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ユニーク賢者物語  作者: ハヤテ
第2部第2章 対決、「断罪官」

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第29話 再会と、新たな出会い・2

 今年初の投稿です。


 「お、れ、は、男なんですぅ!」


 と、叫ぶようにそうツッコミを入れた春風は現在、再会した長い髪の少年と、真っ赤なショートヘアの女性と共に、森の中を進んでいた。


 あの後、


 「見たところ、君は私達に話があってここに来た、というところかな?」


 と、ショートヘアの女性にそう尋ねられて、


 「はい、()()な話があるんです」


 と、春風は真剣な表情でショートヘアの女性を見てそう答えたので、彼女は少し考え込んだ後、


 「わかった。ここではなんだから、私達と一緒に来てほしい」


 と言ってきたので、


 「わかりました」


 と、春風はコクリと頷きながら、ショートヘアの女性の誘いに乗った。


 そして現在、春風達は森の中を進んでいるのだが、その間、春風は左腕の籠手から「怒り」のオーラのようなもの出ているの感じて、


 (ああ、グラシアさん。きっと怒ってるんだろうなぁ……)


 と、心の中でそう呟きながら、小さな声で「トホホ……」と嘆いた。


 それから暫く森の中を進んでいると、


 「さぁ、あそこだよ」


 と、ショートヘアの女性が前を指差しながらそう言ったので、春風が「ん?」とその指差した方向を見ると、そこにはそこには木造の古い小屋があった。


 春風はその小屋を見て、


 (へぇ、こんな森の中にあんなのがあるんだ)


 と、感心していると、小屋の扉がゆっくりと開かれて、


 「あ、兄ちゃんにアメリアさん、おかえり……!」


 と、そこからあのボロボロ服の少年がヒョッコリと顔を出し、小屋の外に出てきたが、その時春風の存在に気付いて、


 「あ、青いローブ姿のお姉さん!」


 と、ボロボロ服の少年は驚きの表情でそう言ったので、


 「俺は男だよぉ!」


 と、春風は本日2度目のツッコミを入れた。


 すると、


 「誰?」


 と、小屋の扉の後ろから、もう1人の人物が顔を出してきたので、


 「ああ、エステル。ただいま」


 と、ショートヘアの女性がそう言うと、その人物も扉の小屋の外に出てきて、春風達のもとにゆっくりと近づいてきた。


 出てきた人物の正体は、長い茶髪を三つ編みにした大人しそうな少女で、見たところ長い髪の少年と同じ年頃に見えた。


 (うーん、これで全員……なのかな?)


 春風は目の前にいるショートヘアの女性と長い髪の少年、そしてぼろぼろ服の少年と三つ編みの少女を見て、心の中でそう呟くと、


 「あ、あの、おねえさ……じゃなくて、おにいさん」


 と、ぼろぼろ服の少年が春風に向かって話しかけたので、


 「ん? どうしたの?」


 と、春風が尋ねると、


 「パン、ありがとうございました。とても美味しかったです」


 と、ボロボロ服の少年は春風に向かって深々と頭を下げながらお礼を言い、それに続くように、


 「ああ、私からも礼を言うよ。君のパンのおかげで、こうして私達は元気になったから」


 と、ショートヘアの女性も春風に向かってお礼を言った。


 勿論、長い髪の少年も、


 「……あ……ありがとう」


 と、春風を警戒しながらもお礼を言い、


 「あ、ありがとうございました」


 と、三つ編みの少女もお礼を言った。


 春風はそんな彼女達を見て、


 「ああ、別に良いですよ。美味しかったのなら、それで充分ですので」


 と、笑顔でそう返した後、


 「ところで、これで全員なのですか? 見たところ大人がいないようですが」


 と、彼女達の周囲を見ながらそう尋ねると、ショートヘアの女性は「うぅ……」と表情を暗くしたが、すぐに真面目な表情になって、


 「ああ、これで全員だよ……って、そういえば自己紹介がまだだったね。私はアメリア・スタークという者だ、よろしく」


 と、春風に向かってそう名乗った。更に、


 「そしてこの子は、私の妹のエステルだ」


 「え、エステル・スターク……です」


 と、三つ編みの少女と、


 「それと、彼はディック。その隣にいるのが、ディックの弟のピートだ」


 「……ディック・ハワードだ」


 「弟のピート・ハワードです」


 長い髪の少年と、ボロボロ服の少年をそう紹介したので、


 「俺は、フロントラルでハンターをしている、ハルと申します」


 と、春風もショートヘアの女性ーーアメリア達に向かってそう自己紹介した。


 その後、


 「それで、君は私達に大事な話があるとの事なんだが、一体何なんだ?」


 と、アメリアが春風に尋ねると、春風は真剣な表情になって、


 「単刀直入に言います。今、俺が暮らしているフロントラルに、『断罪官』が来ました。来たのは大隊長のギデオン・シンクレアとその部下らしき数人の人達です」


 と、いきなり踏み込んだセリフを言ったので、


 『っ!』


 と、アメリア達はビクッとなった後、顔を真っ青にした。


 そんな彼女達を見て、


 (ああ、やっぱりか……)


 と、春風が心の中で納得していると、


 「そんな……ギデオン大隊長自らが?」


 と、アメリアがブルブルと体を震わせながらそう言ったので、


 「やはり、あの人達の狙いはあなた方ですか……?」


 と、春風が尋ねようとすると、


 「くっ……」


 と、長い髪の少年ーーディックは背中の弓を取ろうとしたその時、


 「兄ちゃん!」


 と、ボロボロ服の少年ーーピートと、


 「やめて!」


 と、三つ編みの少女ーーエステルが止めに入った。


 ディックは2人を見て、


 「でも……!」


 と、それでも弓を構えようとしたが、


 「いいの……」


 と、エステルは首を横に振るった後、


 「……そうです。断罪官の狙いは、私です」

 

 と、春風を見てそう言った。


 その言葉に、


 「あなたが狙い、とは?」


 と、春風がエステルに向かってそう尋ねると、エステルは答えるのを躊躇いながらも、


 「……私は……固有職能『呪術師』の、固有職能保持者です」


 と、勇気を振り絞るようにそう答えた。


 その答えに春風は「マジですか」と小さく呟くと、


 「そうだ。妹は固有職保持者……『異端者』だ」


 と、今度はアメリアが口を開いた後、


 「そして、私は……」


 真っ直ぐ春風を見て言った。


 「妹を守る為に、断罪官を……()()を裏切ったんだ」


 


 


 

 どうも、ハヤテです。


 という訳で、今年最初の投稿です。


 新年早々いきなり不穏な展開になってしまいましたが、今年もよろしくお願いします。

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