表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ユニーク賢者物語  作者: ハヤテ
第1部第3章 異世界エルードの「真実」

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

26/220

第25話 「悪魔」の力


 その夜、春風はレナとヘリアテスの家の外で、1人、湖の畔に座り込んでいた。


 夜空に浮かぶ月と、湖面に映った月、2つの月を眺めている春風の脳裏に浮かんだのは、


 (……『悪魔』、か)


 グラシアが話した、自身の「職能(ちから)」についてだった。


 時は少し遡って、


 「ちょ、ちょっと待ってくださいよ! 俺が『悪魔』ってどういう事ですか!?」


 グラシアに自身が予言の「悪魔」の1人と言われて、春風は思わず椅子から立ち上がると、怒鳴るように問い詰めた。


 その様子を見て、


 「春風君、落ち着いて。みんなが驚いてるよ」


 と、アマテラスが宥めると、春風はハッとなって、


 「……す、すみません」


 と、謝罪した後、シュンとしながら椅子に座った。


 それを見てアマテラスが「よしよし……」と春風の頭を撫でると、グラシアを見て、


 「それで、説明してくれるかしら。春風君(この子)が何故『悪魔』なのか」


 と、真剣な表情でそう尋ねた。


 グラシアはその問いに対して、


 「わかりました」


 と、頷きながら返事すると、春風を見て、


 「契約者様、無礼を承知でお聞きしてもよろしいでしょうか?」


 「……はい、何ですか?」


 「あなた様は、『固有職能』を持っていますね?」


 と、尋ねてきたので、


 「……はい。俺は、固有職能『見習い賢者』の固有職保持者です」


 と、春風は答えた。


 すると、


 「何と、『賢者』でしたか!?」


 と、何故かグラシアが驚きの声をあげた。


 いや、グラシアだけでなく、レナとヘリアテスも驚きの表情になった。


 その様子を見た春風は「ん?」となって、


 「いえ、『見習い賢者』です。力に目覚めたばかりの、未熟な『見習い賢者』」


 と、修正したのだが、


 「ですが、『賢者』なのでしょう?」


 と、グラシアに首を傾げられたので、


 「……まぁ、『賢者』なのは間違いないのですが」


 と、「ま、いっか」と諦めて、


 「確かに、俺は『地球の神』の1柱、オーディン様と契約して、『見習い賢者』の固有職保持者となりました。ですが、称号『固有職保持者』の部分を調べたところ、『悪魔と呼ばれ、恐れられている』と表記されていました。そして、勇者召喚を行ったルーセンティア王国も、固有職能について何も説明されなかったので、それが、俺がみんなのところから離れる事になった理由の1つになったんです」


 と、グラシアだけでなくレナとヘリアテスにも、自身の事について説明した。


 その説明を聞いて、


 「そう、だったんだ……」


 と、レナが納得していると、


 「あの、もし何か知ってる事があったら教えてください。『固有職能』とは、『固有職保持者』とは何なのかを」


 と言って、春風は「お願いします」と深々と頭を下げた。


 すると、ヘリアテスは「わかりました」と言って、


 「これは、私とループスが封印されていた間に起きた事で、精霊達から聞いた話なのですが……」


 と、自身が知っている事を話し始めた。


 「確かに、職能は『戦闘系職能』と『生産系職能』の2種類に分けられているのですが、実は250年前、この世界の北にある小さな国で、1人の『例外』が生まれたのです」


 「例外、ですか?」


 「ええ、今のこの世界の常識では、人間が15歳になった時、『成人』になった証として職能を授かるのですが、その『例外』はどういう訳か生まれた時から既に職能を持っていて、しかも誰1人見た事も聞いた事もない職能だったのです。それが、『最初の固有職保持者』の誕生でした」


 「最初の……固有職保持者?」


 「はい。そして、その『最初の固有職保持者』となった『例外』を、国の王族や神官達は『奇跡の子』と呼び、それ以来『例外』を産んだ両親は勿論、国全体もその『例外』を大切に育てるようになったのです」


 (『国全体』って、マジか……)


 「それから数年の時が経ち、成長した『例外』は、その職能の力を国の発展の為に振るい、時には新たな技術を生み出し、時には魔物の襲撃から国同士の戦争の脅威などから国民を守った事で、いつしか『例外』は『英雄』と呼ばれるようになったのです」


 「……」


 「ところが、国の王が代替わりをして、新たな王が国を治めるようになると、その新たな王は『例外』の力を悪用しようと狙い始めたのです」


 「え、マジですか!?」


 「マジです。当然、『例外』はこれを断り、新たな王に対して抵抗しましたが、相手の軍事力と、日頃から『例外』の活躍を妬む者達によって次第に追い詰められ、その所為で『例外』は、自身の家族だけでなく多くの大切なものを失ったのです」


 「それは……酷いですね」


 「ええ。愛するものを失った『例外』は嘆き、悲しみ、そして怒り狂って、段々自身の力を制御出来なくなり、ある時とうとうその力を暴走させてしまい、その結果、『例外』の祖国だった国は、新たな国王は勿論、その臣下、更には国民をも巻き込んで、地図から消滅したのです。因みに、生き残ったのは、『例外』ただ1人だけで、その『例外』自身も世界から姿を消しました」


 「そんな……」


 「この事態を知った敵の親玉連中と五神教会達は、その『例外』を恐怖を込めて『国潰しの悪魔』と呼び、それ以来新たに生まれてきた固有職保持者も『悪魔』と呼ばれるようになったのです。特に自身の祖国を滅ぼした『例外』は、『国潰しの悪魔』の他に、世界で最初の固有職保持者という事で『始まりの悪魔』とも呼ばれるようになりました」


 「……」


 「そして、ここからが最も重要な事……というよりも、あなたにとってかなり辛い事なのですが……」


 「え?」


 「その国を滅ぼした『最初の固有職保持者』の職能が、『賢者』なのです」


 と、ヘリアテスが告げたその言葉を聞いて、


 「……ハァアアアアア!?」


 春風は、ショックで顔を真っ青にするのだった。


 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ