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ユニーク賢者物語  作者: ハヤテ
第2部第1章 誕生、ユニークな「ハンター」?

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第14話 春風、質問に答える


 「お前、何処から来たんだ?」


 と、ヴァレリーが春風に向かってそう尋ねてきた瞬間、食堂内は一気に緊張に包まれた。


 周囲の人達が、ゴクリとと唾を飲みながらこっそりと見守る中、春風は落ち着いた様子で、


 「()()()ですよ。()()()()()()()()()から来ました」


 と、穏やかな表情を浮かべながら答えた。


 その答えを聞いて、


 「……随分と、()()()()()()表現をするんだな」


 と、ヴァレリーは「納得出来るか!」と言わんばかりの表情でそう言うと、


 「申し訳ありません。なにせかなり()()な場所ですので、詳しい事を言うのは『掟』で禁止されているんです」


 と、春風は「はは」と苦笑いしながらそう返した。


 ヴァレリーはその言葉を聞いて、


 「ふーん。掟……ねぇ」


 と、目を細めながら呟くと、


 「なら質問を変えよう。そんな特殊な場所から来たお前が、なんで『ハンター』をやる事になったんだ?」


 と、尋ねてきた。


 その質問を聞いて、


 ーーさぁ、どう答える!?


 と、周囲の人達がジィッと春風を見つめている中、


 「『それは言えません』……じゃ、駄目でしょうか?」

 

 と、春風は「参ったな」と言わんばかりの困った笑みを浮かべながらそう言ったが、


 「勿論駄目だ。悪いが答えてもらうぞ」


 と、ヴァレリーにそう返されてしまい、春風は「困ったな」と小さく呟きながら、ポリポリと自分の頭を掻いた後、「はぁ」と溜め息を吐きながら答える。


 「理由は詳しく言えませんが、2()()あります。1つは、()()()()()から、大切な『お願い』をされてましてね、その『お願い』を叶える為には、肉体的、精神的な『強さ』が必要なんです」


 その答えを聞いて、


 「ほう、『お願い』とな。で、もう1つは?」


 と、ヴァレリーは目を細めながらそう尋ねると、


 「そのお方の『お願い』を叶えたいという意志はありますけど、自分自身が『強くなりたいから』というのが大きいですね」


 と、春風がそう答えたので、それを聞いて、


 「驚いたな、あれでも結構強いと思ってるのにまだ強くなりたいのか?」


 と、ヴァレリーが意外なものを見るかのような表情でそう尋ねてきたので、


 「ええ、自分はもっと強くなりたいんです。知恵()も、肉体()も、そして精神()も、ね」


 と、春風はグッと握り締めた自身の両手を見ながらそう答えた。


 それに対して、ヴァレリーはこれ以上聞くのを躊躇う素振りを見せたが、やはり気になったのか、ゴクリと唾を飲んだ後、


 「……なんの為にだ?」


 と、恐る恐る尋ねると、


 「決まってるでしょ。()()と、()()()()()()()()を守る為です」


 と、春風は真っ直ぐヴァレリーを見てそう答えた。


 そんな春風の雰囲気に、何やらただならぬものを感じたのか、その場にいる誰もがタラリと汗を流した。当然、その中にはヴァレリーも含まれていて、


 「……それが、お前が『ハンター』になった理由か?」


 と、ヴァレリーはゆっくりと口を開きながらそう尋ねると、


 「ええ。『色んな人達と出会い、関わる事で、君は更なる強さを得るだろう』と言われまして。で、ハンターになる為に故郷を出る前に、そのお方から『レナのもとに行け』とも言われて……」


 と、春風はヴァレリーの隣に座るレナを見ながらそう答えたので、ヴァレリーは「え、マジで?」と言わんばかりにレナの方へと振り向くと、


 「ふふん。私、こう見えて色んな()()()()()がいるんですよ。で、そのお知り合いの1人から、『ハルを預かって欲しい』という依頼を受けまして、こうして一緒にいるというわけ」


 と、レナは椅子に座った状態のまま、ヴァレリーに向かってドヤ顔で言った。


 そんなレナの表情を見て、ヴァレリーが少しイラッとなったのが見えたが、春風はスルーする事にした。


 その時、


 「……お待ちどうさま」


 と、奥の部屋から料理人のデニスが現れて、春風、レナ、タイラーの前に出来上がった料理を並べた。


 それは、一見ビーフシチューのようなもので、そこから発せられた香ばしい匂いに鼻をくすぐられたのか、


 「わぁ、凄く美味しそう!」

 

 と、先程までのただならぬ雰囲気からがらりと表情を変えた春風は、そう声に出して喜ぶと、料理と一緒に用意された木製のスプーンを手にとって、


 「いただきます」


 と、目の前の料理を食べ始めた。当然、レナも一緒だ。


 「あ、凄く美味しい!」


 と、とても美味しそうに料理を食べる春風を見て、デニスは嬉しそうな表情を浮かべたが、レベッカやヴァレリー、タイラー、そしてその他の人達はというと、


 『一体こいつは何者なんだ?』


 と、皆、そう言わんばかりの視線を春風に向けていたので、デニスはそんな彼女達を見て、頭上に大きな「?」を浮かべた。



 



 

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