第19話 「外の世界」にて
本編新章、始まります。
国王を前にしたちょっとしたひと騒動の後、レナに連れられて無事「外の世界」へと飛び出した春風は、その後、レナと共にひたすら草原を走っていた。
そして暫く走っていると、2人は走り続ける体力がなくなってきたのか、目の前に大きな岩を見つけると、その岩の上に2人同時にごろんと仰向けになって寝転んだ。
その後、春風は目の前に広がっている異世界エルードの空を見て、
(ああ、異世界でも『青空』って見れるもんなんだなぁ)
と、そんな事を考えていると、
「……あは。あはは。あはははははははっ!」
と、隣で寝転んでいるレナがいきなり笑い出したので、
「え、な、何!? どうしたんですか!?」
と、驚いた春風が仰向けの状態で尋ねると、
「あ、ごめんごめん! 騎士達をボコったの、すっごく楽しかったからさ、つい思い出しちゃって!」
と、レナは謝罪しながらそう答えた。
その後もレナは暫くの間笑い続けたが、
「……」
春風はその時の事を思い出して、逆に表情を暗くした。
そして、春風はゆっくりと上半身を起こし、レナを見て口を開く。
「えっと、レナ……さんで、良いんでしたよね?」
「ん? そうだけど、どうしたの?」
不意に名前を呼ばれたレナは、何だろうと頭上に「?」を浮かべると、
「巻き込んでしまって、すみませんでした」
と、春風はレナに向かって土下座で謝罪した。
突然の事に驚いたレナは、
「え、ちょ、ちょっと待って! 何で春風が謝ってんの!?」
と、思わず飛び起きて春風を問い詰めると、
「だって、俺の個人的な事情に巻き込んじゃって、それが本当に申し訳なくて……」
と、春風は土下座の状態で顔を地面につけたまま答えた。
その言葉を聞いて、レナは真面目な表情になると、春風に近づいて、
「春風、顔を上げて。騎士達と戦う事を決めたのは、私の意志なんだよ。だから、春風が気にする事じゃない」
と、優しい口調でそう言った。
その言葉に、春風は顔を上げて「ですが……!」と反論しようとすると、それを遮るように、
「それにね、今日の事がなくても、私……いつかルーセンティア王国をぶっ潰したいってずっと思ってたんだ」
と、レナは笑顔で物騒な事を言ったので、
「え? それって、どういう……」
と、春風が尋ねようとすると、レナはスッと立ち上がって、
「春風、あそこを見て」
と言って、レナはとある方角を指差した。
春風は「何だろう?」と思ってその方角を見てみると、そこには、城のような建物を中心に、「円」になるように白い外壁に囲まれた都市があった。
その都市を見て、
「あー、もしかしなくてもあそこって……」
と、春風が恐る恐るレナに向かってそう尋ねると、
「そう、さっきまで私達がいた、『ルーセンティア王国』の中心、『王都』だよ。で、中央にあるのが『王城』。そして、春風とお友達さん達が召喚されたあの場所は、ルーセンティア王国王城内にある、『謁見の間』ってわけ」
と、レナは真っ直ぐ王都を見つめてそう答えたので、
(そうか、あそこが……)
と、春風もジッと王都を見つめると、
「……レナさんは、どうしてあそこ……ルーセンティア王国をぶっ潰したいんですか?」
と尋ねた。
その問いに対してレナは、「それは」と小さな声で言うと、春風を見て、
「あいつらは、お父さんとお母さんを侮辱したから」
と答えた。
その答えを聞いて、
「え、お父さんと……お母さん?」
と、春風が頭上に幾つもの「?」を浮かべていると、レナは小さな声で一言、
「オープン」
と言って、
(え、ステータス?)
春風に自身のステータスを見せた。
ウインドウに記されたものを見て、
「……え、何これ!?」
と、春風は驚愕の声をあげた。
何故なら、そこにはこう記されていたからだ。
レナ・ヒューズ(混血(獣人+妖精)・17歳・女) レベル:30
職能:妖獣士
所持スキル:[獣化][炎魔法][鑑定][肉体強化][精神強化][全状態異常耐性][体術][剣術][斧術][槍術][槌術][鞭術][弓術][鍛治][裁縫][細工][調合][調理][隠密活動][嘘発見]
称号:「混血種」「固有職保持者」「神に育てられし者」
(え、ええ? な、何これ!? ちょっと待ってよ!)
あまりのステータスに、春風は心の中で激しく混乱した。
特に「これはやばい!」と思ったのが、「混血(獣人+妖精)」の部分と、称号「神に育てられし者」部分だった。
その部分を見て、
「れ、レナさん……これ、本当の事なんですか!?」
と、春風はかなり混乱している様子でレナに尋ねると、
「そう、私は見た目ご覧の通り『人間』だけど、実はあいつらが『悪しき種族』と呼んでる2つの種族、『獣人』と『妖精』との間に生まれた混血なの。そして、そんな私を育ててくれたのが、『ループス』と『ヘリアテス』……あいつらが『邪神』と呼んでる存在よ」
その言葉を聞いた瞬間、
「な、何だって!?」
と、春風が絶句していると、レナは後ろにある森を見て、
「ついて来て春風」
と言ったので、その言葉に春風がまた頭上に「?」を浮かべていると、レナはチラッと春風を見て口を開く。
「この世界の、本当の神様に会わせてあげる」
どうも、ハヤテです。
という訳で、今日から本編第1部第3章の始まりです。
レナと共に「外の世界」へと飛び出した春風に、一体どのような展開が待ち受けているのか?
お楽しみに。




