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ユニーク賢者物語  作者: ハヤテ
第1部第3章 異世界エルードの「真実」

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第21話 再会、2柱の「女神」


 レナに連れられて訪れた、森の中にある不思議な空間。


 そこで起きたのは、レナが「お母さん」と呼ぶ存在にして、この世界の本当の神様である「太陽と花の女神ヘリアテス」との邂逅からの、春風の故郷「地球」の神・アマテラスこと天照大神とヘリアテスの再会だった。


 その再会の後、


 「あのぉ、ところでアマテラス様。何故、俺の魔導スマホから出て来たんですか? 俺の記憶が正しければ、確かこれにはそんな機能はついてなかった筈なんですが」


 と、春風がそう尋ねてきたので、


 「あー、実は春風君がオーディンと契約している最中にね、ちょこっとあなたのポケットからスマホを拝借して、これまたちょこっと私達で改造しちゃいました」


 と、アマテラスはふざけた感じでそう答えた。


 その答えを聞いて、


 「まさか、選ばれなかった神様達全員で……ですか?」


 と、春風がジト目でそう尋ねると、


 「……てへ」


 と、アマテラスは今にもハートマークが出てきそうな表情で答えた。


 その瞬間、


 「ちょっと! 俺のスマホに何してくれてんですか!?」


 と、春風が怒りの形相でアマテラスに詰め寄ろうとすると、


 「だ、だって、あの時すんごく悔しかったんだもん!」


 と、アマテラスもプンスカ怒りながらそう返してきた。更に、


 「ていうか、春風君だってそれからすぐに、そのスマホを魔導具の材料にしたじゃん!」


 なんて事も言ってきたので、


 「うぐ! た、確かに……!」


 と、春風は図星を突かれたかのように胸を押さえながら「うぅ……」と呻いた。


 そんな春風達を見て、


 「ねぇ、お母さん」


 と、レナが小声でヘリアテスに話しかけた。


 「なぁに?」


 「いきなり出て来たあの人、お母さんの知り合いなの?」


 「ええそうよ。彼女はアマテラス様っていって、『地球』っていう世界の『神様』の1柱なの」


 その言葉を聞いて、レナは疑いの眼差しでアマテラスを見ながら、


 (異世界の神様? アレが?)


 と、そんな事を考えていると、ヘリアテスは一歩前に出て、

 

 「あ、あの。た、立ち話もなんですので、どうぞ、中に入ってください」


 と、春風とアマテラスに家の中へと誘い、それに従うように、春風、レナ、そしてアマテラスは、ヘリアテスと共に木造の家の中へと入った。因みに、中は結構綺麗だった。


 そして、リビングに通されて、ヘリアテスにお茶を用意された後、


 「さて、おチビちゃん……いえ、女神ヘリアテス」


 と、アマテラスが真面目な表情で口を開くと、


 「は、はい!」


 と、ヘリアテスはビクッとなった。そんな彼女を無視して、


 「あなたもわかっているとは思うけど、今、『世界』で起きたとんでもない事を、改めて説明させてもらうわね」


 と言うと、アマテラスは「ルール無視の異世界召喚」が行われた所為で、このエルードだけでなく春風と召喚された勇者達の故郷である地球までもが消滅の危機に陥った事と、それを阻止する為に偶然助け出す事が出来た春風を神の1柱であるオーディンと契約させてこの世界に送り込んだ事を説明した。


 その説明を聞いて、


 「そ、そんな……」


 と、レナはショックで顔を真っ青にし、


 「そうですか、アマテラス様達の世界まで巻き込んでしまう程、この世界の生命力は弱くなっていたのですね」


 と、ヘリアテスは表情を暗くした。よく見ると、その頬を大粒の涙がつたっているのが見えたので、春風がなんとも言えない表情になっていると、ヘリアテスは座っていた椅子から立ち上がり、春風とアマテラスの前に立つと、


 「アマテラス様、そして地球の方。大変、申し訳ありませんでした」


 と、土下座で謝罪したので、


 「ちょ、何をしてるんですか!? 頭を上げてください!」


 と、驚いた春風が大慌てでヘリアテスに向かってそう頼んだが、


 「あ、あの、申し訳ありませんでした!」


 と、レナもヘリアテスの隣で土下座をしたので、


 「え、えぇ!? レナさん!? あなたは何も悪くないでしょう!? 顔を上げてください!」


 と、春風は大慌てでレナにもそう頼んだ。


 その時、


 「ねぇ、もう1柱のおチビちゃんはどうしたの?」


 と、アマテラスがリビングの中を見回しながらそう尋ねてきたので、


 「ループスは今、()()()()()の為に数年前から出ていっております。たまに帰っては来ますが」


 と、ヘリアテスは顔を伏せたまま答えたので、


 「それって、ウィルフレッド陛下……ルーセンティア王国の国王様が言ってた、『邪神の眷属』に関係している事ですか?」


 と、春風が恐る恐る尋ねた。


 その問いに対して、ヘリアテスはやはり顔を伏せたまま、


 「……(コクリ)」


 と、無言で頷いた。


 それを見て、アマテラスは「はぁ」と溜め息を吐くと、


 「それで、おチビちゃん。一体何がどうなってんの? 『神様』としての役目をしっかりとこなしてきたあなた達が、『ルール無視の異世界召喚』を放置するなんて、私にはとても信じられないんだけど。その辺の事、どう説明するつもり?」


 と、まるで幼い子供を叱るお母さんのような態度でそう尋ねた。


 その問いに対して、ヘリアテスは「それは……」と小さく呟くと、ゆっくりと顔を上げて、


 「その、大変お恥ずかしい話なのですが、今の私とループスは、『神』としての力の大半を、()()()()()()()()()状態なんです」


 と、頬を涙で濡らしながら答えたので、


 「はぁ!? 『奪われた』って……」


 と、その答えに春風が驚いていると、アマテラスはスッと右腕を上げて「待った」をかけて、


 「詳しい話を、聞かせてくれる?」


 と、ヘリアテスに向かってそう言った。


 ヘリアテスはそれに「わかりました」と返事をすると、


 「今から500年前、この世界は別次元から来た『侵略者』達の攻撃を受けたのです」


 と、この世界に起きた出来事を説明し始めた。

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