第12話 食堂にて
遅くなりました、1日遅れの投稿です。
「さぁ、ここがうちの食堂だよ」
レベッカにそう言われて案内された食堂の中は、カウンター席と幾つかのテーブル席に分けられていて、
(お、おお、人がいっぱいいるよ)
と、春風がそう感心したように、そこには沢山の人がそれぞれ食事をしたり酒を飲んだりしていた。
そんな状況の中、
「あ、ハル。あそこが空いてるよ」
と、レナはそう言ってカウンター席を指差した。
そこは確かに3人分空いていたので、
「じゃあ、あそこに座ろうか」
と、春風はそう言ってレナ、タイラーと共にそのカウンター席に向かい、3人同時に椅子に座った。因みに、椅子はレナ、春風、タイラーの順だ。
すると、
「アンタ! お客さんだよ!」
と、カウンターの奥の部屋に向かってレベッカがそう言うと、
「……いらっしゃい」
と、奥の部屋からレベッカとウェンディと同じようにシンプルなシャツとズボンの上に白いエプロンを着た、かなりマッチョな男性が現れた。
春風はその男性を見て、
「あ、どうも……」
と言うと、
「紹介するよ、あたしの旦那で、料理を担当しているデニスだよ」
と、レベッカがその男性ーーデニスを春風達に紹介した。
デニスはただ一言、
「……どうも」
と言って頭を下げた後、
「……注文は、何にしますか?」
と、無表情でそう尋ねてきたので、
「今日のおススメ、2つくださいーい!」
と、レナは「彼と一緒に」と言わんばかりに春風をちらっと見ながらそう注文し、
「ああ、では僕もそれで」
と、春風の隣に座ったタイラーもそう注文した。
2人の注文を聞いたデニスは、無言でコクリと頷くと、カウンターの奥の部屋へと入っていった。
そんなデニスを見て、
「えぇっと……」
春風がなんとも言えない表情をしていると、
「ああ、デニスは普段無口なんだ。でも料理の腕は確かだから、そこは信じてくれてもいいよ」
と、レベッカがフォローに入ってきたので、
「は、はぁ、わかりました」
と、春風は少し戸惑いながらもそう返事した。
すると、
「ところでアンタ……」
と、レベッカが不意に春風に話しかけてきたので、
「は、はい! な、なんでしょうか?」
と、春風は驚きながらも恐る恐る尋ねると、
「ヴァレリーと戦ってた時からも思ってたけど、随分派手な籠手をつけてるじゃないか」
と、レベッカは春風の左腕に装着された銀に輝く籠手を見てそう言った。
そんなレベッカに対して、
「あ、あぁ、これは……」
と、春風は戸惑いながらその籠手を隠そうとしたが、それよりも早く、
「いやぁ、実は僕もこれに興味があるんだよ」
と、タイラーがグイッと春風の左腕(正確に言えば左腕につけてる銀の籠手)を掴み、それをジィッと見つめた。
「あ、ちょ、ちょっと……!」
と、春風が困惑している中、
「ふーむ、これは中々のものだねぇ」
と、タイラーは籠手を見てそう感想を言うと、春風の左手首をクイッと動かした。
次の瞬間、ジャキンッという音と共に、籠手の裏側から短い両刃の刀身が伸びてきたので、
「うわぁ!」
と、驚いたタイラーは思わず籠手から手を離した。当然、レナとレベッカも、いきなり現れた刀身を見て思わず驚きの表情になっていた。
そしてそれからすぐに、
「……あんた、随分と物騒なもん仕込んでるねぇ」
と、レベッカがタラリと汗を流しながら言うと、
「世の中物騒ですので、これくらいの装備は必須だと思いまして」
と、春風は籠手をグッと握りながら言った。
その時だ。
「ははーん、なるほどそういう仕掛けな訳か」
と、春風達の背後でそんな声がしたので、思わずバッと後ろを振り向くと、
「よぉ!」
そこには、先に小闘技場を出たヴァレリーが立っていた。
春風と戦ってた時の鎧は着ていなくて、代わりに動きやすそうなラフな格好をしていたヴァレリーを見て、
「あ、ヴァレリーさんも食事に来たんですか?」
と、春風がそう尋ねると、
「それもあるけど、ちょっとお前に聞きたい事があるんだよねぇ」
と、ヴァレリーは大袈裟に「うーん」と唸りながら答えると、
「あ、ちょっと失礼」
「え……って、うわ!」
と、ヴァレリーは春風の隣に座ってるレナをひょいと片手で持ち上げると、空いている隣の椅子に座らせて、代わりに自身が春風の隣に座った。
因みにその間に、春風は手首を動かして籠手から伸びた刀身をしまった。
「ちょっとぉ! 何すんの!?」
いきなり別の椅子に座らされて、レナはプンスカと怒っていたが、
「あの、それで『聞きたい事』って何なのですか?」
と、そんなレナを無視して、春風は恐る恐るヴァレリーに向かって尋ねると、ヴァレリーはニヤッと笑って、
「お前さ、『紅蓮の猛牛』に入らないか?」
と、尋ね返した。
謝罪)
大変申し訳ありませんでした。今回の話の流れを考えていたら、その日のうちに終わらせる事が出来ず、結局1日遅れの投稿となってしまいました。
本当にすみません。




