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クロノワールド -再創-(Re:Creation)  作者: ゼロザム=ルーゴ
第弐章 ヘリアデス篇
12/23

第拾弐話 「認識は事実よりも歪なり」

この物語はフィクションです。

実在の人物・団体・事件とは一切関係ありません。

ヘリアデスのアジトである廃工場にて、剣とフェイトンは武器を手に、対峙していた。

剣「筒状のモノから光の刃…何か仕掛けがありそうだ」

剣は太刀を構えながら、フェイトンが持つ光の刃を放った筒状の金属 サンビムを警戒していた。

フェイトン「サンビムを甘く見ては困るね、ただの光の刃では無いさ」

剣とは対称的に身構えていないフェイトンはサンビムの刃を下に向けて、剣に近付く。

剣は退く事無く、構えていた。

フェイトン「…さぁ!サンビムの性能を思い知れ!」

すると、フェイトンは大地を蹴り上げ、剣に急接近する。

剣「来るッ!」

剣は刃を向け、太刀で防ごうとした。

フェイトンがサンビムを振るった次の瞬間だった。

剣(何かマズイ…!)

嫌な予感がした剣は迅速に跳び、そして後退した。

すると、光の刃は剣が持つ刀身を一瞬にして切断した。

剣「やはりか…!」

剣の予感は的中していた。

後退する足が地面に着き、止まると剣はフェイトンの方へと向き直した。

剣「ライトの光で生成した刃とは違い、高熱を帯びた光刃。威力は格段に違うという訳か…!」

剣はフェイトンにそう言葉をかけた。

フェイトン「そうだとも!だが、これだけで終わると思ったか!」

フェイトンは筒状の金属に施されたスイッチを押す。

すると、真っ直ぐ伸びていた光の刃が地に着く様に垂れた。

剣は太刀を振り下ろし、欠けた刀身から焔の刃を生成した。

次の瞬間、フェイトンがサンビムを振るった。

光刃は鞭のように伸び、剣に襲いかかる。

剣(刃が伸びた!?)

剣は予想外の出来事に驚愕するも、焔の刃で護りに入った。

だが、光刃は太刀に残っていた欠けた刀身を捕らえ、切断した。

剣「くっ…!」

それにより焔の刃が一度解かれてしまった。

剣「刃が…!」

フェイトン「無力になったな!」

だが、フェイトンは容赦なくサンビムを振るった。

光刃は容赦なく剣に追撃する。

その攻撃を剣は見事に回避する。

猛攻する光の刃は二度、三度と振るわれ、止まる事など無かった。

攻撃が外れた刃は壁や地面に打ち付け、焼き斬った跡が残った。

フェイトン「どうした!焔の剣士!戦士No,1よ!その程度とは愚かなものだ!」

フェイトンは嘲笑いながら、サンビムを振り回していた。

だが、剣はその挑発に乗らず、鞭の如く振るわれる光刃の軌道を読んでいた。

剣(そこだ!)

見極めた剣は片手でピストルを作り、フェイトンに向けて焔の弾丸を放った。

弾丸は縦横無尽に振るわれる光刃の軌道を潜り抜け、フェイトンに接近し、彼の元へと辿り着いた。

それに対してフェイトンはなんとサンビムを握っていない片腕で防ごうとした。

次の瞬間、焔の弾丸は腕に当たると同時に消えた。

剣(なんだ!?)

奇妙と断言する程の現象に当然、剣は驚愕し、疑問に思った。

剣は弾丸を防いだフェイトンの片腕へと目を遣った。

剣(!そういう事か)

だが、すぐに理解した剣は両手で太刀の柄を握りしめる。

すると、太刀の(ハバキ)から噴き出る焔が収束し、再び刃へと形を成す。

フェイトン「小癪な事をするのだな!邪光 剣!!」

フェイトンは再びサンビムを振り回し、完全な防御を創り出した。

剣は五感を研ぎ澄まし、目の前を縦横無尽に振るわれる光刃の軌道を読んだ。

剣(…見切った!)

すると、剣は勢いよく大地を蹴るようにして、瞬時に駆け出した。

フェイトン「今度は随分と大きく出たな!焔の剣士!!」

フェイトンは振り回していたサンビムを一度止める。

剣に向けて軌道修正し、勢いよくサンビムを振り下ろした。

だが、剣はその攻撃を読んでおり、瞬時に横にずらして回避した。

フェイトン「なんと!」

フェイトンは剣に驚愕する。

サンビムの鞭のような刃が地面に叩きつけた次の刹那、剣は姿を消した。

フェイトン「そこか!」

だが、フェイトンはその動きを見切ったのか、懐へと顔を向けた。

剣「ハァッ!!」

そこには剣がおり、太刀を振り上げようとしていた。

フェイトンはサンビムに施されたもう一つのスイッチを押す。

すると、鞭のように伸びた光の刃が筒状の金属へと戻るように縮み、元の真っ直ぐなモノへと変化した。

フェイトンはそれを逆手に持ち、振り降ろそうした。

だが、それよりも速く焔の刃がフェイトンに届き、逆袈裟斬りを受けた。

だが、また焔の刃は消えていた。

剣「そういう事か…!」

フェイトン「浅はかなものだな!」

理解した剣を他所にフェイトンはサンビムを突き刺した。

剣「焔技 陽炎!」

剣がそう唱えると同時、サンビムの光の刃が剣を突き刺した。

だが、剣の全身がぼやけ始め、焔となって消えた。

フェイトン「消えたり現れたりと…焔の剣士、随分と面倒だな!斬希とはまるで違う!」

フェイトンは正面の方へと目を遣る。

そこには刃の無い太刀を片手に持った剣がいた。

そんなフェイトンは斬希と比べながら剣を侮辱した。

剣(アイツ、中に鎧を仕込んでいる。)

だが、そんな言葉を無視しながら剣はフェイトンの謎を解いていた。

フェイトンが開発した鎧には秘密があり、その装甲には能力を打ち消す性質があった。

それ故に焔の弾丸も焔の刃も強制的に解かれたのだ。

剣「…疑問だな」

すると突然、剣はそう言い出した。

フェイトンはどういう事かと言わんばかりに眉を顰め、疑問な表情を浮かべた。

剣「サンビムと言い、恐らくその中に仕込んでいる鎧と言い、かなり優れた技術を持っているとわかった。」

それを聞いたフェイトンは満更でもないのかサンビムが放つ光の刃を仕舞い、続けて話を聞く事にした。

剣「それなのに、何故ヘリオスの意志を継ぐ?何故、首領の野望を代わりに実行する?!」

剣はフェイトンにそう訊いた。

フェイトン「フフ…フハハハハハハハハハ!!アハハハハハハハ!!!」

すると、フェイトンは片手で目元を覆いながら笑い始めた。

突然の事に剣は唖然するも、太刀を握りしめて警戒した。

フェイトン「あのお方は素晴らしいッ!自らの野望の為に大勢の人間を殺す!いや、違うな…全人類の抹殺!あぁ!なんと素晴らしいッ…!」

フェイトンはまるで誰かを崇めるかのように豹変した。

フェイトンはまるで盲信する信者の如く豹変し、ある特定の人物(アザトース)、特定の組織(ヘリオス社)を崇め奉っていた。

フェイトン「この世界を変える為に…!理想郷の為に…!!」

その顔は高揚しており、あのお方と呼ばれる人に対する愛に満ちていた。

剣「まさか、こんなに大勢の市民を殺戮しているのは…」

嫌な考えが過ぎった剣は眉間に皺を寄せた。

フェイトン「そうだとも、囚人を脱獄させた事も、トラックによる襲撃も、現在進行形で起こっている虐殺もあくまで手段のひとつ、首領 アザトース様が果たせなかった事を成す事が私の本当の目的だ」

フェイトンはそうだと言わんばかりに吐き出した。

剣「他のヤツらはどうなんだ?少なくともお前を尊敬はしていたはずだ」

剣はもう一つフェイトンに訊いた。

フェイトン「他の連中?あぁ、正直言ってどうでもいい。所詮、アザトース様の野望において良い捨て駒に過ぎないからな」

なんとフェイトンはどうでもよさげにそう言い捨てた。

「だとしたら、大きな間違いをしている」

すると、アジトの入口から声が聞こえた。

フェイトンがその先へと目を遣り、剣が振り返る。

そこにいたのはアルドラスであった。

アルドラス「犯罪組織 ヘリオス社はただの虐殺組織などでは無いし、首領のアザトースは仲間を見捨てる様な奴では無い。はっきり言って、褒められたものでは無いものだがな」

アルドラスは胸の前で腕を組みながらそう言い放った。

フェイトン「貴様らに何がわかる?アザトースの野望は偉大だ!そして、何よりも素晴らしい!この腐敗した世界に変革をもたらす為に自ら組織を率いて大量虐殺を!だが、あの出来事以来、アザトース様はもういない。だからこそ私がそれを全うするのだ!」

フェイトンは必死な様子でそう言った。

アルドラス「貴様のやっているのはただの人殺しだ。アザトースの目指していた野望と比べたら全くちっぽけで何の生産性も無い。まぁ、どっちも愚かとしか言いようが無いがな」

アルドラスは組んでいた腕を解き、ガントレットを纏う両拳を打ち付けた。

フェイトン「なんだと…!貴様ァ!!」

フェイトンはサンビムを起動させ、光の刃を鞭のようにして、地面に打ち付けた。

フェイトン「私が一番!アザトース様を知っている!理解しているのだ!それを愚弄するのならば!そんなまやかしで私を惑わすのならば!ここで死ね!愚かな戦士共よ!!」

フェイトンは今まで見せた事の無い形相を浮かべながら剣達に怒鳴り散らした。

剣「これが…悪魔に魅入られ、信仰し過ぎた者の末路か」

剣は焔の刃を持った太刀を構えた。

アルドラス「気を付けろ、ヤツは正気では無い。ああいうヤツ程、危険且つ手強い」

アルドラスは剣にそう警告する。

次の瞬間、フェイトンがサンビムを振るった。

鞭の如く伸びる光の刃が剣とアルドラスに迫る。

剣とアルドラスは二手に分かれ、フェイトンに接近してきた。

剣「アイツは光の鞭の他に能力の強制解除を行う鎧を纏っています。今の俺ではどうにも」

剣はアルドラスにそう説明した。

サンビムの光の刃が横一文字に振るわれる。

剣は姿勢を低くして、アルドラスは飛んで回避した。

アルドラス「了解した。俺に任せろ」

アルドラスはギアで走る速度を上げ、残像を出した直後に姿を消した。

フェイトン「なんという速さ!!」

その直後、フェイトンの近くにアルドラスが現れる。

アルドラス「ギア!破壊力!1000倍!」

アルドラスの突き出さんとする拳に赤いオーラが集まり、纏う。

フェイトン「貴様だけは無惨に切り刻み!アザトース様の供物にしてやる!!」

フェイトンはサンビムが持つ光の刃を真っ直ぐにさせると、それを振り下ろそうとする。

だが、アルドラスはその腕を捕らえた。

アルドラス「それは使わせん!」

そうしてアルドラスは赤いオーラを纏った拳をフェイトンに突き出す。

フェイトン「おのれ!めんどうな!だが無意味だ!」

フェイトンはもう片方の前腕でそれを止めようとした。

だが、それよりも早くアルドラスの拳がフェイトンの胴体に撃ち込まれた。

フェイトン「ゴブァッ…!!!」

フェイトンはその衝撃に耐えきれず、体液を吐き出した。

フェイトン「な、ぜェ…!?」

胴体を覆った鎧は砕け散っていた。

アルドラス「貴様の鎧は確かに強く、厄介なものだ!事実、私の能力は打ち消された!だが、能力だけで成り上がった程、磐石なものでは無い!」

その言葉は事実であり、アルドラスのギアにより上昇したその力は打ち消されていた。

しかし、アルドラスの鍛え抜かれ、常人を超えたその肉体がフェイトンの纏う鎧を砕いたのだ。

アルドラス「今だ!邪光 剣!!」

アルドラスは剣に合図した。

すると、アルドラスの背後から剣が現れ、フェイトンに接近した。

フェイトン「おのれェッ!!」

焔の刃がフェイトンの胴体に迫り、そのまま突き刺さった。

剣「ハァァァッ!!」

そして、剣はその太刀を振るい、斬り裂いた。

フェイトン「ガハッ…!」

フェイトンは白目をひんむき、血飛沫を放ちながらそのまま倒れていった。

剣「倒したか…」

剣は焔の刃を解き、切断された刃の欠片を集めた。

アルドラスは静かに大の字となって倒れるフェイトンを見下ろしていた。

アルドラス(操られてはいないか…)

アルドラスは一目でそれを見抜いた。

アルドラス「ヤツの何処に、彼をここまで狂わせたんだ…」

怒りからかアルドラスは拳を握り締めた。

焔の能力で錬成し、太刀を元通りに直した剣はそんなアルドラスを離れた位置で見ていた。

そうして隣へと目を遣ったその時だった。

剣「なんだ…あれ」

剣はあるモノに気が付き、その異様さに自身の目を疑った。

それは宙を漂う黒い玉。

シャボン玉か風船のように浮遊するそれはフェイトンの方へと接近していた。

剣「アルドラス教官!」

剣は大きな声でアルドラスの名を呼んだ。

アルドラス「なんだあれは…!」

アルドラスは我に返ると、黒い玉の存在に気が付いた。

アルドラス「くっ…!」

アルドラスは瞬時に後退し、剣の隣に現れた。

黒い玉がフェイトンの頭上で止まった。

すると、そこから黒い霧が放たれ、穴という穴からフェイトンの中に入っていく。

その時、衝撃的な事にフェイトンの意識が蘇り、白目に瞳が戻った。

フェイトン「あ…が……ゴフッ……」

フェイトンは脇腹や口から血を吹き出しながら目に見えぬ何かに操られたかのように起き上がる。

アルドラス「なんだ、あれは…!」

アルドラスは拳を構えた。

一方で剣は太刀をフェイトンに向けた。

フェイトン「偉大なる首領よ…我がアザトース様……」

力が抜けたその手が上へと持ち上がる。

その姿はまるでマリオネットと言っても過言ではない。

フェイトン「首領の野望は…私が果たします……必ずや、正義組織を…否、この世界の全人類を…!!」

そう言った次の瞬間、フェイトンの全身が黒い闇に覆われた。

闇は蠢き、形を成していった。

伸びてくる様に触手が四方八方へと生えていく。

それと同時、浮遊したそれは大きく肥大化していった。

剣「こ、こいつは…」

剣はフェイトンの成り代わったその姿を見て、衝撃を受けた。

フェイトンは人の姿をしておらず、蛇のような頭を幾つも持った巨大な人の頭となっていた。

全身の至る所に赤い目が現れ、周囲を見渡していた。

暗黒に染まり、怪物となったフェイトン、別名ゴルゴンは地に降り立ち、無数の赤い目で剣とアルドラスを見ていた。

アルドラスはガントレットの甲を展開させた。

アルドラス「総員に告ぐ!直ちにL市街地区に集まれ!緊急事態だ!!」

そこにあった腕時計に顔を近づけ、戦士とウィングドホースの全員に指示を飛ばした。

ゴルゴン「全テハ…首領ノ…為に……」

ゴルゴンは一つの蛇の頭を伸ばし、アルドラスに迫って来た。

剣「させるか!!」

それを剣は焔を纏った太刀で切断した。

首を切られた蛇の頭は蒸発するように消滅した。

アルドラス「すまない!剣!」

アルドラスは剣にそう声をかけた。

剣「大丈夫です」

そう返した剣は刃先をゴルゴンに向けて、構えた。

ゴルゴン「人類…ヲ……虐殺」

そう言った次の瞬間、ゴルゴンは全身を引き摺るように前進した。

アルドラス「止めるぞ!」

剣「了解!」

剣とアルドラスはゴルゴンが外に出ると考え、食い止めようとした。

アルドラス「うおおおおおおおおお!!」

アルドラスが両手でゴルゴンを押し上げる。

剣「焔技 火進!!」

剣は太刀を突き出し、ゴルゴンを貫こうとした。

ゴルゴン「アザトース様…」

だが、ゴルゴンの方が体格差が圧倒的なのか、為す術もなく押し負けた。

アルドラス「なっ…!なんという力!!想像以上に化け物だ!」

剣「マズイ、このままでは…!!」

そうして、剣とアルドラスはアジトの外へと追い出された。

ふと、空を見上げるとそれは闇に覆われていた。

アルドラス「こいつがやったのか?」

アルドラスは再度ゴルゴンの方へと身体を向けた。

それは剣も同じであり、太刀を構えていた。

アジトの出入口からゴルゴンが姿を現した。

ゴルゴン「全テハ…首領ノ…」

ゴルゴンは周囲を見渡すように、幾つものの目が各方向へと向けられていた。

アルドラス「…剣、ここでヤツを討滅するぞ!」

アルドラスは剣にそう伝えると、拳を構えた。

剣「了解…!」

剣は太刀を構えたままそう返した。

暗黒に染まった巨大な怪物を前にして

次回 第拾参話 「闇を照らす正義」

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