第150話 戦いが終わって……
春風による攻撃からの、自由になった勇者の1人である爽子による渾身の一撃を受けて、ループスはピクリともしなくなった。
その様子を見て、
「か……勝った……のか?」
と、ウィルフレッドがそう口を開いたので、
「ああ、勝ったぜ。春風と勇者達の勝ちだ」
と、ヴィンセントはニヤリとしながらそう答えた。
一方、ループスに勝った春風と勇者達はというと、倒れているループスを前に、勇者ことクラスメイト達は「やったぁ!」と、皆、勝利を喜び合い、爽子は「いてて……」とループスを殴った手を痛そうに振っていた。
そして、そんな爽子とクラスメイト達を見て、
(良かった。先生達が自由になって……)
と、春風が心の中でそう呟いていると、
「あ……あれ?」
急に自身の視界がグニャリと歪み始めて、足もまるで力が抜けていくようにふらつき始めた。
その後、
(あ、こりゃヤベェな……)
と、春風が後ろに倒れそうになり、
「は、春風ぁ!」
「春風君!」
「フーちゃあああん!」
と、それに気付いた水音、美羽、歩夢が、春風に駆け寄ろうとした、まさにその時、
「春風ぁ!」
という声と共に誰かに抱き止められたのを感じて、
(え?)
と、春風はゆっくりとその誰かに視線を向けると、
「あ、レナ」
その正体は、レナだった。
よく見ると、レナの目から大粒の涙が溢れているのが見えたので、
「えっと……レナ? レナさん?」
と、春風は恐る恐ると言った感じでレナに声をかけると、
「っ」
「うわぁ!」
レナは、無言で春風をガバッと抱き締めた。因みに、それを見てクラスメイト達(特に歩夢と美羽)は、
『あああああああっ!』
と、絶叫した。
「ちょ、レナ!?」
突然の事に驚いた春風は、顔を真っ赤にしながらレナに向かってそう尋ねると、レナはボロボロと大粒の涙を流しながら、ただ一言、
「無事で良かった」
と言って、春風を抱き締める力を強くした。
そんなレナの言葉を聞いて、
「……心配かけて、ごめん」
と春風は申し訳なさそうに謝罪しながら、レナの頭にソッと手を置いたが、
『じいいいいいいい……』
勇者ことクラスメイト達と、
『じいいいいいいい……』
いつの間にか傍まで来ていた、凛咲をはじめとした春風の仲間達に、ルーセンティア王国の王族達やストロザイア帝国の皇族達が鋭い視線を向けてきたので、
「あー、レナさん。俺はもう大丈夫だから、レナはループス様の方に……」
と、春風は「これはいかん!」と滝のように汗を流しながら、レナにループスのもとへ行くようにと言ったが、
「お父さんは良いの」
と、レナは更に春風を抱き締める力を強くしながらそう言ったので、
(す……すみません、ループス様)
と、春風は心の中でループス謝罪した。
その後、春風はチラリとループスに視線を移すと、
「……あ、ヘリアテス様」
倒れているループスのすぐに傍にヘリアテスがいるのが見えたので、春風はレナと共にループスに近づいた。
「ループス様……」
動かなくなったループスに、春風がそう声をかけると、ヘリアテスはループスに顔を近づけて、
「いつまで死んだふりしているの?」
と、冷たい口調でそう声をかけたので、春風だけでなく周囲の人達までもが「え?」と首を傾げていると、
「あはは。やっぱバレてるかぁ」
と、ループスは元気良くそう返事した。
それを聞いた春風達が「うわ!」と驚く中、ヘリアテスは呆れ顔で、
「まったく、ループスったら無茶ばかりして」
と言うと、ループスムクッと上半身を起こして、
「悪かったって。でも仕方ないだろ。これくらいしなきゃ、コイツの覚悟がどれ程のものかわからないんだからよぉ」
と、チラリと春風を見ながらそう言い返した。
その言葉に春風が「ん?」と反応すると、
「お、お、おのれぇえええええ! まだ生きていたか邪神めぇ!」
と、ジェフリーが憤慨している様子で地団駄を踏んでいるのが見えたので、
「く、クラーク教主、落ち着くのだ」
「そうだぜ。教主なんだからみっともない姿晒すなや」
と、ウィルフレッドとヴィンセントがそう注意したが、
「何を言うか! こうして邪神がまだ生きてるとわかった今、すぐにトドメを刺すべきではないのですか!?」
と、ジェフリーが更に憤慨しながらそう言い返したので、レナは勿論、春風も不快なものを見るかのような視線をジェフリーに向けた。
その時だ。
「そうだ。彼の言う通りだ」
『っ!』
何処からかそんな声が聞こえたので、春風達は思わずキョロキョロと周囲を見回すと、
「こっちだ」
と、声は自分達の上から聞こえたのがわかったので、春風達は一斉に空に視線向けた。
次の瞬間、空から赤、青、緑、オレンジ、そして白の、5つの大きな光の塊が降りてきたので、
(っ? 何だ? 何か嫌な予感がする!)
と、春風がその5つの光の塊を警戒していると、眩しく光ると同時に5つの光の塊が形を変えていった。
それを見て、誰もが「何だ何だ!?」と戸惑っていると、光の塊の変化が終わり、
「……え? 人?」
と、誰かがボソリとそう呟いたように、5つの光の塊は、5人の人の姿となった。
謝罪)
大変申し訳ありませんでした。この話の流れを考えていたら、その日のうちに終わらせる事が出来ませんでした。
本当にすみません。