第10話 宿屋「白い風見鶏」と新たな出会い
お待たせしました、1日遅れの投稿です。
ヴァレリーとの戦いからの、ギルド総本部長フレデリックとの出会いを終えた春風とレナが、食事に行こうとして小闘技場を出た後、
「あ、そうだ! ご飯に行く前に……」
と、レナが何かを思い出したかのようにその場に立ち止まったので、
「え、ど、どうしたの?」
と、春風も思わず立ち止まって頭上に「?」を浮かべながら尋ねた。
レナはその質問に、
「ちょっとやる事があるから、出入り口で待ってて!」
と、笑顔で答えると、春風を置いて何処かへと走り出した。
その後、春風はレナに言われるまま、総本部の出入り口で待っていると、
「お待たせぇ!」
と、レナが駆け寄ってきたので、
「えっと、何をしてたの?」
と、春風が尋ねると、
「いやぁここまで来る途中で倒してきた魔物を換金してたんだぁ! で、結構な量のお金が入ったから、これでご飯食べに行こ!」
と、レナは明るい口調でそう答えた。
その後、レナは再び春風の手を引きながら、とある場所に向かって歩き出した。
暫く歩いていると夕方になったのか、空がだんだんとオレンジ色に染まっていった。
そしてそれと同時に、商業区の通りを歩く人達がどんどん増えていった。
春風はその様子を見て、
(凄いや、どんどん賑やかになっていくぞ!)
と、心の中で感動していると、
「ハル、着いたよ」
と、レナがそう話しかけてきたので、春風は「え?」とレナの視線先にあるものを見た。
それは、大きな木造の建物もようで、その建物の出入り口の上に飾られた大きな看板には、
「『白い……風見鶏』?」
と、大きく書かれていた。
「レナ、ここって一体、何?」
と、春風がちょっと恐る恐るといった感じでレナにそう尋ねると、
「ここはね、私が拠点にしている宿屋で、ご飯がとっても美味しいんだぁ」
と、レナはじゅるりと涎を垂らしながら答えたので、
「へ、へぇ、そうなんだ」
と、春風は若干頬を引き攣らせながらそう返した。
その時だ。
「うんうん。確かにここのご飯はとても美味しいよ」
「「っ!」」
と、背後から男性の声がしたので、驚いた春風とレナは同時に後ろを向いた。
「やぁ」
そこにいたのは、総本部長のフレデリックと同じようにロングコートをマントのように羽織った、20代くらいの若い金髪の男性だった。
春風は突如現れたその男性を警戒しつつ、
「あのぉ、どちら様ですか?」
と、男性に向かってそう尋ねると、
「ああ、これは失礼したね。僕はタイラー・ポッター。レギオン『黄金の両手』のリーダーをしているんだ」
と、男性ーータイラー・ポッター(以下、タイラー)は穏やかな笑みを浮かべながらそう自己紹介した。
その紹介を聞いた春風は、
「ご、ごーる……何?」
と、チラッとレナを見ると、レナは「はぁ」と溜め息を吐きながら答える。
「このフロントラルで大人気のレギオンの1つだよ。さっきハルが戦ったヴァレリーさんがリーダーをやってる『紅蓮の猛牛』と肩を並べているって言われてるんだ」
「へぇ、そうなんだ……え、それってヴァレリーさんのとこのレギオンも凄く大人気だって事?」
「うん、そう」
レナのその答えを聞いて、
(マジかよ……って、そういえばヴァレリーさんも『大手のレギオンなんだ』って言ってたな。てっきり冗談かと思った)
と、春風は思わず頭を抱えた。
しかし、そんな春風達を無視して、
「さぁさぁ君達、今からご飯なんでしょ? 是非とも僕もご一緒させて欲しいなぁ。丁度君に色々聞きたい事があるから」
と、何故か春風をジッと見つめながら言った。
春風はそれに対して、
「あの、俺……」
と、身構えながら言うと、それを遮るように、
「ああ、大丈夫大丈夫。君が男だってのは理解しているから」
と、タイラーがそう言ってきたので、
「はぁ、そうですか」
と、春風はホッと胸を撫で下ろした。
ところが、
「さぁさぁさぁ、つもる話は中でじっくりとしようじゃないか。食事をしながら、ね」
と、タイラー春風とレナをグイグイと中へと押し込むように押し出した。
「へ!? な、何ですか!?」
「ちょっとぉ!」
突然の事に焦り出す春風とレナだったが、
「気にしなーい、気にしなーい!」
と、タイラーは2人を無視して、一緒に「白い風見鶏」の中へと入った。
そんな状況の中、
(ああ、また妙な人に出会っちまったなぁ)
と、春風は心の中で「はぁ」と溜め息を吐きながら呟いた。




