第拾伍話 「並行する別世界」
この物語はフィクションです。
実在の人物・団体・事件とは一切関係ありません。
青一色の電脳空間にて、剣は飛んで移動していた。
剣(常識を覆す程の想像以上な話を聞かされた訳だが、与えられた任務は果たさないとな。世界が滅ぼされる訳にはいかない…)
その中で剣は色々思うところはあるものの、改めて決意した。
メビウス「つ、剣…」
剣「なんだ?」
メビウスの語りかける声により剣が振り返る。
メビウス「やべぇ…気持ち悪くなってきた…」
そこには今にも吐きそうな様子で顔色が青白くなったメビウスがいた。
剣「なっ!?大丈夫か!?ここ船とか酔う場所じゃないぞ!?」
メビウス「俺もわかんねぇよ…!ウプッ…」
驚愕する剣にメビウスはもう限界に近かった。
剣「後もう少ししたらたどり着く!辛抱しろ!」
メビウス「剣…それ、後どんくらいかかるんだよ…!!」
剣は顔真っ青なメビウスの手を取り、急加速し始めた。
何処かの世界にて、路地裏の壁から青い亀裂が現れた。
直後、そこから剣とメビウスが姿を現した。
剣「着いたぞ」
メビウスは四つん這いとなり吐いた。
剣「まさか、メビウスが…」
心配な表情でメビウスを見た後、辺りを見渡した。
剣(見た感じ街っぽいな、俺達がいた世界と比べて何も変わっていないと思うが…)
そう思いながら剣は路地裏を出た。
そこに広がっていたのはクロノスの街であった。
メビウス「あら?戻ってきちゃった?」
調子を取り戻したメビウスもその光景を見て、疑った。
剣「…いや、俺達は別世界にいる」
だが、剣はそう返すと左の方へと顔を向けた。
メビウス「どういう事?」
発言の真意を理解していないメビウスを他所に剣が見ている方へと向く。
そこにはクロノス社本部の建物があった。
すると、剣はその建物に向けて歩き出した。
メビウス「え?マジでどういう事?」
困惑した様子でメビウスは剣に着いて行った。
しばらくすると、二人はクロノス社に近付き、辿り着いた。
メビウス「は!?何これ!?」
看板を見たメビウスは驚愕した。
そこに記していたのはシリウス社…つまりは、クロノス社の前の名前であった。
剣「時間は並行していて、街並みも雰囲気もどれも同じだが、完全な別世界という事か」
剣は自論を述べた。
メビウス「もしかして、パラレルワールドってやつ?」
剣「そうなるな」
メビウスの問いに剣はそう返した。
「おい貴様ら!シリウス社に何の用だ?」
すると、銃口を向ける人が現れ、そう訊ねてきた。
剣とメビウスはその人物に目を遣る。
メビウス「え!?」
それを見たメビウスは驚愕していた。
なんとそこにいたのは隊員となったドレイクであった。
「なんだ!用件を答えろ!」
だが、ドレイクは彼らの事を知らなかった。
メビウス「なんで隊員やってるの!?捕まって懲役刑受けてたんじゃないの!?」
メビウスはドレイクを揺すりながら訊いた。
ドレイク「ええい!やめろ!貴様の事など知らん!というか!私は犯罪など断じてしない!」
ドレイクはメビウスを振り払う。
剣「メビウス、その件と俺達の事を知らないのは当然だ」
肩に手を置いて、メビウスを抑えた。
メビウス「あ、あぁ…それもそうだったね…」
我に返るメビウスを他所に剣はドレイクに近付いた。
剣「先程は無礼な事についてお詫びする。シリウス社の人に頼みたい事があるんだ」
剣は頭を下げた後、懐から激龍の欠片を取り出し、それをドレイクに見せた。
剣「こんなのを見なかったか?」
そして、欠片について訊ねた。
ドレイク「そんなモノは知らないが、英雄か隊長に訊いてみるか?」
ドレイクは剣達にそう提案した。
メビウス(え?英雄?)
剣「是非、ご協力感謝します」
剣はドレイクの提案に応じた。
剣達はドレイクに案内され、シリウス社内を移動していた。
剣「ドレイク、一つ訊きたい」
すると、剣が突然こう言い始めた。
ドレイク「なんだ?」
ドレイクは正面を向いたままであった。
剣「英雄といったが、それは俺の親父…いや、邪光 斬希で合ってるか?」
剣は質問の内容を伝える。
ドレイク「そうだ。なんだ?知らないのか?」
ドレイクはその質問に答えた後、剣を不思議に思った。
メビウス「んじゃあさ、ムゲンとエメラは?」
続けて来たメビウスの問いにドレイクは足を止めた。
ドレイク「その二人はもういない。どちらも尊敬できる人だった」
そう言うとドレイクは再度、歩を進めた。
メビウス「そう、それは残念だったよね…」
メビウスは寂しそうな顔を浮かべると、懐から瓶を取り出した。
そこには粉々に砕けたエメラルド宝石があった。
剣「あまり落ち込むな、メビウス」
メビウスに優しく微笑みかけて、肩に手を起く様にして慰めた。
メビウス「ま、そうだよね。分かりきっている事だし、俺達の世界にはもう…」
メビウスはそう決意すると二人は再びドレイクの後を追いかけた。
そうして戦士室に辿り着いた。
ドレイク「失礼します!彼らが貴方に頼み事があるとの事です!」
ドレイクは扉を開けた後、敬礼しながら報告した。
「そうか」
背中を見せる男がそう返すと、剣達の姿を見ようと振り返った。
剣はその姿を見て、驚愕のあまりを目を大きく開けた。
「御苦労だった、後は俺が全て引き受ける」
その人物は剣の父親 斬希であった。
先が黒い深紅の髪に赤い瞳を持った鋭い眼、黒い衣服の上に内側が深紅の白のロングコートを羽織っていて、赤のハチマキと赤のマフラーが特徴。また腰には帯刀があり、そこに太刀を納めていた。
その姿は何処と無く剣と似ていた。
剣「親父…」
ふと、そう呟く剣に斬希は目を遣る。
斬希「二人の名は?なんと呼べばいい?」
斬希は二人に訊ねた。
メビウス「ヒカリノ メビウスです!」
剣「…剣だ」
斬希は二人の名を聞いて何かを思った。
斬希「メビウスに剣か…懐かしいな」
斬希は優しそうながらも何処か寂しそうな目をしていた。
メビウス「懐かしいって?」
その言葉にメビウスは首を傾げた。
斬希「いや、失礼した」
斬希は咳払いをして、先程の発言を撤回した。
斬希「用件を聞こうか」
そうして剣達に用件を伺った。
剣「あぁ、これについて何か知らないか?」
そう言うと剣は懐から欠片を取り出し、斬希に見せた。
斬希「随分と綺麗な欠片だな…俺は知らないがな」
すると、斬希は部屋を出ようと扉に向かった。
剣「何処へ?」
当然、剣は斬希に訊ねた。
斬希「事情聴取だ、寛ぐなり好きにしろ」
そうして斬希はこの場を去った。
メビウス「なんだ?剣の親父さんって随分と暗いのね」
メビウスは斬希についてそう述べながら、剣の方へと目を遣る。
剣「いや、恐らく何かあったのだろう」
そう言うと剣は斬希の後を追っかけた。
メビウス「なんか勘づいてそう」
メビウスもついて行く事にした。
その頃、何処かの地下室にて机を前に頭を抱える男がいた。
「おのれ…!正義組織がァ…!よくも我が首領を!よくも我らの野望を…!」
一本に縛り、伸ばしていた後ろ髪と黒メッシュが特徴の銀髪に黒眼の老いた容姿と黒シャツの上に白衣を羽織り、銀色のネクタイと眼鏡をかけた男 パズズは正義組織に対して恨みを抱いていた。
パズズ「ヤツらがいなければ!こうも逃げる事も惨めに生きる事も無かったのにィ…!ヤツらなどいなければァ…ッ!」
机には薬品や生き物の亡骸をホルマリン漬けにしたカプセルなどがあり、それを前にしてパズズ恨み言を述べていた。
「お困りみたいですね」
そんなパズズの背後に誰かが現れた。
パズズ「何奴!正義組織か!!」
パズズは怯えた様子で銃口を突きつけた。
「僕はそんなヤツらじゃないさ」
そこにいた人物は両手を上げて、敵意が無いことを示した。
そこにいたのは白髪に青眼の青年であった。
パズズ「ならば証明してみろ!貴様が正義組織では無いと言う事を!」
パズズは声を荒らげていた。
青年「困ったな…手っ取り早いのがあるけど、嫌なんだよな」
青年は気に入らない様子で姿を変え、自身の正体を明かした。
その姿は黒い身体に骨のような甲冑を身に纏い、赤い目が特徴のものへと変わっていた。
パズズ「化け物か!」
パズズはそう吐き捨てながらも正義組織では無いとわかるや否や構えていた銃を下ろした。
青年「それ嫌いなんだよなァ!」
青年だった怪物 スケルトンはパズズの発言が逆鱗に触れたのか声を荒らげながら彼に近付くと、そうしてパズズに骨で創られた太刀を向けた。
スケルトン「否定はしねぇが、ぶっ殺すぞ!!」
スケルトンは怒気を放ちながら脅した。
パズズ「わかった!私が悪かった!申し訳ない事をした!お前は美しくて強い!」
パズズは慌てた様子で命乞いをする様に謝った。
スケルトン「最初からわかればいいんだよ!」
スケルトンは武器を下ろし、青年へと姿を戻した。
スケルトン「しかし、美しく強いか…最高の褒め言葉だ」
すると、満更でも無い様子でスケルトンは笑い始めた。
パズズ「ところで、貴様はなんなのだ?…現状だと敵という判断になるのだが」
パズズは呆然とした様子で訊ねた。
スケルトン「そういやそうだったね。私はスケルトン!暗黒の骸骨騎士!」
それを聞いたスケルトンは声高らかに名乗った。
パズズ「暗黒…その二つ名的にシリウス社のモノでは無いな、聞いた事が無い」
パズズは近くにある椅子に腰掛けた。
スケルトン「ご理解していただき感謝する。では、本題に移りましょう」
スケルトンは再度パズズに歩み寄り、顔を近付ける。
スケルトン「貴方は正義組織に対して膨大な恨みを持っている、人はそれは復讐或いは怨嗟と言う」
不気味な笑みを浮べながら語り始めた。
パズズ「…そうだ、私はアイツらが憎いとも」
パズズは拳を握り締め、憎悪の目を浮かべた。
スケルトン「やはり私の目に狂いはない。そこでなのですが…」
すると、スケルトンはパズズに手を差し伸べた。
スケルトン「壊滅する為にも協力しませんか?私には秘策があるのですよ」
スケルトンはそう提案した。
パズズ「面白い!ヤツらとて貴様らのようなモノは想定外だろう!ただし、一つ条件があるがよろしいかな?」
スケルトン「なんでしょう?」
すると、パズズはスケルトンにその条件について話した。
スケルトン「…良いでしょう!実にやり甲斐がある上に対策できるだろう!」
スケルトンの答えにパズズは差し伸べた手を掴んだ。
場面は戻り、シリウスの街。
剣「すみません、こういう欠片を見ませんでしたか?」
「いえ、見た事ありません」
メビウス「光る水色の欠片、見なかった?」
「知りません」
戦士達は市民達に声をかけ、欠片について訊ねていた。
しかし、全員がこのように答え、何の成果も得られていなかった。
メビウス「困ったなぁ…訊いても訊いてもわかんないだの知らないだのばっかでどーしようもねぇ…」
メビウスは愚痴りながら剣に近付いた。
だが、剣はそれを他所に斬希を見ていた。
疑問に思ったメビウスは剣と同じ方へと目を遣る。
そこには黙々と歩き回る斬希がいた。
メビウス「何してんだろ?剣のお父さん」
剣「…気配を感じ取っているのか」
メビウスの疑問に剣が答えた。
メビウス「え?出来んの?」
その事にメビウスは驚くも剣は話を続けた。
剣「親父の特技だ。それにあの欠片には神様がいる、恐らくわかるのだろう」
剣は自身の推理を交えながら斬希についての事を話した。
メビウス「なぁ?前々から思うけど、なんで親父呼び?何かされたの?」
メビウスは剣の言葉…特に斬希に対する呼び方について疑問に思っていた。
すると、剣はため息をついた。
剣「…そう呼ぶよう頼まれた」
メビウス「え?」
訳が分からなかったのかメビウスは唖然とする。
剣「呼び方や響きがかっこいいからという理由で親父と呼んで欲しかったとの事…そこで毎度呼ぶ事になって、慣れてしまった……」
剣は呆れた様子で語りながら脳裏に大爆笑しながら喜ぶ斬希の姿を浮かべていた。
メビウス「面白いキャラしてんな、アンタの親父さん…」
それを聞いたメビウスは苦笑いしていた。
ふと、何かに気付いたのか斬希の方へと顔を向き直した。
メビウス「そんなキャラなのに、ここだと違うのな」
メビウスは剣から聞いた斬希と今の斬希があまりにも乖離していた事について疑問に思っていた。
剣(親父、まさかここだと…)
剣は何も言わなかったが、内心では違和感の正体に気付いてきた。
斬希「そこか…」
すると、何かを感じ取った斬希が突如として走り出した。
メビウス「うおっ!?急かよ!!」
メビウスは斬希を追跡し、それに気付いた剣もメビウスに続いて走り出した。
斬希「そこか…」
その時、空は闇に覆われた。
そうして走り始めてから数分後、斬希は足を止めた。
斬希「その中にあるか…」
斬希は抜刀をし、その太刀を構えた。
「おやおや、よく此処がわかりましたね!」
斬希の前に二つの影が駆け寄る。
そのうちの一つはスケルトンであり、もう一つは至る所にある巨大な口を持った黒い怪物であった。
斬希「漸く欠片を見つけた。闇が混じっていて手こずった上に不快だったがな」
斬希はしかめた顔で言葉にした。
スケルトン「左様ですか…私はスケルトン、そしてこちらの醜いのはマンイーターでございます」
スケルトンは自身と怪物 マンイーターについて紹介した。
その時、剣とメビウスは追いつき、その場に到着した。
剣「暗黒世界か!」
メビウス「こんなところにも来てたのね!」
二人はスケルトン達を見るや否やすぐに戦闘態勢に入った。
スケルトン「ほぅ!まさか戦士共が来るとは!」
彼らの存在に気付いたスケルトンは驚愕した。
斬希「戦士…やはりそうだったか」
斬希は今のやり取りの中で完全に理解した。
スケルトン「何?」
斬希「アイツは俺の息子だ!それも別世界から来ている!」
斬希の言葉に剣は我に返り、心の何処かで感動していた。
スケルトン「息子だと?まさか別世界で再会するとはねェ…!」
すると、スケルトンはマンイーターに顔を近付ける。
スケルトン「マンイーター、戦士とあの赤髪を殺せ」
耳打ちをしながら指示を飛ばすと、マンイーターは剣とメビウスに向かって突っ走った。
マンイーターが剣の間合いに入る。
すると、剣はすぐさま太刀を片手に振るった。
だが、マンイーターはその図体に見合わない跳躍力を披露した。
剣「そういう感じか…!」
マンイーターは剣の頭上におり、それを察知した剣は全身から放たれた焔を纏った。
マンイーターは腹を下にし、そこには鋭い歯と長い舌を持った口が顕となっていた。
剣「食らう気か…!」
剣はすぐさま後ろに退こうとした。
スケルトン「逃がさねぇよ!」
怪物となったスケルトンが剣に接近し、鋭利で大きな骨の刃を振るった。
剣「くっ…!」
すぐさま太刀を使って、攻撃を防いだ。
メビウス「剣!」
剣を助けようとメビウスも動き、マンイーターを倒そうとしたその時だった。
突如としてマンイーターの真横から接近して来る焔の斬撃が現れた。
斬撃はマンイーターに直撃し、一刀両断した。
マンイーター「グギィィ…!!」
マンイーターは上部と下部に分かれ、落下していく。
スケルトン「なっ!?マンイーター!?」
突然の出来事にスケルトンは驚愕する。
剣(今だ!)
そう確信した剣は骨の刃を押し上げた。
剣「焔技 灯火ノ太刀!!」
すぐさま焔を纏った刃を瞬時に且つ勢い良く振り下ろした。
スケルトン「ぐっ…!」
スケルトンは斬られ、装甲に傷がつくも致命傷には至らなかった。
スケルトン「テメェ!良くも僕の美貌で至高にして崇高な身体に傷をつけやがったな!」
スケルトンは傷を見て、激昂した。
剣「戦いだからな、そんなに嫌なら来なければ良いだろ…」
剣は太刀を構えながらそう言う。
スケルトン「五月蝿い!私は最強にして最高!この白き鎧は崇高なるモノの証!そんな鎧にこんな穢れを!傷を!」
スケルトンは剣にそう言い放った。
剣「…面倒臭いな、お前。そんな異形な姿で何が最強にして最高だ?何が崇高なるモノの証だ?俺からすればただ倒すべき敵だ」
剣の発言がスケルトンの逆鱗に触れた。
スケルトン「貴様ァ!!!」
スケルトンは巨大な骨の刃を持ちながら剣に接近した。
剣「お前の弱点は予測済みだ!」
剣もスケルトンに接近した。
先に仕掛けたのはスケルトンであり、骨の刃を地面に叩きつけるように振り下ろした。
その攻撃を剣は跳んで回避し、刃の上を駆けながら接近した。
スケルトン「なんだと!!」
剣「ハァッ!!」
驚くスケルトンを他所に剣は片手に持った太刀を突き出し、焔の刃をスケルトンの頭部を貫いた。
スケルトン「ぐっ!焼けるように熱い!」
剣「どんな生き物でも頭部さえ斬れば命の灯火を消せる!」
直後、剣はその刃を横に振り、スケルトンの頭部を斬り裂いた。
スケルトン「ぐあああああっ!」
やられたと言わんばかりに断末魔をあげたスケルトン。だが…
スケルトン「馬鹿め!」
スケルトンは下卑た笑みを浮かべながら左手で剣を捕らえた。
剣「くっ…!」
スケルトン「僕達は生き物でも暗黒の怪物!頭を壊せば倒せるとでも思ったか!」
スケルトンは骨の刃を剣の首に突きつける。
スケルトン「甘いんだよ!」
スケルトンが刃を引こうとしたその時だった。
ヤツに焔の斬撃が飛んで迫って来た。
スケルトン「くそっ!」
スケルトンは剣を手放し、後退する様にして回避した。
メビウス「剣!大丈夫か!?」
メビウスは落ちていく剣を抱え、安否確認をした。
剣「あぁ!問題無い!…あの怪物は?」
剣はメビウスに訊ねた。
先程飛んできた斬撃が斬希のモノである事を察知し、メビウスがいるのを把握したところマンイーターがどうなったのかと疑問に思った。
メビウス「大丈夫!アイツは倒した!というか、アンタの親父さん、めちゃくちゃ強いぞ?!」
メビウスは剣にそう伝えた。
時は遡って、数秒前。
斬希とメビウスはマンイーターと睨み合っていた。
メビウス「アイツ、気味わりぃな」
メビウスは青く染り発光する両手足改め装備していたガントレットを構え、そこからはオーラが炎の如く燃え上がっていた。
だが、斬希はそんなメビウスを太刀で制止した。
メビウス「斬希さん?」
斬希「俺に任せろ」
斬希はメビウスより前に出て、マンイーターに近付く。
マンイーターは口を大きく開けて、雄叫びを上げた。
口内の向こう側にはこちらを覗く赤い目があった。
斬希(生き物は頭を殺ればなんとかなるというのが普通の考え方…だが、こいつらの場合は違う。闇が濃い部分…)
斬希はマンイーターを睨みながら気配を感じ取っていた。
全体を見渡した直後、ヤツの腹部を凝視した。
そうしてマンイーターの核となる部位を発見した。
斬希「それか…!」
斬希は両手で太刀を握りしめ、顔の前で構える。
斬希「焔技…」
斬希がそう言った直後、マンイーターが接近して来た。
一歩踏み出す事に重い音が鳴り響き、地割れが発生する。
メビウス「やべぇ!親父さん!」
危機的状況であるのと、何もしない事に我慢の限界だったメビウスが斬希を助けようと走り出したその時だった。
全身から現れた焔が斬希自身を包み込んだ。
その焔に触れたマンイーターは激しく吹き飛び、燃え移った。
マンイーターは断末魔の様な叫びをあげながらのたうち回る。
メビウス「なんだ!?」
今起こった出来事に驚愕するメビウス。
そして、彼が斬希に目を向けた時、衝撃の光景を目にした。
斬希「武装 紅焔龍鎧!」
包まれた焔が翼のように広げ、そこから龍の形を模した焔の鎧を身に纏った斬希の姿が顕となった。
メビウス「なんだあれ!?めっちゃかっけぇのが来た!」
それを見たメビウスは興奮し、目を輝かせた。
斬希「良いだろ?」
それを聞いた斬希はドヤ顔を浮かべながら返した。
憤慨するマンイーターは腹部の口から舌が現れ、斬希の方へと伸ばした。
当然、隙を見せる事も見逃す事も無く、斬希は焔を纏った刃でマンイーターの舌を斬った。
マンイーターは痛いと言わんばかりの叫びをあげた。
斬希「成程、痛覚はあるのか」
斬希は刃を横に向けながら太刀を構えた。
斬希「焔技 火斬翔!」
刃を横に振るい、そこから焔の斬撃が勢いよく放たれた。
痛みが治まったのかマンイーター斬撃を避けようと身体が分裂した。
メビウス「なっ!?増えた!?」
一体だったマンイーターは8つとなり、斬希に襲いかかる。
7つは斬希の鎧を食い尽くさんと言わんばかりに手や足、胴体といったところへと齧り付いてくる。
そしてもう一体は斬希と少し距離を取り、嘲り笑う。
斬希「やはりか…さてはお前、頭良くないだろ?焔技…!」
斬希がそう唱えた次の刹那、纏う焔の鎧が光出した。
そして、齧り付くマンイーターの分身を全焼させ、灰と化した。
斬希「浄火!」
そして、斬希は片手に持つ太刀と共に最後のマンイーターの元へと歩み寄る。
圧倒的な強さとその威厳がマンイーターを戦慄させ、本能的に後退りし始めた。
斬希「怖気ついたか、だが…」
斬希が焔の翼を羽ばたかせた次の刹那、彼の姿が消えた。
何処だと言わんばかりにマンイーターは周囲を見渡す。
斬希「もう遅い!」
その言葉により斬希がマンイーターの背後にいた事に気が付いた。
次の刹那、マンイーターの胴体が一刀両断された。
それは体内にあるだろう核にも届き、マンイーターは断末魔のような咆哮と共に塵となって消滅した。
メビウス「す、スゲェ…!あれが親父さんの強さ!」
その強さに感銘するメビウスを他所に斬希は振り返り、剣の元へと向かおうと歩を進めた。
そして、ある程度のところで足を止めると斬希は空間をなぞる様にして太刀を動かし、焔の斬撃を創り出した。
斬希「焔技 火斬翔…」
そして、斬希は静止した斬撃に人差し指を向けた。
斬希「破弾!!」
すると、その人差し指から焔の弾丸が放たれた。
弾丸は斬撃にぶつかると、一体化してそのまま直進していった。
その斬撃は先程剣を捕らえていたスケルトンに当てようとしていたのだ。
そして、現在に至る。
メビウス「アンタの親父スゲェよ!」
剣「それは親父に言ってもらった方が嬉しいだろうよ」
剣は斬希の方へと目を遣る。
そこには斬希が繰り出す攻撃を防いでいたスケルトンがおり、あの一瞬で勝敗が逆転した。
スケルトン「おのれ!僕が押されている!?最強にして美しいこの僕が!?」
スケルトンは今自身が置かれているこの現状の目の前で起こっている事実を認めたくなかった。
斬希とスケルトンの差があまりにもあり過ぎる事に
斬希「それ自分で言うとか…」
すると、突然として振るい続ける刃が止まり、斬希は笑いを堪え始めた。
突然の事に困惑するスケルトンは斬希へと顔を向けた。
斬希「ナルシストかよw」
笑いのツボが浅い斬希はスケルトンの発言に反応していた。
スケルトン「何がおかしい!!」
その言動がスケルトンの逆鱗に触れ、骨の刃を振り下ろした。
だが、斬希は焔の翼を羽ばたかせて飛行しながら後退した。
斬希「おっと!俺とした事が、いけねぇな」
すると、斬希は上空で大笑いしていた。
メビウス「アンタの親父さん、笑い上戸なの?」
剣「よく笑ってはいたが、あれで…」
その様子を見ていたメビウスは苦笑いをし、剣は少し呆れていた。
斬希「さて!そろそろ決着をつけようか!」
斬希は刃を掲げた後、円を描くようにして回した。
その過程で幾つものの焔で創られた太刀が斬希の周囲に現れた。
斬希「お前の命運は此処までだ!」
刃が回帰すると12はある焔の太刀がそこにあった。
斬希「さぁ!焔と共に闇に還れ!!
矛先をスケルトンに向けると焔の太刀も同じ方へと向けられ、そのまま接近して来た。
スケルトン「なめるなぁ!」
スケルトンは骨の刃を振り回し、焔の太刀を弾き返した。
だが、全てを防ぐ事など出来ず、二つの太刀がスケルトンの胴体を突き刺した。
スケルトン「ぐあああああ!!」
内側から焼かれるような痛みに悲鳴をあげた。
それだけにとどまらず、六つの太刀はスケルトンの周りを囲うようにして地面に突き刺さった。
すると、それらの太刀から焔が地面を駆け抜け、スケルトンに迫る。
そして、焔がスケルトンの足元に着くと巨大な火柱が現れた。
スケルトン「おのれェ!!さっきからチートすぎんだろ!!」
スケルトンは理不尽とも言える相手の強さに文句を言うようにして叫ぶ。
斬希「お前、戦いを経験した事があるか?」
それを他所に斬希は火柱に歩み寄る。
スケルトン「何を…!!」
斬希「“戦いを味わった事があるか?”と訊いているんだ」
火柱の前に立った斬希はスケルトンを睨みながら再度問いかける。
スケルトン「戦った事があるに決まっているだろ!!故に僕は最強で美し…」
斬希「そうか」
遮ったものの、返答を聞いた斬希は太刀を掲げる。
すると、残った焔の太刀が掲げるそれに集まり、焔の刀身が形成される。
焔の熱が重なり、刀身は白く変色した。
斬希「焔技…」
斬希はその刃先を地に向ける。
次の刹那、斬希はその太刀を振り上げる。
斬希「煌火ノ刃!!」
白き刃は燃え上がる火柱をも巻き込むようにしてスケルトンを一刀両断した。
スケルトン「あんなヤツ…勝てるか…よ……」
スケルトンの身体は浮上する塵となって消えた。
斬希は血振りのような動作をした後、身に纏う焔の鎧を解いた。
剣「あれが英雄と呼ばれた者の真髄…」
剣は斬希の様子を見て、そう呟いた。
斬希が納刀したその時だった。
スケルトン「ふざ、けるな…」
スケルトンの声が聞こえた斬希は振り返った。
剣とメビウスも正面…その下の方へと目を遣る。
そこにはスケルトンと思われる頭蓋骨がひとりでに動いていた。
スケルトン「んなの…いるなんて…この、僕が……」
頭蓋骨の口から黒い手が現れ、引き摺っていた。
手と共に出ている顔は怯えるあまり涙を流す赤い目が顕となっていた。
パズズ「情けないものだな」
そんなスケルトンの前にパズズが現れた。
斬希「ヘリオスの残党!!」
彼を見て誰かとわかった斬希は血相を変え、一度納めた太刀を再度引き抜いた。
剣「何!?」
それを聞いた剣とメビウスは驚き、パズズに対して戦闘態勢に入った。
パズズ「申し遅れた…」
パズズは屈んでスケルトンを手に取り、その身体を起こした。
パズズ「私はパズズ、英雄である君なら知っているだろう?」
パズズは斬希を見ながら嘲笑う。
斬希「…V市街地区で細菌兵器 ヴェノムウイルスを使って大勢の人間を殺した張本人だろ?」
斬希の発言が終えたその直後、メビウスが音速を超える速さでパズズに接近した。
振るわれる青いガントレットをパズズの顔面に打ち込もうとしたが、その攻撃はパズズがスケルトンを盾にした事で防がれた。
スケルトン「なっ!?貴様!!」
パズズ「問題はなかろう?骨といえどもそこまで脆く無いはずだ。少なくとも君ならね」
パズズは笑うもその目は憎悪に満ちていた。
メビウス「アンタ!よくも姉さんを!!」
怒号を上げるメビウス、彼の脳裏には姉 ミノカとの記憶、そしてその最期の姿がフラッシュバックしていた。
パズズ「おや?という事は生きていたのか…ヒカリノの末裔が!!」
平然としたパズズが突如として声を張り上げ、メビウスを押し返した。
メビウス「くっ…!なんで…!?」
それによりメビウスは吹き飛ばされてしまったが、なんとか着地した。
剣「ヘリオスの洗脳…だろ?」
斬希「あぁ、それ故に倍の力を使える。最も自我を持ち、扱えれるようになれれば、よりな…」
剣の考えに斬希は補足を入れてそうだと答えた。
パズズ「まぁ、そんな事はどうでもいい。伝えておこうと思ってな」
パズズは改まってそう言うと、スケルトンを掲げた。
パズズ「これより私はシリウスの街に再びウイルスをばら撒く、それまでせいぜい足掻くといい」
スケルトンの口から放たれる黒い霧がパズズを包んだ。
メビウス「待ちやがれ!」
メビウスが再度走り出し、鉄拳を突き出す。
だが、それよりも前に霧は晴れ、パズズの姿は無くなっていた。
メビウス「野郎!逃げんじゃねぇ!!パズズ!!!」
メビウスは怒りと悔しさのあまり叫ぶ。
その拳は空を切るが、無意味だとわかるとその動きを止めて地に膝がついた。
斬希「剣、一度本部に帰還するぞ」
剣の隣に移動し、そう伝える。
剣「わかった。俺からも訊きたい事があるが、良いか?」
斬希「勿論だ」
そう言うと、剣はメビウスの方へと歩き出した。
その頃、逃げたパズズ達は拠点である地下にいた。
パズズ「さてさて…」
机の上でウイルスを開発していた。
スケルトン「おい貴様!僕を道具のように扱うなど!どういうつもりだ!」
檻のような籠に閉じ込められていたスケルトンはパズズに抗議するように声を荒らげた。
すると、パズズは手を止め、机を勢いよく叩いた。
パズズ「そんな事はどうでも良かろう?しかし、面白いものだなぁ。暗黒玉や貴様らの身体と色々な」
そう吐き捨てるとパズズはスケルトンに顔を近づけた。
スケルトン「き、貴様…!私に対して…!」
パズズ「自惚れが故に周りが見えず、敵の強さも知らずにこのザマ…なんとも哀れだ」
パズズは籠から取り出したスケルトンを手に、持ち上げる。
何も出来ないスケルトンは悔しく、歯を食いしばりながらパズズを睨む事しか出来なかった。
パズズ「だからこそ、有効活用させてもらう。どういう事か君の身体を使えばウイルスを創れるからなぁ…」
実験を再開するパズズはそんな事を言い出した。
スケルトン「ど、どうする気だ…?」
その発言を聞いて困惑し恐怖した。
それに対して狂気的な笑みを浮かべたパズズはスケルトンに目を遣る。
パズズ「言っただろう?有効活用だと…」
それを見たスケルトンは自分は生きれない、死ぬまで利用されると察して絶望した。
場面は戻り、シリウス社本部にて
人気の無い一室に剣とメビウス、そして斬希がいた。
斬希「それで、訊きたい事ってなんだ?」
斬希は首を傾げながら剣の方へと顔を向ける。
剣「親父の息子…この世界の俺ってどうなっているんだ?」
真剣な眼差しを向けながら訊ねた。
剣「それだけじゃない。メビウスのお兄さんにお父さん、他の戦士だって一度たりとも見ていない。だから、答え欲しい」
続けて話した剣は一度訂正し、再度訊ねた。
剣「親父の身に何があったんですか?」
問いの後には僅かな静寂に包まれた。
それを断ち切ったのは斬希であり、流石と言わんばかりにため息を吐いた。
斬希「別世界の剣はだいぶ強くなったなぁ…」
目を瞑りながら俯く斬希は剣に対して感心していた。
そして、次に出た言葉はこうだった。
斬希「剣はあのパズズに殺された」
それを聞いた剣は驚いていた。
剣(なんだと?パズズが?)
メビウス「あのパズズ、そんなに強いの?」(ヘリオス社の洗脳って、それ程…)
斬希「いや、俺達からしたらそこまで力は強くない。だが、ヤツらは優れた技術を有している」
斬希の赤い瞳が剣とメビウスを映し出し、捉えた。
斬希「ヤツはヴェノムウイルスと呼ばれるモノを創り、数箇所の市街地区にパンデミックを起こした。その中で剣とメビウスといった面々は感染し…」
悔しさと怒りのあまり斬希は拳を強く握った。
斬希「…治せずにそのまま死んでしまった」
それでも平然を装い、冷静になる。
しかし、それでもその想いは抑えられず、片手を握りしめながら殺気のオーラを放っていた。
斬希「その中で俺達戦士は市民を助けようとしたが、密かに感染していたらしく亡くなった」
メビウス「待てよ、なんで斬希は死んでないの?」
会話の途中、違和感があると感じたメビウスはそれについて訊ねた。
剣「焔だ、ウイルスは高熱に弱いと言われている。だから、親父は効かなかった…そうだろ?」
それについて剣は自身の考えを述べた。
斬希「その通りだ。死んだ以外にも辞めてしまってりとか色々あった…皆、相当参ったみたいでな」
斬希は辛そうで表情を浮かべながら無念に思っていた。
その気持ちは二人にも伝わっており、斬希に他の戦士達に同情した。
斬希「これが答えだ。さて、話を変えよう」
斬希は隣にある戦士室に向かう為に移動した。
勿論、剣とメビウスは彼の後を追った。
そこで剣達はパズズが引き起こすパンデミックについて阻止する為に会議を開始していた。
斬希「現在、SSFが市民の避難誘導を行っている。そこで俺達はパズズの拠点である地下へと向かう」
斬希は机に敷かれた地図を使って、剣達に説明した。
地図には今、剣達がいるシリウスの街が書かれていた。
剣「何故、地下だと?」
剣はパズズの拠点をどうやって突き止めたのかを訊いた。
斬希「仕入れた情報によると、どうやら出入りしているところを目撃したらしい。身を潜めながら且つこの計画を企てる場所にするには最適だな」
それについての理由を述べた。
メビウス「良いの?どうせなら総出で拠点に突撃して事前に阻止する方が良いと思うけど」
メビウスは自身の案を提示して訊ねた。
斬希「ウイルスの開発期間をより早める可能性がある事、最悪な想定として既に完成してある。その上で誰も救えないし護れない事を理由にこの案で進める事にした。メビウスの考えも悪いものでは無いがな」
剣「しかし、良いのか?まだ会って間もない俺達にその事を話し、協力して」
そう斬希に訊ねると、突然斬希は大笑いをし、それに二人は驚く。
斬希「何、心配無いさ。何故なら俺の息子と相棒の息子だからな!正に最強だろうよ!」
斬希は自信満々にそう答えた。
それを聞いた剣とメビウスは微笑みを浮かべた。
剣「了解した!」
メビウス「そう言ってくれるの、マジでありがたい!」
剣とメビウスは斬希にそう返答した。
斬希「さぁ!行こうか!」
斬希が振り返ると、マントが靡く。
斬希「ヤツらを止めに!」
そうして剣達を背にして、先を急いだ。
剣とメビウスもすぐさま斬希の後を追うように走り出した。
場所は市街地区に変わり、市民達はSSFの隊員達に誘導され、地下へと避難していった。
ドレイク「皆さん!急いで避難してください!大丈夫です!我々シリウス社が安全を保障します!」
当然、その中にはドレイクもいた。
「本当に大丈夫なんですか?」
そんなドレイクに娘を連れた男が不安な様子で訊ねた。
「本当に!私達は助かるんですか!?」
二人は兄妹の関係であり、前のパンデミックにより両親を失った事により怖い思いをしていた。
ドレイク「…大丈夫です」
微かに迷いながらも決断したドレイクは兄にそう語りかけた。
「何を、確証に…」
ドレイク「私達がいます!そして、頼れる英雄がいます!」
兄が不安そうになるが、ドレイクはそう答えた。
その中で剣達は人気の無い市街地区を駆け抜け、パズズのいる拠点へと向かっていた。
メビウス「思うんだけどよ、なんで化学兵器を完成しようとしたところのヤツらがパンデミックなんか起こすんだ?」
ふと、思った事を斬希に訊いた。
斬希「さぁな、悪魔が考える事などはっきり言ってわからない。だが、これだけは言える。」
走る中、一歩を踏み出した直後、その続きを言った。
斬希「ヤツらは必ず止めなければならない」
その言葉を聞いたメビウスは今やらなければならない事を改めて理解したその時だった。
黒い霧が現れ、剣達の周りを囲う。
斬希「なんだこいつらは?」
メビウス「おいおい、めんどくせぇな。KYかよ」
剣「ダークアイだ、先程倒したあの怪物達と同じ敵」
その直後、霧は晴れてダークアイが現れた。
斬希「成程な」
剣の説明を聞いて、周囲にいるダークアイを見て斬希は理解した。
メビウス「なぁ?そこ通して貰えたりとかは…」
そうお願いしながらダークアイに近付くが、ダークアイは容赦無く、鋭くて長い赤い爪を振り下ろした。
当然、メビウスは後ろに下がって、難無く回避した。
メビウス「だよねー、それで通じるならこんな事しないか」
メビウスは面倒くさそうな様子でそう言った。
斬希「剣、メビウス、三つ数えたら突っ走れ」
斬希は抜刀し、焔の鎧を纏う。
剣「…了解」
メビウス「わかったよ」
指示に対して二人はそう返し、構え始めた。
斬希「一…」
すると、斬希が数え始める。
二人は目的地のある正面へと目を遣る。
斬希「ニの…」
斬希は焔を纏った太刀を構えた。
斬希「三!!」
次の刹那、斬希は太刀を振り上げた。
そこから大地を焼き尽くし、空間を斬り裂くような焔の斬撃が放たれ、正面にいるダークアイ達を滅した。
その斬撃に続くようにして、剣とメビウスは飛ぶように走り出した。
対してダークアイ達は攻撃してきた斬希に迫り来る。
斬希「さぁ、頼んだぞ!未来の戦士達よ!」
太刀を横に振るうと、周りには幾つ物の焔の太刀が現れた。
斬希「さて…覚悟しろ!怪物共!」
次の刹那、焔の太刀は襲いかかるダークアイを数体斬り裂いた。
それだけでは終わらず、次々迫るダークアイを斬り続けた。
斬希「お前らが殺そうとする!」
斬希は片手に持つ太刀を掲げる。
すると、数本の焔の太刀が上昇し、瞬時に掲げた太刀を地に突き刺した。
斬希「英雄の真髄を!」
その直後、浮上した焔の太刀も至る所に突き刺さった。
斬希「焔技!」
次の刹那、焔の太刀が光出した。
太刀の形が燃え盛るように崩れ、周囲に渦巻く竜巻へと変わった。
斬希「神裁旋風!!」
斬希を中心に焔の竜巻に巻き込まれたダークアイは灰燼に帰した。
竜巻が止むと、そこにいたのは斬希ただ一人であった。
斬希「討滅完了」
血振りをした後、納刀する。
ふと、塵となって浮かぶダークアイへと目を遣る。
斬希「化学兵器…ホムンクルスと似ているようだが、まさかな」
過去の出来事が脳裏に過ぎるも、とりあえずと切り替え、先に進む事にした。
斬希「だが、もし仮にそうなら何の為に?…一体誰が?」
考える度に謎が増していくが、これは後に知る事になる。
剣「そこまでだ!パズズ!」
その頃、剣達はパズズの拠点へと足を踏み入れ、当の本人と対面していた。
パズズ「おや、どうやら来たみたいだね。戦士では無いのが残念だが」
パズズは振り返り、暗黒玉を手に持っていた。
剣「やらせるか!」
何かすると予感した剣は鞘から引き抜いた太刀を両手に持ち、パズズの間合いに入って勢いよく振るった。
だが、それは何処からともなく現れた直剣により防がれた。
剣「ッ!…どうやら遅かった様みたいだな」
直剣の持ち主を見て剣はまずいと言わんばかりの様子を見せた。
そこにいたのは黒い鎧を纏った大男であり、もう片方の手には騎槍が握られていた。
パズズ「リビングメイル、コイツの名前だ。どうやらこの暗黒玉はコントローラーとしての役割を持つ事も出来るみたいだ」
パズズは暗黒玉に剣を殺すよう念じた。
すると、リビングメイルは持っていた騎槍を突き出す。
剣「陽炎!」
すぐに唱え、焔に包まれて消えた。
そして、メビウスの隣に現れる。
メビウス「やべぇな、早くアイツをぶっ飛ばしてウイルスの製造を阻止しねぇと!」
メビウスの発言を聞いたパズズは高笑いをした。
メビウス「あ?何さ?」
当然、疑問に思う剣とメビウス。
パズズ「製造を阻止?何を言うか」
相手を馬鹿にするような声色でパズズは口を開いた。
パズズ「私はお話に出てくる悪役とは違うさ、何も考えないで計画について話すと思うか?」
すると、パズズは近くにあったスイッチを押した。
直後、空間が振動し始めた。
メビウス「おいおい、まさか…」
剣とメビウスは嫌な予感がしていた。
パズズ「既に完成し、今発射した。もうすぐこの街は滅ぶ。私の創ったヴェノムウイルスによってな!」
パズズは高笑いをした。
メビウス「野郎!」
怒髪天を衝いたメビウスは最大の光速でパズズに接近した。
だが、そこにリビングメイルがメビウスの目の前に現れ、立ち塞がった。
メビウス「アンタに用はねぇ!」
すると、メビウスは残像を出した後、素早くリビングメイルの背後に現れ、再びパズズに接近した。
だが、パズズとメビウスの間にまた巨大な何かが現れた。
パズズ「折角だ、利用させてもらった」
メビウス「すんげぇ腹立つんだけど…!」
その何かを見たメビウスだが、何も動じなかった。
メビウスの前には改造により強化されたスケルトンがいた。
鋼鉄の身体とその中心にある液体が入ったガラス張りにある頭蓋骨が特徴の容姿をしている。
メビウス「なんつー姿だ、ここまで利用されやがってよ!」
声を荒らげるメビウスにリビングメイルが騎槍を突きつける。
剣「させるか!」
だが、それは剣が太刀を振るい、飛ばした焔の斬撃により防がれた。
その頃、斬希は剣達の元へと向かっていた。
すると、突如として鳴り響いた爆発音が空間を振動させた。
斬希「なんだ!?」
音の方向へと顔を向けた。
そこには爆煙が上がっていた。
斬希「爆発…」
そう呟くと、再度正面へと向き直し、そのまま突き進んだ。
斬希「無事でいてくれよ…!」
その中で斬希は不安を感じていた。また息子を失うのでは無いかというそんな不安に
剣「ぐっ!」
騎槍と直剣が交互に襲いかかる中、剣は太刀を駆使して防いだり、身を避けてかわしたりしていた。
剣(こいつ、想像以上に厄介だ!)
剣は苦戦を強いられ、顔を顰めていた。
パズズが持つ暗黒玉さえ断ち斬ればリビングメイルは止まる事は理解しているも、そのリビングメイルが障壁となっている。
騎槍と直剣を両手に、振るうその姿は正しく異質。
並大抵の戦闘者でも至難の業である。
そんなヤツに剣はどう切り抜けるか思考を張り巡らせていた。
その時、リビングメイルの持つ騎槍が上から来た。
剣「ふッ!」
跳ぶように後退して回避。
騎槍は地面を穿ち、亀裂を作り出した。
剣「ハァッ!」
すぐさま焔纏う太刀を振るった。
だが、その攻撃はリビングメイルの片腕だけで防がれてしまった。
剣「こいつ!」
すると、全身から焔が発現する。
そして焔は片足に集まり、それを剣はリビングメイルの顔面に蹴りを入れた。
だが、リビングメイルはビクともせずにこちらへと顔を向けた。
剣「なっ…!」
次の瞬間、リビングメイルが持つ直剣が振り上げられる。
だが、剣は焔に包まれて消えた後、リビングメイルと距離をとり、焔と共に姿を現した。
剣「成程な。スケルトンと同じ原理という事か」
太刀を真っ直ぐ向ける。
その矛先はリビングメイルであった。
剣「つまり、中にいる本体を斬れば倒せる!」
そして、リビングメイルの倒し方を完全に見出した。
剣「焔技 閃火繚乱!」
焔を纏った太刀を両手にリビングメイルに接近した直後、目にも止まらぬ斬撃を繰り出した。
だが、リビングメイルは全身の装甲で防がれた。
剣「一筋縄にはいかないが…」
焔を纏った太刀をリビングメイルに叩きつけ続ける。
すると、ヤツの装甲は徐々に損壊してきた。
剣「効いているみたいだな!焔技…!」
すると、剣は手に持つ太刀を掲げ、勢いよくそれを振り下ろした。
剣「灯火ノ太刀!」
焔が軌道を描き、リビングメイルを斬った直後、リビングメイルは直剣を振り下ろすようにして反撃した。
後退する剣だが、微かながらも胴体に傷をつけた。
剣「かすったが、問題は無い!」
剣が向ける目線の先には傷だらけのリビングメイルがいた。
ヤツの顔からは暗黒世界の怪物であると言わんばかりに赤い眼がこちらを覗いていた。
剣「リビングメイル!お前の憎悪、ここで断ち斬る!」
刃をリビングメイルに向けるようにして太刀を構え、そう言い放った。
その頃、メビウスもゴーレムとなったスケルトンと交戦していた。
メビウス「情けねぇぜ!全くよ!」
突き出される鋼鉄の剛拳を素早くかわし、本体である頭蓋骨を守るガラスに鉄拳を打ち込んだ。
メビウス「自惚れてる方が遥かにマシだって思える程、つまんなくなってしまってよ!」
スケルトンはメビウスよりも速く拳を突き出したりするが、メビウスはより加速していき、回避し続けた。
メビウス「オラァッ!!」
勢いよくガントレットを纏った右手を突き出す。
それによりガラスには限界と言わんばかりの亀裂が生じていた。
その時、スケルトンが纏うゴーレムの背中から二本の腕が現れた。
メビウス「あの野郎、これも専門…」
それを見たメビウスはパズズの技術力かと思っていたが、それは違うと脳に信号が送られた。
メビウス「いや、どっかの残党がやってくれたって方が正しいな」
そう言った次の瞬間、新たな腕が伸びて、メビウスに襲いかかる。
だが、メビウスはすぐさま跳んで回避し、上空を浮遊していた。
メビウス「ゴーレムと戦ったのはこいつで初かもだけど、モハメドならやった事あるぜっ!」
自身の体を旋回させると、全身から青いオーラが放たれた。
回転を止めると降下していき、そのままスケルトンに右足を突き出した。
メビウス「オラァッ!ヒーロー特許の必殺技のキックだよ!!」
そのままメビウスはスケルトンがいるガラスに蹴りを入れた。
すると、ガラスは崩壊し、その足はスケルトン本体に直撃した。
そのままゴーレムは倒れ、頭だけのスケルトンを踏みつけていた。
メビウス「さて、デカくて硬いを何とかしたのは良いけど…」
そう言いながら頭上を見上げる。
そこには空を飛んでいるミサイルがあり、あの中にはパズズが作成したウイルスが内蔵してあった。
メビウス「あれをどーやって止めるかねェ…」
スケルトンの頭部を片手に持ちながら思考を張り巡らせていた。
斬希「剣!メビウス!大丈夫か?」
すると、そこに斬希が現れた。
メビウス「斬希さん、あ…」
彼に気付いた直後、ふとメビウスの脳裏に電流が走った。
メビウス「斬希さん!アンタに頼みたい事あるんだけど、良い?」
それを聞いた斬希はなんだと言わんばかりの表情を浮かべた。
その頃、ガスマスクを付けたパズズはミサイルを見上げていた。
パズズ「いよいよだ、シリウスの街はウイルスにより終わりを迎える」
すると、パズズは懐からロケットペンダントを取り出す。
開くとそこには赤いマントに半分を覆った黒い仮面、片眼の傷が特徴の老人がいた。
パズズ「アザトース様、貴方様の理想郷を築けなかったのは悔やまれますが、敵は打ちます。何卒お許しください」
この場にいない老人改めヘリオス社の首領 アザトースに対してそう言った。
再度、ミサイルの方へと顔を向けた時、パズズの目に何かが映った。
パズズ「なんだあれは?」
凝視するとそこにはスケルトンの頭部がミサイルに向かって飛んでいた。
パズズ「なっ!馬鹿な!まだであろう!?」
何としてでも止めようと駆けつけるパズズ。
メビウス「まだ?もう終わりなんだよ」
だが、そんな男を止めようとメビウスが目の前に現れた。
頭蓋骨がミサイルに直撃すると、空中爆発した。
パズズ「爆発をした!だが、ウイルスを止めるすべなど無い!」
メビウス「果たしてどーかな?」
そう言うパズズだが、メビウスは笑みを浮かべた。
次の瞬間、爆発とヴェノムウイルスが焔に包まれた。
その近くには焔の鎧を纏い、翼で浮遊する斬希がいた。
斬希「焔技 柩!」
そう唱えた次の刹那、包まれた焔から十字架のような突起物が現れた。
すると、焔は消えてなくなり、何事も無かったかのように静まり返った。
パズズ「ど、どういう事だ!何故ウイルスが!」
メビウス「アンタのウイルスは熱に弱い、んで斬希の能力は焔でかなり極められたモノ。そうしてウイルスは死滅したのさ!」
困惑するパズズにメビウスが説明をした。
パズズ「お、おのれ!よくも私の計画を!」
すると、パズズは懐から拳銃を素早く取り出し、メビウスに照準を合わせようとする。
メビウス「遅せぇよ!」
だが、メビウスが懐に入り、パズズが持つ拳銃の手を掴んで阻止した。
メビウス「さて、ギリギリだったがなんとかなった…覚悟しな」
メビウスの身体から青い化身 ソニック・スターが姿を現した。
メビウス「アンタは許されない事をしたんだ」
冷たく鋭い目のメビウス、それを見たパズズの表情は絶望と恐怖で包まれていた。
次の瞬間、ソニック・スターの双拳が目にも止まらぬ速さでパズズの全身を打ち込んだ。
メビウス「オラオラオラオラオラオラオラオラ!!」
無数と錯覚する程の拳に殴られているパズズは白目のまま気絶していた。
メビウス「オラァ!!」
数百発殴られた後、トドメの一撃と言わんばかりに拳をパズズの顔面に打ち込んだ。
そうしてパズズは遠くへと吹き飛び、背後にあった建物の壁に身体を打ち付けられた。
メビウス「…仇はとったよ、姉さん」
そうして能力を解くと同時、ソニック・スターの姿が消えた。
その頃、剣はリビングメイルと戦っており、状況は剣の方が優勢であった。
剣「焔技 火斬翔!十連!」
焔を纏った太刀を十回振るうと同じ数の焔を帯びた斬撃が飛んできた。
リビングメイルは騎槍と直剣の双方で全てを弾き返した。
剣「焔技!」
その隙に剣は構えながらリビングメイルに接近した。
剣「斬!」
次の瞬間、袈裟斬りが繰り出され、その刃はリビングメイルの首を切断した。
だが、リビングメイルの胴体は動き、直剣を振るった。
剣「陽炎!」
そう唱えると剣は焔に包まれて姿を消した。
リビングメイルは中から出た黒い触手で頭を掴み、元に戻すようにくっつけると周囲を見渡したが、剣の姿は見えなかった。
その時、リビングメイルの背後から刃が突き刺さった。
剣「焔技…!」
そして次の瞬間、円を描くように太刀を振るう。
剣「廻!」
その軌道から焔が追うように現れた。
すかさず剣は片手に持った太刀を鞘に納めた。
剣「焔技…」
すると、剣は少し刃を見せるように鞘から太刀を引き抜いた。
そして、居合いにより放たれた焔の刃はリビングメイルの直剣を持つ腕を両断した。
剣「焔刃!」
リビングメイルが断末魔をあげながら騎槍を突き出す。
だが、剣はそれを回避する為、すぐさま跳んで後退した。
斬り落とされた片腕が浮遊し、それが持つ直剣と同化するように形を変え、リビングメイルの欠損した腕に接続される。
それを見た剣は肩に太刀の棟に接するようにして置いて構える。
剣「焔技…」
そうして前に進もうとした次の刹那、剣の姿が消えた。
背後に剣が現れた事に気が付いたリビングメイルが振り返ろうとした。
剣は静かに太刀を納め、刃が完全に鞘の中へと消えた。
剣「夜桜!」
次の瞬間、リビングメイルの全身から血飛沫を想起する花弁のような火花が散った。
一度気を失ったリビングメイルが我に返り、騎槍を剣に突き出す。
だが、それは已の所で止まった。
その時、リビングメイルの全身から闇の塵が現れた。
徐々に肉体が崩れ、自身が消えていく事に気が付いたリビングメイルは慟哭のような断末魔をあげた。
剣「核は断ち斬った」
そう言うと剣はそのまま真っ直ぐ歩き出した。
リビングメイルはそのまま散り、暗雲に溶け込むように消えていった。
その中で剣は身に纏っていた焔を解いた。
次の瞬間、後から綺麗な音色が鳴った。
剣「ん?」
その音を聞いた剣は振り返り、下の方へと目を遣ると、そこには激龍の欠片が地に落ちていた。
歩み寄り、しゃがんでそれを手にした。
剣「欠片、もしかして…」
剣は何かに気が付いた。
その後、パズズはシリウス社に捕まり、連行された。
自身が開発したヴェノムウイルスによる大量虐殺の罪で死刑となった。
斬希や剣にメビウス、その他SSFの活躍により二度目のパンデミックが阻止された。
剣とメビウスはシリウス社から出ており、ここを去ろうと歩いていた。
メビウス「え?暗黒世界のヤツらを倒せば欠片を落とすって?」
剣「あぁ、なんでなのかはわからないが、先程と言い確信ができた」
メビウス「んなゲームみたいな事あるんだな。まぁ、かつてじゃありえないのが今ではありえるっていうのはよくあるからなんとも言えないけど…」
その時、剣は俯きながら考えていた。
メビウス「ん?どうした?」
首を傾げながら剣に訊ねる。
剣「ここはパラレルワールド、俺達がいた世界と似て異なる訳だ」
メビウス「そうだな」
剣「俺達がいた世界だと俺の親父が死んだが、ここではその逆だ。だが、死に方が違った」
そこで剣は先程思った疑問をメビウスに語った。
メビウス「何が言いたいの?」
剣「自論になるが、仮面の男は創造世界の者では無いんじゃないか?」
それを聞いたメビウスは目を驚かせ、その足を止めた。
メビウス「別世界から?でも、何の為に?」
剣も歩を進めるその足を止めた。
剣「まだわからない。だが、調べてみる価値はあるな」(だが、だとしても変だ。なんで俺の…)
色々と考えていたその時だった。
斬希「やはり去ろうとしていたか」
その声を聞いた剣とメビウスが振り返るとそこには斬希がいた。
剣「親父?」
メビウス「どうしたんです?」
すると、斬希が二人に近付いてきた。
メビウス「え?何なのさ?」
少し恐れるメビウスとは対称的に剣は落ち着いていた。
斬希は二人の肩に手を置いた。
斬希「まずはご協力感謝する、おかげでパズズを捕らえる事が出来た。」
斬希は微笑みながらそう言った。
そして、続けて伝えた。
斬希「そして、お前らの無事を祈る。とはいえど、俺と相棒の息子だから大丈夫だろうけどな!」
その時の斬希の目は優しかった。
そうして、斬希は肩から手を離した。
メビウス「あたぼうよ!」
満面の笑みでメビウスは返した。
剣「こちらこそ、助けてくれてありがとう」
剣も微笑みながら感謝を述べた。
斬希「強くなれよ、それじゃあな!」
そうして斬希は剣達に背を向ける。
そして、赤いマントをなびかせながら歩いて離れていった。
剣「…行こう、俺達にはやるべき事がある」
メビウス「だな!」
剣とメビウスもこの場を去った。
場面は変わり、暗闇の中。
ソファの上にはフェイトンを消したヘッドホンに紫眼の少年がいた。
少年はそこで横になりながら携帯型ゲーム機で遊んでいた。
少年「…破壊者様、どうやらスケルトン、マンイーター、新たに生まれたリビングメイルが倒されたみたいです」
そんな少年の隣にいた従者がそう報告した。
従者は赤い瞳を持った反転眼に真っ白な肌と白髪が特徴の容姿に執事服を着ていた。
少年「死んじゃったか…まぁ、いいや、なんとでもなるし」
少年は何気なく、興味なさげにゲームをしていた。
従者「かしこまりました、破壊者」
軽くお辞儀する従者。
すると、少年は体勢を起こして、腰掛けるように座った。
少年「あー、ごめん。今は黒影って呼んでくれないかな?ゼノ」
ゼノ「かしこまりました、黒影様」
従者 ゼノは破壊者と呼ばれる少年 黒影の言った事を理解し、応じる事にした。
黒影「ところで、君以外の四天王はどうしてる感じ?」
ゼノ「はい。現在、コピー様は土神様之世界、ガザール様は荒廃した異世界、シャドー様はネオンの世界にいます」
黒影の質問にゼノは丁寧且つ簡潔に説明した。
黒影「それじゃあ、シャドーのところから見るか」
遊んでいた携帯型ゲーム機を閉じた。
すると、黒影の前に目のようなパネルモニターが現れた。
黒影はそのモニターに映る光景を観る事にした。
そうして、場面は変わり、ネオンの世界にある夜景の街。
至る所にホログラムで構成されたパネルなどがあった。
その中でビルの屋上でバンダナを巻いた一人の男が立っていた。
次回 第拾陸話 「電光の狙撃手と影侍」




