表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ユニーク賢者物語  作者: ハヤテ
第1部第3章 異世界エルードの「真実」

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

31/220

第30話 もう1つの「大国」と……

 本日2本目の投稿です。


 そして、読者の皆様に謝罪したい事があります。


 現在、このエルードという世界には、「大国」と呼ばれるその名の通り大きな国が2つ存在している。


 1つは世界の東側に位置する、「勇者召喚」を行った「ルーセンティア王国」。


 もう1つは、反対の西側に位置する国で、名を「ストロザイア帝国」という。


 そして、そのストロザイア帝国の中心である「帝都」という都市の中にある、「帝城」という名の大きな建物のとある一室では、1人の男性が、机の上に大量に置かれた書類を相手に睨めっこしながら、せっせと仕事をしていた。


 「ちっくしょう! 今頃()()()は楽しい事になってんだろうなぁ」


 と、男性が大量の書類を睨みながらそんな事を呟いていると、


 「陛下が悪いんですよ。仕事をサボってばかりいるから」


 と、1人の女性が「陛下」と呼んだ男性に向かって、「ハァ」と溜め息を吐きながら、呆れたように言った。どうやらこの男性、普段から仕事をサボる事が多いようだ。


 そんな呆れ顔をしている女性の言葉を聞いて、


 「うぅ。だ、だぁってよぉ……」


 と、男性が今にも泣きそうな顔になっていると、


 「……ん? 何だぁ?」


 突然、部屋の壁際に立っている大鏡についている青い宝石がぴかっと輝き出したので、


 「お! ()()()()の報告かぁ!?」


 と、男性はぱぁっと表情を明るくして座っていた椅子から立ち上がると、素早く大鏡の前に立ち、青い宝石に手を触れるた。


 次の瞬間、大鏡が眩い光を放ち、その光が弱まると、そこには別の男性が映し出された。


 その別の男性に向かって、


 「よぉ、ウィルフ! どうしたんだぁ?」


 と、男性が明るい口調で挨拶すると、


 「お久しぶりです、ウィルフレッド陛下」


 と、男性の背後で女性がニコッと笑ってそう言ったので、


 「夜分遅く申し訳ない、ヴィンセント皇帝殿。そして、お久しぶりです、キャロライン皇妃殿」


 と、その別の男性ーールーセンティア王国国王ウィルフレッドは、男性と女性に向かってそう挨拶を返した。


 すると、


 「おいおいウィルフゥ、俺の事は『ヴィンス』と呼べって言ってんだろ」


 と、男性ーーヴィンセントはちょっとだけ頬を膨らませ、その後ろで女性ーーキャロラインは「うふふ」と小さく笑っていたので、


 「……ああ、わかってるよ()()()()


 と、ウィルフレッドは弱々しく笑いながら、ヴィンセントを()()()()()()で呼んだ。


 その後、


 「で、こうして連絡してきたって事は、もう()()はやったのか?」


 と、ヴィンセントが真面目な表情でそう尋ねてきたので、ウィルフレッドも真面目な表情になって答える。


 「ああ、『勇者召喚』は成功したよ。その結果として、25人もの『勇者』達が召喚された」


 「おお、マジかよ!? ちくしょう、俺も見たかったぜ……」


 「いや、正確に言えば、2()4()()……だな」


 と、ウィルフレッドがそう訂正してきたので、


 「……何かあったのか?」


 と、ヴィンセントが真面目な表情で再び尋ねた。


 その後、


 「ああ、実は……」


 ウィルフレッドはヴィンセントとキャロラインに、今日あった出来事を説明した。


 そして、全てを聞き終えると、


 「えぇ、マジかよそれ?」


 と、ヴィンセントは目を閉じて上を向いた。


 そしてその後ろでは、


 「うーん、『巻き込まれた者』……ですか」


 と、キャロラインが指で自身のこめかみをトントンとしながら、その「巻き込まれた者」ーー春風について考え込んでいた。


 その後ヴィンセントはウィルフレッドを見て、


 「……て、ちょっと待てよウィルフ、それお前も悪いだろ。そこはちゃんと『必ず元の世界に帰す』って答えるところだろが!」


 と、勇者召喚の後に春風から受けた最後の質問の答えについて指摘した。


 それを聞いて、ウィルフレッドは「む……」と唸ったが、


 「う、うーむ、そう言われても、神々から授かったのは『勇者を召喚する秘術』だけで、『元の世界に帰す秘術』はまだ授かってないから、『ない』と言って落ち込ませるよりも『名誉』でやる気を出させるしか方法がなかったんだ」


 と、ヴィンセントにそう説明すると、


 「むぐ! で、でもよぉ……」


 と、ヴィンセントはまだ何かを言おうとしたが、これ以上は無駄かと考えて「うーん」と唸り、何かを考え出した。


 そして、考えが纏まったのか、


 「よし、ウィルフ! 俺も仕事が終わり次第そっちに行くから、お前はお前で、その『雪村春風』ってのがどんな奴なのか聞いておいてくれ!」


 と、ウィルフレッドにそう言うと、


 「ああ、わかった」


 と、ウィルフレッドはコクリと頷きながらそう言った。


 その後ヴィンセントは、


 「じゃ、おやすみぃ!」


 と言ってウィルフレッドとの鏡越しの会話を終了すると、


 「さぁてと、予定も決まったし、仕事の続きするか!」


 と言って、再び書類仕事を始め、それを見たキャロラインは、


 「うふふ。頑張ってくださいね、陛下」


 と、穏やかに笑いながら言った。


 さて、うっかり語るのを忘れていたのだが、ヴィンセントらとウィルフレッドが会話している間、ルーセンティア王国王都内にある、とある施設の中の一室では、


 「おおおおおっ! おのれおのれ、おのれぇえええええっ!」


 と、1人の男が怒りに任せて喚き散らしながら、そこら辺のものを手当たり次第床にぶちまけていた。


 男はウィルフレッドに「クラーク教主」と呼ばれていた者で、彼は春風とレナが大暴れした後、ウィルフレッドによって気絶させられていたが、あれから数時間後に目を覚まし、すぐに春風が外の世界に出て行ったと聞かされ、怒りが爆発してしまい、現在に至ったそうだ。


 「ゆ、許さん、許さんぞ、雪村春風ぁ! 『勇者』になれなかった()()()()()がぁ!」


 と、この場にいない春風に向かってひとしきり叫んだ後、漸く落ち着いてきたのか、その男、ジェフリー・クラーク……以下、ジェフリーは「ゼェ、ハァ」と肩で息をすると、


 「フン。まぁいいでしょう。幾ら頑張ろうとも、『勇者』の称号を持たない人間が、この世界で生きられる訳がない。ここは、このまま放っておくとしましょうか」


 と言って、口元を醜く歪ませ、春風に対して「何もしない」事を選択した。


 しかし彼は後に、この選択をした事を激しく後悔する事になるのだが、それはまた、別の話である。


 


 


 

 

 


 

謝罪)


 大変申し訳ありません。


 誠に勝手ながら、「勇者」の1人として召喚された春風君のクラスの担任教師の名前を、「咲和子」から「爽子」へと変更させてもらいました。以降はこちらの名前で登場させてもらいます。


 重ね重ね本当にすみません。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ