第55話 爆弾発言
お待たせしました、1日遅れの投稿です。
「私は春風の『師匠』兼、『お嫁さん』です」
「ちょおっとおおおおおおおっ!」
『なぁにぃいいいいいいいっ!?』
凛咲のとんでもない発言を聞いて、春風は勿論、食堂にいる者達全員が驚愕の声をあげた。
その後、その場にいる誰もが数秒程固まっていると、
「師匠! 皆さんの前でなんて事言ってるんですか!?」
と、春風が凛咲の肩を掴んでそう怒鳴ると、
「えぇー? 良いじゃないハニー。私とあなたの仲なんだしぃ……」
と、凛咲はなんの悪びれもせずにそう返したので、
「だから! その『ハニー』って呼び方やめてくださいって言ってるでしょ! 俺、男なんですから!」
と、春風は顔を真っ赤にしながら更に怒鳴った。
だが、
「ええぇー!? だあってぇ、春風こんなに可愛いんだもん! どう見ても『ダーリン』じゃなくて『ハニー』の方がピッタリなんだもん!」
と、それでも凛咲はなんの悪びれもしないどころか、ガバッと春風を抱き締めながらそう言ってきたので、その言葉に反応したのか、
『あぁ! 確かに!』
と、ハッとなった周囲からそんな言葉が聞こえてきたので、
「ちょっとお! 皆さん! 納得しないでくださいよぉ!」
と、春風は周囲の人達を見回しながらそう怒鳴った。
すると、
「はっ! ちょ、ちょっと春風! 今の一体どういう事!?」
と、それまでずっと呆然としていたのか、ハッとなったレナが春風の両肩を掴みながらそう問い詰めてきたので、
「お、落ち着いてレナ……!」
と、春風はそう言ってレナを落ち着かせようとした。
すると、
「あらあら、なぁにぃ狐耳ちゃん? あなたもハニーに気があるのかしら?」
と、凛咲が意地の悪そうな笑みを浮かべながら、レナに向かってそう尋ねてきた。
その質問を聞いたレナは、
「え!? あ、そ、そのぉ……」
と、春風以上に顔を真っ赤にすると、
「わ、私の事はいいの! それよりも、凛咲さん……でしたっけ!? あなた、春風と歳の差幾つなんですか!?」
と、怒鳴るように尋ね返したので、
「え、7つだけど、何か?」
と、凛咲は首を傾げながら即答した。
その答えを聞いて、
「何? 歳の差7つ……だと?」
「なぁ、あいつの年齢って確か……」
「ああ、17だったよな?」
「という事は、彼女は24歳……」
と、周囲からそんなひそひそ話が聞こえて、
「……ぎりぎりセーフか?」
「ぎりぎりセーフだな」
「ええ、ぎりぎりセーフね!」
などというセリフが飛んできたので、
「アンタ達一体なんの話をしてるんですかぁーっ!?」
と、春風は再び周囲を見回しながら怒鳴ったが、その一方、
「ぐぬぬ。歳の差7つ……歳の差……」
と、レナは何やらぶつくさと呟いていたので、
「あ、あの……レナ? レナさーん?」
と、春風が恐る恐るレナに声をかけると、
「は! と、とにかく! 幾ら『師匠』だからって、ちょっとベタベタしすぎると思います! いい加減春風から離れてください!」
と、レナは再び我に返り、凛咲に向かってそう怒鳴った。
それに対して、
「えー?」
と、凛咲は「いいじゃん!」と言わんばかりに頬を膨らませると、
「それに! 春風にはもうルーセンティアに好きな人がいるんです!」
と、レナも凛咲のように、とんでもない発言をしてきたので、
「れ、レナさぁあああああああん!?」
『な、なぁにぃいいいいいいいっ!?』
と、春風と周囲の人達は再び驚愕の声をあげた。
ただ、凛咲はその発言に驚く事もなく、
「え? それって、ルーセンティア王国に召喚された『勇者』達の事よね?」
と、首を傾げながらそう尋ねてきたので、
「え? な……なんで……?」
と、レナは「何で知ってるの?」と言わんばかりに逆にショックを受けた。
そして、それに反応したのか、
「え? ルーセンティア王国に……何?」
「今、『勇者』って言ったのか?」
「おいおい、どういう意味だ?」
と、周囲が何やらガヤガヤと騒ぎ出し、
「ふーむ……」
と、フレデリックは凛咲に真剣な眼差しを向けた。
その状況を見て「まずい!」と感じたのか、
「ふ、2人とも、ちょっと今はその話は……」
と、春風はレナと凛咲を交互に見ながら話をやめさせようと動いたが、
「あっはっはっは……!」
と、凛咲は笑い出し、
「な、何!?」
と、それを見たレナが戸惑い出すと、
「それなら心配ないわよぉ。だって……」
と、凛咲は笑いながら話し出そうとした。
その時、
「師匠」
と、何やら低い声でそう言った春風に、凛咲だけでなく周囲の人達もビクッとし出した。
その後、春風はゆっくりと凛咲の方へと振り向くと、
「余計な事言わないで」
と、更に低い声で凛咲を睨みながらそう言った。
そう、まるで酷く醜いものを見るかのような目で、だ。
その視線を受けた凛咲は、
「ごめんなさいごめんなさい調子に乗りました本当にごめんなさいもう何も言いませんからそんな目で私を見ないでくださいお願いします……」
と、顔を真っ青にしてブルブルと体を震わせながら謝罪し、そんな状態の彼女を見た周囲の人達は、
(こ、こいつだけは、絶対に怒らせないようにしよう)
と、皆、心の中でそう決意した。
すると、
「あらあら、なんだか面白い事になっちゃいましたねぇ」
『っ!』
不意にそんな声がしたので、驚いた春風達が一斉にその声がした方へと振り向いた。
視線の先にあるのは食堂の出入り口で、
「みなさん、こんばんは」
そこには、フレデリックと同じ年くらいの、スーツ姿をした女性が立っていて、軽く手を振りながら穏やかな笑みを浮かべていた。
その女性の登場に、
(誰だろう?)
と、春風が首を傾げていると、
「ああ、オードリー市長。お仕事は終わりましたか?」
と、フレデリックが女性を見てそう言ったので、
「……え、『市長』?」
と、春風は頭上に「?」を浮かべながら再び首を傾げた。
そんな春風を見て、女性は「あらあら……」と笑いながら言うと、
「はじめまして皆さん。私は、この『中立都市フロントラル』の『市長』を務めてる、オードリー・クロフォードです。以後、お見知り置きを」
と、その女性、オードリーは穏やかな笑みを浮かべてそう自己紹介した。
謝罪)
大変申し訳ありませんでした。この話の流れを考えていたら、その日のうちに終わらせることが出来ず、結果1日遅れの投稿となってしまいました。
本当にすみません。




