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ユニーク賢者物語  作者: ハヤテ
第1部第1章 誕生、ユニークな「賢者」?
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第2話 「神々」との出会い


 (あれ……ここ、何処だ?)


 目を覚ますと、春風は真っ暗な闇の中にいた。


 辺りを見回すと、自分以外誰もいなく、


 (みんな、どうなってしまったんだ?)


 と、春風は謎の光に飲み込まれたクラスメイト達の事を心配して、不安になった。


 その時、


 (うわ、眩しい!)


 突然目の前が真っ赤に光り出し、


 (え、だ、誰!?)


 その光の中から、青いフード付きのローブを纏った2人の人物が現れた。見たところ、2人の背丈は春風と同じくらいに見えるが、顔はどちらもフードを深くかぶっていたので、男か女かまではわからなかった。


 春風はその2人を前に、


 「あの、どちら様ですか?」


 と尋ねようとしたが、


 (……あれ? 声が出ないぞ)


 何故かその一言を声に出す事が出来なかった。


 一体どうなってるんだと春風が戸惑っていると、2人の人物はくすっと笑って春風に近づき、


 (え、な、何、()()?)


 1人は閉じた状態の大きな扇子を、もう1人は鞘に納まった一振りの日本刀を春風に差し出した。


 (う、受け取ってくれってか?)


 と思いながら、春風が恐る恐るその扇子と日本刀を受け取ると、2人の人物は揃って口を開く。


 「「頑張れよ」」


 そう言った次の瞬間、2人の人物の体が、赤い光に包まれた。


 (ちょ、ちょっと待ってよ! あんたら一体誰なんだよ!?)


 春風は大慌てで手を伸ばしたが、赤い光の中へと消えていった2人の人物には届かなかった。


 (お、おい、待てよ!)


 「待てったら……て、あ、あれ?」


 気がつくと、春風は別の空間にいた。


 先程まで真っ暗な闇の中にいたのに、今度は辺り一面真っ白な空間の中で寝転がっている形になっていた。


 (い、今のは、一体……)


 「どうなってるんだよ……って、あ、声が出せるぞ」


 と、しっかり自分の声が出せるのを確認すると、春風はゆっくりと上半身を起こした。


 「ここ、何処なんだ?」


 そう言って、春風は周囲を見回したが、何処を見ても何もなく、ただ真っ白な景色が広がっているだけだった。


 しかし、地面に座っている感触はあるので、


 (いつまでもこうしていても仕方ないか)


 と思い、春風はゆっくりと立ち上がると、自身の今の状態を確認し始めた。


 顔にはいつもつけている分厚い()()眼鏡。


 服装は通っている常陽高等学校の制服。


 青い上着に赤いネクタイ、白いワイシャツに濃いグレーのズボン。足はしっかり上履きを履いている。


 ズボンのポケットには最新のスマートフォンが入っていたので、すぐに電話をかけようとして電源を入れたが、残念な事に幾らスイッチを押しても電源が入る事はなく、春風はがっくりと肩を落とした。


 その後、スマートフォンーー以下スマホをズボンのポケットに戻すと、今度は上着についている幾つかのポケットに手を入れた。その結果、外側の左右のポケットには何も入ってなかったが、内側のポケットには、右側に自身生徒手帳が入っていて、左側には、


 「あった、師匠の『お守り』!」


 そう、そこには春風が「師匠」と呼ぶ人物から貰った「お守り」が入ってた。


 するとそこで、春風はふと自分の両手を見た。


 (()()は、夢だったのかな?)


 と思いながら、春風は闇の中での事を思い出していた。


 確かに自分は、あの真っ暗な闇の中で、2人の青いローブを着た人物達から扇と日本刀を受け取ったのだが、この空間で目を覚ました今は、2つとも手に持ってはいなかった。


 しかし、


 (……いや、きっと夢なんかじゃない)


 と思ったように、その2つを受け取った感触は、今も両手に残っているのを感じた。


 そして、


 「『頑張れよ』、か」


 と、春風は青いローブを着た人物達に言われた事を思い出して、


 「……って、何をどう頑張ればいいんだよ!」


 と、誰もいない空間に向かってツッコミを入れた。


 すると、


 「目が覚めたみたいね」


 「へ!?」


 不意に声をかけられたので、春風は驚いてその声がした方へと向くと、


 「やっほー!」


 「よう!」


 「こんにちは」


 そこには、白いワイシャツに青いジーンズをはいた、1人の若い女性と2人の若い男性が立っていた。


 若い女性は長い黒髪にキリッとした顔立ちに加えて、抜群のスタイルを誇っている。因みワイシャツは真ん中の辺りで2、3個とめているだけで、よく見ると、彼女腹部にあたる部分から、チラリとおへそが見えていた。


 そして、彼女の両隣りに立つ2人の若い男性はというと、1人は「ワイルドなお兄さん」を思わせるかのように、短く刈り揃えられた白髪に「男らしさ」が滲み出ている顔付きに加えて、全開きにしたワイシャツの下に、がっしりとした筋肉をつけた褐色の肌を持っている。


 もう1人は「クールなお兄さん」を思わせるかのように、1つに束ねた長い灰色の髪に落ち着きのありそうな「大人の顔」をしているが、右目に付けている黒い眼帯が、もの凄く近寄り難い空気を出していた。


 (な、何だ!? いつの間に!?)


 突如現れた3人の男女に驚いた春風は、


 「ど、どちら様……ですか?」


 と、自分が先に名乗るのを忘れて、3人の男女に向かってそう尋ねた。


 すると、まずは若い女性が「ふふ」と笑って答える。


 「私は、天照大神(あまてらすおおみかみ)。日の本の『太陽』を司る女神(おんな)。呼び難かったら、『アマテラス』って呼んでいいからね」


 まさかの日本神話に出てくる()()の名前を名乗ったその女性に対して、


 「……は?」


 と、春風が頭上に「?」を浮かべながら首を傾げていると、


 「俺はゼウス! オリュンポスの長だ! よろしくな!」


 と、女性に続くように、彼女の隣りにいる「ワイルドなお兄さん」を思わせる褐色の肌をした男性が、自身をギリシャ神話の()()()の名を名乗ったので、


 「……はぁ?」


 と、春風が更に首を傾げていると、


 「はじめまして、僕はヴァルハラの主、オーディンだ」


 と、最後に女性の逆隣りに立つ「クールなお兄さん」を思わせる眼帯を付けた男性が、自身を北欧神話の()()()と名乗った。


 「……はぁ。え……神……様? え、ちょ、はぁ?」


 突如現れた、自身を「神(と女神)」と名乗った3人の男女。


 そんな彼女達を前に、春風は数秒程固まった後、


 「……その髪型、よく似合ってます」


 と、何やら見当違い(?)な事を言い出したので、


 「「「え、本当? 嬉しいな……って、そこかよ!」」」


 と、「神」と名乗った3人の男女は、春風に向かってツッコミを入れた。


 さて、ここまで長くなってしまったが、これが、後に「赤き悪魔」として数奇な運命に翻弄される事になる少年、雪村春風と、そのきっかけとなった3柱の「神々」との、運命の出会いだった。


 


 


 

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― 新着の感想 ―
[良い点] 神!この小説には神の要素があります! 「神」の要素がある小説ならどんな小説でも応援します! [気になる点] これからも創作を続けてください、主人公が成長していけますように。 [一言] …
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