表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ユニーク賢者物語  作者: ハヤテ
第2部第3章 そして、「世界」は動き出す

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

90/220

第58話 「市長」からの招待・2


 そして翌日、フロントラル市長オードリーの招待を受けて、春風達は行政区にある「市役所」にやってきた。


 その市役所を前に、


 (うぅ。すっごい緊張してきたぁ……)


 と、春風は心の中でそう呟いた。春風自身、ハンターの仕事関連で何度か市役所に来た事があるのだが、今回は市長であるオードリーからの招待なので、「一体何が待っているのか?」と考えると、表情に出さないようにしているが、心の中は不安でいっぱいになっていた。しかし、


 (もう、そんな事言ってられないよな)


 と、そう考え直すと、春風はレナ達と共に市役所の中へと入っていった。


 市役所の中は何人ものスーツ姿の職員が、それぞれの部署で黙々と自分達の仕事をこなしていて、それがハンターギルド総本部の中とは違う雰囲気を出していた。


 そんな職員達を前に、春風達が一歩を踏み出そうとした、まさにその時、


 「雪村春風様ですね?」


 と、1人の女性が、春風に向かってそう尋ねてきた。


 (ん? ここの職員さん……かな?)


 と、なんとなくそう感じた春風は、


 「はい、そうですが、どちら様でしょうか?」


 と、女性に向かってそう返事しながら尋ね返すと、


 「申し遅れました。私は、オードリー市長の秘書を務めている者です」


 と、その女性はペコリと頭を下げながらそう自己紹介した。


 その自己紹介を聞いて、


 「あ、ああそうでしたか」


 と、春風も女性秘書に向かってぺこりと頭を下げながらそう言うと、


 「本日私は、皆様を案内するようにとオードリー市長にそう言われてます。それでは、こちらへ」


 と、女性秘書はそう言って、春風達を市役所の奥の方へと案内し出した。


 暫く廊下を歩いたり階段を上がったりしていると、


 「こちらで御座います」


 と言って、女性秘書は大きな扉の前で立ち止まった。


 そしてそれに合わせて春風達も立ち止まると、


 「市長、雪村春風様達をお連れしました」


 と、女性秘書はとんとんと扉をノックしながらそう言った。


 すると、


 「わかりました。どうぞ」


 と、扉の向こうからオードリーの声でそう返事がしたので、


 「失礼します」


 と、女性秘書はそう言うと、扉をゆっくりと開けた。


 扉の向こうはそれなりに広い部屋で、中央には大きめのテーブルが置かれ、それを挟むように黒いソファーが置かれている。


 そして部屋の奥には立派な机が置かれていて、その机の後には、


 「おはようございます、雪村春風さん」


 と、市長のオードリーの姿があった。


 そして彼女の周りには、ハンターギルド総本部長のフレデリック、レギオン「紅蓮の猛牛」リーダーのヴァレリー、レギオン「黄金の両手」リーダーのタイラー、そして、何故か宿屋「白い風見鶏」の女将レベッカの姿もあった。


 彼女の姿を見て、


 (あ、レベッカさん今朝から見ないなと思ったらもうここに来てたんだ)


 と、春風が心の中でそう呟いていると、オードリーは穏やかな笑みを浮かべて机から中央のテーブル前に置かれたソファーへと移動し、


 「立ち話もなんですので、どうぞ座ってください」


 と、春風達に向かってそう言ったので、春風は「失礼します」と返事すると、レナ達と一緒に部屋に入り、オードリーと向かい合うように反対側のソファーに座った。ただ、ソファー自体は最大4人までしか座れないようで、ソファーには春風、レナ、凛咲、そしてアメリアが座り、エステル、ディック、ピートは女性秘書が用意した椅子に座った。


 全員が座ったのを確認すると、


 「さて、春風さん……それとも、()()()()と呼んだ方がいいかしら?」


 と、オードリーが穏やかな笑みを浮かべたままそう尋ねてきたので、


 「春風で構いません。こちらが自分の本名ですから」


 と、春風は真面目な表情でそう答えた。


 その答えにオードリーが「わかりました」と言うと、


 「少し顔色が良くないようですね。昨夜は眠れませんでしたか?」


 と、再び春風に向かってそう尋ねてきたので、


 「……()()と、ありまして」


 と、春風は遠い目をしながらそう答えた。


 あの「宴会」の後、本当に色々とあったのだが、それについてはいつか別の話で語りますので、ここでは伏せておく事にしよう。


 とにかく、そう答えた春風に、オードリーは「ふふ……」と笑いながら、


 「そうですか。まぁ、()があったかについては、これ以上は聞かないでおきます」


 と言うと、


 「さて、本題に入りましょうか」


 と、先程まで穏やかな笑みを浮かべていた時からがらりと変わって、かなり真面目な表情になった。


 そしてその後すぐに、女性秘書が春風に布で包まれた何かを見せた。


 それから女性秘書はゆっくりと布をとって、包まれていたものを春風の目の前のテーブルに置いた。


 それは、折れた剣の刀身で、それを見た瞬間、春風はその正体が何なのかを思い出した。


 「あ、これギデオン大隊長って人の……」


 そう、それはまさしく春風がへし折った断罪官大隊長ギデオン・シンクレアの「聖剣スパークル」の折れた刀身だった。


 春風のその反応を見た後、


 「さて春風さん、そして皆さん。詳しく聞かせてもらいますよ、『断罪官』と戦う事になった原因から、全てをね」


 と、オードリーは穏やかな笑みを浮かべたままそう言ったので、


 『……は、はい』


 と、春風達は気まずそうにそう返事した。


 凛咲1人を除いて。


 

 

 前回の話ですが、サブタイトルと文章の一部に修正を加えました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ