第27話 新たな「お願い」
それから少し時間が過ぎると、春風とレナは家の中へと戻った。
玄関の扉を開けると、
「……」
何故か頬を膨らませているヘリアテスがいたので、
「ど、どうしたのお母さん?」
と、レナが尋ねると、
「何でもありません」
と、ヘリアテスはプイッとそっぽを向きながらリビングに入った。
そんなヘリアテスの様子に、春風とレナは「ん?」と首を傾げて、そんな2人をグラシアは「あらー」と楽しそう表情で見ていた。
その後、2人がヘリアテスを追ってリビングに入ると、ズボンのポケットにしまった魔導スマホが大きく鳴り出したので、春風はすぐにポケットからそれを取り出して操作した後、
「はい、もしもし」
と言うと、
「おーい、春風ぁ。俺をそっちに呼んでくれぇ」
と、とある男性の声が聞こえたので、
「わ、わかりました」
と、春風はその声に従い、すぐにアマテラスの時の同じように魔導スマホをかざした。
すると、魔導スマホの画面に大きな魔法陣が描かれて、そこから白いワイシャツと青いジーンズ姿の、「ワイルドなお兄さん」風の男性が出てきたので、
「ええぇ!? 今度は誰!?」
「あ、あなたは!」
と驚くレナとヘリアテスを他所に、
「数時間ぶりです、ゼウス様」
と、春風はその男性ーーゼウスに向かってそう挨拶すると、
「おう、春風。数時間ぶりだな」
と、ゼウスも笑顔でそう挨拶を返した。その瞬間、何故か歯の1つがキラッと輝いたのが見えたが。
そんな春風とゼウスを見て、
「ねぇ、お母さん」
「なぁに、レナ?」
「今出てきたあの人(?)も、もしかして……」
「ええ、そうよ。ゼウス様っていって、アマテラス様と同じ『地球の神』の1柱よ」
「へぇ、そうなんだ……」
と、レナとヘリアテスはヒソヒソと話し合っていた。
すると、ヘリアテスに気付いたゼウスは、
「おお、ヘリアの嬢ちゃん! 久しぶりだなぁ、そして相変わらずチビっ子だなぁ、おい!」
と、「ガハハ」と笑いながらヘリアテスの頭を撫でたので、
「や、やめてくださいゼウス様! 娘の前で恥ずかしいです!」
と、ヘリアテスは恥ずかしさで顔を真っ赤にし、
「お、『娘』ってぇと……」
と、ゼウスはヘリアテスを撫でる手を止めると、
「は、はい、私です! 私が、『娘』のレナです!」
と、レナは「はい!」と真っ直ぐ手を上げた。
それを見たゼウスは、
「ほほう……」
と言ってスッとレナに近づくと、ジィッと彼女を見つめて、
「ふむ、実際こうして見ると、中々良い子に育ってんじゃねぇか」
と、ヘリアテスに向かってそう言ったので、
「当然です。なんたって、私達の自慢の娘ですから」
と、ヘリアテスは「ふふん」と誇らしげに胸を張ってそう返した。
それを見てゼウスが「へぇ、そうかい」と呟くと、
「あの、ゼウス様」
と、春風がゼウスに声をかけた。
「おう、どした春風?」
「アマテラス様は今、どうしてますか?」
と、春風がゼウスに向かってそう尋ねると、
「ああ、あいつならお疲れなもんで向こうで休ませてるから、俺が代わりにここに来たんだ」
と、ゼウスは親指で自身を指しながらそう答えたので、
「はぁ、そうですか」
と納得する事にした。
その後、
「さて、感動の再会的な話はここまでにして……」
と、ゼウスが真面目な表情でそう言うと、
「ヘリアの嬢ちゃん、そして、レナの嬢ちゃん」
と、ヘリアテスとレナを見て、
「「は、はい!」」
と、ビビっているのか背筋をピンと伸ばして、ゼウスの話を聞く姿勢に入った。
「春風を通して、嬢ちゃん達の『事情』はよくわかった。で、理解した後、帰ってきたアマテラスを交えて「地球の神々』全員で話し合ってきた」
「「……」」
「で、その話し合いの結果……春風」
と、ゼウスに不意に名前を呼ばれて、
「はい、何でしょうか?」
と、春風がそう返事をすると、
「話し合いの結果、お前に新たな『お願い』をする事が決定された。で、アマテラスからの伝言だ」
と、真面目な表情のゼウスがそう言ってきたので、
「は、はい、何ですか?」
と、春風は表情を強張らせると、ゼウスは左右の掌をパンッと叩いて、
「『ごめん! おチビちゃん達、助けて!』」
と、何処か軽そうな感じの表情で謝罪しながらそう「お願い」をしてきたので、
「「えええーっ! なんか、軽くない!?」」
と、レナとヘリアテスは驚きのあまり敬語を使うのを忘れて、ゼウスに向かってそうツッコミを入れた。
そんな彼女達を他所に、
「はい、わかりました」
と、春風は真っ直ぐゼウスを見てそう言ったので、その言葉を聞いたヘリアテスが、
「あ、あの、本当に、いいのですか?」
と、春風に向かって恐る恐る尋ねると、
「ええ、勿論構いませんよ。こっちの世界も放って置けない理由が出来ましたから」
と、春風は笑顔でそう答えたので、
「ありがとう……ございます」
と、ヘリアテスは春風に向かって深々と頭を下げた。それを見てレナは、
「よかったね、お母さん」
と、優しくヘリアテス抱きしめた。
その様子を見て春風がほっこりしていると、
「よっしゃ! じゃあ次は、今後の予定について話し合いといこうじゃねぇか!」
と、ゼウスが両手をパンッと叩きながらそう言ったので、
「「「はい!」」」
と、春風、レナ、ヘリアテスは元気良くそう返事した。




