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ユニーク賢者物語  作者: ハヤテ
第2部第3章 そして、「世界」は動き出す

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第51話 「悪夢」からの……


 「ごめんね春風君、()()()()()()()()


 と、目の前でアマテラスにそう言われて、春風は思わず、


 「……え?」


 と、頭上に幾つもの「?」を浮かべながら首を傾げた。


 そんな春風を前に、


 「本当に……ごめんね」


 と、アマテラスはそう言うと、まるで周囲の景色に溶け込むようにスゥッと消えた。


 いや、アマテラスだけではない。ゼウスや、春風と契約したオーディン、そして他の地球の神々までもが、アマテラスと同じように消えていった。


 そして、それからすぐに、春風の目の前に、故郷である「地球」が現れて、ぼろぼろと少しずつ崩壊していった。


 「あぁ……地球が……」


 目の前で起きてる事を見て、春風は顔を真っ青にして膝から崩れ落ちそうになった。


 更に、崩壊している地球から、


 『わぁあああああああっ!』


 『きゃあああああああっ!』


 と、人々の悲鳴のようなものまで聞こえてきたので、春風は更に顔を真っ青にした。


 「い、嫌だ……聞きたくない、こんなもの聞きたくない!」


 と、そう叫んだ春風は両耳を塞いだが、それでも悲鳴のようなものは鳴り止む事はなかった。


 それから少しすると、地球は跡形もなく消滅し、それと同時に悲鳴のようなものも鳴り止んだ。


 「あ……ああ……そんな。オヤジ。師匠。ユメちゃん。美羽さん。水音。先生。みんな……」


 何もかもなくなったその場所で、春風は今度こそ膝から崩れ落ちた。


 「みんな……いなくなってしまった。お……俺……俺が、もっと頑張っていたら……俺の所為で!」


 その後、


 「い、嫌だ……嫌だ嫌だ……嫌だ嫌だ嫌だ……うわぁあああああああっ!」


 春風は頭を抱えて悲鳴をあげた。


 その時だ。


 「大丈夫」


 と、春風の背後でそんな声がしたので、


 「……え?」


 と、春風はそう反応すると、春風の後ろから2本の腕が伸びてきて、


 「大丈夫。まだ、()()()()()()()()


 春風を優しく抱き締めた。


 「……う……んん」


 ゆっくりと目を開けると、そこには天井があった。


 (あ……あれ? ここ……は……?)


 まだ意識がはっきりしてないのか、春風は今の自分の状況がよくわからなかった。


 (俺……どうなったんだっけ?)


 と、春風は心の中でそう呟きながら、それまでの記憶を思い出そうとすると、


 (あれ? 俺、()()()()()にいる?)


 と、春風はそこで漸く自身がベッドに寝かされている事に気付いて、


 (一体、何がどうなってるんだ?)


 と、心の中で得そう呟くと、春風は意識がハッキリしないまま、ゆっくりと首を左右に動かした。


 すると、


 「春風」


 と、すぐ傍で()()()()()()()()()()()がしたので、


 「……ん?」


 と、春風はそれに反応したかのように声がした方へと首を動かすと、


 「うふふ」


 そこには、()()()()()()()()()()があった。よく見ると、女性は春風の手をしっかり握っていた。


 春風はその女性の顔を見て、


 「あれ? ()()?」


 と、小さく呟いた。


 その呟きを聞いて、


 「そうだよ、春風」


 と、「師匠」と呼ばれたその女性は、再び「うふふ」と穏やかに笑った。


 すると、春風は目を細めて、


 (……いや、そんな筈ない。だって俺、今『エルード』って異世界にいるんだから、ここに師匠が来てる筈はないんだ)


 と、春風は心の中でそう否定し、


 「じゃあ、これは『夢』なのかな」


 と、今度はボソッと言葉にした。


 すると、


 「もう。『夢』なんかじゃないわよ」


 と、「師匠」と呼ばれた女性は頬を膨らませながらそう返したので、


 「……え?」


 と、春風は未だ寝ぼけ眼ではあるがポカンとした表情になって、


 「本当に、師匠なの?」


 と、目の前にいる女性に向かってそう尋ねると、


 「ええ。正真正銘、あなたの『師匠』よ、()()()()()()()()()()


 と、「師匠」と呼ばれた女性はにこっと笑いながら、春風に向かって春風の事をそう呼んだ。


 その瞬間、漸く意識がはっきりとしてきたのか、春風は大きく目を見開いて、


 「えええええええっ!? しぃしょおおおおおおおっ!?」


 と、がばっと上半身を起こしながらそう絶叫し、


 「えへへ。やっほー!」


 と、「師匠」と呼ばれた女性は、満面の笑みを浮かべてそう返事した。

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