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ユニーク賢者物語  作者: ハヤテ
第1部第3章 異世界エルードの「真実」

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第22話 500年前の真相

本日は、どうしても謝罪したい事があります。


 ヘリアテスが語った、500年前に起きた出来事。


 それは、ルーセンティア王国でウィルフレッドが語った歴史とは大きく違っていた。


 ヘリアテス曰く、元々この「エルード」という世界は、まだ「神」としては幼く未熟だった彼女と、その相棒である「月光と牙の神ループス」の管理のもと、彼女達の加護を受けた「妖精」と「獣人」という2つの種族が、独自の文明を築きながら平和に暮らしていた世界だった。


 ところがある時、突然エルードの空が大きな音をたてながら割れて、その割れ目の向こうから見たこともない巨大な「船」が現れたのだ。


 突然の事にエルードの住人達だけでなくヘリアテスとループスまでもが困惑していると、なんとその見た事もない巨大な「船」がいきなり攻撃してきたのだ。しかも、「船」の中から見た事もない「軍隊」も現れだしたので、世界中が大混乱に陥ってしまった。


 当然、これに対抗する為に、妖精達と獣人達は力を合わせてその巨大な「船」と「軍隊」に立ち向かったのだが、連中が使う見たこともない「武器」と特殊な「能力」に苦戦を強いられただけでなく、連中と共に現れた鳥とも獣とも呼べない異形の怪物達の前に、なす術もなく蹂躙されていった。


 この異常な事態に、流石の「神」も見過ごせないと思ったのか、ヘリアテスとループスもこの戦いに介入した。


 未熟とはいえ、「神」としての能力は高い方である2柱の活躍によって、敵の兵士や怪物達は次々と倒されていき、生き残っている2つの種族達も、彼女達に続くように、次第に戦いの勢いを増していった。


 だがそんな中、敵の()()が現れた事で、その戦況は一変した。


 相手の数は5人だが、まるで何千……いや、何万もの「神」を相手にしているかにような感覚に陥ったヘリアテスとループスは次第に劣勢になっていき、とうとう彼らに敗北した。


 そして、敗れたヘリアテスとループスは、5人の親玉達によって「神」の力を奪われてしまったのだ。


 当然ヘリアテス達はそれに抵抗したので、何とか力を全て奪われずに済んだのだが、その後、怒った親玉達によって、彼女達は別々の土地に封印されてしまった。


 それから長い年月が過ぎて、ヘリアテス達は封印から解放されたのだが、その間に世界(エルード)の様子はがらりと変わってしまっていた。


 自分達の加護を受けた「妖精」と「獣人」は姿を消し、代わりに敵の兵士に似た「人間」という種族と、異形の怪物達に似た「魔物」という存在によって支配されていて、「神」の力を奪った5人の親玉達は、彼らに「神」として崇められていたのだ。


 そして、力を奪われ、封印されていた自分達はというと、「世界を支配して5柱の神々に封印された『悪しき邪神』」と呼ばれ、姿を消した「妖精」と「獣人」は「邪神の加護を受けた『悪しき種族』」と呼ばれるようになり、その世界の人々に語り継がれていたと知った時、彼女達は大切な「世界」と、大切な「種族達」を守れなかった事を、深く嘆き、悲しんだ。


 しかし、そんな自分達を受け入れてくれたもの達がいた。


 僅かに「神」の力を持った状態で長い間土地に封印されていた影響か、「妖精」と「獣人」とは別に、「精霊」という新たな種族が生まれていたのだ。


 精霊達はヘリアテス達を見つけると、2柱を自分達の住処に案内した。


 よく今まで生きていられたのかを聞いてみたところ、どうやら精霊達は、普段は人間達の目に見えない存在のようで、その為にとくに問題なく過ごしていたのだという。


 それを知ったヘリアテス達は、その後精霊達と共に、今の世界から隠れて生きる事を決めて、現在に至るという。


 「……これが、500年前に起きた出来事の真実です」


 と、ヘリアテスがそう説明し終えた時、リビングの中は重い空気に包まれた。


 そのあまりの衝撃的な話に、誰もが何も言えないでいる中、


 「……あの、質問がありますが、いいですか?」


 と、口を開いたのは、春風だった。


 「はい、いいですよ」


 と、ヘリアテスが穏やかな口調でそう言うと、


 「敵が乗ってたっていう『船』は、その後どうなってたのですか?」


 と、春風は恐る恐る尋ねた。


 その問いに対して、ヘリアテスは表情を暗くして答える。


 「封印から目覚めた後、私とループスでどうにか調べたのですが、『船』はあの戦いのあと、このエルードに降り立ち、そのまま大きな『都市』になって、やがてそれを中心に、1つの『国』となったのです」


 「まさか、その『国』って……」


 「現在の、『ルーセンティア王国』。今回の『ルール無視の異世界召喚』を行った国です」


 そう答えると、ヘリアテスは更に表情を暗くした。


 その答えを聞いて、


 「じゃあ、その国に異世界召喚をやらせたのは、その『神』を名乗ってる敵の親玉達って事でいいんですね?」


 と、春風は更に尋ねると、ヘリアテスは黙ってこくりと頷き、それを見て春風は、


 「そうですか。じゃあ、そいつらが……そいつらが!」


 と、小さく呟くと、ギリッと歯を噛み締め、膝の上に置いた両手をぐっと握り締めた。


 その時、


 「春風君」


 と、隣のアマテラスが春風の握り拳にそっと手を置いて、


 「あなたの気持ちはわかるわ。でも、今は落ち着いて」


 と、優しく春風にそう言ったので、


 「……はい」


 と、春風はその言葉に従って、ゆっくりと握り拳を解いた。


 それを見て、「うん、いい子ね」とアマテラスが言うと、


 「話はわかったわ。で、私からも質問したいんだけど、いい?」


 と、ヘリアテスを見てそう言ったので、


 「は、はい、構いません」


 と、ヘリアテスがそう返事すると、


 「その娘とは何処で出会ったの? なんか、『お母さん』って呼ばれてなかった?」


 と、アマテラスはちらりとレナを見ながらそう尋ねてきたので、


 「ふえっ!?」


 と、レナが驚いていると、


 「うぅ、その……本人を前に大変言いにくいのですが……」


 と、ヘリアテスが何やら本当に言いにくそうにしていたが、やがて意を決したように答える。


 「この娘は……レナは17年前に、精霊達が()()()()()のです」


 その答えを聞いて、数秒の沈黙後、


 「「……え?」」


 と、春風とアマテラスは同時に首を傾げた。


 


 


 


 



 


 


 


 


 

謝罪)


 どうも、ハヤテです。


 大変申し訳ないのですが、誠に勝手ながら、亡き主人公・春風君の実父の名前を、「冬来」から「冬夜」に、レナさんの所持スキルの1つ、[炎霊魔法]を[炎魔法]に変更させてもらいました。


 本当にすみません。

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