表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ユニーク賢者物語  作者: ハヤテ
第2部第1章 誕生、ユニークな「ハンター」?

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

41/220

第9話 「戦い」の後


 その後、


 「はいはい皆さん、2人の戦いは終わりましたので、本日はもう解散ですよぉ」


 と、フレデリックが手をパンパンと叩きながらそう言うと、周囲の人達はぞろぞろとその場を後にした。


 その際、


 「ところでヴァレリーさん、右手の方は大丈夫ですか?」


 と、フレデリックがヴァレリーの右手を見てそう尋ねると、


 「ああ、大した事はないさ。こんなの唾つけとけば治る」


 と、何事もなかったかのように右手をぷらぷらと振ったが、


 「うぐっ!」


 と、その手をピタッと止めたので、


 「ヴァレリーさん」


 と、フレデリックは顔こそ笑ってはいるがもの凄いプレッシャーをヴァレリーに浴びせた。


 それを受けたヴァレリーは、


 「……」


 と、目の前にいる笑顔のフレデリックを見てたらりと冷や汗を流し、巻き込まれた形で同じくプレッシャーを受けた春風は、


 「あわわ……」


 と、蛇に睨まれた蛙の如くがたがたと体を震わせた。


 そんな春風をちらっと見て、


 「わかったわかった! ちゃんと医務室で診てもらうから!」


 と、ヴァレリーは降参したかのように両手を上げながらそう言うと、大慌てでその場から歩き出した。


 そして、彼女が小闘技場から出て行った後、フレデリックは春風の方へと振り向いて、


 「ではハルさん」


 と、話しかけてきたので、春風は思わず、


 「は、はいぃ!」


 と、ビシッと姿勢を正しながら返事した。


 そんな春風を見て、フレデリックは「ふふ」と笑うと、


 「あなたのご活躍、楽しみにしていますよ」


 と言って、スタスタとその場から歩き出し、小闘技場から出て行った。


 さて、残された春風はというと、


 「……はぁ、怖かった。あの人には出来るだけ逆らわないようにしよう」


 と、疲れた表情でそう決意した。


 その時、


 「春風!」


 という声が聞こえたので、春風が「ん?」と頭上に「?」を浮かべると……。


 ーーガバッ!


 「うわ! れ、レナァ!?」


 なんと、いきなりレナが抱きついてきたのだ。


 「ちょ、ど、どうしたのさレナ!?」


 と、春風は突然の事に驚きながらも、なんとか冷静な態度でレナに尋ねると、


 「よかった。春風が無事で本当によかった」


 と、レナはギュッと抱き締める力を強くしながら答えた。


 どうやら春風が思ってる以上に、レナは春風の事を心配していたようで、それを理解すると、


 「……ごめん、レナ。心配かけて」


 と、少し躊躇ったが、春風もそっとレナを抱き締めながらそう謝罪した。


 ただその際に、


 (うぅ。これは浮気とかそんなではない! そんなではないけど……ごめん、ユメちゃん美羽さん師匠!)


 と、この場にいない2人の少女と1人の女性に向かって、心の中でそう謝罪した。


 すると、そんな事を知らないレナは、


 「ううん、私こそごめんね、()()()を止める事が出来なくて」


 と、春風の胸元に顔をつけながら謝罪した。


 それを聞いた春風は、


 「ん? 『あの人』って、ヴァレリーさんの事?」


 と、首を傾げながら尋ねると、レナはこくりと頷いて、


 「うん。私があの人を止められなかったばかりに……」


 と、レナは更に春風を抱き締める力を強くした。


 どうやら、ヴァレリーを止める事が出来ずに、春風を彼女と戦わせてしまった事を悔やんでいるようで、それを理解した春風は、


 「あー、それなら『嫌だ』と断らなかった俺も同罪……」


 と言いかけたが、


 「いや、俺の方がかなり悪いな」


 と、訂正すると、抱きついている状態のレナを優しく剥がして、


 「うん。レナが気に病む事はないよ。全部『嫌だ』と言わなかった俺の()()()()って事でさ、そんなに気にすんなって」


 と、真っ直ぐレナを見てそう言った。


 それでも、レナは「でも……」と涙目で春風を見つめるので、春風は「うーん」と唸りながら考え込んだ。


 その時、「グゥウ」という音が春風の腹から聞こえたので、


 「あはは。いっぱい動いたら、お腹すいちゃったよ」


 と、春風は顔を真っ赤にしてお腹を摩りながらそう言った。


 それを聞いたレナは、「え?」と首を傾げたが、すぐに「あはは」と笑い出して、


 「じゃあ、まずはご飯だね」


 と言った。


 そして、


 「じゃ、行こっか春風……」


 と、レナが春風の手を引こうとしたその時、


 「あ、ちょっと待ってレナ」


 と、春風は彼女の名前を呼んだので、レナが「どうしたの?」と再び首を傾げると、


 「忘れたかな? ()の俺は……」


 と、春風がそう言いかけたので、レナは「あ!」と驚きの表情になった後、「ごめんね」とまた謝罪して、


 「じゃあ行こっか、()()!」


 と、レナは春風を偽名の方で呼んだ。 


 それを聞いて、春風が「うんうん」と頷いた後、2人は手を繋ぎながらその場を後にした。


 ただ、


 「……」


 そんな姿を、物陰からジッと見つめる人影がいた事に、2人は気付いていなかった。


 

 

謝罪)


 大変申し訳ありません。まことに勝手ながら、前々回の話の内容を一部修正させてもらいました。


 本当にすみません。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ