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ユニーク賢者物語  作者: ハヤテ
第2部第3章 そして、「世界」は動き出す

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第61話 説明と、カミングアウト

 お待たせしました、1日遅れの投稿です。


 「あなたは、『勇者』なのですか?」


 そう尋ねてきたオードリーに対して、春風はただ一言、


 「違います」


 と、ハッキリとそう即答した。


 その答えを聞いて、レナをはじめとした周囲の人達(凛咲を除く)が「え? え?」と、目をパチクリとさせる中、オードリーは「ふふ……」と怪しげな笑みを浮かべて、


 「随分と、ハッキリ答えますね」


 と、まるで挑発するかのように言うと、


 「事実ですから」


 と、春風は真剣な眼差しをオードリーに向けながら答えた。


 更に、


 「で、市長さんは()()()()知ってるのですか?」


 と、今度は春風がオードリーに向かってそう尋ねると、


 「一応、()()知ってますよ。あなたと()()()()()()が、ルーセンティア王国で何をしたかも、ね」


 と、オードリーはチラッとレナを見ながらそう答えたので、視線を向けられたレナは思わず、


 「ひっ!」


 と、ビクッとなって背筋をピンッと伸ばした。


 春風はオードリーの答えを聞いて、


 「そうですか」


 と、静かにそう呟くと、


 「ちょっと質問しますが、もしかして……」


 と、ちらりとフレデリックに視線を向けた。


 その視線受けて、フレデリックはオードリーと同じように、


 「ふふ……」


 と、怪しげな笑みを浮かべたので、


 (ああ、やっぱりこの人もか……)


 と、春風は心の中でそう呟いた後、「はぁ」と溜め息を吐き、それを見たオードリーは再び「ふふ……」と怪しげな笑みを浮かべた。


 その瞬間、部屋の中が何やら重苦しい空気に包まれたので、


 「あのー、一体何がどういう事になってるのか、説明していただけるとありがたいのですが……」


 と、それまで黙っていたタイラーが恐る恐る手を上げならそう言ってきたので、それを見たオードリーは、


 「おや、これは失礼しました」


 と、頭を下げて謝罪し、


 「そうですねぇ……」


 と、「うーん」と考える仕草をして、ちらりと春風を見た。


 その視線を受けて、春風は「構いません」と言わんばかりに小さく頷くと、オードリーは「わかりました」と返事をして、説明を始めた。


 「皆さんは、長き封印から目覚めた『邪神』とその『眷属』についての話は知ってますよね?」


 と、春風とレナを含めた周囲の人達にそう尋ねると、


 「ああ知ってるさ。『眷属』については、紅蓮の猛牛(うち)もメンバーが何人かやられてるよ。ただ全員死んではいないけど」


 と、ヴァレリーは「忌々しい!」と言わんばかりに「ちっ!」と舌打ちしながら答えたので、オードリーは「あらあら……」と小さく言うと、再び説明を始めた。


 「そう、今や『邪神』とその『眷属』については知らない者など1人もいないといった感じになってます。そして、そんな状況を打破する為に、今から1ヶ月と少し前、ルーセンティア王国でとある『儀式』が行われました」


 「とある儀式?」


 「ええ。こことは別の世界から、希望の救世主である『勇者』を召喚する『勇者召喚』の儀式です。当然、その儀式は成功し、結果として異世界から25人の『勇者』が召喚されました」


 「はぁ!? 25人も!?」


 「それは凄いですね。それだけいれば『邪神』だって倒せるんじゃないですか?」


 と、オードリーの説明にそう反応したヴァレリーとタイラー。そして傍で聞いていたアメリアやディック達も「凄い!」と言わんばかりの驚きに満ちた表情になっていたが、


 「……」


 ただ1人、レナだけは険しい表情をしていた。


 すると、


 「ところが……」


 と、オードリーがそう口を開いたので、ヴァレリー達が「ん?」と一斉に彼女を見ると、


 「その中の1人が、『自分は勇者ではなく()()()()()()()()()()()()()()だから』と言って国王の申し出を拒否し、その場に居合わせた1人のハンターの少女と一緒にルーセンティア王国を出ていってしまったのです。その際、騎士や神官達を相手に大暴れして」


 と、オードリーは春風とレナを交互に見ながらそう説明した。


 それを見た瞬間、


 「え? ちょっと待て。それってまさか……!」


 と、何かに気付いたかのようにヴァレリーがそう声をあげると、


 「っ!」


 と、レナが勢いよくソファーから立ち上がって片足をテーブルの上に置くと、


 「アンタ、何処まで知ってる!?」


 と、腰の剣を鞘から抜いて、その切先をオードリーに向けながら問い詰めた。


 それを見て、


 「ちょ、ちょっとレナ!」


 と、レベッカがレナを落ち着かせようとしたが、


 「ふー、ふー……」


 と興奮しているのか、レナは切先をオードリーに向けたままだった。


 すると、

 

 「レナ」


 と、春風が落ち着いた口調でレナに話しかけると、


 「は! は、春風……」


 と、レナは我に返り、春風を見て、


 「良いの?」


 と、尋ねた。


 それに対して、


 「大丈夫だから」


 と、春風は優しくそう答えたので、レナは剣を鞘に納めると、ゆっくりとソファーに座った。


 春風はそれを見た後、視線をオードリーに向けて、


 「そうです、俺は『異世界人』。この世界の人間ではありません。そして、こちらの師匠も……」


 と、ちらりと凛咲を見ながらそう言った。勿論、


 「そ、私も異世界人よ。しかも、ハニーと同じ世界の住人」


 と、春風に続くように凛咲もそう言ったので、それを聞いたヴァレリーやタイラー、レベッカにアメリア、エステル、ディック、ピートは


 『えええええええぇ!?』


 と、皆、驚きの声をあげて、反対にオードリーとフレデリックは、


 「あら、そうでしたか」


 「ほほう」


 と、凛咲を見て落ち着いた口調でそう言った。


 

 


 

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