第159話 本当の姿
遅くなりました。今回はいつもより長めの話になります。
「これが、俺の本当の姿だ」
と、春風達に向かってそう言ったループス。
先程まで戦ってた禍々しい姿とは違って、あまりにも可愛らしいその姿は、春風達の故郷「地球」……というよりも、「日本」でいう、
「……豆柴?」
と、春風がそう呟いたように、まさに「豆柴」そのものだった。
そして、そう呟いた春風に続くように、
「豆柴……だよね?」
「ああ、豆柴……だな」
「う、うん……確かに、豆柴だね」
と、水音、進、耕も、目の前のループスを見てそう呟いた。
その呟きを聞いて、
「オイ! それはどういう意味だコラァ!」
と、ループスがプンスカと怒鳴ると、
『か……可愛いいいいいいいっ!』
と、「勇者」こと女子クラスメイト達全員がそう叫んだので、春風を含めた他の人達はギョッとなった。
その後、
『可愛い! 可愛い! 可愛い……!』
と、女子達はそう言いながら、その可愛い見た目となったループスをモフモフし出したので、
「わぁー! 待って待って! その方神様ぁ!」
と、ハッとなった春風は慌てて女子達を止めようとしたが、
「ああ、良いよ良いよ。こういう扱いをされるのには慣れてるから」
と、ループスはまんざらでもない様子でそう言って、最後に「気にすんな」と付け加えた。
そんなループスの言葉に、
「いや、ですが……」
と、春風は何か言おうとしたが、
「ま、本人が『良い』って言ってるから、良いんじゃない?」
「そうだぜ。見てみろ、あの気持ちよさそうな表情を」
と、アマテラスとスサノオが春風の肩に手を置きながらそう言ってきたので、春風はそれ以上何も言わない事にした。
一方、そんな春風達を他所に、
「おお、これは何とも凄い状況だな」
「ああ。女の子達もうメロメロじゃねぇかよ」
と、女子達にモフモフされてるループスを、ウィルフレッドとヴィンセントは暖かいものを見るような目で見ていると、
「ちょっと、羨ましいです」
「うん。そうだね」
と、2人の傍に立っているイヴリーヌとアデレードが、本当に羨ましそうな表情でそう言ったので、
「お前さん達も良いぞぉ! 勿論、ウィルフレッド殿にヴィンセント殿達もな!」
と、その視線に気付いたループスは、ウィルフレッド達に向かってそう言った。
その言葉を聞いて、
「む、良いんですか?」
「お! じゃあ、遠慮なく……」
と、ウィルフレッドとヴィンセントがそう言ってループスに近づこうとした、まさにその時、
「いけません! いけませんぞ陛下ぁ!」
と、ジェフリーが「待った」をかけてきたので、
「む! どうしたのだクラーク教主!?」
と、ウィルフレッドはハッとなってジェフリーに尋ねると、
「ウィルフレッド陛下! こいつに唆されてはいけません! 幾ら見た目が可愛らしくても、こいつは『邪神』の1柱! こいつの言葉を聞き入れてしまったら、それは、ラディウス様達偉大なる5柱の神々に対する裏切りとなってしまいますぞぉ!」
と、ジェフリーはウィルフレッドに向かって怒鳴りながらそう答えた。
ただ、
『……』
説明したジェフリーを、何故かウィルフレッドだけでなくヴィンセントや春風達までもがジーッと見つめていたので、
「……ど、どうしたのですかウィルフレッド陛下?」
と、ジェフリーが恐る恐るそう尋ねると、
「いやぁ、お前さんその状態で言っても、説得力が……いや、あるか? これ……」
と、ウィルフレッドではなくヴィンセントが「何だかなぁ」と言わんばかりの表情でそう答えたので、ジェフリーは「え?」と自身の今の状態を確認すると、
「おお。あんたも中々気持ちよくモフモフするじゃねぇか」
「何だと……って、ハッ!」
と、自身も今、女子クラスメイト達と共にループスをモフモフしている事に気付き、ハッと我に返ってその場から離れながら、
「お、お、おのれ邪神め! よくも、五神教会の教主であるこの私を!」
と、「よくも誑かしたな!」と言わんばかりにそう怒鳴った。
それを見てループだけでなくその場にいる者達全員が「アッハッハ……!」と笑うと、
「さて、春風」
と、ループスはモフモフされながらも真面目な表情で春風に話しかけた。
それに春風は、
「は、はい! 何ですかループス様!?」
と、ビクッとしながらもそう返事すると、
「さっきも言ったと思うが、あの『化身顕現』の一撃、素晴らしいものだったぞ」
と、ループスは春風が放った最後の一撃を褒めてきたので、
「ほ、本当ですか!?」
と、春風は目を大きく見開きながらそう尋ねた。
その質問に対して、ループスはコクリと頷きながら、
「ああ。威力だけじゃない。攻撃を受けた時、それに込められたお前の『想い』や『覚悟』、そして、この世界で芽生えた『迷い』や『悩み』も一緒に俺に伝わってきた。それらを全て含んで、良い一撃だったぞ」
と、答えたので、春風は少し泣きそうになりながらも、
「あ、ありがとう……ございます」
と言いながら、ループスに向かって頭を下げた。
それを見て、ループスは「フフ……」と小さく笑うと、
「アマテラス殿」
と、春風の傍に立つアマテラスに話しかけた。それにアマテラスが、
「ん? なぁに?」
と、返事すると、
「良い人物をこの世界に送り込んでくれて、ありがとうございます」
と、ループスはアマテラスに向かってお礼を言った。そして、ループスに続くように、
「私からも、改めてお礼を言わせてください。彼をこの世界に送り込んでくれて、ありがとうございます」
と、ヘリアテスも深々と頭を下げながらお礼を言ってきたので、
「フフン、当然よ。何せ、日本の子だからね!」
と、アマテラスは胸を張りながら言った。当然、アマテラスだけでなくツクヨミ、スサノオも、だ。
すると、
「ん? という事は、あんた的には……?」
と、アマテラスは「おや?」と言わんばかりの表情で、ループスに向かってそう尋ねてきたので、
「ああ、文句なしの『合格』だ。この世界だけでなく、アマテラス殿達の世界を本当の意味で救う為には、春風が必要だ」
と、ループスは真剣な表情でそう答えた。
その言葉を聞いて、
「え? それじゃあ……」
と、今度は春風がポカンとした表情でそう尋ねると、
「ああ、認めるよ。お前の『力』と『覚悟』をな」
と、ループスはニヤリとしながらそう答えた。
その答えを聞いて、春風が「よっしょあ……」と叫ぼうとしてガッツポーズを取ろうとした、まさにその時……。
ーーブオン!
「わぁ!」
突如、春風の目の前にウインドウ画面が現れたので、春風だけでなく他の人達までもが驚いた。
「お、オイ、何だよいきなり……」
と、春風はドキドキする胸を押さえながら、そのウインドウ画面を見ると、
「……え? 何コレ!?」
そこには、こう記されていた。
ーー「ランクアップ」の条件が全て達成されました。
ーー固有職能「見習い賢者」のランクアップが出来るようになりました。
ーーランクアップしますか?
ーーはい/いいえ
謝罪)
大変申し訳ありませんでした。この話の流れを考えていたら、その日のうちに終わらせる事が出来ませんでした。
本当にすみません。