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ユニーク賢者物語  作者: ハヤテ
第1部第3章 異世界エルードの「真実」

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第24話 幽霊女性と「本当の予言」


 突如、春風達の前に現れたのもの。


 それは、見た目的に2、30代くらいの、若い女性の幽霊だった。因みに、当たり前ではあるが、服はちゃんと着ていた。


 普通だったらここで、


 「で、出たぁ! 幽霊だぁ!」


 と、びっくりして飛び上がるところだろうが、残念な事にそうはならず、


 「あー、どちら様ですか?」


 と、アマテラスは女性の幽霊に向かってそう尋ねた。


 その問いに対して、女性の幽霊は春風とアマテラスに近づき、その場に片膝をついて、


 「お初にお目にかかります、異世界の女神様とその契約者様。私の名は、グラシア・ブルーム。ご覧の通り、こうして死んで幽霊となって彷徨っていたところを精霊達に保護され、今はこの地でヘリアテス様と、今はおりませんがループス様、そしてレナ様のお傍に置かせてもらっている身でございます」


 と、跪いた状態で自己紹介した。


 その姿勢を見て、


 「ああ、そうだったんだ。それじゃあグラシアさんとやら、今、私達の話題に出てきた『予言』について詳しく聞かせてもらえるかしら?」


 と、アマテラスが女性の幽霊ーーグラシアに向かってそう頼むと、グラシアは「わかりました」と返事をして、ゆっくりと顔を上げて答える。


 「その、大変申し難いのですが、今、女神様が仰った『予言』なのですが、それは、私が死ぬ間際にスキルを使って『視た』ものを、五神教会の連中が都合よく()()したものなのです」


 その答えを聞いて、

 

 「……それって、どういう事?」


 と、アマテラスが真剣な表情で尋ねると、


 「申し遅れました。実を言いますと、私はかつて、固有職能『時読み師』の固有職保持者でした」


 と、グラシアは謝罪しながらそう答えたので、

 

 (え、俺と同じ『固有職保持者』だって!?)


 と、春風は驚きの表情になったが、アマテラスは逆に真剣な表情を崩さず、


 「『かつて』って事は、今は違うという事かな?」


 と、更に尋ねると、


 「はい。死んでから知った事なのですが、どうやら死ぬと『職能』どころか、『ステータス』さえも出す事が出来ない事がわかったのです」


 と、グラシアはそう答えたので、アマテラスはその答えに「へぇ、そうなんだ」と納得して、別の質問に入った。


 「それなら、あなたが生前持ってた職能について教えてくれるかしら?」


 「はい、私がかつて持っていた『時読み師』とは、その名の通り、時……つまり()()()()()を読み取る事で、過去の出来事や少し先の未来を()()事が出来るのです」


 と、そう説明したグラシアに、


 「へぇ、それは凄いわね!」


 と、アマテラスは驚きの表情になったが、


 「ええ、ただこの力の所為で、生前は()()()()をしましたが、その、あまり思い出ではありませんので、出来る事なら言いたくはないのですが……」


 と、グラシアは表情を暗くしながらそう言ったので、


 「ああ、ごめんね。言いたくないなら、無理して言わなくても良いわ」


 と、アマテラスは謝罪しながらそう言うと、グラシアは顔を下に向けて、


 「ありがとうございます」


 とお礼を言った。


 その後、


 「今の説明から確認するけど、あなたは死ぬ間際にその力を使って未来を見たって訳ね?」


 と、アマテラスが更にそう尋ねると、


 「はい、それもただの未来ではありません。死ぬ間際に私が見たもの、それは、『どんな事をしても絶対変えられない未来』なのです」


 と、グラシアは真剣な表情でそう答えた。


 「え、それって1()0()0()()()()()()()()()()()()()()()()()って事?」


 「その通りです。そして、その未来を見た瞬間、頭の中にとある『言葉』が浮かび上がり、私はそれを周囲に向かってぶちまけたのです」


 そう話したグラシアに、


 (いや、どういう状況ですかそれ?)


 と、春風は心の中で「?」を浮かべていると、


 「その言葉、私達にも教えてくれるかしら?」


 と、アマテラスがそう頼み込んできたので、グラシアは「わかりました」と大きく頷きながら、


 「この偽りに塗れし世界『エルード』にて許されざる過ちが犯されし時、『真の神々』に育てられし『白き悪魔』、『偽りの神々』に逆らいし『青き悪魔』、そして『異界の神』と契りを結びし『赤き悪魔』現れん。やがて、3人の悪魔が並び立った時、『偽りの神々』が死ぬ未来が決定され、彼らが全て死んだ時、残されし人々は『悪魔』達によって新たな未来へと歩み始めるだろう」


 と、自身が見た「未来」についてそう語った。


 それから少しの間、リビング内が重苦しい空気に包まれると、


 「なるほどねぇ」


 と、アマテラスが口を開き、


 「で、その後あなたが死んで、五神教会とやらはその予言を改竄したって訳か。確かにこんなの、人々にそのまま広める訳にはいかないわぁ」


 と言うと、手で顔を覆った状態で天井を見上げた。


 そして、隣の春風も、


 「マジか……」


 と、表情を暗くして小さくそう呟くと、


 「そして今、この場にはその3人の『悪魔』のうち、2()()が揃ってます」


 と、グラシアがそう言ったので、春風とアマテラスは同時にグラシアを見て、


 「「え、どういう事!?」」


 と、2人一緒にそう尋ねると、


 「その1人、『真の神々に育てられし白き悪魔』は、こちらにいるレナ様です」


 と、グラシアはレナを見ながらそう言ったので、春風とアマテラスも、


 「「あ、ああ! 確かに!」」


 と、一斉にレナを見て、納得の表情を浮かべた。


 それに反応したのか、


 「えへへ……」


 と、レナが恥ずかしそうに顔を赤くしていると、


 「そして、『異界の神と契りを結びし赤き悪魔』とは……」


 と、グラシアはそう言って、


 「あなたです、契約者様」


 真っ直ぐ、春風を見た。


 それに対して、春風は、


 「……はぁ?」


 と、「何言ってんのこの人?」と言わんばかりの表情になり、頭上に幾つもの「?」を浮かべながら首を傾げた。


 


 


 


 


 

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