第153話 3大神、降臨
お待たせしました、1日遅れの投稿です。
そして、いつもより少し長めの話になります。
「春風君、私達を呼んで」
魔導スマホから発せられた声。
その声を聞いて、
「はい、わかりました!」
と、春風はそう即答した。
そして、銀の籠手に装着した状態のまま、魔導スマホを空に翳すと、画面に魔法陣が描かれて、そこから白いワイシャツと青いジーンズ姿の3人の男女が現れた。
といっても、そのうちの1人……否、1柱は、
「あ、アマテラス様」
と、レナがそう呟いたように、ご存じ日本神話の女神、アマテラスこと天照大神だ。
そうなると、残りの2人の男性……いや、アマテラスと共に出てきたから、同じ「神」という事で、2柱と数えるべきだが、初めて出てきた「神」だったので、
「あの、アマテラス様」
「何かしら春風君」
「無礼を承知でお尋ねしますが、そちらのお二方はどちら様でしょうか?」
と、春風がアマテラスに向かってそう尋ねると、
「はじめまして、私は月読命。日の本の『月』を司っています。『ツクヨミ』と呼んでも良いですよ」
2柱の神の1柱である、長い黒髪を1つに束ねた物静かな雰囲気をした男性の神が、穏やかな笑みを浮かべながらそう自己紹介した。
そして、彼、月読命……以下、ツクヨミに続くように、
「俺は須佐之男命、『海』と『嵐』を司る者だ! 『スナノオ』って呼んでくれよな!』
と、残りの1柱である、見たところ春風と同じ年頃くらいの、短い黒髪を持つちょっと乱暴そうな少年を思わせる神が、元気良さそうな口調でそう自己紹介した。
新たな「地球の神」の登場に、
(す、凄い! アマテラス様に続いて、ツクヨミ様とスサノオ様! ここで日本神話を代表する3柱の神々が登場するなんて!)
と、春風は表情には出さないが、心の中ではかなり驚き、興奮していた。
そして、驚いているのは春風だけではない。
「な、何だあの連中は? あの悪魔の左腕から出てきたように見えたが?」
目の前で起きた出来事に、ジェフリーが大きく目を見開いていると、
「あ、あの方は、天照大神様。春風様と、勇者様方の故郷『地球』、それも、春風様達の祖国『日本』の神様の1柱です」
と、イヴリーヌがジェフリーに向かってそう説明した。その説明を聞いて、
「おお、あいつらの祖国の神様か!」
と、傍で聞いていたヴィンセントが表情を明るくした。それは、ウィルフレッドも同様だ。
そんなヴィンセント達を他所に、
「さてと……」
アマテラス、ツクヨミ、そして、須佐之男命……以下、スサノオはギロリとラディウス達を睨みつけた。
その表情から強い「怒り」を感じたのか、春風とレナは思わずビクッとなってゴクリと唾を飲んだ。
そして、
「カリドゥスにアムニス、ワポルにカウム、そして、ラディウス達だったかしら? はじめまして、『地球』の神々です。そんでもって……」
と、アマテラスはラディウス達に向かってニコッと笑いながらそう挨拶すると、
「よくもやってくれたわね……この、紛いものどもが!」
と、これでもかというくらいの強い「怒り」を込めてそう怒鳴った。
その怒声を聞いて、春風やレナだけでなく、その場にいる誰もが、
(あぁ、すっごい怒ってる!)
と、一斉にビビり出した。
当然、その中にはラディウス達も含まれていて、
「ひ、ヒイイ…!」
と、敵の親玉の1人であるワポルがそう悲鳴をあげたが、
「び、ビビるなワポル!」
「そうよ! 『力』なら私達の方が上よ!」
と、カリドゥスとアムニスがそう叫んだので、ワポルは「う、うん!」と頷いた。
その言葉を聞いて、
「フーン……」
と、アマテラスが目を細めると、ツクヨミ、スサノオと共に空中に浮かんだ。
そして、ラディウス達と同じ目線の位置に達すると、ジィッと彼らを見つめて、
「ああ、確かに『力』はあるようねぇ」
と、納得の表情を浮かべた。
その言葉を聞いて、レナは「そんな!」とショックを受け、カリドゥスとワポルはニヤリと口元を歪めた。
すると、アマテラス、ツクヨミ、スサノオは、スッと右手をラディウス達に向けた。
そして次の瞬間、
「っ!」
「うお!?」
「な!?」
「うぐ!」
「な、何ですかぁ!?」
ラディウス達の様子が急におかしくなり始めた。
それと同時に、
「あ、あれ?」
「く、苦しさが、和らいだ?」
と、苦しんでいたループスとヘリアテスの表情が柔らかくなった。
そして、
「……え?」
「な、何だ?」
「苦しく……ない?」
それは、爽子ら勇者達も同様だった。
突然の事に、
「何だ? 何が起きたんだ?」
と、春風が頭上に大きな「?」を浮かべながら首を傾げていると、
「春風君」
と、アマテラスが声をかけてきたので、
「は、はい、何ですか?」
と、春風が返事すると、
「コイツらは私達が抑え込むから、今のうちにみんなを助けて」
と、アマテラスはそう言ってきた。
その言葉を聞いて、
「え、た、助けてって……一体どうすれば……?」
と、春風が困ったような表情になると、
「大丈夫よ。ねぇ、凛咲ちゃん」
と、アマテラスはラディウス達に視線を向けたままそう答えたので、春風とレナは思わず「え?」となると、
「ええ、勿論よ」
と、いつの間に春風のすぐ傍に立っていた凛咲がそう返事したので、春風は思わず、
「うわぁ! し、師匠!」
と、驚きの声をあげた。
それに対して、凛咲は「ハァイ、ハニー」と笑顔でそう言うと、すぐに真面目な表情になって、
「春風。私があげた『お守り』を出して」
と言ったので、春風は「え?」となりながらも、腰のベルトに挿した「お守り」こと鉄扇を手に取った。
そして、凛咲はその鉄扇を見た後、露出した自身の胸の谷間に手を入れゴソゴソとしだし、
「よいしょっと」
と言って、そこから何かを取り出した。
見たところ、それは真っ赤な小さい卵のようで、春風は「何だろう?」とそれを見つめていると、凛咲は「ふん!」と力を込めて、その小さい卵を握り潰した。
すると、割れた卵から何やら禍々しい色合いをしたエネルギーが現れて、まるで吸い込まれるかのようにスゥッと春風の鉄扇へと入っていった。
「え、何々何!?」
と、驚く春風を他所に、凛咲は人差し指と中指を結びながらゆっくりと目を閉じて、
「……出番よ、彼岸花」
と呟いた。
次の瞬間、真っ赤な眩い光と共に、持っている鉄扇が姿形を変えた。
そして、真っ赤な光が消えると、春風の手には、鞘に納まった一振りの日本刀が握られていた。
その刀を見て、春風はボソリと呟く。
「あ……彼岸花」
謝罪)
大変申し訳ありませんでした。この話の流れを考えていたら、その日のうちに終わらせる事が出来ませんでした。
本当にすみません。