第18話 ダンスが始まって
お待たせしました、1日遅れの投稿です。
それから少しして、会場内で「ダンス」が始まった。
何故そうなったかというと、水音曰く、
「僕達異世界の人間達に、『この世界での楽しい思い出を作ってもらおう』っていうヴィンセント陛下の図らいなんだ」
という。
会場内に入ってきた大勢の音楽家達が奏でる演奏に合わせて、それぞれ男女でペアを組んでダンスを踊る人達もいれば、それを見ながら食事を楽しむ者達もいる。当然、その中には「勇者」達も含まれていて、彼らも同じように各々食事を楽しんだり、誰かとペアを組んで踊ったりしていた。
しかし、そんな楽しいひと時の中、春風はというと、
「はぁ……」
会場内の壁際で、1人飲み物が入ったグラスを片手に溜め息を吐いていた。
そんな春風に向かって、
「フーちゃん、どうしたの?」
と、歩夢が声をかけると、
「ん? いや、なんか皆さん楽しそうだなって思って……」
と、春風は目の前でダンスを踊っている者達に視線を向けながらそう答えた。
その表情は何処か羨ましげに見えたので、
「だったら、私と一緒に踊らない?」
と、歩夢がそう誘ってきたが、春風は更に「はぁ」と溜め息を吐いて、
「あのねぇユメちゃん。人をこんな姿にしておいて何でそのセリフが吐けるの?」
と、歩夢に今の自分の姿を見せながら、呆れ顔かつイラッとした口調でそう言った。
そう、真っ赤なドレスに身を包んだ春風の姿を、だ。
歩夢はそれを見て「あ……」と申し訳なさそうな表情になったが、すぐに首をブンブン横に振るって、
「私、全然平気だよ?」
と、ムッと頬を膨らませながらそう言ったが、
「ユメちゃんが良くても、俺が嫌なんだよ」
と、春風も歩夢と同じようにムッと頬を膨らませながらそう返して、
「ユメちゃんが変な目で見られるの、嫌なんだ」
と、最後にそう付け加えた後、恥ずかしそうに顔を真っ赤にした。
その言葉から数秒後、歩夢も春風と同じように顔を真っ赤にして、
「へ、へぇ、そうなんだ」
と、「いやー、参った参った」と言わんばかりに照れながらそう言った。
それから2人は少しの間沈黙していたが、ふと、歩夢が春風の手に持っているグラスを見ると、中身が空になっていたので、
「ちょっと待ってて、おかわり持ってくるから」
と、春風からグラスをサッと奪うと、春風が「あ、ちょっと……」と止めるのを無視してそそくさとその場から離れた。
そんな歩夢の後ろ姿を見て呆然とする春風に向かって、
「春風君……」
「ハニー……」
「春風……」
と、美羽、凛咲、そして何故かレナまでもが話しかけてきたので、春風はそれに「ん?」と反応しながら、ゆっくりと彼女達の方へと振り向くと、
「「「私達は?」」」
と、先程の歩夢と同じようにムッとしながら尋ねてきたので、
「美羽さんと師匠も同じです。あと、レナに至りましては冗談抜きで『神罰』をくらいそうで怖いです」
と、春風は真面目な表情かつ敬語でそう答えた。その際、
「わかってるじゃねぇか」
「わかってるじゃないですか」
と、2柱の神々からそんなセリフが聞こえた気がしたが、春風はそれをスルーする事にした。
その時だ。
「あ、あの、どいてください」
と、歩夢の声が聞こえたので、春風は思わず「ん?」と声がした方へと視線を向けると、
「はっはっは、良いではありませんか勇者殿」
そこには、キチンとした姿の酔っ払い男性に絡まれている歩夢の姿があった。
よく見ると、本気で困っているような表情をしていたので、
「……あぁ?」
と、ドレス姿にも関わらず、春風は「怒り」で表情を歪ませた。
そして、すぐに歩夢のもとへと行こうとすると、
「あ、春風」
と、凛咲が声をかけてきたので、春風は「何だよ!?」と言わんばかりに凛咲の方へと振り向くと、
「これ、使う?」
と、凛咲が漫画とかでよく見る貴族の女性が使うような扇を差し出してきたので、
「はい、使います」
と、春風は真顔でそう言うと、凛咲から扇を受け取って、歩夢のもとへと早歩きで進み出した。
謝罪)
大変申し訳ありませんでした。この話の流れを考えていたら、その日のうちに終わらせる事が出来ませんでした。
本当にすみません。




