外伝 神条サヤ 『納め、秘められた事実』
ー注意事項ー
このエピソードは第捌話 「暴走ト破壊」と第玖話「十字架を背負いし元戦士」の間で起こったものです。
ヘリアデス篇の話を先に読む事を推奨します。
この物語はフィクションです。
実在の人物・団体・事件とは一切関係ありません。
ある日突然、遠くから空を轟かせると言わんばかりの衝突音が鳴り響いた。
「なんだ?」
私 神条サヤの幼馴染である邪光 剣さんがその音に反応する。
私も周囲の人もその轟音を聞き、その方向を見た。
とてつもない不安或いは微かな好奇心、そういった心境を抱きながら周りの人はその現場に向かって歩いていく。
剣「サヤ、早く避難するんだ」
すると、剣さんは私にそう指示をした。
「つ、剣さん?」
不安だった私は唐突に発されたその言葉を聞くが、瞬時に理解できず、剣さんに訊き返してしまった。
剣「地下に降りて、避難するんだ。いいな?」
先程まで談笑していた時とは違い、緊迫した様子でそう指示すると、走ってその現場へと向かった。
「剣さん…」
彼の背中を見送るが、私も急いで地下へと避難しようと走った。
これは私の身に起こった出来事…そして、誰も知られていないお話。
私はしばらくの間、走り続けた。
周囲からトラックが建物に衝突した直後に爆発音、続けて悲鳴が聞こえた。
(なんで、なんでこんな事に…!)
誰もこんな事を望んでいなかったはず。
殺され、壊され、踏み躙られる。
誰しもが嫌な理不尽に蹂躙されていく。
「誰かカケルを助けてください!!」
「おい!大丈夫か!!今助ける!!」
「なんでこんな事に!!」
辺りが騒然とし、困惑する。
私が耳を防ごうとしたその時だった。
「母さぁぁん…!!父さぁぁん…!!」
何処かで男の子が泣いているのを私は耳にした。
振り返ると、そこには膝をついて泣いている姿が見えた。
「大丈夫?はぐれちゃったの?」
私はすぐさまその子に近付いで、声をかけた。
子供はそれに気が付くと、少し泣き止んで頷いた。
「そっか…じゃあさ、一緒に行こう?もしかしたら…いや、そうしたら見つかると思う、から…」
言葉を選びながらも不安が溢れているけど、私はなんとか優しい声で提案をすると、男の子に手を差し伸べた。
そうして私は男の子を連れて、騒然とした街中を移動していた。
(見つかると言っても何の手がかりもないんじゃ…兎に角、地下に行かないと…もしかしたらいるかもしれないし)
私は行くべき場所を決め、そこへ向かった。
???「そこで何をしている?」
その時、見知らぬ声が後ろから聞こえた。
私はすかさず振り返ると、そこには一人の男がいた。
狼の耳を生やし、前髪で片眼が隠れている白髪に青眼の凛々しい容姿に白のロングコートとバンダナを巻いていた。また腰には双剣が納められていた。
「…この子の両親を探しているんです、はぐれちゃったみたいで」
私は白狼の男に説明する。
???「わかった。兎に角、地下まで護衛するから必ず離れるな」
白狼の男は同意して、こちらに近付いて来た。
ウルフ「俺はウルフ、シロノス社の船長だ」
白狼の男は自身をウルフと名乗った。
「シロノス社って…地球の周りを飛行している、あの船の?」
ウルフ「そうだ。要約すれば地球外での活動を行う正義組織だ」
シロノス社、クロノス社から派生された正義組織の事である。
地球外、つまりは宇宙での活動を行っており、隕石落下の阻止やその星の観測等を行っている。
「でも、なんでシロノス社の人がここに?」
私はふと思った疑問をウルフさんに訊いた。
ウルフ「実はな…」
その事について答えようとした次の刹那、言葉を止めて後ろの方へと睨んだ。
ウルフ「そこにいるのはわかっている、さっさと姿を現せ」
ウルフさんは振り返りながら双剣を抜刀した。
何かいるのかと、私もウルフさんが見ている方向へと目を遣る。
「流石は白狼、頭をいじられて得た性能がこちらにとって面倒なモノになるとはな…」
その先には年老いながらもまだ若さのある男の人がいた。
オレンジの瞳に灰色の髪、身軽に動けそうな灰色の装束を身につけている。
ウルフ「こちら、という事はヘリオス社の残党か?」
そう訊ねながらウルフさんは双剣を構えた。
キルケ「左様だが、違う。儂はヘリアデスが一人 キルケ・ハイド」
対して年老いた男性 キルケは懐からナイフを取り出し、それを構えた。
ウルフ「キルケだと?裏社会で『幻影の霊』と轟かせた貴様が何故こんなところに?」
その名を聞いたウルフさんは疑問に思っていた。
キルケ「何故か…雇われたとでも言えば良いか?」
すると、キルケはウルフさんに向けて瞬時にナイフを投げ出す。
だが、そのナイフをウルフさんは一本の太刀で弾き飛ばした。
ウルフ「雇われたか…嘘くさいが、話してはくれなさそうだな」
敵意があるとウルフさんは判断した。
ウルフ「決して俺から離れるな、いいな?」
すると、私達にそう言った。
「わ、わかりました…!」
私は男の子の手を握りしめながらそう返した。
その時、いつの間にかキルケが私達に近付き、ナイフを突き出す。
そのナイフをウルフさんが太刀で叩き落とした。
ウルフ「卑劣だな、悪霊!」
そして、そのままもう片方の太刀を振るう。
だが、キルケは後ろに退いて回避した。
キルケ「流石だな、白狼…だが!」
賞賛した直後、両手を懐に伸ばした次の瞬間。
その前方から大量のナイフが投げられ、ウルフさんに襲いかかる。
ウルフ「切牙 風型…」
その中で落ち着くウルフさんは双剣を構えた次の刹那、目にも止まらぬ速さで双剣を振るった。
ウルフ「切斬舞!」
その刃は全てのナイフを弾き返した。
キルケ「手っ取り早く済ませたいんだ、頼むから大人しく殺されてくれ」
ナイフの雨が止むと同時にウルフさんの背後に立ち、首にナイフを突きつけた。
ウルフ「それで応じるヤツがいるものか…!」
ナイフで喉笛を掻き切る前に瞬時に動き、刃を振るった。
またすぐにキルケはそれを回避し、ウルフさんから距離をとった。
キルケ「それもそうか…ならばそうさせてくれるよう仕掛けるか!」
そうしてキルケは私達の方へと目を遣る。
あまりにも速すぎる激戦に追いつけず、私達が狙われている事に気付かなかった。
ウルフ「嫌な奴だ…!」
すぐにそれを察知したウルフさんは瞬速で駆けた。
キルケ「想定通りだ」
そして、キルケは二本のナイフを投げた。
だが、それらは私達にでは無く、ウルフさんに向けてのものだった。
ウルフ「切牙 月型!」
ウルフさんは臆することなく、両腕をクロスさせるように双剣を構える。
ウルフ「双流威!」
そうして外へと開くように刃を振るい、ナイフを弾き飛ばした。
二本のナイフはそれぞれ明後日の方へと向かうが、そこにキルケが接近してきた。
キルケ「攻撃の直後というのは必ず隙が生まれるのは変えようの無い事実だ」
そうしてキルケはナイフをウルフさんの心臓に目掛けて突き刺す。
ウルフ「知っているとも!」
だが、なんとウルフはその状況で後退したのだ。
結果ナイフにトドメを刺されずに済んだ。
キルケ「流石はシロノスのリーダー!」
すると、キルケは二本のナイフを構え、ウルフさんに接近しながら素早く振るった。
ウルフ「ハァァッ!」
それに対してウルフさんはなんと双剣で全ての攻撃を防いだ。
キルケ「剣技も頭の回転も何もかもが速く、そして桁違い!」
すると、キルケはナイフを逆手に持ち、振り下ろす。
それすぐに認識したウルフさんは片手を振るい、刃でナイフを止めた。
キルケ「やはりか!」
ウルフ「爪牙斬!」
どうやらキルケは既に予測していたらしくウルフさんの行動に感銘を受けていた。
そのままウルフさんの刃がキルケの腸を斬り裂こうとした。
だが、突然の事に遠くからトラックが現れ、こちらに迫って来た。
ウルフ「なんだと…!」
まずいと思ったウルフさんはキルケを蹴り飛ばした後、私達の方へとすぐに駆け寄った。
すぐにウルフさんは私達を抱え、この場から離れた。
そうして最大速度で走るトラックは私達とキルケの間を通り過ぎていった。
ウルフ「大丈夫か?!」
大きめの声で語りかけるウルフさん。
「は、はい!」
すかさず私はそう返した。
男の子の方も問題は無かったけど、怯えていた。
その中でウルフさんは後方を見渡し、キルケを探していた。
だが、見当たらなかったからかウルフさんは真剣で尚且つ緊迫した表情を私達に向けた。
ウルフ「急いで向かうぞ!トラックが激しくなってきた!」
そうしてウルフさんは私達を護りながらそのまま連れて行った。
私はそこで疑問に思った。本当にキルケは姿を消したのかを
それに唐突、突っ込んできたトラックも含めて何か違和感を覚えた。
まるで仕組まれているんじゃないかと言わんばかりに
そうして私達は襲ってくるトラックから身を潜め、地下に通ずる入り口へと辿り着いた。
ウルフ「早く入れ!」
ウルフさんの指示に私達は急いで入った。
私は男の子を連れて、階段を降りて、地下へと辿り着く。
そこではかなりの人がいた。
通路の脇側で蹲っていたり、不安そうに見上げたりしていた。
その中を歩きながら男の子の両親を探していた。
(何処にいるの?本当にここにいるの?)
不安になりながらも私は辺りを見渡した。
「コウタ!」
その時、母親らしき女性の声が男の子であろう名を呼んでいた。
コウタ「お母さん!」
男の子 コウタくんはそれを聞いて、お母さんのところへと走った。
お母さん「あぁ、コウタ…良かったぁ…!」
コウタ「お母さん!会いたかったよぉー…!」
安堵するお母さんにコウタくんは泣きついていた。
それを見た私もすぐに安心して、微笑んだ。
すると、コウタくんは辺りを見渡した。
コウタ「お父さんは?」
お母さん「お父さんは、まだ…」
コウタくんの問いにお母さんの表情は暗くなった。
きっと、発言からして見つかっていないのだと思う。
「私、探してきます!」
それを何とかしようと私はここを出た。
しばらく走った私は地上へと出ようと地上を出た。
その時、私は外で…そこで起こっていた状況を目にした。
そこではウルフさんがキルケと交戦していた。
ウルフ「何!?」
キルケ「死にに来たか!都合が良い!!」
私を見てすぐにウルフさんは驚き、キルケは瞬時にこちらへと迫って来た。
マズいと思った私だが、キルケの方があまりにも速く、動けなかった。
そのままキルケはナイフを突き刺し、私を殺した…はずだった。
だが、ウルフさんが身を呈して護ってくれた事により阻止された。
「ウルフさん!」
私は驚きながらウルフさんを心配した。
致命傷は避けられたけど、私は酷い事をした。
ウルフ「馬鹿者…!何故、出てきた?!」
すると、ウルフさんは私の肩を掴みながら目を遣る。
「ごめんなさい…!あの子の、お父さんを探しに…!」
私は言葉を詰まらせるが、それでも臆せずに答えた。
ウルフ「…戻れ、殺されるぞ!」
「それでも…!何もせず、ただ黙っていたくないんです…!」
確かにウルフさんの言う事は正しい。
けど、例えただの一般人でも、困っている人を見過ごしたくは無かった。
私はしたくなかった。
そんな我儘を口にした事に私はウルフさんの驚いている様子を見て、我に返った。
「…ごめんなさい、我儘言って」
すかさずその事について謝ると、ウルフさんは溜息をつきながら私に背を向けた。
ウルフ「暫く、そこに居ろ」
そして、キルケの方へと向きながら双剣を構えた。
ウルフ「私がヤツを斬り、道を開く…!」
そして、私にそう伝えた。
それを聞いて、ウルフさんの考えを理解した。
キルケ「馬鹿め、護りながら…尚且つ血を流しながらでは勝機は無いぞ?」
すると、キルケは尋常ではない程の数はあるだろうナイフを投げた。
ウルフ「それでも…俺は正義組織の一員として戦う…!あの人との約束だ…!」
だけど、ウルフさんは逃げずにそのまま立ち向かった。
「おいおい、無理してんじゃねぇよ!」
その時、私達の前に黄金で創られた壁が現れた。
数多のナイフはその壁に刺さり、ウルフさんと私に届く事は無かった。
すると、私達の前にして壁の後ろであるところに一人の男が降り立った。
金色の髪と瞳を兼ね備えた容姿に白シャツと黒ズボンの上に黒いジャケットを羽織り、頭には数字の4が刻まれたバンダナを被っていた。
???「しかも何さ?女の子連れてデートしてる感じ?」
その男の話しぶりからしてウルフさんとは親しい存在であると察した。
ウルフ「違う、訳あって護衛している」
ウルフさんはその男の言う事を否定し、事情を説明した。
「あーんなに叱られたのにこれとは、中々やるねぇー」
男はニヤつきながらウルフさんをからかった。
ウルフ「ふざけるのも大概にしておけ、フォース」
ウルフさんは男 フォースさんにそう返した。
フォース「はいはい、ウルフがそんなキャラしてないのはわかってるよ」
ウルフ「フォース、お前はサヤの護衛を継いでぐれ。俺はヤツを」
ふらつきながらウルフさんは再び戦闘態勢に入り、フォースさんに指示を飛ばした。
フォース「却下、その怪我でなんとか出来ると思う?」
だが、フォースさんはそれを拒んだ。
元はと言えば私のせいで怪我をさせた。
一人でなんとかなるものでは無かった。
ウルフ「問題無い。だから…」
フォース「お嬢ちゃん」
すると、フォースさんは振り返って、私の方を見た。
フォース「そこで大人しく待ってもらえるかな?」
そして満面な笑みでお願いした。
「わかりました…!」
すぐにでも助けに行きたい気持ちを見抜いたのだと私は察し、そう返した。
ウルフ「フォース…」
フォース「俺もシロノスの一員でお前さんの相棒だ、頼らせてくれよな」
そう言うと、フォースさんの構えた両腕から黄金が現れ、ガントレットへと形を成した。
ウルフ「かたじけない事をした、行くぞ!フォース!」
それを聞いたウルフさんは一息つき、フォースさんの隣に並んだ。
フォース「おう!」
双方のガントレットを打ち付け、金属音を鳴り響く。
次の瞬間、私達を護っていた黄金の壁が両断され、崩れていった。
キルケ「増援か…だが、私にとってそれは無意味だ」
それは両手に持ったナイフによるものであり、キルケは逆手で構えながらウルフさん達に歩み寄っていた。
フォース「随分と自信があるんだな!お前さん!!」
フォースさんは両手をかざすと、ガントレットをキルケに向けて飛ばした。
キルケ「無意味!」
だが、キルケは二つのナイフを振るい、迫り来るガントレットを弾き返した。
その隙にウルフさんが接近し、双剣を振るう。
だが、キルケはそれをすぐに避け、ナイフを投げる。
ウルフさんは瞬時に見切り、迫り来るナイフを叩き落とした。
フォース「よそ見してたら危ねぇよ!」
フォースさんは瞬時にキルケの背後に回り、蹴りを入れる。
見事に受けたキルケは吹き飛ぶも、前転した後、高く跳んで体勢を立て直す。
ウルフ「切牙 月型 狩狼顎!!」
逆手に持った双剣を振るい、オーラで狼の頭を象った斬撃を飛ばした。
キルケ「まだ奥の手を隠し持っていたか…!」
突然の出来事で驚き、動けなかったが、抵抗できる可能性にかけたキルケはその斬撃に対してナイフを投げた。
だが、当然にナイフは斬撃をすり抜けてしまい、ウルフさんは軽く避けた。
キルケ「想定していたぞ!!」
まずいと思ったキルケは回避しようと瞬時に走ろうとした。
その時、キルケの両足を何かが捕らえた。
キルケ「こいつは、金!?」
足元を見て、地面から現れたそれを理解した。
フォース「正解さ!能力は使いようだからな!」
それを仕掛けたのはフォースさんであり、しゃがみながら手に地面を置いていた。
キルケ「小癪なヤツよ!!」
内心苛立ちながらもナイフを投げ、拘束する金を解こうした。
だが、それは伸びてナイフを阻止した。
フォース「させねぇよ!」
続けてフォースは金を操作し、キルケの手足を拘束する。
キルケ「おのれ!!」
もがいて逃れようとするが、無意味であった。
そのままキルケは斬撃をもろに受けた。
受けた箇所から血飛沫が舞いながら斬り刻まれた身体が倒れた。
ウルフ「…どうだ!?」
キルケの様子を伺っていた。
フォースはキルケを黄金で身動きを止めた。
フォース「言っとくけど、息の根があっても好き勝手にはさせねぇよ?」
そのままフォースは私に近付いてきた。
フォース「協力、あんがとうな」
すると、フォースさんは私に手を差し伸べた。
「は、はい」
私はその手を掴み、改めて外に出た。
ウルフ「フォース、その子を頼む」
フォースさんを見ながらウルフさんは指示をした。
その直後、彼は吐血した。
フォース「おいおい!大丈夫かよ!?」
それを見たフォースさんはすぐさまウルフさんに駆け寄る。
ウルフ「私の事は気にするな、ゲイツを来させるよう指示した。だから…」
だが、ウルフさんはそう言い、もう一度懇願した。
フォース「わかったよ、絶対死ぬんじゃねぇぞ!」
フォースさんは私を連れて、この場を離れた。
そうして私達は先に進み、コウタくんのお父さんを探しに行った。
フォース「しっかし、サヤちゃんだっけ?凄いよね」
その道中でフォースさんはこう言った。
サヤ「凄いですか?」
私はどういう事かわからず、訊ねた。
フォース「これといった意味は無いけど、一般人ながらもかなりの勇気と行動力があるからさ。俺でも惚れちゃうなぁ」
フォースさんは笑顔でそう言った。
サヤ「そ、そうですか?」
私は少し困惑する。
フォース「そうそう!嫁になったらめっちゃ可愛いだろうし、頼もしいと思うよ!」
サヤ「よ、嫁って…」
初めて会ったばかりなのにこの様子、私はフォースさんが怖いです。
フォース「サヤちゃんってさ、大切な人いんの?」
凄いスキンシップというか…積極的過ぎる。
サヤ「い、います。邪光 剣って人で…」
すかさず私はそう答えた。
フォース「あー!剣か!あの子は老若男女問わずしてめっちゃ人気あるもんな!羨ましいもんだ!」
サヤ「あ、ははは…彼とは幼馴染なんです」
その反応を見て、私は苦笑いで返した。
フォース「幼馴染か…」
すると、フォースさんはこんな事を言ってきた。
フォース「ならさ、その子の事はちゃんと大事にし、ちゃんと支えてあげときなよ」
サヤ「は、はい…」
その言葉を聞いた私はあまりの意外さに驚いたけど、かなり印象に残った。
フォース「ま、寂しかったら俺の彼女にしても良いんだぜ?」
サヤ「いえ、遠慮しておきます」
それさえ無ければ、良かったと思う。
私はすかさず振った。
フォース「伏せろ!」
次の瞬間、フォースさんが私に伝える。
私は突然の事ながらも指示通りに伏せた。
すると、フォースさんの背後からトラックが迫り来る。
だが、トラックはフォースさんを轢く事は無かった。
何故ならフォースさんが生成した黄金の壁により阻止されたから。
トラックはそのまま飛んで行き、フォースさんと私の上空を超えて、通り過ぎた。
フォース「大丈夫か!?」
サヤ「は、はい!」
すかさず私は返した。
『バックします、バックします…』
トラックは走行を止め、急スピードでバックし始めた。
フォース「今すぐ逃げるんだ、サヤちゃん!」
私の前に現れると、右手に巨大な黄金のガントレットが生成された。
フォース「黄金の一撃!」
そのままフォースさんは拳を突き出し、トラックを吹き飛ばした。
そのままトラックは転がり、爆発を起こした。
「わ、わかりました!」
私は瞬時に走り出し、この場から逃げ出した。
フォースさんの周りにはトラックが走って来た。
フォース「こりゃ、大変そうだね…!」
そんな状況で笑みを浮かべるフォースさんだが、その内心はマズいと危機を感じていた。
私はまた長く、独りで走っていた。
ただ我武者羅に死ぬ事から、暴走するトラックから逃れようと
『頼む!誰か助けてくれ!』
その時、私に声をかけてきた。
いや、正確には助けを呼ぶ声が私の耳に届いた。
ふと、足を止めて声がした方へと向く。
そこにはアラサーくらいのスーツを着た男性が地に伏せていた。
よく見ると男は頭から血を流しており、身体も傷付いていた。
「大丈夫ですか!?」
放っておけなかった私はすかさず踵を返して、男の元へと走った。
だけどその時、私の横からトラックが迫って来た。
「え…」
唐突の事に私は為す術など無かった。
そのまま轢かれて死ぬのかと、そう思っていた。
瞬時に私の身体が水色に光出した次の刹那、私の意識は飛んだ。
気が付けば、私は強く瞑っていた。
死んでいないと時と共に徐々に理解した。
それを意味するかのように目を開けると、私は先程のところから数歩くらい前に出ていた。
「どうなって…?」
訳がわからなかった私はトラックが来たところとは真逆の方へと顔を向けた。
そこにはトラックが建物にぶつかっていた。
「なん、で…?」
私は困惑しながら疑問に思っていた。
何故、生きているのか?
なんで数歩も進んでいるのか?
そして、あの水色の光は何だったのかを…
幾つものの疑問を何とかしようと考え込む。
『頼む!誰か!!』
だが、そんな考えは男の助けを乞う声により遮られた。
「だ、大丈夫ですか!?」
私はすぐに駆け付け、男の肩を抱えた。
男「あ、あぁ…!ありがとうございます!」
男は感謝しつつ、足を引きずりながらも歩き続けた。
とりあえずと先程の避難所に向かうが、あの出来事は払拭する事は無かった。
それくらい私の脳裏に強く刻まれていたんだ。
その後、トラックの襲撃はクロノス社の戦士とアルドラスって方によって終息した。
けれど、皆はまだ恐れていた。避難する人達もいた。
一方で助け出した男は搬送し、一命を取り留めた。どうやらコウタくんのお父さんだったみたいでした。
そうして私は破壊された街中を歩いていた。
割れたガラスや瓦礫などが地面に転がり、爆発した後や亡骸などがあり、私にとってはありえない光景が広がっていた。
「おい!こいつまだ息があるぞ!」
「くっそ!何やっているんだ!正義組織の戦士は!」
「大丈夫か!待ってろ、今助けるからな!」
瀕死の状態に陥っている負傷者を助け出す人や戦士に対する不満を言う人などがいる中、私は歩を進めていたその足を止めた。
そこには黒く焼け焦げ、見事に大破したトラックがあった。
そう、私を轢こうとしていたトラックであった。
「…どうして、助かったんだろう」
私はそれを見て、あの出来事で起こった疑問を零していた。
クロノワールド -再創-(Re:Creation) 暗黒世界篇
もう少しで公開します。ご期待ください。




