退りながら唸るが、効いた様子では無かった。

シャドー「なんだ?随分と良いなァッ!」

接近して間合いに入った瞬間、片刃剣を横に薙ぎ払う。

だが、牙禅は伏せてそれを回避した瞬間、片手に波動を溜めた。

牙禅「波動弾ッ!!」

それをシャドーの腹に目掛けて突き出すと、シャドーは衝撃を受けながら吹き飛んだ。

シャドー「これが青獣族の力とでも言うのか!」

関心しながら迅速に身体を旋回させ、片刃剣を牙禅に向けて投げる。

それを牙禅は後退するように回避した。

刃は牙禅の足元にある影に突き刺さったその時だった。

牙禅「何?」

牙禅の身体がまるで金縛りにあったかのように動かなくなった。

シャドー「影画 鎖犬(クサリイヌ)だ。最早、貴様は従順な獣だ」

牙禅は正面へと目を遣ると、そこにはシャドーがおり、片手には影の如く黒い鎖が握られていた。

牙禅「…癪だな、生きようと独り逃げたあの頃を思い出す」

牙禅の脳裏には過去の出来事が流れた。

氷でできた角を持った鬼のような男から逃れようと走り、故郷から出て、独りだった自分を捕らえて人身売買しようとした商人達の事を

牙禅は眉間に皺を寄せ、血管が浮き出たりと物凄い形相をシャドーに向けた。

牙禅「この鎖は忌々しい…怒り心頭だ!」

静かな怒りを込めながらそう言い放った。

シャドー「左様かッ!」

片手に持った鎖を引っ張ると、牙禅の身体は引っ張られていく。

牙禅「はあああああッ!!」

牙禅は金縛りを解こうと全身に力を入れた。

シャドー「無意味な事だ!」

引っ張る方とは真逆の手が開くと、足元の影から現れた片刃剣を手にする。

それで牙禅を両断するつもりだった。

牙禅「はァッ!!」

だが、牙禅の金縛りが解けた。

開くように動いた両腕と両脚、シャドーが持つ鎖が砕けたのが何よりの根拠である。

シャドー「なんと!!」

マズいと思ったシャドーは片刃剣を振るった。

だが、牙禅は瞬間移動で刃を回避し、シャドーの懐に入った。

牙禅「慢心とは愚か!」

拳を握りしめたと同時に発現した波動を纏ったそれを心の臓に突き出した。

シャドー「ゴハァッ!!」

衝撃を受けたまま後ろに吹き飛び、そのまま壁に打ち付けられたシャドーはうつ伏せになって倒れる。

牙禅「…なかなか手強かった、早く向かわねば」

ライト達のところへと向かおうとしたその時だった。

牙禅の足から血飛沫が舞った。

牙禅「ぐッ…!」

苦痛に歪む牙禅はそのまま膝をついた。

牙禅(なんだ!?何故脚が!!)

奇怪な現象に驚く牙禅。

シャドー「ここまで追い詰められるとは想定外だった…」

すると、牙禅の背後から片刃剣を杖のように支え、傷だらけの身体を起こした。

シャドー「青獣族、やはり我々にとって危うい存在だ」

すると、全身から現れた黒い霧が彼を中心にして渦巻く。

疲弊したその身体は癒えていき、受けた傷も何もかもが再生されていくように治っていく。

牙禅「再生能力…!?」

シャドー「俺達は普通の生き物とは違うからなァ…」

片刃剣を片手に下卑た笑みを浮かべながら驚く牙禅に歩み寄った。

シャドー「さて、何処を狙ってやろうか」

楽しそうな様子で剣先で足、手、背中といったところを指しながら選んでいる。

シャドー「そこかッ!」

そうしてシャドーの刃は牙禅の左肩を突き刺した。

牙禅「ガァッ!!」

苦痛で顔を歪めながら声を上げる牙禅。

シャドー「良い苦しみだ…」

下卑た笑みを浮かべながらその刃を引き抜き、次に刺す場所を再び選び始めた。

牙禅「何故だ、トドメはささないのか?」

牙禅の問いかけにシャドーはこう答えた。

シャドー「何を言うか。すぐに仕留めるのも悪くないが、こっちの方が趣味でな。それに先程あんなにやられたのだ。それ相応の仕返しをしても文句はなかろう?」

言い終えると、また刃を後ろに引く。

シャドー「そこまで言うのならばトドメを…」

そうして心臓を突き出そうとしたその時、シャドーの真横からグールが迫り来るようにして現れた。

シャドー「何ィッ?」

それに気付いた瞬間、グールはシャドーにぶつかり、共に吹き飛んだ。

牙禅「一体、何が…」

ブラック「随分とボロボロみたいだな…」

突然の出来事に理解出来ていない牙禅にブラックが着地して現れた。

牙禅「ブラック!?」

驚く牙禅にブラックが近付いて来た。

ブラック「交戦しつつ移動していたらお前がいた…」

そうして腕時計にあるモニターを操作して、召喚した回復薬を牙禅に飲ませた。

すると、斬られた足や突き刺された肩が瞬時に治っていき、牙禅は立ち上がった。

牙禅「感謝する。隊長が事前に備えていてくれたものか」

ブラック「あぁ…」

そんな二人を他所にシャドーはグールを退かし、立ち上がる。

シャドー「邪魔者が増えたか…」

グールI「お前、暴力を振るっ…」

面倒そうになるシャドーに近付くグール。

それが微かながらも彼の逆鱗に触れたのか片刃剣でグールを両断した。

グールI「なんでェ…」

シャドー「黙っていろ、邪魔でしかない部外者にして弱者が」

塵となって消滅し、空に還るグールに対してシャドーは睨みつけていた。

牙禅「気を付けろ。ヤツは手強い」

ブラック「わかっている…」

二人はシャドーに警戒しつつ牙禅は波動の槍を、ブラックは二つの太刀を構えた。

そんな両者の間に巨大な影が落下してきた。

それにより辺りに粉塵が舞い、視界が覆われた。

牙禅「今度はなんだ?」

ブラック「来やがったか…」

二人はシャドーに向けていた警戒をその影へと変えた。

困惑する牙禅だが、ブラックは既にわかっているようであった。

粉塵が晴れると、そこには影の正体である暗黒の怪物となったラミアがいた。

彼女の片手にはグールが握りしめられており、肩にはオプティックがいた。

ラミア「ギィヤァァァァァァァァ!!」

ラミアの咆哮が周囲に鳴り響いた。

牙禅「なんだアイツらは?」

ブラック「あの紫髪とゾロゾロといるヤツらの仲間だ…」

咆哮により真っ直ぐに伸びている獣耳を両手で抑える牙禅と不快だと言わんばかりの様子であるブラック。

ラミアの咆哮が止むと、手に握られたグールが言葉を発する間も無く潰された。

オプティック「殺す、壊す、全て…何もかも…ッ!」

鬼の形相で念仏を唱えるオプティック。

牙禅「激しい復讐に呑まれているな」

ブラック「そうみたいだな…」

すると、二人は一気に駆け出した。

ブラックはシャドーに、牙禅はラミアとオプティックへと突っ込み、戦闘態勢に入った。

シャドー「悪魔の子かァ…ッ!」

シャドーの片刃剣にブラックの双剣が互いに振るわれ、そのままぶつかる。

空間を振動させるような金属音が鳴り響いた。

ブラック「何故、俺達の事を…!」

ブラックがそのまま押し進んだ事によりシャドーは後退る。

シャドー「言うつもりは無い!知りたければ力でねじ伏せてみせろ!」

すると、シャドーの背中から黒い両翼が生え、周囲に強風を起こした。

ブラック「鷲か…!」

風により吹き飛ばされるもなんとか着地し、弓を形成する。

シャドー「影画 鷲翼(シュウヨク)!」

浮遊するシャドーは翼を羽ばたかせると数枚の羽根を飛ばした。

それを見たブラックは瞬時に走り出した。

襲い来る羽根が地面に突き刺さるが、ブラックが辿った軌道を追うように迫る。

ブラックは一本の太刀を引き抜き、刃の向きを変えて再度連結する。

ブラック「行けッ!」

投擲したそれはシャドーに接近するが、彼はそれをすんなり回避し、ブラックの方へと急降下していった。

シャドー「武器を捨てるとは、愚かな…!」

片刃の切っ先をブラックの心臓に目掛けて、そのまま突き刺した。

シャドー「さぁ!楽に逝けッ!」

ブラック「それで死ぬと思うか?」

愉悦に浸っていたシャドーだが、ブラックが放った言葉により戦慄した。

シャドー「馬鹿な!?何故、心臓を突いても生きている!?」

ブラック「悪魔の力を、侮り過ぎたな…」

退こうとするシャドーだが、ブラックが片手で抱え、もう片方の手で手に持っていた糸を引っ張った。

すると、投げられたはずの二つの太刀がシャドー達の方へと迫り来る。

シャドー「自身を犠牲にしてまで俺を殺すか!」

ブラックの策略を瞬時に察したシャドーはそれが異常で狂っている事に大笑いした。

次の瞬間、シャドーの全身が黒く染まり、影に溶けるようにして消えた。

ブラック「影なら出来るだろうな…」

ブラックは向こうから来る二つの太刀を見据え、糸を持つ手を離した。

懐に来た双剣を手にすると、分離させて二刀流の構えを取った。

直後、ブラックから少し離れたところにある影からシャドーが現れた。

シャドー「…やめにしよう」

すると、シャドーがそんな事を言い出した。

ブラック「なんだと?」

当然、それを聞いたブラックは静かに驚いた。

シャドー「殺しようの無いヤツと殺り合ったところで時間と労力の無駄だ、私はガザールとは違う」

そう言いながら片刃剣を鞘に納めると同時に背後から闇のゲートが現れた。

ブラック「させるか…!」

すぐに生成した赤い矢を番え、それを放った。

だが、それよりも速くシャドーはゲートの中に入って消えた。結果、矢は空を切った。

ブラック「…暗黒四天王、かなり手強い相手だった」

そう呟きながらラミアの方へと目を遣った。


同時刻、牙禅はラミアとオプティックの二人と交戦していた。

牙禅「波動弾・散!」

牙禅が印を結ぶと周りを囲っていた数多の波動弾がラミアに襲いかかる。

ラミア「ギィヤァァァァァァァァ!!」

直撃すると同時に爆発が起こり、周囲に粉塵が広がる。

オプティック「やめろォッ!ラミアを傷付けるなァッ!!」

気が狂っているオプティックは光の刃を操作して、粉塵を払ったり、迫り来る波動弾を防いだりしていた。

その隙に牙禅は波動で槍を生成し、それを片手に地を駆けるようにしてラミアに接近する。

牙禅「ハァァァッ!!」

槍をラミアの巨体に突き刺し、そのまま力を入れて押し込む。

すると、黒色の肉は焼き斬られ、進む度にそれは大きくなる。

ラミア「ギィヤァァァ!痛い!痛いヨォォォ!!お兄ちゃぁぁぁぁぁん!!!」

泣き喚くように叫ぶラミア。

そんな牙禅に光の刃が四方八方と迫り来る。

オプティック「ラミアをいじめるなァァァ!!」

牙禅「瞬ッ!」

刃が牙禅を突き刺そうと襲いかかるが、それは分身であり、直ぐに消えた。

オプティック「なんだと!」

牙禅「波動槍(ハドウソウ) 痺雷針(ヒライシン)!」

驚愕するオプティックの背後に牙禅が姿を現し、青い稲妻が迸る波動の槍を投擲した。

オプティック「ガハッ…!」

槍はオプティックの身体を突き刺し、ラミアの肩から落ちていった。

ラミア「お兄チャン!!」

ラミアはオプティックを助けようと手を差し伸べるが、物凄い衝撃波と共に放たれた赤い矢がそれを阻止された。

ラミアは睨みながら矢が来た方角に目を遣る。

ブラック「お前を狩る…!」

そこにはブラックがおり、数本の赤い矢を番えていた。

ラミア「貴様ァァァァァ!!」

怒りで理性を無くしたラミアは手で勢いよく地を這うようにして迫り来る。

ブラックはそれらの赤い矢を放ったが、避けられた事で全て外れていく。

ラミア「ハンッ!当たらねェ…!」

牙禅「そいつはどうかな?」

鼻で笑い、豹変した口調のラミア。

だが、そんな彼女の背後に両手で波動を溜めている牙禅がいた。

牙禅「波動弾!」

溜めたそれをラミアに向けて放つと、圧縮した波動はラミアの心臓部に直撃し、貫通した。

ラミア「ギャアアアアアアア!!!」

ラミアは断末魔を上げながら塵となって浮上して消えた。

オプティック「ラミアァッ!」

ラミアに手を差し伸べながら叫ぶオプティック。

そんな彼にブラックが双剣を構えながら近付いて来る。

オプティック「貴様!よくもラミアを!ラミアは僕の大切な妹だったんだぞ!」

泣き叫ぶオプティック。

牙禅「妹、か…それにしてはその魂はあまりにも歪だったぞ」

オプティック「なんだと!?」

牙禅の言葉にオプティックは信じられず、疑問に思っていた。

牙禅「青獣族が持つ心眼は相手の心を読める故に魂の動きや本質さえも読める。あのラミアは貴様とは無関係…つまりは血の繋がりの無い魂だった」

牙禅は淡々とその事を述べる。

オプティック「なんだと、つまり僕はラミアじゃない別の何かを想っていたというのか?」

それを聞いたオプティックは絶望した。

ブラック「敵であるお前に言うのも、この場で言うべきものでは無いだろうが…弟や妹を失った悲しみは理解出来る」

ブラックはオプティックに向けて弓を構え、赤い矢を番える。

ブラック「だから、あの世で一人の妹と会ってやれ…」

引っ張る弦を離すと赤い矢は静かに放たれ、オプティックの心臓を貫いた。

そのままオプティックは瞳を閉じて、闇の塵となって消えた。

牙禅「ブラック、かたじけない事をした」

牙禅はブラックに向けて謝罪をした。

ブラック「…悔やむ必要は無いし、哀れなくてもいい。だが、アイツにはせめて来世で幸せになって欲しいと俺は願う…」

空に還るオプティックだった塵を見送りながら秘めたその心境を本心を口にした。


その頃、ライトとガルナはホログラムのパネルに乗り、飛行して目的地に辿り着いた。

ライト「ここに親が…」

そこはマンションの一室であり、かなりの高さがあった。

ライト「行ってきます!」

ガルナ「気ぃ付けろよ!」

ライトがパネルから跳び離れると、窓を蹴破るようにして室内に侵入した。

グール「…なんだァ!?お前」

モニターと向き合っていたグール本体がライトに驚きながら身体を向けた。

ライト「…貴方を止めに来ました」

光で直剣を生成し、構えた。

グール「止める?なんでだよ?!俺のやってる事は正しい事だ!!」

赤い眼で睨みながら鋭い爪をライトに向ける。

ライト「それ、本気でなんですか?」

そんなグールに対してライトは微かに苛立ちを覚えた。

グール「本気に決まってんだろ?!俺はこの社会に蔓延る悪を浄化する!これは俺に与えられた使命であり、俺だけにしかできない事なんだ!!」

ライトの問いにグールは得意げに自分は間違っていないと言わんばかりに声を荒らげた。

ライト「ふざけないでください!」

その言葉が逆鱗に触れたのかライトは一直線に突っ込み、光の直剣を振るった。

だが、グールはすぐさま後退して回避した。

ライト「貴方のせいで!大勢の人が殺されているんですよ!」

だが、ライトは光の刃を振るい続けた。

ライト「言葉で相手を傷付けて!それの何が正義なんですか!」

グール「これは悪に制裁を下す為だ!悪い者が正義に淘汰されるのが摂理!それが絶対だ!」

ライトの言葉に対してグールは反論した直後、隙を伺ってライトの腹を蹴った。

ライト「ぐッ…!」

苦痛で顔が歪みながらもなんとか耐えて、蹴られたところを片手で抑えた。

その隙にグールは逃亡し、部屋から逃げ出した。

ライト「待てッ!」

痛みが引いたのか、ライトは急いでグールを追跡した。

グール「執拗いなァ!!」

外廊下にいるグールはその前にある落下防止の壁のような策に登り、跳躍した。

ライト「ガルナさん!」

ガルナ「おう!」

ライトの呼び掛けに応じてガルナは瞬時に移動した。

すると、ライトは飛行するパネルの上に乗り、再度グールを追いかけた。

ガルナ「アイツが本体か!逃しゃしねぇよ!」

スナイパーライフルを構え、銃口を飛び移るグールに狙い定める。

ライト「僕に考えがあるんですけど、良いですか?」

だが、ライトがそれを制止した。

ガルナ「なんだ!?」

大声で訊ねるガルナにライトは耳打ちでその事を伝えた。

ガルナ「…了解した、気ぃ付けろよ」

ライト「大丈夫です、伊達に戦士はやってないし牙禅さんの後を追っていませんので」

ライトは片手に持つ光の直剣を握りしめた。


建物を飛び移っているグール。

その先には放送局があり、そこで先の方法と同様にカメラに対して大量のグールを生み出すつもりであった。

強く踏み込んだ一歩で大通りを飛び越え、目的地へと辿り着こうとした。

グール「ぐあぁっ!」

次の瞬間、グールの足を何かが貫いた。

それは光速で電気を纏う弾丸であり、ガルナが狙い撃ったものであった。

激痛に耐えきれなかったグールはそのまま落下し、交差する飛行する車を通り抜けて奈落の底へと落ちていった。

ライト「よろしく頼みました!」

ガルナ「おう!無理すんなよ!」

パネルから飛び降り、グールが落下した道路への向こう側へとライトも降りていった。


そうして無事に着地すると、暗く人気の無い道路が広がっていた。

周囲は建物などに覆われており、先程の近未来のような街並みとはかけ離れていた。

発展した技術により飛行する車が造られた事によりそこには一台も自動車がいなかった。

グール「ク、クソ…!」

ライトが正面の方へと目を遣るとそこには足を負傷していたが故に地面を這いずるグールがいた。

ライト「逃げ場はありませんよ!」

光の直剣を両手に、そのまま突き進むライト。

グール「来るんじゃねェ!」

その事に気付くとグールの負傷した足が肥大化し、そこから粘液のかかった卵が現れた。

グールJ「ギャアアアアアアア!」

グールK「死ねェェェェェェェ!」

すると、卵の殻を突き破るようにして数体のグールのが姿を現し、ライトに襲いかかる。

だが、ライトは光の直剣でヤツらを尽くたたっ斬った。

その隙にグールは負傷した足を再生させ、すぐに立ち上がった。

両断された二体のグールは黒い塵と化して消滅した。

ライト「一つ訊きます。貴方はなんで悪に制裁を下すと称してこのような事をしてるんですか?」

グール「アァン?」

ライトの問いかけに理解出来てないグール、そこでライトは続けて話した。

ライト「僕は貴方が持つ正義…その理由が知りたいんです」

グールに近付きながらライトは刃先と真剣な眼差しの双方を向けた。

グール「理由だと?悪いヤツは裁かれて当然だ!これの何が間違っている!?この世は法で裁けない悪が蔓延っている!政府も社会も何もしようとしない!これは社会貢献だ!正しい行いなんだ!」

グールは鋭い爪を振るって光の直剣を弾き飛ばした直後、ライトの首に噛み付いてきた。

だが、ライトは片手でそれを受け流した。

ライト「貴方のやっている事は間違っている!それは正義でも社会に貢献している訳でもない!」

そう言いながら光の直剣を再度手にし、振り下ろした。

だが、グールはバク転してそれを回避した。

ライト「それで傷付き、自ら命を絶った罪の無い無関係な人はどうするんですか!?」

ライトは真剣な表情で声を張り上げながら強く訊ねた。

グール「そんなの知らねぇ!言われてるのはそいつが悪い事したからだ!その悪が裁かれたならそれは賞賛されるべきだ!傷付き、死ぬのはそいつがネガティブだからだ!俺は悪くない!!」

ライトの問いをグールは真剣で本気な表情で一蹴するようにして答えた。

それは傲慢且つ無責任で情けないものであった。

ライト「なんだと…?」

直後、その発言はライトの逆鱗に触れ、衝撃を受けたのか動きが止まった。

彼の脳裏には友達だったジルを失った過去の出来事がフラッシュバックした。

だが、ライトは落ち着こうと光の直剣を顔の前に置き、深呼吸する。

グール「何やってんだよ!ガキィッ!」

隙ありだと思ったグールはライトに急接近した。

ライト「ハァッ!」

次の刹那、光の刃がグールの胴体を斬り裂いた。

グール「あぁっ!ああああああああぁぁぁ!!!」

グールは血飛沫の代わりに黒い塵を放ちながら痛みのあまり喚き散らした。

ライト「…許さない!貴方だけは!」

ライトは怒りの形相を浮かべながらグールを睨んだ。

そのまま間髪おかずに光の直剣を手にグールに近付く。

グール「な、なんだよ!間違ってるとでも言いたいのか!?」

そうほざくが、その発言もライトの逆鱗に触れた。

正確には言葉は届かず、まだ怒りで満ちていたのだ。

再度光の刃を振るい、グールの手を切断した。

グール「ギィヤァァァァァァァァ!!」

切断面から血飛沫の如く黒い塵が舞い、悲鳴を上げた。

ライト「無責任過ぎます!いくらなんでも!!」

光の直剣は瞬時に拳銃へと形を変え、脳天に一発、心臓に五発と弾丸を撃ち抜いた。

グール「アギャアッ!」

弾痕から血飛沫が舞うグールだが、それでもライトに襲いかかる。

ライト「言葉には言霊っていうのがあるんです!生かす事も殺す事も出来れば!希望にも絶望にもなる!それもわからずに貴方は!!」

しかし次の刹那、光の直剣を振るった事によりグールの首が飛んだ。

ライト「報いを受けてください!名も無き人ならざるもの!」

地面に転がるグールの首へと目を遣りながらそう言い放った。

グール「な、なんでだ…!そんなんじゃ悪がのさばり!表現の自由が無くなるだろ…!どうやってこの世を正すんだ!誰がそれを行っていくんだ!!」

黒い霧を放ちながら身体が消えていく中でグールはライトに苦言を呈した。

ライト「それは僕達やガルナさん達がやる事だと思います。後、発言も何もかもめちゃくちゃです。」

そう返すとライトはグールに近付いてきた。

ライト「表現の自由は…確かに、僕の言っている事ややっている事はだとは思います。誰が人のやる事にどう言う権利なんて無いと思います。けど、だからって理由で誰かを傷付けて良い理由にはならないし、野放しにしてもいけないんです…」

直剣の形をした光は拳銃へと変形させて、それをグールの脳天に狙いを定める。

グール「た、頼む…!助け…!」

何も出来ない自分とこれから殺される事に恐怖するグール。

ライト「僕は誰かを傷付けて殺める為の絶望じゃなくて生かす希望として使っていきたい」

それを他所にライトは引き金を引き、グールにトドメと言わんばかりの光弾を放った。

射抜かれたグールは一言も発さないまま消滅した。

ヤツの身体から激龍の欠片が落ちて、現れた。

そんなグールを見届けたライトは腕時計に顔を近付けた。

ライト「こちらライト。怪物を倒し、欠片を入手しました」

そしてガルナにこの事を伝えながらしゃがんで欠片を手にした。

その後、グール達は全員消滅して、ライト達はガルナ達AAに感謝を述べて別の世界へと旅立った。


場面は変わり、自身らの住処である暗黒世界に辿り着いたシャドーは数歩先に進むと、その足を止めて跪いた。

シャドー「ただいま帰還しました、魔王様」

シャドーの目の前には玉座に居座る大きな影がいた。

「そうか、よくやったな」

その影は二本の角に紫の単眼、紫色のマントといった特徴を持っていた。

魔王「それでどうだ?君が相対した戦士について」

シャドー「はい、かなりの強敵かと…特にあの青獣族と悪魔の子は」

魔王「青獣族…確か、我々の天敵に近しい存在だったか」

シャドー「申し訳ありません、仕留め損ないました」

魔王「気にする必要も気に病むことは無い、いずれにせよ倒さねばならないからな…もしかしたら、他の四天王が倒してくれよう」

一息ついた魔王が再度、口を開いてこう言った。

魔王「特に鬼が、期待してるよ。ガザール」

その時の魔王は何処か楽しそうな様子であった。

次回 第拾漆話 「荒廃した世界と獄炎の鬼」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ