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ユニーク賢者物語  作者: ハヤテ
第2部第5章 「邪神」との戦い
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第148話 春風vsループス・3

 本日2本目の投稿です。


 「さぁ、第2ラウンドといこうじゃないか」


 と、春風に向かってそう言い放ったループス。


 4体の分身達と合体(?)したその姿を見て、


 (うわぁ、マジか。変身とか合体なんかする()()()()()なんて、ゲームの中だけにしてほしいなぁ)


 と、春風は心の中でそう呟きながら、タラリと冷や汗を流した。


 一方、春風とループスの戦いを見守っていたレナ達はというと、


 「あ、あぁ、そんな……!」


 と、姿が変わったループスを見て、イヴリーヌは顔を真っ青にし、


 「おお、あの姿は! やはり、奴こそが悪しき邪神ではないか!」


 と、ジェフリーが顔を「ぐぬぬ……」と歪ませ、


 (お、お父さん! そこまでするなんて!)


 と、レナは今にもその場から駆け出しそうな表情になり、そんなレナを、


 「れ、レナ、落ち着いて! 大丈夫だから……!」


 と、ヘリアテスは必死になって宥めていた。


 さて、そんなレナ達を他所に、


 「どうした!? 来ないならこちらから行くぞ!」


 と、ループスはそう言って春風に向かって突撃した。


 (は、速い!)


 4体の分身達の能力(ちから)が加わっているのか、先程よりも素早い動きで春風のすぐに近くまで来ていた。


 そして、右手の鋭い爪を春風に向かって振り下ろそうとしたので、春風は思わず後ろに飛び退こうとしたが、振り下ろされたその右手から風の刃が放たれたので、春風は咄嗟に左腕に魔力を纏わせて、それでその風の刃を防御した。


 ザザザと地面に着地した春風が、ふと自身の左腕をチラリと見ると、


 (うげ! こりゃヤベェなオイ!)


 左腕に装着していた銀の籠手に、大きな斬撃痕が出来ていたので、春風は再びタラリと冷や汗を流した。


 しかし、そんな春風を前に、


 「そーら、もう一丁行くぞぉ!」


 と、ループスは春風に向かって再び風の刃を放ってきたので、春風はこれ以上防御は出来ないと考えて、


 「『アクセラレート』!」


 と、自身に風の強化魔術をかけ、それで強化した脚力を駆使してその風の刃を避けたが、ループスはそれに構わず、


 「ほらほらぁ! もっと行くぞぉ、もっとぉ!」


 と、何度も風の刃を放ってきたので、春風は流石にブチッとなったのか、


 「……調子に、乗らないでください!」


 と言うと、今度は春風の方からループスに向かって突撃した。


 その間、風の刃は春風に襲いかかるが、何と春風はそれらを避けたりはせず、寧ろ突撃するスピードを強くした。


 当然、春風はループスが放った風の刃をもろに受けたが、春風のスピードが勝っていたのか、少し肌やローブを切り裂くだけで、大したダメージにはならなかった。


 その様子を見て、


 「ゲゲ! なんて奴だ!」


 と、ループスはそう言って、すぐに背中の翼を羽ばたかせて空へと逃げようとしたが、


 「逃すかあああああ!」


 と、春風はそう叫ぶと、ループスの尻尾にガシッとしがみつき、


 「『ヒートアップ』! 『ヒートアップ』! 『ヒートアップゥ』!」


 と、自身に炎の強化魔術を3回もかけた。


 そして、


 「おおおんんんどりゃあああああああっ!」


 その勢いで、春風はしがみついていた尻尾のぶん回して、ループスを地面に叩きつけた。


 「ゴホアアア!」


 ドゴンと大きな音を立てて地面に激突したループス。そのループスを見て、球体に閉じ込められた勇者達と、戦いを見守ってた者達は、皆、「オオオ!」と驚きの声をあげた。


 その後、


 「もう一回ぃ!」


 と、春風は再びループスをぶん回そうとしたが、


 「さぁせぇるぅかあああああああっ!」


 それよりも早く、ループスは尻尾を思いっきり振り回した。


 「う、うわぁ!」


 その所為で春風は尻尾から離れてしまい、地面に数回程体をバウンドさせた。


 「くぅ。ち、ちくしょう……」


 痛みに耐えながら、どうにかして立ち上がった春風。


 そんな春風を前に、ループスも地面に立つと、


 「中々やるようだな。だが、コイツで最後だ」


 と言って、全身に力を込めた。


 それを見て、


 (あの様子だと、でかいのをぶっ放す気だな)


 と、春風は冷静にそう分析すると、腰のポーチに手を突っ込んで、そこからオレンジ色の液体が入った小さな瓶を幾つか取り出した。


 そして、その全ての瓶の蓋を外すと、一気にその中身を飲み干した。


 その後、春風は飲み終えたその瓶を再びポーチに突っ込むと、ゆっくりと深呼吸して、


 「それなら、こっちも()()()()()を見せてやる」


 と、ループスに向かって小さな声でそう言った。


 そして、ゆっくりと目を閉じて、


 「風よ。炎よ。そして水よ。俺の声を聞き、俺のもとに集まれ」


 と、静かな口調でそう呟いた。


 その瞬間、その場の雰囲気がガラリと変わったのを感じたのか、ループスをはじめとしたその場にいる者達は、


 『な、何だ?』


 と、戸惑いの表情見せたが、それに構わず春風は続ける。


 「吹き抜ける風よ、天を舞う『翼』となれ。燃え盛る炎よ、敵を蝕む『痛み』となれ。湧き上がる水よ、友を救う『癒し』となれ!」


 その言葉を聞いて、


 「お、お前、()()は……!」


 と、ループスが驚きに満ちた表情になったが、言い終わるよりも早く、


 「化身顕現! 羽ばたけ、フェニックスゥ!」


 と、春風はそう叫んだ。


 次の瞬間、春風の体は緑、赤、青の光に包まれた。


 そして、まるで弾けたかのようにその3つの光が消えると、そこには春風ではなく、1羽の大きな美しい真紅の鳥がいた。

 


 


 



 


 

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