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ユニーク賢者物語  作者: ハヤテ
第2部第5章 「邪神」との戦い
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第149話 春風vsループス・決着


 「化身顕現! 羽ばたけ、フェニックスゥ!」


 そう叫んだ春風の体は、緑、赤、青の3つの光に包まれた。


 そして、その光が弾けたかのように消えた時、その姿は真紅の体と翼を持つ、1羽の大きな美しい鳥へと変身していた。


 そんな春風の姿に、戦いを見守っていた者達はというと、


 「あ、あれが……雪村?」


 「ま、マジかよ」


 「すっごーい……」


 と、球体内の勇者達は呆然とし、


 「あれが……化身顕現」


 「あれが……春風様……ですか?」


 「そしてあれが、フェニックス。ギデオン・シンクレアをぶっ倒した、春風オリジナルの魔術にして伝説の生き物ってか?」


 「きゃあああああ! 春風ちゃーんすごーい!」


 「は、母上、落ち着いてください! ちょっとアーデ! 見てないで一緒に母上を止めてくれ!」


 「……」


 「て、聞いてないし!」


 と、王族、皇族達は一部がかなり興奮している様子だった。


 そんな様子の周囲の人達を他所に、


 「ほう、ソイツがお前の奥の手(とっておき)って奴か?」


 と、ループスは春風の姿を見てそう尋ねると、春風はそれに答えず、


 「行きます」


 と、ただ一言だけそう言うと、翼を羽ばたかせて空へと舞い上がった。


 その後、空中で一回転すると、ループスに向かって地面すれすれの位置で突っ込んだ。


 それを見たループスは、


 「正面だと!? 上等だぁ!」


 と言うと、その場に踏ん張って『力』を溜め始めた。


 そして、溜めたその『力』を口の中へと移動させた。


 それを見て、レナは何かを感じたのか、


 「お、お父さん! やめて! もうやめてよ!」


 と、王族達やジェフリーがいるにも関わらず、ループスに向かってそう叫んだが、その声はループスには届かず、


 「受けろ! 春風ぁあああああっ!」


 と、ループスは突撃してきた春風に向かってそう叫ぶと、咆哮する形で溜めたその『力』をぶっ放した。


 口から放たれた強大なエネルギーによる攻撃。誰もが春風はその攻撃を避けると思っていたが、


 「っ」


 何と、春風は一向に突撃するスピードを緩めず、寧ろどんどん加速していった。


 そして、春風と強大なエネルギーがぶつかり、ドォンと大きな音を立てて爆発した。


 激しい爆風が起こり、周囲の人達は飛ばされまいと必死になってその場に踏ん張る。


 その後、春風はどうなったのかと全員が目の前を見ると。


 ーーブワァ!


 「なぁにぃいいいいい!?」


 「は、春風!」


 「スゲェ! 生きてた!」


 春風はまだ、生きていた。生きていて、引き続きループスに向かって突っ込んできたのだ。


 しかもよく見ると、更に強くなっているの感じたループスは、


 「……そうか。わかったぞ、ソイツの()()が!」


 と、何かに気付いたかのようにそう呟いた。


 その後、


 「来やがれ! 受け止めてやる!」

 

 ループスは突っ込んでくる春風を止めようと身構えたが、


 「無駄ですよ」


 「何!?」


 春風の方が強かったのか、ループスは攻撃を受け止める事が出来ず、思いっきりくらってしまった。


 それを見て、


 『や、やった!』


 「お父さん!」


 と、ショックを受けたレナを除いた周囲の人達がそう声をあげる中、春風の姿がフェニックスからもとへと戻った。


 そして春風の攻撃を受けたループスは、そのまま倒れるのかと誰もが思っていたが、


 「……まだだ」


 ループスは倒れる事なくその場に踏ん張って、


 「まだ、終わってねぇぞ!」


 と、春風の方へと振り向こうとした。


 だが、春風はループスの方へと振り向く事はなく、代わりに、


 「いいえ、()()()ですよループス様」


 と、不敵な笑みを浮かべながらそう言ったので、ループスはそれに「何だと?」と返事すると、


 「……っ! しまった!」


 と、ハッとなって後ろを向いた。


 そこにいたのは、


 『ウオオオオオオオッ!』


 いつの間にか、球体から解放されて自由になった勇者達がいた。


 (ちぃ! ダメージを受けた所為で、結界が解除されてしまったのか!)


 と、そうなった理由を理解したループスはすぐに行動しようとしたが、


 『させるかぁあああああっ!』


 前衛型の勇者達による物理攻撃と、


 『させるかぁあああああっ!』


 後衛型の勇者達による魔術や遠距離攻撃がループスに襲いかかってきた。


 「ちくしょうがあああああああ!」


 ループスはダメージを受けながらもその全てを回避したが、


 『ウオオオオオオオッ!』


 「うげ!」


 前衛型の勇者達にガシッと全身にしがみつかれて、ループスは身動きが取れなくなった。


 「こ、この、離せ……!」


 と、ループスは勇者達を引き剥がそうとしたが、それよりも早く、


 『先生!』


 と、しがみついていた勇者達がそう叫んだので、ループスは「え?」と、ふと正面を見ると、


 「私の生徒に、何してくれてんだあああああああ!?」


 そこには怒りの形相の爽子がいて、ループスに向かって思いっきり右ストレートをかました。


 「グフアアアアアアアッ!」


 爽子に殴られ、吹っ飛ばされたループスは、体を何度もバウンドさせると、


 「ぐ……うぐ」


 と、そのままピクリとも動かなくなった。

 


 

 

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