第50話 激闘後の「裏」では……
お待たせしました。久しぶりの本編新章、開始です。
春風達対ギデオンら「断罪官」の戦いが終わった、丁度その頃。
「そ、そんな……」
見渡す限りの真っ暗な「闇」の中で、今、1人の少年が、呆然とした表情で目の前に浮かぶ大型画面を見つめていた。
「な……な……」
緑色のシャツの上に黒いフード付きの上着、そして黒い長ズボン姿をした緑色の髪を持つ10代後半くらいのその少年は、大型画面に映し出されたものを見て、ワナワナと体を震わせると、
「何なんだよこれぇえええええええっ!?」
と、頭を抱えて絶叫した。
その時、
「どうしたのワポル!?」
という声と共に、緑髪の少年の背後に、長い青髪に眼鏡をかけた、白い半袖シャツに青いロングスカート姿をした20代前半くらいの若い女性が現れた。
その声に気付いて、
「あ、アムニス!」
と、「ワポル」と呼ばれた緑髪の少年は、背後に現れたその青髪の女性をそう呼ぶと、
「た、大変だよぉ」
と、今にも泣き出しそうなくらいに目をうるうるとさせたので、「アムニス」と呼ばれた女性はそれを見て、
「え、ほ、本当にどうしたの?」
と、ワポルに向かって恐る恐る尋ねると、ワポルは素早くアムニスに近づいて、
「ぎ、ギデオンが……ギデオンがやらちゃったんだよぉ!」
と、絶叫するかのようにそう答えた。
その答えを聞いて、アムニスは「え?」と数秒くらい固まっていると、
「な、何ですってぇえええええっ!?」
と、ワポルに負けないくらい絶叫した。
その後、アムニスはワポルの両肩を掴んで、
「そ、それは本当なの!? いつ!? 何処で!? 相手は誰!?」
と、ユッサユッサと揺すりながら問い詰めると、ワポルは全身を震わせながら、
「は……春風だよ。雪村……春風」
と答えたので、
「……何ですって?」
と、アムニスはショックを受けながら、ワポルの両肩から手を離すと、
「あ、アイツが? どうして?」
と、顔を真っ青にしながら呟いた。
そんなアムニスを前に、
「あ、アイツ……固有職保持者……イレギュラーだったんだ!」
と、ワポルは話を続けたので、
「な!? そ、それは、本当なの!?」
と、ハッと我に返ったアムニスは再びワポルに向かってそう尋ねた。
その質問に対して、
「ああ、本当だよ。あいつ自身がそう名乗ったんだ」
と、ワポルは顔を下に向けてそう答えたので、アムニスは右手の親指の爪を噛みながら、
「そんな馬鹿な。人間に『職能』を授けられるのは私達だけ。でも『勇者召喚』の時にアイツはいなかった。ならそれが出来るのは……」
と、ぶつくさと呟きながら考え込んでいると、
「『異世界の神』! 奴らしかいない!」
という結論(?)に至り、
「あ……アイツらぁ! 余計な事をしやがってぇ!」
と、まるで癇癪を起こしたかのようにヒステリックに叫んだ。そんな彼女を見て、
「あ、アムニスゥ……」
と、ワポルは情けなく震えていた。
それから暫くして、
「はぁ……はぁ……」
と、漸くアムニスが落ち着きを取り戻すと、
「ごめんねワポル。取り乱しちゃって……」
と、ワポルに向かって頭を下げながら謝罪した。
それを見て、
「い、いいよ、気にしないで! 僕だってまだ信じられないって思ってるんだからさ!」
と、ワポルは「大丈夫!」と言わんばかりに大袈裟に両手を振るった。
その後、アムニスは落ち着いた表情で再び右手の親指の爪を噛むと、
「ラディウス達と相談しましょ。これは、由々しき事態だわ」
と、ワポルに向かってそう言ったので、
「う、うん、そうだね。みんなと相談しなきゃ」
と、ワポルもコクリと頷きながらそう返した。
その後、
「じゃ、行くわよ」
と、アムニスはワポルに向かって左手を差し出し、
「うん」
と、ワポルはアムニスに従うようにその手を取った。
そして、2人の姿がスゥッと静かに消えて、残されたのは未だに消えていない大型画面だけだった。
どうもハヤテです。
最後の投稿から暫くの間、本編と派生作品の修正(主に文章の追加やサブタイトルの変更など)をしていましたが、前書きに書きましたとおり、今日から本編新章の開始です。
断罪官達との戦いを終えた春風君達に、一体どのような展開が待っているのか。
彼らの今後の活躍(?)に、ご期待ください。




