第39話 激突、断罪官・5
春風、ディック、ピート、エステルの4人が、ルーク副隊長ら断罪官達を相手に必死に抵抗している一方、アメリアも大隊長であるギデオン相手に、激しい戦いを繰り広げていた……のだが、
「はぁ! やっ!」
ハルバードを手に何度も攻撃を繰り出すアメリアに対して、
(ぬ? あの異端者の連中、中々やるな。特にあの少女顔の少年が……)
と、ギデオンはそんな彼女を見ずに、彼女の攻撃を軽くいなしながら、涼しそうな表情で春風達の攻防を見つめていた。
しかし、
「おっと、いかんいかん。今はこっちに集中しなくては」
と、ハッと我に返って、アメリアの何度目かの攻撃を受け止めた。
「くぅ!」
「ふむ、流石はケネスのもとで鍛えられただけはあるな」
と、ギデオンはアメリアを褒めるようにそう言うと、
「ギデオン大隊長、ケネス小隊長達が生きてるというのは本当なのですか!?」
と、アメリアがギュッとハルバードを強く握り締めながらそう尋ねてきたので、
「ああ、事実だ。貴様はあの時、彼らを殺すつもりで攻撃したようだが、その全てが急所を外れていた。そして、断罪官全員の装備についている『自動回復』の効果によって、皆、運良く一命を取り留めたのだ」
と、ギデオンはハッキリとそう答えた。
その答えを聞いて、アメリアが「そう……ですか」と言うと、
「聞きたい事はそれだけか? なら……」
と、ギデオンはそう言ってアメリアを軽く後ろに押すと、
「偉大なる5柱の神々のもとへ、そして先にあの世にいる家族のもとへと逝くがよい」
そう言って、アメリアに幾つもの斬撃をお見舞いした。
「あああああああっ!」
ギデオンからの連続攻撃を受けて、アメリアの体はたちまち傷だらけになった。
幾つもの傷口からはだらだらと血が流れていて、このままいけば間違いなく失血死なるだろう。
しかし、
「う……うぅ」
それでも、アメリアはまだ息をしていたので、
「ほう、まだ生きているか。なら……」
と、ギデオンはそう言うと、瀕死のアメリアの首をガシッと掴んでトドメを刺そうとした、まさにその時、
「ぐあああああああっ!」
「ふ、副隊長ぉおおおおおっ!」
「や、やめろぉおおおおおっ!」
(何!? ルーク!?)
ギデオンの目の前で、ルークが春風の猛攻撃を受けていた。
そして現在、
「貴様、よくもやってくれたな!」
ギデオンは、ルークに大ダメージを与えた春風を怒りの形相で睨みつけた。勿論、傷だらけアメリアの首を掴んだ状態で、だ。
「ぐ……あ……」
「アメリアさん!」
「ね、姉さん!」
今にも死にそうになってるアメリアを見て、ショックを受ける春風とエステル。そんな2人を前に、
「ちょっと待ってろ、貴様よりも先に、この裏切り者を……」
と、ギデオンがそう言ってアメリアにトドメを刺そうと、持っている剣を振り上げたその時、
「やめてぇ!」
というエステル悲鳴と共に、ギデオンの剣を持っている腕に、何本もの「黒い鎖」が巻きついた。
「何!? これは……!?」
と、驚いたギデオンが、その黒い鎖をよく見ると、
(私の……影からだと!?)
なんと、その黒い鎖は全て、ギデオンの「影」から出てきていたのだ。
そしてそれがわかった瞬間、
(あの娘の力か!)
と、ギデオンがエステルを見てそう理解した、まさにその時、
「うおおおおおおおっ!」
ーーズゴッ!
いつの間にかギデオンの傍まで近づいていた春風が、彼の顔面にドロップキックをかましたのだ。
「ぐおお!」
思わぬ一撃を受けて、ギデオンはパッとアメリアから手を離すと、そのまま後ろへと吹っ飛ばされた。
そして、ギデオンの手を離れたアメリアは、
「アメリアぁ!」
と、春風と共に素早く近づいていたディックによって受け止められた。
その後、春風達のもとにエステルとピートが駆けつけて、
「姉さん!」
と、エステルはすぐに彼女に向かって、春風とディックにかけたのと同じ「お呪い」をかけ、それと一緒に、
「ヒールブリーズ!」
と、春風もアメリアに向かって、風属性の回復魔術をかけた。その間、
「はい、エステル姉ちゃん、お兄さん!」
と、ピートは春風とエステルに回復薬を与えていた。
そして、それから少しすると、アメリアの全身の傷がみるみる塞がっていき、
「うう……」
と、彼女の意識も元に戻ったのを感じて、
(はぁ、よかった……)
と、春風が安心していると、
「貴様ぁ……」
と、ドロップキックのダメージから回復(?)したギデオンが、春風を睨んできたので、
「……」
春風は何も言わずに立ち上がり、ギデオンの前に立って杖を構えた。
そんな春風に、
「だ、駄目だ、ハル君。君では、大隊長には勝てない……」
と、アメリアがそう言ってきたが、春風はそれを無視して、
「……ディック君、これを」
と、ディックに新しい矢を与えた。
「こ、これ……」
と、ディックが尋ねようとすると、それを遮るように、
「多分、あのルークって奴と隊員達はまだ諦めてないから、それでアメリアさん達を守るんだ。アイツはは……俺が相手をする」
と、春風は真っ直ぐギデオンを睨みながらそう言った。
その言葉を聞いて、
「ほほう、『俺が相手をする』、か。良いだろう! ならば、まずはルークと隊員達を傷付けた貴様から葬ってくれる!」
と、ギデオンは更に怒りの表情になってそう叫び、
「やれるもんならやってみろ、おっさん!」
春風も、ギデオンに向かってそう叫び返した。
謝罪)
大変申し訳ありません。誠に勝手ながら、前回の話に少し文章を追加しました。
本当にすみません。




