第147話 春風vsループス・2
遅くなりました。
「行かせてもらいます!」
そう言って、ループスに突撃した春風。
そんな春風を見て、
「ゆ、雪村! 駄目だ!」
と、球体に閉じ込められている爽子はそう叫んだが、
(いや、もしかしたら春風なら……)
と、同じく球体に閉じ込められている水音は、心の中でそう呟きながらゴクリと唾を飲んだ。
一方、ループスはというと、
(お、自分から動くか……)
と、自分に向かって突撃してきた春風を見て、持っている剣を握る力を強くしたが、あと2、3歩というところで……。
ーーヒュン!
「何!? 消えた!?」
なんと、春風の姿が一瞬にして消え去った。
それを見て「あ!」と驚く勇者達を他所に、ループスは周囲を警戒していると、
(っ! そこかぁ!)
と、背後に気配を感じたので、ループスはすぐに背後へと振り向いて、持っている剣を振るったが、そこには誰もいなく、残念ながらただ虚空を斬り裂いただけに終わった。
(む! こっちじゃない!?)
と、ループスが大きく目を見開くと、
「こちらです」
というセリフと共に、ループスの後ろで春風がそう言ったので、
「しま……」
と、ループスは慌てて後ろを向こうとしたが、
ーーブン! ゴッ!
「うぐ!」
それよりも早く、春風は持っている杖に自身の魔力を流して、それを思いっきりループスの胴体に叩き込んだ。
しかし、
「……なぁんてな!」
「っ!」
全くダメージを受けている様子もなく、ループスは持っている剣で春風を貫こうとした。
だが、
「くぅっ!」
その前に春風は後ろに飛び退いたので、ループスの攻撃を受ける事はなかった。
だがしかし、
「甘いんだよ!」
と、ループスはそう叫ぶのと同時に春風に素早く近づき、
「はぁ!」
持っている剣を何度も振り下ろし、何度も刺突攻撃してきた。
だが、しかし、
「フン! ハッ! フゥ!」
それら全ての攻撃を、春風は何度も防御したり、時には回避したりしてた。
それだけではない。春風はその攻撃の最中に出来た僅かな隙をついて、
「『ファイアボール』! 『ウォーターエッジ』! 『ウインドニードル』!」
と、ループスに向かって自身が身につけてる攻撃魔術を発動した。
炎の剛球、水の刃、風の針がループスに襲いかかる。
しかも、攻撃してる最中の事だったので、ループスはそれらを防御する暇もなく、結果、全てくらってしまった。
それを見て、勇者の1人が、
「やったか!?」
と、叫んだが、
「そこ! それ、思いっきりフラグだから!」
と、春風にツッコミを入れられてしまい、その勇者は「あう……」と黙り込んでしまった。
その時だ。
「悪いが、俺はこの通りピンピンしてるぜ」
というループスのセリフと共に、再び春風に向かってループスの剣が振り下ろされたので、
「こんのぉ……!」
と、春風はすぐに杖に自身の魔力を纏わせて、それで振り下ろされた剣を受け止めた。
それを見て、
「ほほう、受け止めるとはやるじゃねぇか」
と、ループスは春風をそう褒めたが、
「じゃあ、コイツはどうかな!?」
と、ループスはそう言うと、空いている片方の手にもう1本黒い剣を出現させて、それで春風を貫こうとした。
だが、しかし!
「こんちくしょうが!」
と、春風はそう叫ぶと、自身の右足に風の魔力を纏わせた。
そして、まるで小さな竜巻を纏っているかのようなその右足で……何とループスの刺突を防いだのだ。
「うげっ! これも防ぐのかよ!」
と、驚愕するループスだが、春風はそれに構わず、
「どぉっせぇえええええええい!」
と、そう叫ぶと、思いっきり力任せにループスを押し出した。
「うおおお……」
と、驚くループスに向かって、
「『アースハンマー』!」
と、土属性の攻撃魔術を発動した。
その瞬間、ループスの真上に大きな土の塊が現れて、それがループスの頭頂部目掛けて落ちてきた。
それにループスは「あっぶねぇ!」と叫ぶと、その場から飛び退いて、その土の塊を避けた。
地面に着地すると、
「ふいー。ホント危なかったぜ」
と、ループスは額の汗を拭う仕草をしながらそう言った。
そして、
「中々やるようだな。なら、次はコイツだ!」
と、春風に向かってそう言うと、
「この身に集え、我が分身達よ!」
と、自身の4体の分身達に向かってそう叫んだ。
その叫びを聞いて、春風だけでなく勇者達までもが「え?」となった次の瞬間、なんと、4体の分身達は次々とループスのもとへと飛んでいった。
そして、4体全てがループスの傍に立つと、1体、また1体と、ループスの体に吸収された。
(何だ!? 何が起きてるんだ!?)
と、表情には出さないが、心の中で驚愕する春風を前に、全ての分身達を吸収したループスの体が、ボコボコと変化していった。
持っていた剣が消えて、全身が大きくなっただけでなく、両腕は熊型の分身の前足のようになり、両足は虎型の分身の後ろ足のようになり、お尻からは蛇型の分身の尻尾が生えてきて、最後に背中からは鷲型の分身の翼が生えてきた。
その後、ループスの変化が終わると、
「オイオイ、マジかよ……」
と、変化後のループスの姿を見て、タラリと冷や汗を流す春風に、ループスは言う。
「さぁ、第2ラウンドの始まりといこうじゃないか」
謝罪)
大変申し訳ありませんでした。この話の流れを考えていたら、その日のうちに終わらせる事が出来ませんでした。
本当にすみません。